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短編ストーリー
4.初恋のゆくえと家族の話
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「どうして僕の名前を知ってるの?」
「だから、話しただろう。俺が追いかけてたのは、もう一人の君だよ春。」
そう言って笑った彼はとてもまぶしかった。ねぇ、本当に僕でいいの?僕は…
「僕はずっと君を騙してた。」
「それは俺もだよ。男だって知りながら遊んでた。」
「僕は可愛いものが好きなんだ…」
「そんな春が可愛いと思ってる。好きでいいじゃん。」
「僕は男なのに、女性の格好をしてるよ。」
「女の人だってするじゃないか。十人十色、似合っていれば問題なし!」
「僕は女の子じゃない。ほかの人に知れたら…」
「それでもいい。俺は春がいい。周りになんて言われようと、俺は春といる。春じゃなきゃ嫌なんだ。」
「…僕は君が初恋なんだ。」
「そうなんだ…春の初めて全部俺がもらえるんだ…嬉しいよ。」
僕は泣いてしまった。君を見つけたその日に恋をした、しかも初恋だ。親にも知られている。
君はこんな僕を受け入れてくれますか?好きでいてくれますか?
「こんな、なんて言わないで。全部受け入れるよ。ずっと好きでいるよ。」
あぁ、君はなんて優しい人なんだ。こんな人が好きになってくれるなんて夢みたいだ。
「ありがとう。赤坂緑君、君に声をかけたあの日から、緑君が好きです。」
「うん。ありがとう、俺も好きだよ。もちろん、小春もね!」
パチッとウィンクした君は意地悪く笑っていた。僕もつられて笑った。でもね、緑君もういいんだよ。
僕はもう、嘘をつかなくていい。君の前で隠さなくていい。本当の僕を好きでいてくれる。
「小春はもういないよ。これは僕だ。もう隠したりしない。君が好きでいてくれるから。」
また、涙がこぼれそうになる。それでも、笑って見せると彼が微笑んで手を差し出した。
「春、俺の恋人になってくれますか?ずっと大切にする。」
真剣な目に映る僕は、やっぱり泣いていた。
「はい、緑君の恋人にさせてください。……ちなみに返品はできません。」
「返品…しないよ。自分から捕まえておいて…(笑)。」
「もしも返品したら、姉が……」
「うん?待って、待って、お姉さんがどうしたの?春、教えて…?」
「返品するの?もう嫌?」
「そんなわけないじゃん!ずっと大切にするよ。」
「ありがとう。僕も大切にするよ。」
✾✾✾✾✾✾✾
母が作った服を姉が選んで僕が着る。自分でメイクして姉に確認してもらう。
よし、今日も僕は可愛い。そう呪文を唱えて外へ出かける。本当は一人で歩くのが怖い。
男がこんな格好してるってバレたら、SNSにさらされる。家族も非難される。そうなるのが何よりも怖い。
でも、僕は…僕に正直でいたい。
今日は、新作のチークを求めて大きめにショッピングセンターに来た。
ワクワクしながらお店に向かっていると、あの人がいた。あの人とは大学で有名な人だ。残念意味で。
彼はダサい服装でだ。驚きすぎて、覚えてしまった。今日は……まともだ。
お店についてチークを探すと、残り一つだった。間に合ってよかった。
お化粧室でメイクを直して鏡を見ると、二次元によくいる『清楚系』女子になった。
新作のチークは僕に会っていたみたいだ。すごくうれしい。
あ茶でもして帰ろうと、来た道を戻って行くとまだあの人がいた。
疲れているようで、一人でベンチに座っていた。風が吹いて彼の横顔が見えた、目が離せなくなった。
急にキラキラ見えて、目がおかしくなったのかと思った。照明が強いのかなと思ったけど、普通だった。
一瞬で顔が熱くなる。引き寄せられるように彼に近づいた。そして、声をかけていた。
「こんにちは。お兄さん、お一人なんですか?」
そのあとは、ふわふわしていた。恥ずかしくて、どうにかなりそうだった。
彼は嫌な顔せず連絡先を教えてくれた。夜、自分の部屋で考えていた。書いては消して書いては消して。
何度も繰り返していた。
ピコン
誰かからメッセが届いた。
『連絡先を交換してくれてありがとう。よかったら、来週末遊びませんか?無理だったら断っていいから。
おやすみ、 赤坂 縁』
彼からだった。最後に律義に名前まで書いている。『赤坂縁』一人でつぶやいた。
ポンッ!と顔が熱くなった。何なんだ。こんなの初めてだ。流石に姉さんに相談でき…
「はる~新作の…ちょどうしたの?熱!?」
心配した姉さんが飛んできた。ペタペタ触られて、開きっぱなしの携帯に気づいた。姉さんの表情が暗くなった。
「あ、あの…姉さん?」
「春…どうこう言うつもりはないけど、後悔しない?」
真剣な目に僕は怖気着いた。確かに、僕は男で彼も男だ。しかもそれを彼は知らない。
「…僕は、どんな結末でも後悔しない。…これが恋っていうんだと思う。」
「そっか、姉さんは応援するわ!」(これが初恋だなんて…神様は非リアね)
side姉
弟は本当にいい子だわ。だけど、それが自身を苦しめている。
姉として、これまでできることは何でもしてきた。でも、今回は何もできない。私の可愛い弟。
どうすれば…この酷い社会から守れるの?
「あらあら…綺麗な顔にしわが増えるわよ。」
「ママ…」
「貴方がそんな顔するときは、決まって春のことだわ…」
「ママ…私、春のためなら何でもするわ。でも、今回は何もできないの。力になれない。」
「…いいえ、十分すぎるほど力になっているわ。」
「春がね…」
「待って、春が言うまで待ちましょう。それに、お父さんも一緒にね?」
そういっえママは優しい顔で笑った。本当にママは、世界一のママです。
ありがとう。
side春
姉さんと話してから、しばらくしてリビングから声が聞こえた。
お父さんも帰ってきたようだ。
「…病院に連れていくしか。」
「なんてこと言うの!?」
「そうよ、心の問題よ!」
母さんにそう思われていたのは悲しかったけど、仕方ないよね。
しばらく、話を聞くことにした。
「洗脳された相手と恋愛なんて!」
「いや…そうじゃなくて…」
「一緒よ!もう、春のことちゃんと考えてよ!」
「だが…」
「そうよ。それに、春の意見も聞かないとね…?」
この流れは…まさか…。扉が開かれた。
「母さん…」
「春。聞かせてくれる?…貴方はどうしたい。私たちにどうしてほしい?」
姉さんと父さんも、僕が話すのを待っている。真剣な目に、僕は覚悟を決めた。
「僕は、できるだけ頑張りたい。友達になりたい。…本当のことを話して、女装もやめるよ」
そう僕が言うと、姉さんが抱き着いてきた。
「ハルッ!…なんかあったらすぐに私に言いなさい。✕✕を蹴り上げるわ。」
「ちょ、姉さん…!」
まかせなさい!と笑う姉さんに、優しく見守る両親。僕は何度も救われている。
✾✾✾✾✾✾
春の親友です。幸せそうに、手を繋いで出てきたはーちゃん。
うまくいって良かったね。僕も嬉しいよ。実は、彼に情報を提供していたのは僕の彼氏。
心君は、彼の友達で結構はーちゃんのことも心配してたんだ。これから会う約束をしてる。
「あん!…二人は?」
「今来るよ……はーちゃん!」
手を振って、はーちゃんたちを呼んだ。彼も気づいたみたい。心君に気づいて驚いてた。
「心?!……はーちゃん?」
彼は戸惑ってて、はーちゃんが必死に説明してる。あぁ…でも、幸せそうに笑ってる。
それだけで、十分だよ。はーちゃん、彼氏さんに幸あれ!
