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第五話
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巫国は菱形の大陸の一番北にある
土地は冷え作物が育ちにくい
街は少なく村は少数しかない
それには理由がある
巫国の北には無数に走る谷がある
その最深部は腐界と繋がっている
その谷から腐人や腐獣などが地上に這い出てくるのだ
生なるものを取り込むと浄土に行けると思い込んでいるからだ
その為に人々は身を寄せあい生活している
男達は子供の頃から剣術を磨き、成人すると戦士となる
形として、光界から光剣を授かる
街の護衛や商隊の護衛などを生業とする者が多かった
谷に近い街で月詠は馬車を売った
水筒と携帯食を買い求めて二人は背負い籠の中に入れた
「人目があるので夜に出発します。それまで旅館で食事にしましょう」
「分かった」
近くの旅館を教えて貰い、そこに向かおうとした時だった
ガルルル..
獣の咆哮がし、悲鳴が上がった
「腐獣だっ」
女達の甲高い悲鳴がして人々は一斉に逃げ出した
その人の群れに逆らって走り出したのは冷だった
「待って!」
月詠も逃げ惑う人々にぶつかりながらも背中を追う
店は扉を閉じてしまい人気がない場所だった
「助けてくれっ」
それは少年だった
店屋の扉を叩いている
扉には年老いた男性がもたれていた
脚が悪いのだろうか
いや、咳き込んでいるから肺を患っていて走れないのだ
少年は扉を叩き続けて助けを求めても扉は固く閉ざされたままだ
辺りを彷徨いていた腐獣が二人に気づいた
ガルっ
三首の口から涎をたらしながらさっと地面を蹴り上げ、座り込んだままの老人に飛びつこうとした瞬間だった
「待って!」
月詠は脇差しの刀を抜いた冷に叫んだ
「待って、切らないで!」
その声が聞こえていないのだろうか
冷は払うようにして腐獣を斬った
ドサッ
真っ二つに切られた腐獣からひどい腐臭が放たれた
そして体が黒い煙のように揺らぎ出す
「どうして待ってくれなかったんですかっ」
刀を鞘に戻した冷の頬を叩いた
「見たでしょう? 二つの獣の頭と人間の頭の三首獣でした」
「ああ」
「人間がいたんですよ」
「人ではない。腐獣に取り込まれた黒級だ」
「そうかもしれません。ですが浄術で加護を与えれば浄土に逝く事が出来ました。それを貴方は塵に還してしまった」
「あんたの言う事に一理はある。だが、二人が喰われる方が早かった」
それは冷の言う通りだった
浄術を放つのにも機会をみる必要があった
それも三頭分
「...貴方の判断は正しい」
月詠は拳を握りしめながら、最後の塵を浄術で見送った
来世がありますように
土地は冷え作物が育ちにくい
街は少なく村は少数しかない
それには理由がある
巫国の北には無数に走る谷がある
その最深部は腐界と繋がっている
その谷から腐人や腐獣などが地上に這い出てくるのだ
生なるものを取り込むと浄土に行けると思い込んでいるからだ
その為に人々は身を寄せあい生活している
男達は子供の頃から剣術を磨き、成人すると戦士となる
形として、光界から光剣を授かる
街の護衛や商隊の護衛などを生業とする者が多かった
谷に近い街で月詠は馬車を売った
水筒と携帯食を買い求めて二人は背負い籠の中に入れた
「人目があるので夜に出発します。それまで旅館で食事にしましょう」
「分かった」
近くの旅館を教えて貰い、そこに向かおうとした時だった
ガルルル..
獣の咆哮がし、悲鳴が上がった
「腐獣だっ」
女達の甲高い悲鳴がして人々は一斉に逃げ出した
その人の群れに逆らって走り出したのは冷だった
「待って!」
月詠も逃げ惑う人々にぶつかりながらも背中を追う
店は扉を閉じてしまい人気がない場所だった
「助けてくれっ」
それは少年だった
店屋の扉を叩いている
扉には年老いた男性がもたれていた
脚が悪いのだろうか
いや、咳き込んでいるから肺を患っていて走れないのだ
少年は扉を叩き続けて助けを求めても扉は固く閉ざされたままだ
辺りを彷徨いていた腐獣が二人に気づいた
ガルっ
三首の口から涎をたらしながらさっと地面を蹴り上げ、座り込んだままの老人に飛びつこうとした瞬間だった
「待って!」
月詠は脇差しの刀を抜いた冷に叫んだ
「待って、切らないで!」
その声が聞こえていないのだろうか
冷は払うようにして腐獣を斬った
ドサッ
真っ二つに切られた腐獣からひどい腐臭が放たれた
そして体が黒い煙のように揺らぎ出す
「どうして待ってくれなかったんですかっ」
刀を鞘に戻した冷の頬を叩いた
「見たでしょう? 二つの獣の頭と人間の頭の三首獣でした」
「ああ」
「人間がいたんですよ」
「人ではない。腐獣に取り込まれた黒級だ」
「そうかもしれません。ですが浄術で加護を与えれば浄土に逝く事が出来ました。それを貴方は塵に還してしまった」
「あんたの言う事に一理はある。だが、二人が喰われる方が早かった」
それは冷の言う通りだった
浄術を放つのにも機会をみる必要があった
それも三頭分
「...貴方の判断は正しい」
月詠は拳を握りしめながら、最後の塵を浄術で見送った
来世がありますように
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