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元騎士が苗床に堕ちるまで
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ディアラが珍しく昼過ぎまで目を覚まさなかったのは、昨日重労働をしたからだった。数年前に年齢を理由に任を退くまでは王都騎士団に籍を置いていた彼は、今では郊外の一軒家に居を構えて趣味の読書を楽しむ傍ら、依頼があればダンジョンガイドに携わる悠々自適な老後を送っている。
ベッドの上で細長い手足をぐっと伸ばし、まずは湯浴みをしようと起き上がる。若いころから筋肉が付きづらい体質だった彼は、今では高身長と長く伸びた白髪が合わさって、雪が積もった枯れ木のようなシルエットになっていた。しかし切れ長の茶色の瞳は強く鋭い光を宿しており、只者ではないことは文字通り一目でわかる。
肉体面では周囲の者と比べて明確に劣るディアラが騎士団副団長まで出世し、五体満足で退任できた理由は彼がひとえに知力と魔力に優れていたからだ。剣技に攻撃魔法をまとわせた魔剣術、回復魔法を応用した一時的な肉体強化術といった技術を提案し、「騎士の戦いはディアラ前とディアラ後で大きく異なる」と現在の教本に記されているほどだった。しかしディアラ自身が得意としたのは防御魔法であった。魔力ベクトルを臨機応変に操作することで拘束、回復、あるいは攻撃といった形に応用できる……というのがディアラの最大の武器であった。
本来は術者を起点に展開される防御魔法の魔力ベクトルを操作するという、本来ならば高位の魔術師にしか扱えない技術を扱えるディアラは現役時代「難攻不落」という二つ名を持っていた。ゆえに現役を退いた今もダンジョンガイドとして重宝される。王都周辺のダンジョンの構造をよく知り、剣術も高度な防御魔法も使える元騎士など、本人が隠居を望んでも放っておかれるわけがないのだが。
「さて、」
小麦とライ麦を半々の割合で混ぜたパン、作り置きしていた野菜と豚肉のスープ、という食事を終えたディアラは書斎に向かった。テーブルの上には昨日手に入れた古書がある。ページ数は薄く、ぱらぱらと数えた限り40頁もなさそうだった。
ディアラは自分の安売りこそしないが買い手の足元も見ない。ダンジョンガイドを雇うのは駆け出しでコネが無く軍資金も少ない冒険者か商人だと相場が決まっており、長らく騎士団に身を置いていたディアラは後進を育てる重要さを知っていたからだ。昨日は魔法が不得手だという商人のガイド兼バッファーとして比較的危険性が低い「迷いの森」と呼ばれるダンジョンへ向かったのだ。「迷いの森」は外からはただの広い森に見えて脱出も容易だが、内部空間が歪んでいるためにマッピングができないという特異な森だ。それゆえに誰も踏破できず、また森の中で獲得できる素材や現れる魔獣も時と場合によって変わる、という奇妙なダンジョンである。幸い商人が欲しかった薬草や鉱石の採集に成功し、帰り道で遭遇したミミックを討伐した際に吐き出したのが、この魔導書だった。
「追加報酬としてディアラさんが持って帰ってください」
という商人の言葉に甘えて持ち帰った書物の表紙を撫でる。深緑色の表紙はまるで苔で覆われているような独特の触感と湿り気がある。開くと、青みがかった羊皮紙らしき髪に、赤に近い茶色のインクで文字が書かれている。
「これは……詩、か? 俺の得手ではないんだが……」
ダンジョンで発見される書物は魔導書や魔術書が殆どだ。前者は魔術師や魔法の心得がある冒険者がダンジョン内に持ち込み、何らかの理由で落としたもの。後者も魔術師の落とし物か、あるいは知能の高い魔族が過去の大戦時に自らの魂と復活の鍵を封じ込めた本型の呪物だ。
そのどちらでもないのは珍しい。吟遊詩人か、詩作を好む冒険者が落としたメモだろうか?
