表題はご自由に 【症例:愚か者の事件記録】

黒須共生

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犯罪者たるもの

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 再逮捕は前の逮捕案件とは別件であるため改めて手続きが行われる。指紋や顔写真をとることも律儀に行われる。ずっと拘束されており整形などできるはずもないのだからそのような手続きを省いても問題ないように思うのだが。例外というのは作らないのだろう。その形式的な部分はお役所仕事を連想させる。勾留手続きは初回と同じく逮捕72時間以内に検察と裁判所が勾留の必要性について話し合い決定する。勾留決定の日は相変わらず検察庁と裁判所のやり取りが長く、午前から検察に行って昼を挟み帰ってきたのは2時半くらいだった。わかっていたことだがまた10日間の拘束が始まる。
 逮捕24日目。既に事件に関してはいろいろ話してきたので、この日にはもう供述調書の作成が始まっていた。まずは原因・動機に関しての調書になる。2件目に関しては1件目と比べ込み入った事情がなかったため、記載内容の補完や事実確認をする頻度が少ないため取り調べという様相は鳴りを潜める。そのような時は取調室で恒さんと雑談を交わしながら調書をまとめていく。
 「そういえば指紋を拭きとったりしなかったようですけど、現場では拭き取ろうとか思わなかったんですか?」
 ――指紋を拭きとって証拠隠滅を図る人がいるのは知っていました。フィクション作品で見聞きしたことありましたから。ですが痕跡は指紋だけというわけではないでしょうから、仮に指紋を拭きとったところで警察は自分に行きつくのではないかと思っていました。
 今この手の質問をするのかと思ったのが第一印象だった。証拠隠滅の意思がなかったということは取り調べの初期段階から伝えてはいたが、このタイミングに至るまで尋ねられたことが無かったので不思議と記憶に残った質問だった。
 「まあそうですね。捜査には色々な手法があるのでいつかは行きついていたと思いますよ。」
 ――そうですよね。だから証拠隠滅に走るのは無駄なあがきだと思っていました。犯罪を犯した自分が言うのもなんですが、警察の捜査能力は優秀だと思っていますので。
 半分本気、半分冗談だ。日本の起訴後有罪率は99.9%と言われているのは知っていた。そのような意味では日本の捜査能力の高さを示しているといっていいだろう。だが、政治家のような相手だとなかなか有罪にならないことに対する不信感も持っている。物的証拠がなかなか挙げられないのだろう。そのような意味で警察の捜査能力には限界があるだろう。それではスキャンダルなどが取り沙汰されてもとぼけられてお終いだ。いくら疑わしかったとしても状況証拠をいくつか積み重ねた程度では有罪にできないので逮捕されても不起訴に終わったり、そもそも逮捕されない。政治家の不祥事を聞くたびに、そのことに思い至り歯がゆい思いをしてきた。
 「そう言ってもらえると嬉しいですね。ありがとうございます。」
 恒さんは自分の皮肉には気付かずに答えたのだろうか。何というか無駄な皮肉を言ってしまった。昔から自分は無駄な皮肉を言うことが多かった。そう、陰謀を仄めかして知識人の振りをしているのだ。これはどうしようもない悪癖だと思う。もう少し悪意を持たず素直に物事を考えられれば多少は幸せになったのであろうか。これで証拠の話を終わらせてもよかったのだが、興が乗ったのでもう少しだけ話を続けることにした。
 ――今回は物証を現場に残すということを前提として犯罪をしたので証拠隠滅を考えませんでしたが、そのような前提がなかったとしたなら私は証拠隠滅に走ったと思いますよ。指紋が残らないように手袋をするか指先をマニキュアでコーティングするかしたと思いますし、頭髪が落ちないような工夫をしたと思います。服も犯行専用の使い捨ての衣服を買って、ことが終わったらすぐ廃棄したと思います。証拠隠滅をしようと考えるならそれくらいはしていたと思います。まあ髪の毛は見つかったとしても職場が一緒だったため、被害者の服に付着してそのまま自宅に持ち込まれたのかもしれないなどとしらを切ったかもしれませんが。
