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朱海の日記を何度も繰り返し読む毎に、耳鳴りがし始め、酷い吐き気が込み上げた。それでも一言一句刻み付け、覚えて空で言えるほどに、朱海そのものになりそうなほどに読み続けた。
日記を読むまでは、朱海を解放しようと思っていた。解放されたいと思ってもいた。だが、この日記を読んで気付いてしまった。それは単なる綺麗事だったのだと。
執念の一言では片付かない激情が暴れ、収まりきらなくなってきたところで、ふいにスマートフォンが鳴り始めた。
我に返って日記から引き剥がすように顔を上げると、明るかった室内がいきなり闇の中にあった。外の景色とは別に、ずっと暗闇の中にいる感覚は解けないが、夜になったのだということは分かる。
一人きりの部屋の中に、スマートフォンの無機質な音色が響き続ける。酷くゆったりとした思考と動作で手に取ると、相手も確かめずに出た。
「……はい」
「もしもし、高藤さん?私はいいので、早く朱海さんを助けて下さい。場所は今から言うので」
言葉が擦り抜ける。
「どうやって鈴原を」
「今、出て行ったんです。なんか、誰かを迎えに行くとかで」
「……」
「高藤さん?」
電話越しに、女の声がする。今の状態でも聞き間違いようがないという事実に、ふっと一瞬、力が抜けた。
「いつまでこの茶番を続けるんだ、時芝」
本当の名前を呼ぶと、電話の向こうで時芝が笑う。
「残念。ばれていたのね。面白かったのに」
「ふざけるな」
低く、冷たい声を出すと、時芝が驚いた声を発した。
「何か人が変わったみたいね。あの時は無理に悪役を演じている感じだったけど、今は」
「そんな話はどうでもいい。どうせあの話で電話してきたんだろ」
「なんか、そっちも……。まあいいわ。つまらないけど、本題に入らせてもらうから。それで?選んだの?」
「ああ」
「答えを聞かせてもらいましょうか」
楽し気に答えを待つ時芝の声を聞きながら、ノートを見下ろし、浮かんだ名前を口にする。
「木野楓子。彼女を選んだ」
「へえ、そうくるのね。ちょっと意外。じゃあ、今から言う場所に」
「その前に、一ついいか」
「何?言っとくけど、二人とも助けたいという話は」
「分かっている。そうじゃなくて、隆平という男に会わせてもらうことはできないか」
「りゅうへい……?って、誰だったかしら」
「知らないなら……」
予想は外れたか、と思いかけた時、時芝が、あっと声を上げる。
「隆平って、あいつのことね。昔使っていた名前だから分からなかった」
「使っていた?」
「私から勝手に言えないわ。詳しいことは本人に聞いて。先に、今から言う場所に来てちょうだい」
時芝が告げる所在地をスマートフォンにメモしながら、隆平と朱海の関係が見えてきていた。あの日記は、そういうことだったのか。
確信を抱きながら電話を切ると、すっかり夜の帳が下りた部屋で、スマートフォンだけを手にそのまま部屋を出ようとして、自分の匂いを嗅ぐ。ざっと汗を流すくらいならばいいだろう。
服を脱ぎ、シャワーを浴びながら、久しぶりに自分の姿をじっくり見た。仕事はしていたため、無精髭だけは処理していたが、頬は痩せこけ、顔色は悪く、明らかにやつれている。我ながら酷いありさまだ。
自分の醜い姿から目を逸らし、熱いシャワーを顔に当てる。これからさらに酷くなるだろう。それでも、引き返すつもりは毛頭ない。いや、引き返したくても引き返せないのかもしれないが。
シャワーのコックを回し、浴室から出て、腰にタオルを巻いたまま自室へ向かう。服は何でもよかったが、黒を基調としたものに着替えた。シャワーを浴びて汚れを落としたはずが、却って体が汚いものになった気がしてならない。