「ふむ……」
裏表紙や表紙を改めて確認したが、元持ち主の名前は見つからない。
拾ったのも何かの縁だろうと読み進める。作者の趣味だろうか、季節の花をモチーフにした作品が多い。やはり旅の途中のメモだったのだろう、その場で慌てて書き殴ったような悪筆だ。誤字脱字も多い。ディアラは読み解くために自然と言葉を声に乗せていく。
「新月に……花……開け、宵闇……彼の名は……ヴルァ、ム……?」
最後の一行を読み終えた時、異変が生じた。頁が淡く輝き、文字が血管のように脈打ち、紙面を蛇のようにのたうち回り、ディアラの手の中に急激に魔力の波動が発生した。
しまった、と思うと同時にディアラは逆方向にさせた防御魔法を展開し、反転した防壁が生み出す疎力を推進力に変え、本から距離を取り、護身用に常に持っている短剣に手を伸ばした。
詩作メモに偽装した魔術書。しかも、使役や召喚のためのものではなく魂を封印しているもの。
本が真夏の太陽のように強く輝き、ディアラの視力を奪った。
「ッ!」
ディアラは目の周りに光を遮るための防御魔法を展開し、同時に網膜に微弱な回復魔法を当て、視力の早期回復を図りながら短剣を構え、小さく呻く。相手の特徴が分かった瞬間に適切な属性魔法を短剣に付与するための音声の助走である。
魔波動の気配が弱まるとほぼ同時に、ディアラは視力を取り戻した。
現れたのは外見こそ人間の男に似ていた。しかし肌は青みがかった緑色。人間でいうならば頭髪にあたる部分は赤に近い茶色で、大きな紅梅色の花が右側頭部を飾っており、腰から下は大樹の根と蔦を混ぜ合わせたような触手で構成されている。アルラウネと呼ばれる植物系の魔族であった。
ならば、とディアラは短剣に炎魔法を付与し、魔族に飛び掛かった。いかなる攻撃があってもいいように身体の周辺に薄い、しかし表面に細かい棘が生えた形状の防壁を展開させる。ダンジョンで発見された魔術書に封印されている魔族は、人族と魔族が生きるか滅ぼすかの大戦争時を行っていた時の存在が大半で、現在人魔間で停戦協定が結ばれていることすら知らないことが殆どだ。故に、王都内で誤って封印を解いてしまった場合はまず魔族を戦闘不能に追い込む、という一見野蛮ではあるが過去の血によって書かれたルールが存在する。
老いて一線を退いたとて、かつて王都騎士団の副団長を勤めたディアラの奇襲は、並みのモンスターを一撃で倒し、たとえ上位種であろうとも復活したばかりで弱体化しているものであれば後れを取らない。
はずだった。
しかしディアラの一撃は魔族には届かなかった。それどころか短剣を落とし、床に膝をつき、背中を逸らせながら白目を剥いている。膝周りに展開していた防壁が床板を破壊しながら、術者の意識不明によって消失する。
勝負が決した理由は単純で、ディアラが防壁を展開する直前、彼の耳に極細の触手が侵入し、脳に張り付いて思考と肉体のコントロール権を奪ったからだった。
「……マ?」
ディアラの記憶から現代の知識を得たアルラウネ、名をヴルァムと言った、は封印された当時の若者言葉でひとりごちた。
「封印から何百年経ってんだ? 千年はギリ経ってない……か? は!? ダンジョンってなんだよ!? 俺んちだろそこ!」
焦りながらもヴルァムは知識を深めていく。ヴルァムが自己封印による死の回避に成功した十年後に魔族と人族の大戦は一時停戦。それ以降は膠着状態とも棲み分けとも言える平和が続いている。そして嘗ての魔王軍幹部が人間の領地に築いていた城や類似した隠れ家は「ダンジョン」となっている。陣地構築と維持のために土地に植え付けられた膨大な魔力は数百年が経っても尚、莫大な素材と無数の魔獣を生み出し続けている。
「ふむ……」
そしてヴルァムの陣地は「迷いの森」と呼ばれ、ランダム性がネックであるものの危険性の低さの割に素材採集の割がいいダンジョンとして初心者に人気。
「おい」
ヴルァムは思わずツッコミを入れてから思考を再開した。大戦の再開に向けて備えるにせよ、再び斃されないようにこの地、あるいは旧領地現ダンジョンで静かに暮らすにせよ、今現在はどちらを選ぶにせよ、今の自分には力が足りない。
「いや……ちょうどいいのが手に入っていたな」
ヴルァムは床に視線を落とす。触手に脳の主導権を奪われて痙攣し続けている枯れ木のような老翁。しかし読み取った記憶によれば、若いころは騎士団で副団長を勤めていたという。誇大妄想の可能性がなくもないが、少なくともヴルァムの封印を解く知性と、即座に短剣を構える瞬発力。そして刃先に炎魔法を付与する技術を老いた今も持っている。