 「現実にそのような対策をする人もいますね。まあ今後はそのような知識を使うことが無いように過ごしてくださいね。捜査も大変になりますし、本当にお願いしますよ。」
 恒さんは冗談めかすように話を締めくくり、調書の記入をするためパソコンに向かった。もし証拠隠滅をしていた場合はどうなっていたのだろうか。逮捕されてから考えたことがある。捕まれば当然悪質性という観点で重い求刑を受けるだろう。だが捕まらなければどうだっただろうか。Aさんの追放という目的を達成した自分は喜びに満ち溢れたのだろうか。それとも呵責の念を抱き続けて生活することになったであろうか。逮捕されなかったという経験からもっと大胆な犯罪をおこすようになり、それで結局あるべきところに収まることとなったのかもしれない。そう考えると仮に逮捕されなかったとしても満たされていた可能性は低いという結論を導いていた。このように早いタイミングで逮捕されてよかった。それは紛れもない本心であった。
 このような調子で翌日以降も順調に供述調書が作成され、逮捕27日目に計4枚の調書が書き終わった。その日が刑事からの最後の取り調べとなった。


 逮捕28日目。取り調べも終わったため警察署でやるべきことの大半は終わったのだが、少なくとも起訴か不起訴かが決定するまで拘束は続く。この期間中は示談を進める以外にやるべきことは無い。とはいえ弁護士頼りとなるため、結局のところ私にできることはほぼ無いのだ。そのためひたすら本を読んでいたが、どうもこの日は担当官が頻繁に連絡を取り合っていたため騒がしかった。一ヵ月近くここにいるので、なにかの非常事態であるということには直ぐ勘づいた。暇だったので担当官の会話に耳を澄ませると、備品だったり弁当の手配に関する話が聞こえてきた。それを聞いておそらく新しい逮捕者が出たんだな、と結論付けた私は野次馬根性で行く末を見守っていた。思えば2件目の取り調べがすんなりと終わったのはこのことが関係していたのかもしれない。そして予想通り新しい被疑者が16時過ぎに場内へ入ってきた。プライバシーがあるため積極的に姿を見ることはしなかったが、肌は浅黒い。歳は50以上に見える白髪混じりの男性だった。
 直近の3週間ほどは留置場に入れられている人物は私一人だけであった。逮捕5日目くらいまでは私を含め2名であったが1人が移動になり、以降はずっと私一人であった。元々他の被疑者とは話をすることもなかったため孤独感は感じなかったが、悪い意味での特別感はあった。常に担当官の注意が向けられるのだから。新しい同居人は独房に入れられるなり、腰が痛いと言い出し薬を要求していた。無遠慮な物言いであったため厚かましさを感じさせる。湿布薬がないことに文句を言いつつも結局備品であった市販品のバファリンとローションタイプの痛み止めで対応することになったようだ。その後は施設の説明を受けていたようだが、ある程度内情を理解しているかのような口ぶりであった。以前とルールが違うだのなんだの言っていたため常習犯なのかもしれない。その後夕食までは弁護士接見等で席を外していたため場内は静かになった。私の彼に対する印象は尊大な男であった。
 問題が起こったのは夕食後のことである。先述の男は19時から取り調べ要請を受けたのだが、その時から露骨に性悪な態度を示し始めた。なんと取り調べ要請を拒否したのだ。一般的には理解しがたい感覚だ。そのうえ断る理由も到底納得できるものではない。無実だから要請には応じないだの体が痛いから動けないだの、動けないなら車椅子を出すと担当官から提案されたらされたで、勝手に逮捕したんだから刑事が留置場までやってこいとまで言い出す始末だった。押し問答は半刻程続いたが結局警察側は根負けし取り調べが取り下げとなった。一部始終聞いていたが、まさにガキの言い訳であった。体の痛みに関しては真実がわからないが、夕食前までは元気に動き回っていた。仮に夕食後いきなり動けないような痛みが出るなら相当危険な症状だ。それがうめき声1つ漏らしていないのだから十中八九嘘だろう。あとは本当に無実だとしたらむしろ積極的に取り調べに応じるべきではないだろうか。法廷で罪の有無を争うつもりなら疑われている理由を聞き出して争点を絞る必要がある。その情報を得る機会をみすみす逃すのは得策だと思えない。まあ私は裁判の戦略など知らないので取り調べ拒否という行為が有利に働き得るのかもしれないが。因みに後に知ったことだが逮捕中の取り調べは拒否できないことになっているようだ。これは取調べ受忍義務というようで、刑事訴訟法第198条1項と最高裁の判例を基にそのような解釈がなされているのが主流だそうだ。
