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第三話
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「妓楼じゃないですかっ」
「おや、早いな」
掴みかからんといった月詠の剣幕をあっさりと流した
昨日の帳面を確認していた冷は顔を上げた
そして、目を見張る
「いいな」
「なにがっ あれこれ世話して妓楼に売り飛ばす算段だったんですね!」
「それは誤解だ」
冷はゆっくりと立ち上がって、月詠を見下ろした
「売り飛ばすなら男娼館だろう」
「なにをっ」
頬に朱が散った
冷は赤くなった頬を掌で包むと微笑った
「流石姐さん達だ。いいな」
「何がいいんですか! よってたかって、服は剥ぎ取るは、顔に塗ったくるわ」
「そのお陰で見栄えが良くなったじゃないか」
月詠はぐぅと喉を鳴らした
確かに服は剥ぎ取られたが、着せ替え人形にされた結果、いつもと同じような服装に収めてくれた
白を基調とした衣装は自分でも気に入ったのだ
柔らかな生地
しっかりと喉元から胸の合わせまで重なっていて肌が見えないようになっている
髪型も丁寧に梳いてくれ、髪油を擦り込んでくれたのでつやつやだ
「占い家業も、見てくれで報酬が良くなるぞ。よかったな、姐さん達に感謝しろよ」
「ええ、まぁ」
冷は月詠の肩を軽く叩き、占い区画へと促した
それをみて使用人の男が動く
暖簾の横に、小さな「占」の字を書いた目印の凧を掛けた
「台所に古い壺がありますね。蓋がしっかりと閉じられた」
「はい、どうして?」
「町を出た所にある祠に納めなさい」
「今回の見合いは断った方がいいでしょう。持参金目当てですよ」
「ええっ」
「嫁いでもいい事はありませんよ」
「お墓参りには行ってますか? 生前好きだった物をお供えしてあげてください」
「はい、わかりました」
そんなこんなで「犀形屋」の占いは有名になった
元々腕の良い占い師の評判は町中に広がっていた
しかし、薄汚く見える天幕の中に入ろうという勇気は無かった
それが店の中に移転したと聞いたお屋敷のお嬢様方ははしゃいで列を作った
立って待つのではなく、勿論馬車や輿で来る
頃合いを見て専属となった使用人が馬車の待機場を教え、迎えの出口を指示した
そうして一ヶ月が経過した
客からの評判も良い
妓楼の生活にも慣れた
前よりもベタベタされずに好きにさせて貰えるようになったので居心地がいい
金庫に入れた銀子袋の中身を確認して、口の紐をきゅっと閉めた
軒を借りていた場所代も食費も宿代まで冷に世話になっていたから大分溜まっている
翌日、「犀形屋」に出勤した月詠は、日課の帳面の確認をしている冷に言った
「お世話になりました。路銀も貯まりましたので移動します」
その言葉に冷の眉がぴくりと動いて顔を上げた
「移動? 町を移るのか?」
「いえ、他国に移動するのです」
「...そうか。わかった」
あっさりと理解してもらえて何か拍子抜けである
一礼して離れようと振り返ろうと左足を引いた時
「久々の旅だな。俺も行こう」
冷はにっかと笑っていた
「おや、早いな」
掴みかからんといった月詠の剣幕をあっさりと流した
昨日の帳面を確認していた冷は顔を上げた
そして、目を見張る
「いいな」
「なにがっ あれこれ世話して妓楼に売り飛ばす算段だったんですね!」
「それは誤解だ」
冷はゆっくりと立ち上がって、月詠を見下ろした
「売り飛ばすなら男娼館だろう」
「なにをっ」
頬に朱が散った
冷は赤くなった頬を掌で包むと微笑った
「流石姐さん達だ。いいな」
「何がいいんですか! よってたかって、服は剥ぎ取るは、顔に塗ったくるわ」
「そのお陰で見栄えが良くなったじゃないか」
月詠はぐぅと喉を鳴らした
確かに服は剥ぎ取られたが、着せ替え人形にされた結果、いつもと同じような服装に収めてくれた
白を基調とした衣装は自分でも気に入ったのだ
柔らかな生地
しっかりと喉元から胸の合わせまで重なっていて肌が見えないようになっている
髪型も丁寧に梳いてくれ、髪油を擦り込んでくれたのでつやつやだ
「占い家業も、見てくれで報酬が良くなるぞ。よかったな、姐さん達に感謝しろよ」
「ええ、まぁ」
冷は月詠の肩を軽く叩き、占い区画へと促した
それをみて使用人の男が動く
暖簾の横に、小さな「占」の字を書いた目印の凧を掛けた
「台所に古い壺がありますね。蓋がしっかりと閉じられた」
「はい、どうして?」
「町を出た所にある祠に納めなさい」
「今回の見合いは断った方がいいでしょう。持参金目当てですよ」
「ええっ」
「嫁いでもいい事はありませんよ」
「お墓参りには行ってますか? 生前好きだった物をお供えしてあげてください」
「はい、わかりました」
そんなこんなで「犀形屋」の占いは有名になった
元々腕の良い占い師の評判は町中に広がっていた
しかし、薄汚く見える天幕の中に入ろうという勇気は無かった
それが店の中に移転したと聞いたお屋敷のお嬢様方ははしゃいで列を作った
立って待つのではなく、勿論馬車や輿で来る
頃合いを見て専属となった使用人が馬車の待機場を教え、迎えの出口を指示した
そうして一ヶ月が経過した
客からの評判も良い
妓楼の生活にも慣れた
前よりもベタベタされずに好きにさせて貰えるようになったので居心地がいい
金庫に入れた銀子袋の中身を確認して、口の紐をきゅっと閉めた
軒を借りていた場所代も食費も宿代まで冷に世話になっていたから大分溜まっている
翌日、「犀形屋」に出勤した月詠は、日課の帳面の確認をしている冷に言った
「お世話になりました。路銀も貯まりましたので移動します」
その言葉に冷の眉がぴくりと動いて顔を上げた
「移動? 町を移るのか?」
「いえ、他国に移動するのです」
「...そうか。わかった」
あっさりと理解してもらえて何か拍子抜けである
一礼して離れようと振り返ろうと左足を引いた時
「久々の旅だな。俺も行こう」
冷はにっかと笑っていた
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