「俺を蘇らせた褒美だ。お前の全てを利用させてもらおう」
ヴルァムの触手がまずディアラの服を剝ぎとり、裸体を強制的に晒す。老騎士の肉体を観察したヴルァムは、マジか、と呟いた。
「思ったよりガリガリじゃねえか」
それでよくあそこまで動けたものだ、と数十秒前までの敵に賛辞を送り、健闘を讃えながらヴルァムはディアラの全身に触手をまとわりつかせ、耳に追加の触手を這わせる。耳孔から侵入し脳に刺さった触手は根を張って支配を強め、特定の物質の分泌を促す。
脳への刺激による反射でディアラの目はぐるぐると回り、指先がぴくぴくと動いだ。死にかけの虫みたいだな、とヴルァムは思いながら処置を続ける。
首から下に張り付いた触手はディアラの筋肉や骨に魔力を注いでいく。ディアラの髪の毛が白銀から灰色、そして緑の黒髪へと変化していく。痩せ細っていた肉体も、引き締まった筋肉とハリのある皮膚を得る。副団長として活躍していた頃の姿に他ならなかった。若返りの処置を終えた触手は第二段階へ進む。肉体、特に尻と胸筋には脂肪をまとわせ、肌も柔らかく改造し、女性のような丸みを与えていく。
次にやや太い触手がディアラの口内、性器、そして肛門へと侵入した。
「ぐぅう……」
腹を圧迫され、ディアラの喉から意味をなさない呻きが漏れるが、彼の意識は黒く溶けたままだ。
上と下から消化器を制圧した触手は、表皮から滴る蜜とによって伝達される魔力でディアラの肉体を内部から変えていく。内臓を一度溶かし魔力で再構築。腹腔の大半を人間でいう子宮に作り変えた。尿道も拡張しながら改造し、肛門と共に排泄器官ではなく快楽と出産のための臓器と化した。
「さて、ここからが本番のお楽しみ」
ヴルァムは歌うように呟き、触手の先に魔力を集中させる。ディアラの耳に、鼻に、極細の触手の群れが殺到し、脳を蹂躙する。
最後は思考。今後のディアラの仕事に必要な知識を外付けしてやると同時に、ディアラの数十年分の記憶に「ディアラは生まれつきのヴルァムのもの」という前提条件を書き加えていく。
ヴルァム様のお役に立てるように騎士団に入った。
ヴルァム様を愛しているから魔法と剣の研鑽を積んだ。
ヴルァム様を復活させるために魔術書を持ち帰り解読した。
復活したヴルァム様は、ディアラを人間から苗床に正してくれた。
違う、という無意識下の抵抗は媚毒で麻痺と抑圧を施し、逆にヴルァムを肯定すればするほど幸福を感じられるように脳構造を改変する。魂は縛れないとしても、頭を支配すればいい。人間の尊厳を犯す悦楽に、ヴルァムはいつの間にか鼻歌すら歌っていた。
「ヴルァム……さま……」
ディアラの濡れた唇が、脳内に詰め込まれた、つい数刻前まで一度も口にしたことがない名前を紡ぐ。同時に彼の肉体に快楽の電流が走り、ディアラは意識がないにも関わらず心地よさに身悶えた。
「ふう……数百年で人間の体組成が変化しなかったのは幸いだった」
触手が一本残らずディアラの身体から離れ、支えるものがなくなったディアラは床に倒れこむ。しかしその姿は強靭さを失わない老騎士ではなく、ヴルァムが力を取り戻すために種子を孕み育てるために強制的に淫靡な姿に生まれ変わらされた哀れな犠牲者だった。
ヴルァムは命じる。
「起きろ、ディアラ」
ディアラはヴルァムと同じ色に染まった金色の瞳を瞬かせながら、ゆっくりと起き上がる。
「名乗れ、ディアラ。お前は何者だ」
ディアラの傍ら、手の届く位置には短剣が転がっている。しかしディアラはそれには目もくれず、床に手をついて平伏した。
「我が名はディアラ。ヴルァム様の忠実な奴隷であり、ヴルァム様専用の苗床です」
「ふん」
ヴルァムは満足そうに頷くと、人間で言う臍下から太い触手を生やし、ディアラの鼻先に突き付けた。触手の先端は花弁のように開き、甘い香りを漂わせながら蜜を滴らせている。
「褒美だ、しゃぶれ」
「はい♡」
ディアラは生まれてこの方出したことがなかった甘い声を漏らし、触手に舌を這わせた。蜜の甘味が味蕾を犯し、香りが鼻腔を陵辱する。感覚器官からの刺激は脳を無遠慮に揺らし、幸福だとディアラに伝える。
「はぁっ……ヴルァム様の触手おちんぽ美味しい……♡もっとしゃぶらせてください……♡」
淫らな言葉を垂れ流しながら喉奥まで触手を咥え、ペニスと乳首を硬くし尻を揺らす。老練の騎士が全身を使って自分に媚びる痴態を見下ろし、ヴァルムはニヤニヤと笑う。
