【呪い系サイコホラー】こはるちゃん、いっしょに。

てっぺーさま

文字の大きさ
19 / 59
第二章 血塗られた過去

友情

しおりを挟む
「これ、何なの……」
 登校して校舎に入るなり、華菜子は言葉を失った。下駄箱の上履きが、ぐしょ濡れになっていたからだ。
 すぐに犯人の顔が頭に浮かぶ。吉野リサがやったのだ。
「まだ、続けるつもりなの……」
 華菜子はポケットティッシュで上履きを拭くが、とてもすぐに履ける状態にはならなかった。仕方なく上履きを履くのはあきらめ、靴下のまま教室へ向かった。

 生徒がまばらの教室に入ると、窓際の席で吉野リサとその仲間たちがあざけるように笑っていた。ふいに怒りで涙がこぼれ落ちそうになる。
 悔しさを押し殺しながら自分の席に歩み寄った瞬間、またもや言葉を失った。
「ひどい……」
 机の上は、「バカ」「ブス」「死ね」「ウソつき」「ヤリマン」「臭い」などの悪意ある言葉で埋め尽くされていた。
 華菜子は思わず窓際にいる吉野リサたちを睨みつけた。しかし、彼女たちは平然と澄ました顔で笑っていて動じる様子はなかった。悔しさで再び胸がしめつけられた。
「カナ、おはよ!」
 背後から友人の綾が明るい声で背中を叩いてきた。
 華菜子が反応できずにいると、机の落書きに気づいた綾が高い声を上げた。
「何これ!?」
 教室の空気が一変した。同級生たちの注目が集まるのがわかった。
 華菜子は綾と目を合わせられず、涙をこらえるのに必死だった。すると、綾は一度教室を離れたかと思うと、すぐに塗れた雑巾を手に戻ってきた。
 無言で机を拭き始めた綾を見て、華菜子の涙腺が一気に崩壊した。それにつられるように、机を拭く綾も泣き出してしまう。そこへ、別の友人が雑巾を手に駆けつけ、綾といっしょに机を拭き始めた。
 教室は静まり返り、しばし異様な空気が流れ出した。華菜子が友人たちの行為に感激しながら窓際に目をやると、吉野リサたちが気まずそうな顔をしていた。こんな展開は予想していなかったのだろう。
 やがて、担任の男性教師が教室に入ってきた。他の生徒は席に着いたが、友人たちは黙って机を拭き続けてくれた。
「お前ら、何やってんだ?」
 教師が近づいてきて、華菜子の机を見て顔をこわばらせた。
「原口、これ誰がやったんだ?」
「わかりません……」
 華菜子は涙を拭いながら首を横に振った。
 そのとき、廊下側の席に座る男子生徒がおもむろに立ち上がった。高田という名の正義感の強いタイプの生徒だ。彼が教師に向かって憤然とした態度で口を開いた。
「たぶんそれ、吉野たちです。朝、原口の机を囲んでるの見ました」
 教室中の視線が吉野リサに集中する。
 彼女は不機嫌そうにうつむき、舌打ちをする。
「吉野、ちょっと来い」
 教師が吉野リサに声をかけるが、彼女はふてくされた態度のまま動こうとしなかった。
「来いて言ってんだ!」
 教師が一喝すると、彼女はしぶしぶといった様子で立ち上がり、険しい表情のまま教師のあとを追って教室を出ていった。

 放課後、華菜子は職員室に呼び出された。
 職員室の応接セットで向かい合って座りながら担任教師は言った。
「吉野の話だと、お前に片親家庭だとバカにされたって言うんだ」
「わたし、バカになんてしてません!」
 華菜子は思わず声を荒げてしまう。
 教師は少したじろぎながら答える。
「そ、そうだよな……。先生もそう思う。きっと、何か誤解があったんだろう」
 その言葉に、華菜子の頭にさらに血が上る。
「誤解も何も、わたし、本当に吉野さんのことを悪く言った覚えなんてないんです!」
 教師は困ったような表情で頭をかいた。
「そうか、わかった……。だが何にせよ、吉野にはきつく言っておいたから、もう悪さはしないはずだ。もしまた何かあったら、すぐに先生に知らせてくれ。いいな?」
「はい、わかりました……」



ポチッと♡、お願いします(^ ^)v
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

意味が分かると怖い話(解説付き)

彦彦炎
ホラー
一見普通のよくある話ですが、矛盾に気づけばゾッとするはずです 読みながら話に潜む違和感を探してみてください 最後に解説も載せていますので、是非読んでみてください 実話も混ざっております

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

(ほぼ)1分で読める怖い話

涼宮さん
ホラー
ほぼ1分で読める怖い話! 【ホラー・ミステリーでTOP10入りありがとうございます!】 1分で読めないのもあるけどね 主人公はそれぞれ別という設定です フィクションの話やノンフィクションの話も…。 サクサク読めて楽しい!(矛盾してる) ⚠︎この物語で出てくる場所は実在する場所とは全く関係御座いません ⚠︎他の人の作品と酷似している場合はお知らせください

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

意味が分かると、分からないと怖い話【体験談+】

緑川
ホラー
ショートショートの寄せ集め。 幻想的から現実味溢れるものなど様々、存在。 出来の良し悪しについては格差あるので悪しからず。

処理中です...