4 / 4
【第二話】
しおりを挟む
足がふわついて宙に浮いたその一瞬、今までは土だった道が木製の橋へと変わる。
今まで朝日が登ってたのにいきなり夕方へと変わり、雪洞がぶら下がる町並みには様々な声が飛び交っている。舞台セット並みの和の最限度はもはや、京都の町に夜の新宿を重ねたようだった。
しかし、そこで問題がある。
何故か、目の前には人間のような見た目をしていても、メイド喫茶にしてはリアルすぎる猫耳が生えていたり、もう人間でもない亀や河童などの動物が喋っているのだ。奇妙を通り越してもう珍妙。俺はどうしたらいいか分からずあたりをキョロキョロしていると、きゅうりの模様の着物を着た一匹の河童のような化物が話しかけてきた。
緑の肌からしてゾットするのに声なんてまるでヒキガエルの鳴き声だ。
俺のほうが何倍カッコイイ事か…((殴
「ここでは見ねぇ顔だな。アンタ、※妖種は?見たところ、化け狐か?荷物を見るに三味線を弾く道化に化けて出稼ぎに来たのか?」
河童は俺の周りをうろうろと嗅ぎ回り匂いを嗅いでくる。「しかし、上手く化けてるもんだなあ」と河童は関心していた。俺は、「化けてなんか居ない、人間だ!」と伝えたかったが、夢じゃなくこの状況が現実だったらどうなるか怖くて化け狐を装ってしまった。持っていた笠を深くかぶり、俺は少し微笑む。少し、コイツには芝居を打つ必要がありそうだ。
「妖種は、ご察しの通り化け狐。さすらいの旅のモノで遠くからぼちぼち来たのさ。」
俺がそう言うと河童はずっと「顔がいい」だの「今のはかっこいい」等と俺のファンみたいなことを言っていた。バンドで得た人気はここまでにも繋がっているのだろうか?
河童は顎に手を起きながら俺を見ると、いきなり真剣な顔つきになって言った。
「旅の者なのはいいが、ここらで最近、妖魔界と人間界を繋ぐ結界が剥がされたようで、人間が紛れ込んでいるらしいんだ。閻魔様に見つかったら、と考えると可哀想になぁ。」
「もしかして、旅してるっていうにはソイツを見ていたりしないか?」
「んー、そのような者は知らない。」
平静を装いつつも、二言目のその言葉を聞いて俺は焦った。俺は鍵を取ろうと思って吸い込まれた先がここだからである。もしかして、あの神社がこの摩訶不思議な世界へと繋ぐ架け橋となっていたのか…。
(でも、何故人間が紛れてたらここまでのニュースに?しかも、“閻魔様”って、あの、地獄の大王みたいなやつだよな?!)
一番に浮かんだ疑問が自分の安否と“閻魔様”の事。きっと妖怪たちは皆知っているだろうから聞くに聞けない。旅設定ゴリ押しで聞く事にし、俺は帰ろうとする河童に問いた。
「なぁ、河童殿。俺は旅をしていたせいで色んな都市と法律や決まりがごっちゃになっていてな、ここの事を少しばかり教えてくれないだろうか?」
俺がそう聞くと、河童は茶飲み喫茶へ行こうとそこまで連れて行ってくれた。まず知らない生物に付いていくなんて事は、いつもなら絶対に無いけど今回ばかりは仕方ない。ここの状況を掴んで、何とかもとの神社まで帰らないといけないのだ。
「いらっしゃいませ♡ご主人様!ニ名様かにゃん?」
店についた矢先、猫耳をふわふわさせた秋葉原にいかにもいそうな丈の短い色とりどりのメイド達がお出迎えしてくれた。なんとも、河童の行きつけらしい。猫娘?達が見たいだけなのだろう。ずっと河童は辺りの美女を見てニヤニヤしていた。