「いいザマだな。気に入った。プレゼントをくれてやる」
ヴルァムは細い触手の群れを作り出し、奉仕を続けるディアラの背に這わせると背骨に沿って先端を突き立てさせた。
「んっ……♡んちゅ♡ちゅぱ♡む?……んんっ!……ん♡れりゅ♡ちゅぱ♡ちゅっちゅ……んじゅる……♡」
ディアラは疼痛に身を悶えさせたが、ヴルァムからの命令を優先し、触手を舐め、しゃぶり続ける。
ヴルァムによる侵食は脊髄を起点に首から下の肉体全てへと広がっていく。髪の毛よりも細く枝分かれした触手は媚薬効果を含む神経毒を滴らせながら汗腺からディアラの肉体に入り込み、神経に根を張り皮膚に寄生し、ヴルァムの苗床の鎧であり正装の「触手織」の素材となる。
「んぅっ……じゅるる……ゔらぁむ、さまぁ……♡」
神経を直接犯される快感に身悶えるディアラの足元にはペニスから滴る体液でできた水たまりが広がっていた。
触手がヴルァム本体から途切れ、織物のように精緻に組み合わさりながらディアラの肉体にぴったりと張り付きながら包み込む。動物であれば指が切断された状態でありながら蠢動が止まる気配はない。生成される魔力を糧とし、いわばヴルァムの子機として動く存在となっていた。
「種を注いでやる。こぼさず飲めよ」
ヴルァムの言葉と共にディアラの口腔を犯す触手が膨れ上がり、先端から淫液を吐き出した。ディアラは脳を焼くような快感に包まれながら、必死で咽喉を上下させ液を飲み干していく。
「はあっ……ご褒美、ありがとうございました、ヴルァム様……♡」
ディアラは口を開き、舌を垂らして全て飲み干せたことをアピールする。
「それにこの姿……♡」
両手を後頭部に回し、足を大きく開きながら中腰になり全身をヴルァムに見せつける。ディアラの首から下に寄生した触手製の薄織物はディアラの皮膚を愛撫し、乳首を吸い、尻を揉み、ペニスを扱き、アナルを犯し続ける。
「ずっとヴルァム様と一緒にいられて光栄です……♡ですから、僭越ながら……」
「……?」
魔術の気配にヴルァムは内心で身構えた。思考改造による忠誠心の植え付けだけではなく、ヴルァムは触手織によってディアラの肉体を直接制御できる。しかし配下にしたばかりの老練の騎士の腕前を侮るほど愚かではない。窮鼠が猫を食い殺すがゆえに、自分は人間に死の寸前まで追い詰められたのだから。
ディアラが展開したのは防御魔法であった。
捕縛・封印術として用いていた、魔力ベクトルが乱反射することで外部からの干渉を阻む防御を緻密に触手織に展開し、寄生が解けないように。
極めて薄い多層構造の防壁を体内に展開し、脳に寄生した触手を保護対象として指定し、身体の一部として固定。
植え付けられた忠誠心と元々備わっていた防御魔法のセンスが融合し、ディアラは自らの魂を自分の手で堕としたのだった。
「はあっ……♡ヴルァム様……♡これで俺は永遠にヴルァム様のものです……♡心ゆくまでお使いください……」
「おいおいおいおい……とんでもない苗床だな……最高だよ、お前」
こいつを敵に回さずに済んでよかった、と声に出さず呟き、ヴルァムはディアラの頬に触手を這わせた。ディアラは恋する乙女のようなうっとりとした表情を浮かべ、主人の肉体に頬擦りをした。
数日後、黒いローブを纏ったディアラが「迷いの森」をひとり歩いていた。
ダンジョンの特性上、誰かと遭遇することは滅多にないが、それでも周囲を警戒し、他人の観測に特化した防壁、端的に言えば認識阻害の魔術を展開しながら迷いのない足取りで道なき道を早足で歩き、頭の中に直接届くヴルァムの言葉を復唱する。言葉の正体は「迷いの森」の中にある最深部……ヴルァムの玉座があった場所へ移転するための呪文であった。
呪文が完成すると同時にディアラの周囲の空間が歪み、気づけばディアラは開けた場所に立っていた。
どこにこんな場所があったのか。騎士として現役だった頃から「迷いの森」に足を踏み入れていたディアラでも見たことがなく、また「迷いの森」とは思えないほど濃密な魔力に満ちた場所だった。
地面に散らばる砕けたガラス片と、かろうじて元の形がわかる金属の枠組みから、玉座があったのは温室を模した建物だったとディアラは推測した。建物の周辺は荒れ果てた庭園と言った趣で、ヴルァムが自らを封印してから数百年の間に自生した野草の他、元から植っていただろう薔薇や躑躅や蘭が季節を無視して咲き誇っている。
「行け」
