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第四話
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馬車は街道を進んでいた
道が整備されているのであまり揺れなく済んでいる
「犀形屋」を出発してから十日が経った
旅立ちを宣言してからは慣れた様子で馬車を手配して、飼葉や水桶も買い込んでいた
食料は携帯食らしい
街道沿いに店があれば寄っている
一応街から街へと移動しているが、携帯食が続くと質素ながらも手料理がとてもご馳走に思えた
さて、この大陸は十の国からなっている
菱形のような形の国土は十に分けられてあるのだ
周りは海に囲まれているが、反対側には大小の島国が点在している
冷の店があるのは菱形の右寄りの埜国だ
起伏が緩やかで温暖な気候と豊かな大地
人口も多い
帝都についで人口が多かった
昨日、国境を跨いだ
冷は商売人としての身分を明かす手形を持っている
慣れた様子で手続きを終えた
ふと横を見る
月詠の手形に不備がないか確認しておくのを忘れていた
もしや、と思ったが違った
係官は額を机に付けんばかり
汗までかいていた
震える手で手形を返し、ぴょんと立ち上がると敬礼までしていた
それも何やらおかしく思えた
月詠は返してもらった手形を胸の合わせに入れて一礼すると止めておいた馬車に戻った
冷が手綱を引いて莫国の門をくぐった
賑やかな街だ
往来も多い
「停めてください」
月詠が言った
馬車が止まると荷物籠を背負い、「こっち」と指差す
そして、馬車屋で馬と貨車を交換した
「ありがとう」
月詠は今まで貨車を引いてくれた馬の首を撫でながら微笑った
馬もわかるのか、ぶるると頭を振った
新しい馬車に乗り込むと、今日は旅館に泊まる事にした
馬車を預けて旅館に入ると賑やかだ
「いらっしゃい、部屋か料理か」
「部屋を頼みます。二部屋」
月詠が言うと店主は困ったような顔をする
「一部屋じゃ駄目ですかい。今日は混んでいてね」
すると困ったのは月詠だった
今までは二部屋で頼んで来たのだ
「困らせちゃいけないな。一部屋でいい」
「勝手に...」
「構わないだろう、男同士だ」
そう言って部屋の鍵を貰ってしまった
店主に部屋に案内されると月詠は安心した
部屋数が二つある部屋に案内してくれたのだ
これなら一つの寝台を使う必要はない
ほっと息を吐く
なにせ、「嫁にする」が口癖の男と一緒だ
何が起きるか分かったものではない
「私の部屋には入らないでください」
「何だつれないな」
残念と嘆くふりをする冷をじろりと睨む
「怖いな。誓うよ、あんたの許可無しに触れない。そう誓約する」
それぞれの部屋に荷物を置くと、月詠と冷は交代で湯を使わせた貰い身綺麗になった
旅の疲れが出たらしい
美味な料理と酒で二人は早々に寝台に横になった
旅館で一泊すると、月詠は市に買い出しに出た
服屋で分厚い外套を二枚買う
靴も毛皮のものを
毛皮の帽子に襟巻きも
まるで北国に行くような...
「確認してもいいか」
「はい」
「この先の国は巫国しかないんだが」
「はい。ちょっと厳しい用事があるのです」
月詠は真剣にそう言った
道が整備されているのであまり揺れなく済んでいる
「犀形屋」を出発してから十日が経った
旅立ちを宣言してからは慣れた様子で馬車を手配して、飼葉や水桶も買い込んでいた
食料は携帯食らしい
街道沿いに店があれば寄っている
一応街から街へと移動しているが、携帯食が続くと質素ながらも手料理がとてもご馳走に思えた
さて、この大陸は十の国からなっている
菱形のような形の国土は十に分けられてあるのだ
周りは海に囲まれているが、反対側には大小の島国が点在している
冷の店があるのは菱形の右寄りの埜国だ
起伏が緩やかで温暖な気候と豊かな大地
人口も多い
帝都についで人口が多かった
昨日、国境を跨いだ
冷は商売人としての身分を明かす手形を持っている
慣れた様子で手続きを終えた
ふと横を見る
月詠の手形に不備がないか確認しておくのを忘れていた
もしや、と思ったが違った
係官は額を机に付けんばかり
汗までかいていた
震える手で手形を返し、ぴょんと立ち上がると敬礼までしていた
それも何やらおかしく思えた
月詠は返してもらった手形を胸の合わせに入れて一礼すると止めておいた馬車に戻った
冷が手綱を引いて莫国の門をくぐった
賑やかな街だ
往来も多い
「停めてください」
月詠が言った
馬車が止まると荷物籠を背負い、「こっち」と指差す
そして、馬車屋で馬と貨車を交換した
「ありがとう」
月詠は今まで貨車を引いてくれた馬の首を撫でながら微笑った
馬もわかるのか、ぶるると頭を振った
新しい馬車に乗り込むと、今日は旅館に泊まる事にした
馬車を預けて旅館に入ると賑やかだ
「いらっしゃい、部屋か料理か」
「部屋を頼みます。二部屋」
月詠が言うと店主は困ったような顔をする
「一部屋じゃ駄目ですかい。今日は混んでいてね」
すると困ったのは月詠だった
今までは二部屋で頼んで来たのだ
「困らせちゃいけないな。一部屋でいい」
「勝手に...」
「構わないだろう、男同士だ」
そう言って部屋の鍵を貰ってしまった
店主に部屋に案内されると月詠は安心した
部屋数が二つある部屋に案内してくれたのだ
これなら一つの寝台を使う必要はない
ほっと息を吐く
なにせ、「嫁にする」が口癖の男と一緒だ
何が起きるか分かったものではない
「私の部屋には入らないでください」
「何だつれないな」
残念と嘆くふりをする冷をじろりと睨む
「怖いな。誓うよ、あんたの許可無しに触れない。そう誓約する」
それぞれの部屋に荷物を置くと、月詠と冷は交代で湯を使わせた貰い身綺麗になった
旅の疲れが出たらしい
美味な料理と酒で二人は早々に寝台に横になった
旅館で一泊すると、月詠は市に買い出しに出た
服屋で分厚い外套を二枚買う
靴も毛皮のものを
毛皮の帽子に襟巻きも
まるで北国に行くような...
「確認してもいいか」
「はい」
「この先の国は巫国しかないんだが」
「はい。ちょっと厳しい用事があるのです」
月詠は真剣にそう言った
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