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序章

ちなみにブリガストロ皇国はお菓子が美味しいらしいよ(知らんがな)

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魔力──

それは精神界の物質、もといエネルギーであり、我々が存在する物質界には存在しない、『精神界の光子』である。

万物には、精神界と絶えずエネルギーのやり取りをしている。
人間で例えると、物理的に怪我をしても精神界の自分も怪我をするし、精神界で怪我をしても物理的に怪我をしてしまうような具合いだ。
その相互作用は、ほとんど誤差がない。

これだけ密接な関係を持つ二つの世界だが、『弱肉強食』と並ぶ、その世界の自然の掟がある。

曰く、『弱物強精』
曰く、『精界万能』
曰く、『万物虚弱』

簡単なことだ。
ただ単に、私たち人間は無論、または我々が認識できる全ての物において、精神界に直接干渉できる生物は皆無なのだから──。

しかし、人類は長い年月を経て、精神界の間接干渉に成功した。

それは、初めて電卓を作るのに大掛かりな装置を必要としたように、干渉規模も精神界からの回収魔力量も少なく、かつ大掛かりなものであったが──。

その実験が、精神界の魔物の討伐に使われ、魔力で腐敗した土地に息吹を与え、結果人類は世界で最も繁栄した種族になったのであった。

そんな人類が構成する国家コロニーの中でも燦々たる栄華を誇る皇国、ブリガストロ皇国のとあるオシャンティーなお店に、とある(精神的な意味で)しがないS級冒険者が2人、お茶をしていた。

「にゃーー今日もいい天気だにゃはぁ......」

「あーーーこんな日は家に篭もっててぇ…」

だらしなく猫娘カトルスが、さらにニート感を出して人間(男)がコーヒーを啜る。

「最近は勇者さん頑張ってくれてるから、うちたち特に仕事がなくってつまんないんにゃー」

「まあ、魔王倒しちゃったからな。勇者が」

「さらに海皇もやっちゃったしニャー」

「なんなんマヂで...べつに金はあるからいいんだけどよ…」

「......じゃあ、南の活火山にいるトカゲでも討伐するかにゃ」

「ありゃトカゲじゃねえよどっちかって言うと小鳥だ。」

ドラゴンの尊厳があったものでは無い。

「まああれは俺が暇だったからボって来たんだけどね」

「へぇ...ってなんかそれどっかで...まあいいにゃァ。で、どんくらい強かったにゃ?」

「覚えてない」

「......( ˙꒳​˙  )ファ」

「弱すぎて(´・×・`)」

...ドラゴンの尊厳はもう既に砕かれ済みであった。
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