ヴルァムの声に促され、ディアラは温室だった場所に踏み入れる。空間に満ちている魔力のお陰だろう、本来ならば南国にしか存在し得ない珍しい草花や樹木が、剪定されていないため好き勝手に生えている。
その中央部には巨大な貯水池が存在しており、高濃度の魔力が溶け込んだ水で満たされている。これが「迷いの森」を活かすエネルギー源であり、アルラウネであるヴルァムの玉座であった。
「……」
ディアラはローブを脱ぎ捨て、ブーツと触手織のみの姿となる。
「はあぁ……♡」
貯水池の縁に足を広げて腰掛けたディアラは尻たぶに手をかける。それが合図だったように触手織が動き、ペニスとアナルが外気に晒される。
「んっ……♡ヴルァム様……失礼します♡」
ディアラの肉体に変化が起こる。ぼこ、ぼこ……と鈍い音がディアラの腹の中から響き、ゆっくりとディアラの腹部が膨らんでいく。
家を出る前に腸内に植え付けられたヴルァムの種が、ディアラの魔力によって急速に成長しているのだった。
「はぁっ♡あんっ♡ヴルァム様ぁ♡ヴルァム様の赤ちゃん、お腹の中で大きくなってます♡」
触手に腹の中を圧迫される快感に、ディアラは歓喜の声を漏らす。魔力を注ぎ始めてから数分もしないうちに彼の腹は臨月の妊婦よりも大きく膨らんでいた。急激な膨腹に身体が耐えきれているのは、ひとえにディアラが防御魔法を体内に展開することで膨張による自壊から自分の身を、そしてヴルァムの種子を守っているからだった。
「いいね、順調に育ってるのがこっちにも伝わってくる。お前は最高の苗床だよ」
「あっ……♡」
ディアラの身体が一瞬硬直した。ヴルァムに褒められた喜びによる快楽に、防御魔法が一時的に耐えきれなくなったからだった。しかしディアラは半ば反射で即座に防壁を強化し、思考を、触手の育成を再開させた。
「あっ♡あ♡はあっ♡お腹♡すごっ♡ヴルァム様♡許可を♡ヴルァム様の赤ちゃんを産ませていただく許可をくださいぃっ♡」
「いいよ、イけ」
「~~~~っっっっっ♡」
拡張された尿道とアナルから、魔力を帯びた粘液に包まれた触手が何体も吐き出され、貯水槽へと落ちていく。水面が脈動のように波打ち、空間に満ちる魔力が僅かながら濃くなった。ディアラが触手を産み終えるとペニスとアナルは再び触手が織に包まれ、腸内と尿道は絶え間なく犯され、陰茎は根本を締め付けられながら全体を扱かれる。
「はあっ……♡んっ♡空っぽになったお腹と尿道……♡ヴルァム様に満たされてる♡」
ディアラは舌を垂らしながら膨らんだ胸を揉み、親指で乳首を刺激する。その姿には嘗ての気品も怜悧さも存在せず、ただ快楽を貪る人型の苗床でしかなかった。
「少し楽しんだら戻ってこい。俺のかわいいディアラに初産のお祝いをあげないとな」
「っ……♡はい♡ありがとうございます♡はあっ……♡ヴルァム様の赤ちゃんたちに俺のイき顔見ていただいたらすぐ戻ります♡あっ♡ケツっ♡ケツの中ずぼずぼされてる♡おっ♡ちんぽっ♡ちんぽ穴犯されるのも好きなのぉっ♡見てぇ♡ヴルァム様専用苗床ディアラがイくとこ見てぇっ♡」
乳首を潰さんばかりにこね回し、腰を大きくくねらせながらディアラは絶頂した。本来の肉体であれば射精に当たる生理現象は、改造された睾丸と尿道によって体内の魔力を放出する行為となり、そして魔精と呼ぶべき体液は触手織に吸収され、それらが動くエネルギー源となる。
「はあっ……はあっ……魔力びゅーびゅーするのもぉ……♡触手に吸っていただくのも好きぃ……♡はあっ……♡早く戻らないと……早く種付けしていただいて……また産まないと……♡」
この玉座に再び魔力が満ち、美しい庭園の姿を取り戻す日を夢想し、ディアラはうっとりと微笑む。
「ヴルァム様……♡ヴルァム様も、ヴルァム様の赤ちゃんも……ヴルァム様にいただいたこの姿も……全て俺が護ります……♡」
歪み、壊され、穢されてもなお彼の中に存在する騎士の忠誠心と矜持が、必ず主人の望みを叶えると決意させていた。
ベッドの上で細長い手足をぐっと伸ばし、まずは湯浴みをしようと起き上がる。若いころから筋肉が付きづらい体質だった彼は、今では高身長と長く伸びた白髪が合わさって、雪が積もった枯れ木のようなシルエットになっていた。しかし切れ長の茶色の瞳は強く鋭い光を宿しており、只者ではないことは文字通り一目でわかる。