今度こそ準備を整え、外に出ると、闇夜に月が浮かんでいた。フードを被り、月から身を隠すようにしながら、車に乗り込む。エンジン音を吹かしながら夜の街を走り、目的地へ向かう中、胸の内で咲く花以外の一切の雑念はなかった。やけに明瞭なすっきりした思考が、一つの結論へ向かっている。その結論がどんな結果を招くかなど、今は考えない。
やがて、目的の海岸が見えてきた。海岸に一番近い建物に、奴らと楓子はいる。車を適当なところに停め、足早に建物に向かった。
「はあい。あら、やっと来たのね。武器か何か隠し持っているのかしら」
インターホンを鳴らすと、出てきた時芝が笑いながら、さっと真也の体に視線を滑らせる。
「持っていた方がよかったか」
「まさか。そっちがその気なら、考えがあるけどね。さ、早く中に入って」
外に聞こえたらまずいのだろう。時芝が中へ入るように急かす。渋る必要はなかったため、素直に従って中に入った。
部屋は窓もカーテンもきっちり閉め切られている。夜だから当然なのかもしれないが、恐らく昼間でも閉め切っているのではないかと思う。
「時芝」
「何?さっそく木野楓子の居場所を聞きたいの?」
「いや、その前に。お前の秘密については周りに広めても問題ないんだな」
スマートフォンをちらつかせながら言うと、時芝は一瞬真顔になった後、噴き出した。
「ああ、今さらその話?あの時のはわざと大人しく従ってたの。もう気付いているんだと思っていたけど。残念だったわね。それは秘密でも何でもない。ばらしたいなら勝手にすれば?」
大方想像通りの反応だ。大して驚かないまま、スマートフォンを下ろして聞いた。
「じゃあ、なんで俺ではなく、木野さんを」
「あら、それはあなたが言ったんじゃない。6年前の復讐だって。でも、木野楓子を狙ったのは、復讐の首謀者だからだけじゃないみたいだけど。私じゃなく、鈴原がね」
「おい、時芝ぁ。何を勝手にべらべら喋っているんだ」
奥の部屋から、男の声がする。鈴原だろう。一緒に楓子もいるはずだ。
「いいじゃない。今さら隠すことはないでしょ」
声がする方へ向かう時芝の後に続いて行くと、濃い煙草の臭いと、隠しきれない生臭さが充満した部屋に辿り着いた。鈴原が上半身裸で煙草を口に咥え、ベッドに寄りかかっており、楓子はベッドの上に仰向けに横たわっている。辛うじて毛布はかけられているが、恐らくその下は裸体なのだろう。
その目は生きていないように虚ろだ。
「ちょっと、少しぐらい換気しなさいよね」
窓辺に行き、空気を入れ替えようとする時芝に向かって、うるせえなと舌打ちする鈴原。写真で見たよりも幼さが抜け切れていない顔のように思えた。そして、どうにも悪人には見えない。詐欺を働いている者だからこそ、その方が都合がいいのだろうが、それだけではない気がした。
「何だ」
真也の視線に気付いた鈴原が、不機嫌そうに睨みつけてくる。
「いや。本当に、木野さんを返してくれるのかと思ってな」
「ああ?どういう意味だ」
「やけにあっさりとしているんだな。捕まえてわざわざこんなことをする理由は、復讐する気をもう起こさなくするだけか?」
真也の問いに、鈴原は鼻で笑う。だが、どこか空々しい笑いだ。
「それしかないだろ。その女、最初は反抗的だったが、だんだん何の反応もしなくなってつまらなくなった。だから、お前に連絡して解放してやることにしたんだ。もう用済みだ」
煙草を灰皿に押し付け、立ち上がって背を向ける鈴原に、問いを重ねる。
「じゃあ、なんで俺に、警察への通報はするなと言わなかった。木野さんがそちらにいる時点で、お前の方が立場的に有利だったはずだ。それなのに、お前は木野さんか朱海、どちらかを選べとしか言わなかった。それはなぜだ」
鈴原が振り返る。その顔には疲れが滲んでいるように見えた。
「それでもいいと思った。もう、俺には何も残っていないからな。話はそれだけか?」