「ほぉ~、ここの娘は如何なるときも美麗だ!狐、お前もそう思うだろう?」
河童にそう聞かれ咄嗟に「そのとおりだな」と返事をしてしまった。確かに可愛い人は何人かいるが、やけに耳としっぽのリアルさが猫娘ということを強調して思わせ、少し残念だ。
河童は俺と二人分のだし巻き卵を頼んでくれた。「今晩は俺の奢りだ、」と河童は指で鼻をこすって恥ずかしそうに言った。縁というものは大切なんだろうな…。
そして、河童の雑談に付き合っていると、河童はだし巻き卵を頬張りながら、俺にこれからどうしたいかを聞いていた。俺はまだ緊張しているせいで、だし巻き卵の出汁の効いた味やふわふわさが感じられずにいたままそれを飲み込み答えた。
「俺は帰るべき実家があるのだが、生憎そこまで行く道を知らなくてな。お前と出会った橋にも関所のようなものが無かった。ここに詳しい者は誰だろうか。」
河童はキョトンとした様子で俺を見た。
※妖種→妖怪の種族、種類
今まで朝日が登ってたのにいきなり夕方へと変わり、雪洞がぶら下がる町並みには様々な声が飛び交っている。舞台セット並みの和の最限度はもはや、京都の町に夜の新宿を重ねたようだった。
しかし、そこで問題がある。
何故か、目の前には人間のような見た目をしていても、メイド喫茶にしてはリアルすぎる猫耳が生えていたり、もう人間でもない亀や河童などの動物が喋っているのだ。奇妙を通り越してもう珍妙。俺はどうしたらいいか分からずあたりをキョロキョロしていると、きゅうりの模様の着物を着た一匹の河童のような化物が話しかけてきた。
緑の肌からしてゾットするのに声なんてまるでヒキガエルの鳴き声だ。
俺のほうが何倍カッコイイ事か…((殴
「ここでは見ねぇ顔だな。アンタ、※妖種は?見たところ、化け狐か?荷物を見るに三味線を弾く道化に化けて出稼ぎに来たのか?」
河童は俺の周りをうろうろと嗅ぎ回り匂いを嗅いでくる。「しかし、上手く化けてるもんだなあ」と河童は関心していた。俺は、「化けてなんか居ない、人間だ!」と伝えたかったが、夢じゃなくこの状況が現実だったらどうなるか怖くて化け狐を装ってしまった。持っていた笠を深くかぶり、俺は少し微笑む。少し、コイツには芝居を打つ必要がありそうだ。
「妖種は、ご察しの通り化け狐。さすらいの旅のモノで遠くからぼちぼち来たのさ。」
俺がそう言うと河童はずっと「顔がいい」だの「今のはかっこいい」等と俺のファンみたいなことを言っていた。バンドで得た人気はここまでにも繋がっているのだろうか?
河童は顎に手を起きながら俺を見ると、いきなり真剣な顔つきになって言った。
「旅の者なのはいいが、ここらで最近、妖魔界と人間界を繋ぐ結界が剥がされたようで、人間が紛れ込んでいるらしいんだ。閻魔様に見つかったら、と考えると可哀想になぁ。」
「もしかして、旅してるっていうにはソイツを見ていたりしないか?」
「んー、そのような者は知らない。」
平静を装いつつも、二言目のその言葉を聞いて俺は焦った。俺は鍵を取ろうと思って吸い込まれた先がここだからである。もしかして、あの神社がこの摩訶不思議な世界へと繋ぐ架け橋となっていたのか…。
(でも、何故人間が紛れてたらここまでのニュースに?しかも、“閻魔様”って、あの、地獄の大王みたいなやつだよな?!)
