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第二章 血塗られた過去
ゲームの始まり
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「え、なんで!?」
校門に差しかかったとき、奈央は信じがたい光景を目撃した。
雅が、別の女子生徒と仲良く並んで歩いていたのだ。相手は同級生の原口華菜子だった。胸が強く締めつけられる。
奈央が言葉を失っていると、隣にいた紗希子が口を開いた。
「あれ、知らなかった? 雅君、華菜子と付き合い始めたんだよ」
「そんな……」
嫉妬心で気が狂いそうになった。もし、まわりに誰もいなければ、原口華菜子に飛びかかっていたかもしれない。それほどまでに、目の前の光景は奈央の心をかき乱した。
「そりゃショックだよね。学校一のイケメンが落とされたんだから」
奈央は雅への告白を誰にも話していなかった。そのため、紗希子は無神経に言葉を続ける。
「でもさ、男子は雅君だけじゃないし。奈央はモテるんだから、早く彼氏作っちゃいなよ」
「そうだね……」
作り笑いを浮かべるのに相当の努力を要した。奈央は胸の痛みに耐えながら、友人とともに校舎へと歩みを進めた。
* * *
授業にはまったく集中できなかった。雅といっしょに登校してきた原口華菜子を見てからずっと、彼女をめちゃくちゃにしてやりたいという衝動しか湧いてこなかった。これほどまでに感情を乱されたのは、生まれて初めてのことだ。
原口華菜子とは同じ中学校の出身で、互いに顔見知りだ。仲が良かったわけではないが、互いの連絡先くらいは知っている。しかし奈央は、昔から彼女に嫌悪感を抱いていた。
その理由は、原口華菜子が理想を絵に描いたような優等生で、どこか超然とした雰囲気を身にまとっていたからだ。それが無性に気に入らなかったのだ。そんな相手に雅を取られたのだから、怒りが収まらないのも当然だった。
奈央は授業そっちのけで原口華菜子を貶める方法を考えていたが、やがて妙案を思いつく。古典的な方法だが効果は確実だ。男手さえ用意できれば、簡単に彼女を叩き潰すことができる。そして人手は電話一本ですぐに集まるだろう。
雅を奪った同級生の堕ちていく姿をリアルに想像し、奈央の胸は大きく高鳴った。早く電話をかけたくてうずうずした。だが、ここでふと思い直す。すぐに彼女を潰してしまっては面白くない。じわじわと少しずつ追い詰めていったほうが、復讐をより長く楽しめるというもの。
「わたしをこんな思いにさせたこと、しっかり後悔させてやるからね」
* * *
休み時間に入ると、奈央はさっそく行動に移った。廊下で吉野リサを呼び止める。
「リサ、停学明けたんだね」
彼女は万引きが原因で停学になり、しばらく学校に来ていなかった。
「今日から登校?」
「まあね」
リサは素っ気なく答える。
「でもさ、たかが万引きくらいで停学なんて厳しすぎるよね。誰だってやってるのに」
「だよな。うちもそう思った」
「でさ、ここだけの話なんだけど……」
奈央は声を低くして言った。
「何?」
「原口華菜子って、あなたのクラスにいるよね?」
「ああ、いるね。それがどうした?」
「あなたが停学中にね、彼女が言ってたんだ」
「なんて?」
奈央はあえて少し間を置き、もったいぶった調子で答えた。
「片親家庭だから、しょうがないよねって」
「あぁん!?」
リサは期待通りの反応を見せた。すでに目が血走っている。いい兆候だ。
「それマジかよ!?」
「うん」
「マジ許せねえ……」
リサは怒りで頬を震わせ、今にも暴れ出しそうな勢いだ。
奈央はそれを見てほくそ笑む。低脳な猿は、本当に扱いやすい。
「わたしが言ってたってのは内緒ね」
「ああ、わかってる。奈央、ありがとな。あとはこっちでケジメつけるわ」
◈
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校門に差しかかったとき、奈央は信じがたい光景を目撃した。
雅が、別の女子生徒と仲良く並んで歩いていたのだ。相手は同級生の原口華菜子だった。胸が強く締めつけられる。
奈央が言葉を失っていると、隣にいた紗希子が口を開いた。
「あれ、知らなかった? 雅君、華菜子と付き合い始めたんだよ」
「そんな……」
嫉妬心で気が狂いそうになった。もし、まわりに誰もいなければ、原口華菜子に飛びかかっていたかもしれない。それほどまでに、目の前の光景は奈央の心をかき乱した。
「そりゃショックだよね。学校一のイケメンが落とされたんだから」
奈央は雅への告白を誰にも話していなかった。そのため、紗希子は無神経に言葉を続ける。
「でもさ、男子は雅君だけじゃないし。奈央はモテるんだから、早く彼氏作っちゃいなよ」
「そうだね……」
作り笑いを浮かべるのに相当の努力を要した。奈央は胸の痛みに耐えながら、友人とともに校舎へと歩みを進めた。
* * *
授業にはまったく集中できなかった。雅といっしょに登校してきた原口華菜子を見てからずっと、彼女をめちゃくちゃにしてやりたいという衝動しか湧いてこなかった。これほどまでに感情を乱されたのは、生まれて初めてのことだ。
原口華菜子とは同じ中学校の出身で、互いに顔見知りだ。仲が良かったわけではないが、互いの連絡先くらいは知っている。しかし奈央は、昔から彼女に嫌悪感を抱いていた。
その理由は、原口華菜子が理想を絵に描いたような優等生で、どこか超然とした雰囲気を身にまとっていたからだ。それが無性に気に入らなかったのだ。そんな相手に雅を取られたのだから、怒りが収まらないのも当然だった。
奈央は授業そっちのけで原口華菜子を貶める方法を考えていたが、やがて妙案を思いつく。古典的な方法だが効果は確実だ。男手さえ用意できれば、簡単に彼女を叩き潰すことができる。そして人手は電話一本ですぐに集まるだろう。
雅を奪った同級生の堕ちていく姿をリアルに想像し、奈央の胸は大きく高鳴った。早く電話をかけたくてうずうずした。だが、ここでふと思い直す。すぐに彼女を潰してしまっては面白くない。じわじわと少しずつ追い詰めていったほうが、復讐をより長く楽しめるというもの。
「わたしをこんな思いにさせたこと、しっかり後悔させてやるからね」
* * *
休み時間に入ると、奈央はさっそく行動に移った。廊下で吉野リサを呼び止める。
「リサ、停学明けたんだね」
彼女は万引きが原因で停学になり、しばらく学校に来ていなかった。
「今日から登校?」
「まあね」
リサは素っ気なく答える。
「でもさ、たかが万引きくらいで停学なんて厳しすぎるよね。誰だってやってるのに」
「だよな。うちもそう思った」
「でさ、ここだけの話なんだけど……」
奈央は声を低くして言った。
「何?」
「原口華菜子って、あなたのクラスにいるよね?」
「ああ、いるね。それがどうした?」
「あなたが停学中にね、彼女が言ってたんだ」
「なんて?」
奈央はあえて少し間を置き、もったいぶった調子で答えた。
「片親家庭だから、しょうがないよねって」
「あぁん!?」
リサは期待通りの反応を見せた。すでに目が血走っている。いい兆候だ。
「それマジかよ!?」
「うん」
「マジ許せねえ……」
リサは怒りで頬を震わせ、今にも暴れ出しそうな勢いだ。
奈央はそれを見てほくそ笑む。低脳な猿は、本当に扱いやすい。
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「ああ、わかってる。奈央、ありがとな。あとはこっちでケジメつけるわ」
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