僕の妄想日記

天音 零採

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短編ストーリー 

3.やっと見つけた、本当の君

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「それでいいの?はーちゃん…」
「うん、多分バレてるし…いつかこの日が来るってわかってたから」
「僕…心配だよ。はーちゃんに何かあったら…心君も心配するよ。」
「心配って…心はあんちゃんの彼氏でしょ。まぁ、失恋してくるからパーティーしてね!」
「はーちゃん…僕らまだ子供だし。これからも出会いはあるよ!ね!」
「初恋は実らない…本当みたいだなぁ…」
「……………」(はーちゃん、僕らはどうして辛い恋をするんだろうね…)


そろそろ10時になる。いつも小春は5分前には来ていた。もう、会えないのか…。
「こんにちは。お兄さん、お一人ですか?」
あの日と同じ髪形。俺が似合うってほめた服。状況は違えど、初めて会った日だ。
「はい、もう一人ゃないです。小春、来てくれてありがとう。」
彼女は少しだけ微笑んだ。差し出した手を重ねてくれた。素直にうれしかった。ありがとう、
手を繋いで案内する。講堂とか食堂とか、花が咲いてる綺麗な場所とか。でも彼女は楽しそうじゃなかった。
彼女は苦しそうに笑うばかりだった。どうしたら、本当の君に伝えられるんだろう。

バットエンドはいらない。ハッピーエンドを迎えよう。

「ここからよく見かける人がいたんだ。」
彼女を連れてきた場所は、俺の講義が行われる場所だ。そして、彼のことを『君』を見ていたことを伝えよう。
気づいてくれただろうか。彼女は俯き何も言わなかった。最後にもう一つ、案内したい。
重ねられた手は少し、震えていた。

大学の中にある大きな図書館は一般の人も利用可能だ。並んだ本棚を横切っていく。
そして、俺たちが出会った本棚の前に来た。俺は伝えることにした。ごめん、逃がすつもりはないよ。
「教えてほしい。俺は本当の君を知らない。だから、こんなこと信じてもらいないと思うが…」
 俺は君のことが好きなんだ。
「どうして…本当がわからないのに告白なんてするの?わた、僕はずっと嘘を…!」
「知ってたよ。本当は男だって、知ってた。わかってて一緒にいたんだ。わざと黙ってたんだよ。」
「ならなんで、僕は男なのにこんな格好をしてるんだよ!?
「こんなとかいうなよ!似合ってると言ったじゃないか。」
「でも!」
「俺は全部わかってて好きだって言ってるんだ!!」
どうしたら伝わるのかな。どうしたらわかってくれるかな。もういいじゃん、好きなんだって伝わってよ。
「…春泣かないでよ。俺は小春のことも春のことも好きなんだよ。さっき話しただろう。」
「え…」
「俺がいつも見ていたのは、春…君のほうだよ。」





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