 また例の男は取り調べ拒否にとどまらずもう1つ問題を起こした。彼は官本を読んでいたのだが突然癇癪をおこし、叫びながら本のページを破り始めたのだ。そして担当官の呼びかけにも応じず破ったページをトイレに流し始めたのだ。しかもトイレに流すだけに飽き足らず、トイレの水を手で掬って部屋にぶちまけているような音も響いていた。癇癪を起し壁を蹴る音も鳴りやまなかった。担当官の口頭注意だけでは一向にやめるそぶりがなく、最終的に担当官が部屋まで入って止める羽目になった。一体何が彼をここまで怒らせたのか。先に書いておくがフィクションの半グレ並みにくだらない理由である。官本を借りたまま寝たので返却を求められたというだけの話だ。冗談のような理由だが本当にそうなのである。突然の病的興奮で驚いたがその時は、人間溜め込んでしまえば些細なことでも噴火するだろうと考え直した。そのような視点に立てば私も同じ穴の狢であると思えたので我慢できた。だが平気でトイレの水に手を突っ込むような人間なので衛生的に受け入れることは困難である。そのため私は彼のことを厚かましい男から便所男へと認定し直し、彼が触ったあらゆるものを避けるように生活するようになった。彼の借りた官本を記憶し被らないように注意したし、使用する水道も必ずチェックして別の水道を使うことにした。ペンは残念ながら共同品なので、自分からペンを借りることがなくなった。そのせいでもう手紙やメモを書けなくなってしまった。彼のせいで私のできることが侵されてしまったのである。このように私をはじめとした犯罪者の被害者意識というのは常人では計り知れないのだ。犯罪と被害者意識は密接なのである。
 その翌日は検察庁に呼ばれて出頭した。刑事からの取り調べは終わったが検事の方はまだ用事があるようだ。私の場合検察からの取り調べ内容の大半は、刑事が作成した供述調書の再確認であり、他には示談の進捗や犯罪行為における謝意に関して聞かれる。今回は犯行や動機の取り調べが終わっていたため、示談の進捗や謝意などといった事件後対応に関する調書が作成された。今振り返ると起訴の適否を判断するための聞き取りだったことが窺える。残念ながら示談はこの時点で成立しておらず進捗状況もずっとわからない状態が続いていた。事件の内容を考えると被害者の処罰感情が大きくても不思議ではない。示談ができないならば確実に起訴になるだろう。
 それから数日経ったが、示談は相変わらず進展のない状態が続いている。示談交渉とはこれほど時間がかかるものなのだろうか、という疑問が浮かび部屋の隅を眺めていた。相手の返答を待つしかないとはいえ勾留期間という時間制限があるのだ。焦燥感は日に日に増してきていた。2件目はまだしも1件目の事件は逮捕から1か月近く経過している。示談したほうが被害者は一般的に多くの賠償金を受け取れるため、金銭面のみで考えれば示談に応じる方がいいはずだ。だが被害者側ができるだけ私に苦しみを与えたいと考えているなら話は別だ。処罰感情と実利との間で揺れ動いて中々結論が出ないのであろうか。私は加害者であるが故にこのような物差しでしか被害者の行動を予測することができなかった。
 悶々と過ごしていた最中、県警の生活安全課から面会の申し出があった。相手は警察関係者なのに何故か取調室ではなく面会室へ呼ばれたことが不思議だった。面会者は2名であり、初対面であるにもかかわらずどちらも射貫くような視線でこちらを見ていた。まさしく犯罪者を見るような目だ。まあ私はほんまもんだから仕方ないが、その挑発的な視線が気に入らなかったため眉をひそめる。着席するとアクリル板越しに書類を見せつけられた。そこにはストーカー防止条例の禁止命令書と題した書類が差し出されていた。なるほど、確かに私には相応しい代物である。あれこれと書いてあるが簡単に言えば被害者に近づくな、連絡するな、居場所を探るなということを命令するものだった。違反した場合は逮捕されるらしい。警察官は公文書特有の表現を翻訳しながら説明してくれた。よく思うことだが、公文書は国民が遵守しなければならないくせにひどくわかりづらい。そんなことだからその法解釈でもめ事を起こすのだ。
 禁止命令の説明が終わった後、警官はしきりに遵守事項を守る約束ができるかを聞いてきた。当然だが約束できないなどと言えるわけがない。約束できないなら、あなた方は私を永久に檻に入れて管理しなければならないだろう。この手の質問の答えなど実質一択だ。「約束できます」以外に言うことなどあるものか。私には何の保証もないがそのように答えるしかない。そして私はこの手の質問が心底嫌いだった。私を何かにつけて尋問する際の兄がよくこの手の質問をしたからだ。肯定、否認、沈黙のいずれを選択したところで待っているのは無意味な詰問である。約束します、と答えたら案の定「どうしてそう言えるんですか」と切り返された。予想していたが性質が悪い。私は「もう捕まりたくないので」とそっけなく切り返し暗にこのくだらない質問をやめろという意思表示をしていた。私はどうもこのような価値を見出せない状況に置かれると相手の立場などお構いなしに攻撃的になってしまう。上司などを相手にしてもこんな調子だった。そのように答えるとこれ以上は警官から突っ込まれることはなく、最後に心理カウンセリングの案内をされ面会は終了した。
 それから事態が動いたのは1週間ほど経過した後であった。1件目の被害者は示談の受け入れをすることで決着がついたが、2件目の被害者は全く応じるつもりがないと返答があったことを検事から知らされたのだ。てっきり示談の話は弁護士主導で行うものだと思っていたため驚いた。現状、2件目の事件に関わる勾留延長を言い渡されている。ここ1週間の間、全く取り調べがなく警察側から私に対し行われたことは押収していた証拠品の一部を返却されたことくらいだ。相変わらず勾留は続いてはいるが、ただただ拘束することだけが目的のものだった。おそらく検察は示談の行方を見守っていたのだろう。起訴されるか否か、その結果は示談に委ねられていた。だが、示談に応じない人が一人でもいる時点で半ば起訴されることが確定してしまった。この際起訴のことは考えても仕方がない。少なくとも1件は示談に応じるようなのでそちらに集中することが肝要である。示談に要する具体的な賠償金や条件の提示は未だされていないが、逮捕初期段階で私自身はかなりの金額になることを覚悟していたし、すでに弁護士にも情報共有していた。その考えはこの時点でも特に変わりがない。相場の4、5倍はするであろう金額を支払うつもりだ。これならきっと交渉はうまくまとまるだろう。2年以上質素倹約に努めてやっと貯まるような金額を賠償金として差し出す覚悟だ。これで決まらないはずはないと信じずにはいられなかった。
 起訴の言い渡しは勾留期間中に行われる。現時点で私は被疑者という立場であり、勾留期間が過ぎればその身柄は解放される。不起訴となればそのまま釈放され自由の身となるが、起訴された場合は被疑者から被告人という立場に変わり判決が出るまで再度身柄拘束となる。そのため起訴される人間にとってはここまでが前半戦なのだ。自分の場合はその前半戦だけで42日間にも及んだ。捜査協力はしたつもりだったが、結局は期限いっぱいまで勾留が引き延ばされてしまった。最後の10日間でやったことなど証拠品返品の立ち合いと示談の進捗を聞くだけである。これを引き延ばしと言わずに何というのだろうか。やることがないのに拘束され続ける、この現実にため息が漏れた。そして逮捕42日目。勾留期間最後の日に想定していた通り起訴を言い渡された。
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