肉体面では周囲の者と比べて明確に劣るディアラが騎士団副団長まで出世し、五体満足で退任できた理由は彼がひとえに知力と魔力に優れていたからだ。剣技に攻撃魔法をまとわせた魔剣術、回復魔法を応用した一時的な肉体強化術といった技術を提案し、「騎士の戦いはディアラ前とディアラ後で大きく異なる」と現在の教本に記されているほどだった。しかしディアラ自身が得意としたのは防御魔法であった。魔力ベクトルを臨機応変に操作することで拘束、回復、あるいは攻撃といった形に応用できる……というのがディアラの最大の武器であった。
本来は術者を起点に展開される防御魔法の魔力ベクトルを操作するという、本来ならば高位の魔術師にしか扱えない技術を扱えるディアラは現役時代「難攻不落」という二つ名を持っていた。ゆえに現役を退いた今もダンジョンガイドとして重宝される。王都周辺のダンジョンの構造をよく知り、剣術も高度な防御魔法も使える元騎士など、本人が隠居を望んでも放っておかれるわけがないのだが。
「さて、」
小麦とライ麦を半々の割合で混ぜたパン、作り置きしていた野菜と豚肉のスープ、という食事を終えたディアラは書斎に向かった。テーブルの上には昨日手に入れた古書がある。ページ数は薄く、ぱらぱらと数えた限り40頁もなさそうだった。
ディアラは自分の安売りこそしないが買い手の足元も見ない。ダンジョンガイドを雇うのは駆け出しでコネが無く軍資金も少ない冒険者か商人だと相場が決まっており、長らく騎士団に身を置いていたディアラは後進を育てる重要さを知っていたからだ。昨日は魔法が不得手だという商人のガイド兼バッファーとして比較的危険性が低い「迷いの森」と呼ばれるダンジョンへ向かったのだ。「迷いの森」は外からはただの広い森に見えて脱出も容易だが、内部空間が歪んでいるためにマッピングができないという特異な森だ。それゆえに誰も踏破できず、また森の中で獲得できる素材や現れる魔獣も時と場合によって変わる、という奇妙なダンジョンである。幸い商人が欲しかった薬草や鉱石の採集に成功し、帰り道で遭遇したミミックを討伐した際に吐き出したのが、この魔導書だった。
「追加報酬としてディアラさんが持って帰ってください」
という商人の言葉に甘えて持ち帰った書物の表紙を撫でる。深緑色の表紙はまるで苔で覆われているような独特の触感と湿り気がある。開くと、青みがかった羊皮紙らしき髪に、赤に近い茶色のインクで文字が書かれている。
「これは……詩、か? 俺の得手ではないんだが……」
ダンジョンで発見される書物は魔導書や魔術書が殆どだ。前者は魔術師や魔法の心得がある冒険者がダンジョン内に持ち込み、何らかの理由で落としたもの。後者も魔術師の落とし物か、あるいは知能の高い魔族が過去の大戦時に自らの魂と復活の鍵を封じ込めた本型の呪物だ。
そのどちらでもないのは珍しい。吟遊詩人か、詩作を好む冒険者が落としたメモだろうか?
「ふむ……」
裏表紙や表紙を改めて確認したが、元持ち主の名前は見つからない。
拾ったのも何かの縁だろうと読み進める。作者の趣味だろうか、季節の花をモチーフにした作品が多い。やはり旅の途中のメモだったのだろう、その場で慌てて書き殴ったような悪筆だ。誤字脱字も多い。ディアラは読み解くために自然と言葉を声に乗せていく。
「新月に……花……開け、宵闇……彼の名は……ヴルァ、ム……?」
最後の一行を読み終えた時、異変が生じた。頁が淡く輝き、文字が血管のように脈打ち、紙面を蛇のようにのたうち回り、ディアラの手の中に急激に魔力の波動が発生した。
しまった、と思うと同時にディアラは逆方向にさせた防御魔法を展開し、反転した防壁が生み出す疎力を推進力に変え、本から距離を取り、護身用に常に持っている短剣に手を伸ばした。
詩作メモに偽装した魔術書。しかも、使役や召喚のためのものではなく魂を封印しているもの。
本が真夏の太陽のように強く輝き、ディアラの視力を奪った。
「ッ!」
ディアラは目の周りに光を遮るための防御魔法を展開し、同時に網膜に微弱な回復魔法を当て、視力の早期回復を図りながら短剣を構え、小さく呻く。相手の特徴が分かった瞬間に適切な属性魔法を短剣に付与するための音声の助走である。
魔波動の気配が弱まるとほぼ同時に、ディアラは視力を取り戻した。
現れたのは外見こそ人間の男に似ていた。しかし肌は青みがかった緑色。人間でいうならば頭髪にあたる部分は赤に近い茶色で、大きな紅梅色の花が右側頭部を飾っており、腰から下は大樹の根と蔦を混ぜ合わせたような触手で構成されている。アルラウネと呼ばれる植物系の魔族であった。