「だから、話しただろう。俺が追いかけてたのは、もう一人の君だよ春。」
そう言って笑った彼はとてもまぶしかった。ねぇ、本当に僕でいいの?僕は…
「僕はずっと君を騙してた。」
「それは俺もだよ。男だって知りながら遊んでた。」
「僕は可愛いものが好きなんだ…」
「そんな春が可愛いと思ってる。好きでいいじゃん。」
「僕は男なのに、女性の格好をしてるよ。」
「女の人だってするじゃないか。十人十色、似合っていれば問題なし!」
「僕は女の子じゃない。ほかの人に知れたら…」
「それでもいい。俺は春がいい。周りになんて言われようと、俺は春といる。春じゃなきゃ嫌なんだ。」
「…僕は君が初恋なんだ。」
「そうなんだ…春の初めて全部俺がもらえるんだ…嬉しいよ。」
僕は泣いてしまった。君を見つけたその日に恋をした、しかも初恋だ。親にも知られている。
君はこんな僕を受け入れてくれますか?好きでいてくれますか?
「こんな、なんて言わないで。全部受け入れるよ。ずっと好きでいるよ。」
あぁ、君はなんて優しい人なんだ。こんな人が好きになってくれるなんて夢みたいだ。
「ありがとう。赤坂緑君、君に声をかけたあの日から、緑君が好きです。」
「うん。ありがとう、俺も好きだよ。もちろん、小春もね!」
パチッとウィンクした君は意地悪く笑っていた。僕もつられて笑った。でもね、緑君もういいんだよ。
僕はもう、嘘をつかなくていい。君の前で隠さなくていい。本当の僕を好きでいてくれる。
「小春はもういないよ。これは僕だ。もう隠したりしない。君が好きでいてくれるから。」
また、涙がこぼれそうになる。それでも、笑って見せると彼が微笑んで手を差し出した。
「春、俺の恋人になってくれますか?ずっと大切にする。」
真剣な目に映る僕は、やっぱり泣いていた。
「はい、緑君の恋人にさせてください。……ちなみに返品はできません。」
「返品…しないよ。自分から捕まえておいて…(笑)。」
「もしも返品したら、姉が……」
「うん?待って、待って、お姉さんがどうしたの?春、教えて…?」
「返品するの?もう嫌?」
「そんなわけないじゃん!ずっと大切にするよ。」
「ありがとう。僕も大切にするよ。」
✾✾✾✾✾✾✾
母が作った服を姉が選んで僕が着る。自分でメイクして姉に確認してもらう。
よし、今日も僕は可愛い。そう呪文を唱えて外へ出かける。本当は一人で歩くのが怖い。
男がこんな格好してるってバレたら、SNSにさらされる。家族も非難される。そうなるのが何よりも怖い。
でも、僕は…僕に正直でいたい。
今日は、新作のチークを求めて大きめにショッピングセンターに来た。
ワクワクしながらお店に向かっていると、あの人がいた。あの人とは大学で有名な人だ。残念意味で。
彼はダサい服装でだ。驚きすぎて、覚えてしまった。今日は……まともだ。
お店についてチークを探すと、残り一つだった。間に合ってよかった。
お化粧室でメイクを直して鏡を見ると、二次元によくいる『清楚系』女子になった。
新作のチークは僕に会っていたみたいだ。すごくうれしい。
あ茶でもして帰ろうと、来た道を戻って行くとまだあの人がいた。
疲れているようで、一人でベンチに座っていた。風が吹いて彼の横顔が見えた、目が離せなくなった。
急にキラキラ見えて、目がおかしくなったのかと思った。照明が強いのかなと思ったけど、普通だった。
一瞬で顔が熱くなる。引き寄せられるように彼に近づいた。そして、声をかけていた。
「こんにちは。お兄さん、お一人なんですか?」
そのあとは、ふわふわしていた。恥ずかしくて、どうにかなりそうだった。
彼は嫌な顔せず連絡先を教えてくれた。夜、自分の部屋で考えていた。書いては消して書いては消して。