「最後に一つだけ」
問うような視線を向ける鈴原に、ゆっくりとそれを口にする。鈴原は目を見開き、膝からその場に頽れた。
日記を読むまでは、朱海を解放しようと思っていた。解放されたいと思ってもいた。だが、この日記を読んで気付いてしまった。それは単なる綺麗事だったのだと。
執念の一言では片付かない激情が暴れ、収まりきらなくなってきたところで、ふいにスマートフォンが鳴り始めた。
我に返って日記から引き剥がすように顔を上げると、明るかった室内がいきなり闇の中にあった。外の景色とは別に、ずっと暗闇の中にいる感覚は解けないが、夜になったのだということは分かる。
一人きりの部屋の中に、スマートフォンの無機質な音色が響き続ける。酷くゆったりとした思考と動作で手に取ると、相手も確かめずに出た。
「……はい」
「もしもし、高藤さん?私はいいので、早く朱海さんを助けて下さい。場所は今から言うので」
言葉が擦り抜ける。
「どうやって鈴原を」
「今、出て行ったんです。なんか、誰かを迎えに行くとかで」
「……」
「高藤さん?」
電話越しに、女の声がする。今の状態でも聞き間違いようがないという事実に、ふっと一瞬、力が抜けた。
「いつまでこの茶番を続けるんだ、時芝」
本当の名前を呼ぶと、電話の向こうで時芝が笑う。
「残念。ばれていたのね。面白かったのに」
「ふざけるな」
低く、冷たい声を出すと、時芝が驚いた声を発した。
「何か人が変わったみたいね。あの時は無理に悪役を演じている感じだったけど、今は」
「そんな話はどうでもいい。どうせあの話で電話してきたんだろ」
「なんか、そっちも……。まあいいわ。つまらないけど、本題に入らせてもらうから。それで?選んだの?」
「ああ」
「答えを聞かせてもらいましょうか」
楽し気に答えを待つ時芝の声を聞きながら、ノートを見下ろし、浮かんだ名前を口にする。
「木野楓子。彼女を選んだ」
「へえ、そうくるのね。ちょっと意外。じゃあ、今から言う場所に」
「その前に、一ついいか」
「何?言っとくけど、二人とも助けたいという話は」
「分かっている。そうじゃなくて、隆平という男に会わせてもらうことはできないか」
「りゅうへい……?って、誰だったかしら」
「知らないなら……」
予想は外れたか、と思いかけた時、時芝が、あっと声を上げる。
「隆平って、あいつのことね。昔使っていた名前だから分からなかった」
「使っていた?」
「私から勝手に言えないわ。詳しいことは本人に聞いて。先に、今から言う場所に来てちょうだい」
時芝が告げる所在地をスマートフォンにメモしながら、隆平と朱海の関係が見えてきていた。あの日記は、そういうことだったのか。
確信を抱きながら電話を切ると、すっかり夜の帳が下りた部屋で、スマートフォンだけを手にそのまま部屋を出ようとして、自分の匂いを嗅ぐ。ざっと汗を流すくらいならばいいだろう。
服を脱ぎ、シャワーを浴びながら、久しぶりに自分の姿をじっくり見た。仕事はしていたため、無精髭だけは処理していたが、頬は痩せこけ、顔色は悪く、明らかにやつれている。我ながら酷いありさまだ。
自分の醜い姿から目を逸らし、熱いシャワーを顔に当てる。これからさらに酷くなるだろう。それでも、引き返すつもりは毛頭ない。いや、引き返したくても引き返せないのかもしれないが。
シャワーのコックを回し、浴室から出て、腰にタオルを巻いたまま自室へ向かう。服は何でもよかったが、黒を基調としたものに着替えた。シャワーを浴びて汚れを落としたはずが、却って体が汚いものになった気がしてならない。
今度こそ準備を整え、外に出ると、闇夜に月が浮かんでいた。フードを被り、月から身を隠すようにしながら、車に乗り込む。エンジン音を吹かしながら夜の街を走り、目的地へ向かう中、胸の内で咲く花以外の一切の雑念はなかった。やけに明瞭なすっきりした思考が、一つの結論へ向かっている。その結論がどんな結果を招くかなど、今は考えない。