ならば、とディアラは短剣に炎魔法を付与し、魔族に飛び掛かった。いかなる攻撃があってもいいように身体の周辺に薄い、しかし表面に細かい棘が生えた形状の防壁を展開させる。ダンジョンで発見された魔術書に封印されている魔族は、人族と魔族が生きるか滅ぼすかの大戦争時を行っていた時の存在が大半で、現在人魔間で停戦協定が結ばれていることすら知らないことが殆どだ。故に、王都内で誤って封印を解いてしまった場合はまず魔族を戦闘不能に追い込む、という一見野蛮ではあるが過去の血によって書かれたルールが存在する。
老いて一線を退いたとて、かつて王都騎士団の副団長を勤めたディアラの奇襲は、並みのモンスターを一撃で倒し、たとえ上位種であろうとも復活したばかりで弱体化しているものであれば後れを取らない。
はずだった。
しかしディアラの一撃は魔族には届かなかった。それどころか短剣を落とし、床に膝をつき、背中を逸らせながら白目を剥いている。膝周りに展開していた防壁が床板を破壊しながら、術者の意識不明によって消失する。
勝負が決した理由は単純で、ディアラが防壁を展開する直前、彼の耳に極細の触手が侵入し、脳に張り付いて思考と肉体のコントロール権を奪ったからだった。
「……マ?」
ディアラの記憶から現代の知識を得たアルラウネ、名をヴルァムと言った、は封印された当時の若者言葉でひとりごちた。
「封印から何百年経ってんだ? 千年はギリ経ってない……か? は!? ダンジョンってなんだよ!? 俺んちだろそこ!」
焦りながらもヴルァムは知識を深めていく。ヴルァムが自己封印による死の回避に成功した十年後に魔族と人族の大戦は一時停戦。それ以降は膠着状態とも棲み分けとも言える平和が続いている。そして嘗ての魔王軍幹部が人間の領地に築いていた城や類似した隠れ家は「ダンジョン」となっている。陣地構築と維持のために土地に植え付けられた膨大な魔力は数百年が経っても尚、莫大な素材と無数の魔獣を生み出し続けている。
「ふむ……」
そしてヴルァムの陣地は「迷いの森」と呼ばれ、ランダム性がネックであるものの危険性の低さの割に素材採集の割がいいダンジョンとして初心者に人気。
「おい」
ヴルァムは思わずツッコミを入れてから思考を再開した。大戦の再開に向けて備えるにせよ、再び斃されないようにこの地、あるいは旧領地現ダンジョンで静かに暮らすにせよ、今現在はどちらを選ぶにせよ、今の自分には力が足りない。
「いや……ちょうどいいのが手に入っていたな」
ヴルァムは床に視線を落とす。触手に脳の主導権を奪われて痙攣し続けている枯れ木のような老翁。しかし読み取った記憶によれば、若いころは騎士団で副団長を勤めていたという。誇大妄想の可能性がなくもないが、少なくともヴルァムの封印を解く知性と、即座に短剣を構える瞬発力。そして刃先に炎魔法を付与する技術を老いた今も持っている。
「俺を蘇らせた褒美だ。お前の全てを利用させてもらおう」
ヴルァムの触手がまずディアラの服を剝ぎとり、裸体を強制的に晒す。老騎士の肉体を観察したヴルァムは、マジか、と呟いた。
「思ったよりガリガリじゃねえか」
それでよくあそこまで動けたものだ、と数十秒前までの敵に賛辞を送り、健闘を讃えながらヴルァムはディアラの全身に触手をまとわりつかせ、耳に追加の触手を這わせる。耳孔から侵入し脳に刺さった触手は根を張って支配を強め、特定の物質の分泌を促す。
脳への刺激による反射でディアラの目はぐるぐると回り、指先がぴくぴくと動いだ。死にかけの虫みたいだな、とヴルァムは思いながら処置を続ける。
首から下に張り付いた触手はディアラの筋肉や骨に魔力を注いでいく。ディアラの髪の毛が白銀から灰色、そして緑の黒髪へと変化していく。痩せ細っていた肉体も、引き締まった筋肉とハリのある皮膚を得る。副団長として活躍していた頃の姿に他ならなかった。若返りの処置を終えた触手は第二段階へ進む。肉体、特に尻と胸筋には脂肪をまとわせ、肌も柔らかく改造し、女性のような丸みを与えていく。
次にやや太い触手がディアラの口内、性器、そして肛門へと侵入した。
「ぐぅう……」
腹を圧迫され、ディアラの喉から意味をなさない呻きが漏れるが、彼の意識は黒く溶けたままだ。
上と下から消化器を制圧した触手は、表皮から滴る蜜とによって伝達される魔力でディアラの肉体を内部から変えていく。内臓を一度溶かし魔力で再構築。腹腔の大半を人間でいう子宮に作り変えた。尿道も拡張しながら改造し、肛門と共に排泄器官ではなく快楽と出産のための臓器と化した。
「さて、ここからが本番のお楽しみ」