何度も繰り返していた。
ピコン
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『連絡先を交換してくれてありがとう。よかったら、来週末遊びませんか?無理だったら断っていいから。
おやすみ、 赤坂 縁』
彼からだった。最後に律義に名前まで書いている。『赤坂縁』一人でつぶやいた。
ポンッ!と顔が熱くなった。何なんだ。こんなの初めてだ。流石に姉さんに相談でき…
「はる~新作の…ちょどうしたの?熱!?」
心配した姉さんが飛んできた。ペタペタ触られて、開きっぱなしの携帯に気づいた。姉さんの表情が暗くなった。
「あ、あの…姉さん?」
「春…どうこう言うつもりはないけど、後悔しない?」
真剣な目に僕は怖気着いた。確かに、僕は男で彼も男だ。しかもそれを彼は知らない。
「…僕は、どんな結末でも後悔しない。…これが恋っていうんだと思う。」
「そっか、姉さんは応援するわ!」(これが初恋だなんて…神様は非リアね)
side姉
弟は本当にいい子だわ。だけど、それが自身を苦しめている。
姉として、これまでできることは何でもしてきた。でも、今回は何もできない。私の可愛い弟。
どうすれば…この酷い社会から守れるの?
「あらあら…綺麗な顔にしわが増えるわよ。」
「ママ…」
「貴方がそんな顔するときは、決まって春のことだわ…」
「ママ…私、春のためなら何でもするわ。でも、今回は何もできないの。力になれない。」
「…いいえ、十分すぎるほど力になっているわ。」
「春がね…」
「待って、春が言うまで待ちましょう。それに、お父さんも一緒にね?」
そういっえママは優しい顔で笑った。本当にママは、世界一のママです。
ありがとう。
side春
姉さんと話してから、しばらくしてリビングから声が聞こえた。
お父さんも帰ってきたようだ。
「…病院に連れていくしか。」
「なんてこと言うの!?」
「そうよ、心の問題よ!」
母さんにそう思われていたのは悲しかったけど、仕方ないよね。
しばらく、話を聞くことにした。
「洗脳された相手と恋愛なんて!」
「いや…そうじゃなくて…」
「一緒よ!もう、春のことちゃんと考えてよ!」
「だが…」
「そうよ。それに、春の意見も聞かないとね…?」
この流れは…まさか…。扉が開かれた。
「母さん…」
「春。聞かせてくれる?…貴方はどうしたい。私たちにどうしてほしい?」
姉さんと父さんも、僕が話すのを待っている。真剣な目に、僕は覚悟を決めた。
「僕は、できるだけ頑張りたい。友達になりたい。…本当のことを話して、女装もやめるよ」
そう僕が言うと、姉さんが抱き着いてきた。
「ハルッ!…なんかあったらすぐに私に言いなさい。✕✕を蹴り上げるわ。」
「ちょ、姉さん…!」
まかせなさい!と笑う姉さんに、優しく見守る両親。僕は何度も救われている。
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春の親友です。幸せそうに、手を繋いで出てきたはーちゃん。
うまくいって良かったね。僕も嬉しいよ。実は、彼に情報を提供していたのは僕の彼氏。
心君は、彼の友達で結構はーちゃんのことも心配してたんだ。これから会う約束をしてる。
「あん!…二人は?」
「今来るよ……はーちゃん!」
手を振って、はーちゃんたちを呼んだ。彼も気づいたみたい。心君に気づいて驚いてた。
「心?!……はーちゃん?」
彼は戸惑ってて、はーちゃんが必死に説明してる。あぁ…でも、幸せそうに笑ってる。
それだけで、十分だよ。はーちゃん、彼氏さんに幸あれ!
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