やがて、目的の海岸が見えてきた。海岸に一番近い建物に、奴らと楓子はいる。車を適当なところに停め、足早に建物に向かった。
「はあい。あら、やっと来たのね。武器か何か隠し持っているのかしら」
インターホンを鳴らすと、出てきた時芝が笑いながら、さっと真也の体に視線を滑らせる。
「持っていた方がよかったか」
「まさか。そっちがその気なら、考えがあるけどね。さ、早く中に入って」
外に聞こえたらまずいのだろう。時芝が中へ入るように急かす。渋る必要はなかったため、素直に従って中に入った。
部屋は窓もカーテンもきっちり閉め切られている。夜だから当然なのかもしれないが、恐らく昼間でも閉め切っているのではないかと思う。
「時芝」
「何?さっそく木野楓子の居場所を聞きたいの?」
「いや、その前に。お前の秘密については周りに広めても問題ないんだな」
スマートフォンをちらつかせながら言うと、時芝は一瞬真顔になった後、噴き出した。
「ああ、今さらその話?あの時のはわざと大人しく従ってたの。もう気付いているんだと思っていたけど。残念だったわね。それは秘密でも何でもない。ばらしたいなら勝手にすれば?」
大方想像通りの反応だ。大して驚かないまま、スマートフォンを下ろして聞いた。
「じゃあ、なんで俺ではなく、木野さんを」
「あら、それはあなたが言ったんじゃない。6年前の復讐だって。でも、木野楓子を狙ったのは、復讐の首謀者だからだけじゃないみたいだけど。私じゃなく、鈴原がね」
「おい、時芝ぁ。何を勝手にべらべら喋っているんだ」
奥の部屋から、男の声がする。鈴原だろう。一緒に楓子もいるはずだ。
「いいじゃない。今さら隠すことはないでしょ」
声がする方へ向かう時芝の後に続いて行くと、濃い煙草の臭いと、隠しきれない生臭さが充満した部屋に辿り着いた。鈴原が上半身裸で煙草を口に咥え、ベッドに寄りかかっており、楓子はベッドの上に仰向けに横たわっている。辛うじて毛布はかけられているが、恐らくその下は裸体なのだろう。
その目は生きていないように虚ろだ。
「ちょっと、少しぐらい換気しなさいよね」
窓辺に行き、空気を入れ替えようとする時芝に向かって、うるせえなと舌打ちする鈴原。写真で見たよりも幼さが抜け切れていない顔のように思えた。そして、どうにも悪人には見えない。詐欺を働いている者だからこそ、その方が都合がいいのだろうが、それだけではない気がした。
「何だ」
真也の視線に気付いた鈴原が、不機嫌そうに睨みつけてくる。
「いや。本当に、木野さんを返してくれるのかと思ってな」
「ああ?どういう意味だ」
「やけにあっさりとしているんだな。捕まえてわざわざこんなことをする理由は、復讐する気をもう起こさなくするだけか?」
真也の問いに、鈴原は鼻で笑う。だが、どこか空々しい笑いだ。
「それしかないだろ。その女、最初は反抗的だったが、だんだん何の反応もしなくなってつまらなくなった。だから、お前に連絡して解放してやることにしたんだ。もう用済みだ」
煙草を灰皿に押し付け、立ち上がって背を向ける鈴原に、問いを重ねる。
「じゃあ、なんで俺に、警察への通報はするなと言わなかった。木野さんがそちらにいる時点で、お前の方が立場的に有利だったはずだ。それなのに、お前は木野さんか朱海、どちらかを選べとしか言わなかった。それはなぜだ」
鈴原が振り返る。その顔には疲れが滲んでいるように見えた。
「それでもいいと思った。もう、俺には何も残っていないからな。話はそれだけか?」
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