一番に浮かんだ疑問が自分の安否と“閻魔様”の事。きっと妖怪たちは皆知っているだろうから聞くに聞けない。旅設定ゴリ押しで聞く事にし、俺は帰ろうとする河童に問いた。
「なぁ、河童殿。俺は旅をしていたせいで色んな都市と法律や決まりがごっちゃになっていてな、ここの事を少しばかり教えてくれないだろうか?」
俺がそう聞くと、河童は茶飲み喫茶へ行こうとそこまで連れて行ってくれた。まず知らない生物に付いていくなんて事は、いつもなら絶対に無いけど今回ばかりは仕方ない。ここの状況を掴んで、何とかもとの神社まで帰らないといけないのだ。
「いらっしゃいませ♡ご主人様!ニ名様かにゃん?」
店についた矢先、猫耳をふわふわさせた秋葉原にいかにもいそうな丈の短い色とりどりのメイド達がお出迎えしてくれた。なんとも、河童の行きつけらしい。猫娘?達が見たいだけなのだろう。ずっと河童は辺りの美女を見てニヤニヤしていた。
「ほぉ~、ここの娘は如何なるときも美麗だ!狐、お前もそう思うだろう?」
河童にそう聞かれ咄嗟に「そのとおりだな」と返事をしてしまった。確かに可愛い人は何人かいるが、やけに耳としっぽのリアルさが猫娘ということを強調して思わせ、少し残念だ。
河童は俺と二人分のだし巻き卵を頼んでくれた。「今晩は俺の奢りだ、」と河童は指で鼻をこすって恥ずかしそうに言った。縁というものは大切なんだろうな…。
そして、河童の雑談に付き合っていると、河童はだし巻き卵を頬張りながら、俺にこれからどうしたいかを聞いていた。俺はまだ緊張しているせいで、だし巻き卵の出汁の効いた味やふわふわさが感じられずにいたままそれを飲み込み答えた。
「俺は帰るべき実家があるのだが、生憎そこまで行く道を知らなくてな。お前と出会った橋にも関所のようなものが無かった。ここに詳しい者は誰だろうか。」
河童はキョトンとした様子で俺を見た。
※妖種→妖怪の種族、種類
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる
あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。
でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。
でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。
その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。
そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
人質5歳の生存戦略! ―悪役王子はなんとか死ぬ気で生き延びたい!冤罪処刑はほんとムリぃ!―
ほしみ
ファンタジー
「え! ぼく、死ぬの!?」
前世、15歳で人生を終えたぼく。
目が覚めたら異世界の、5歳の王子様!
けど、人質として大国に送られた危ない身分。
そして、夢で思い出してしまった最悪な事実。
「ぼく、このお話知ってる!!」
生まれ変わった先は、小説の中の悪役王子様!?
このままだと、10年後に無実の罪であっさり処刑されちゃう!!
「むりむりむりむり、ぜったいにムリ!!」
生き延びるには、なんとか好感度を稼ぐしかない。
とにかく周りに気を使いまくって!
王子様たちは全力尊重!
侍女さんたちには迷惑かけない!
ひたすら頑張れ、ぼく!
――猶予は後10年。
原作のお話は知ってる――でも、5歳の頭と体じゃうまくいかない!
お菓子に惑わされて、勘違いで空回りして、毎回ドタバタのアタフタのアワアワ。
それでも、ぼくは諦めない。
だって、絶対の絶対に死にたくないからっ!
原作とはちょっと違う王子様たち、なんかびっくりな王様。
健気に奮闘する(ポンコツ)王子と、見守る人たち。
どうにか生き延びたい5才の、ほのぼのコミカル可愛いふわふわ物語。
(全年齢/ほのぼの/男性キャラ中心/嫌なキャラなし/1エピソード完結型/ほぼ毎日更新中)
出来損ないと追放された俺、神様から貰った『絶対農域』スキルで農業始めたら、奇跡の作物が育ちすぎて聖女様や女騎士、王族まで押しかけてきた
黒崎隼人
ファンタジー
★☆★完結保証★☆☆
毎日朝7時更新!
「お前のような魔力無しの出来損ないは、もはや我が家の者ではない!」
過労死した俺が転生したのは、魔力が全ての貴族社会で『出来損ない』と蔑まれる三男、カイ。実家から追放され、与えられたのは魔物も寄り付かない不毛の荒れ地だった。
絶望の淵で手にしたのは、神様からの贈り物『絶対農域(ゴッド・フィールド)』というチートスキル! どんな作物も一瞬で育ち、その実は奇跡の効果を発揮する!?
伝説のもふもふ聖獣を相棒に、気ままな農業スローライフを始めようとしただけなのに…「このトマト、聖水以上の治癒効果が!?」「彼の作る小麦を食べたらレベルが上がった!」なんて噂が広まって、聖女様や女騎士、果ては王族までが俺の畑に押しかけてきて――!?
追放した実家が手のひらを返してきても、もう遅い! 最強農業スキルで辺境から世界を救う!? 爽快成り上がりファンタジー、ここに開幕!
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる