ほーぷ

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12月

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Dec.28.1X93

親愛なる弟へ

 この街に来て初めての冬を迎えている。寒さは思ったより厳しいが、朝の張り詰めた空気は嫌いじゃない。

 そういえば今年のクリスマスは、近所の小さな教会に顔を出した。クリスマスツリーの装飾はかなり控えめだったが、私はその質素な感じが気に入ったよ。子供の頃に感じていたワクワクした気持ちはもう感じられなくなってしまったけどね。今年中には今書いている小説を終わらせないと。でも焦るのは良くない。尻すぼみな物語ほど最悪なものはないだろう?
 
 この前、久しぶりにひよこ豆のポタージュを飲んだけど、大好物のはずなのに美味しいと感じなかった。鴨肉の油も身体が受けつけない。食の楽しみというものが、私の人生から退場しようとしているようだ。

 君も健康には気をつけて。
また手紙を書くよ。

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