ヴルァムは歌うように呟き、触手の先に魔力を集中させる。ディアラの耳に、鼻に、極細の触手の群れが殺到し、脳を蹂躙する。
最後は思考。今後のディアラの仕事に必要な知識を外付けしてやると同時に、ディアラの数十年分の記憶に「ディアラは生まれつきのヴルァムのもの」という前提条件を書き加えていく。
ヴルァム様のお役に立てるように騎士団に入った。
ヴルァム様を愛しているから魔法と剣の研鑽を積んだ。
ヴルァム様を復活させるために魔術書を持ち帰り解読した。
復活したヴルァム様は、ディアラを人間から苗床に正してくれた。
違う、という無意識下の抵抗は媚毒で麻痺と抑圧を施し、逆にヴルァムを肯定すればするほど幸福を感じられるように脳構造を改変する。魂は縛れないとしても、頭を支配すればいい。人間の尊厳を犯す悦楽に、ヴルァムはいつの間にか鼻歌すら歌っていた。
「ヴルァム……さま……」
ディアラの濡れた唇が、脳内に詰め込まれた、つい数刻前まで一度も口にしたことがない名前を紡ぐ。同時に彼の肉体に快楽の電流が走り、ディアラは意識がないにも関わらず心地よさに身悶えた。
「ふう……数百年で人間の体組成が変化しなかったのは幸いだった」
触手が一本残らずディアラの身体から離れ、支えるものがなくなったディアラは床に倒れこむ。しかしその姿は強靭さを失わない老騎士ではなく、ヴルァムが力を取り戻すために種子を孕み育てるために強制的に淫靡な姿に生まれ変わらされた哀れな犠牲者だった。
ヴルァムは命じる。
「起きろ、ディアラ」
ディアラはヴルァムと同じ色に染まった金色の瞳を瞬かせながら、ゆっくりと起き上がる。
「名乗れ、ディアラ。お前は何者だ」
ディアラの傍ら、手の届く位置には短剣が転がっている。しかしディアラはそれには目もくれず、床に手をついて平伏した。
「我が名はディアラ。ヴルァム様の忠実な奴隷であり、ヴルァム様専用の苗床です」
「ふん」
ヴルァムは満足そうに頷くと、人間で言う臍下から太い触手を生やし、ディアラの鼻先に突き付けた。触手の先端は花弁のように開き、甘い香りを漂わせながら蜜を滴らせている。
「褒美だ、しゃぶれ」
「はい♡」
ディアラは生まれてこの方出したことがなかった甘い声を漏らし、触手に舌を這わせた。蜜の甘味が味蕾を犯し、香りが鼻腔を陵辱する。感覚器官からの刺激は脳を無遠慮に揺らし、幸福だとディアラに伝える。
「はぁっ……ヴルァム様の触手おちんぽ美味しい……♡もっとしゃぶらせてください……♡」
淫らな言葉を垂れ流しながら喉奥まで触手を咥え、ペニスと乳首を硬くし尻を揺らす。老練の騎士が全身を使って自分に媚びる痴態を見下ろし、ヴァルムはニヤニヤと笑う。
「いいザマだな。気に入った。プレゼントをくれてやる」
ヴルァムは細い触手の群れを作り出し、奉仕を続けるディアラの背に這わせると背骨に沿って先端を突き立てさせた。
「んっ……♡んちゅ♡ちゅぱ♡む?……んんっ!……ん♡れりゅ♡ちゅぱ♡ちゅっちゅ……んじゅる……♡」
ディアラは疼痛に身を悶えさせたが、ヴルァムからの命令を優先し、触手を舐め、しゃぶり続ける。
ヴルァムによる侵食は脊髄を起点に首から下の肉体全てへと広がっていく。髪の毛よりも細く枝分かれした触手は媚薬効果を含む神経毒を滴らせながら汗腺からディアラの肉体に入り込み、神経に根を張り皮膚に寄生し、ヴルァムの苗床の鎧であり正装の「触手織」の素材となる。
「んぅっ……じゅるる……ゔらぁむ、さまぁ……♡」
神経を直接犯される快感に身悶えるディアラの足元にはペニスから滴る体液でできた水たまりが広がっていた。
触手がヴルァム本体から途切れ、織物のように精緻に組み合わさりながらディアラの肉体にぴったりと張り付きながら包み込む。動物であれば指が切断された状態でありながら蠢動が止まる気配はない。生成される魔力を糧とし、いわばヴルァムの子機として動く存在となっていた。
「種を注いでやる。こぼさず飲めよ」
ヴルァムの言葉と共にディアラの口腔を犯す触手が膨れ上がり、先端から淫液を吐き出した。ディアラは脳を焼くような快感に包まれながら、必死で咽喉を上下させ液を飲み干していく。
「はあっ……ご褒美、ありがとうございました、ヴルァム様……♡」
ディアラは口を開き、舌を垂らして全て飲み干せたことをアピールする。
「それにこの姿……♡」
両手を後頭部に回し、足を大きく開きながら中腰になり全身をヴルァムに見せつける。ディアラの首から下に寄生した触手製の薄織物はディアラの皮膚を愛撫し、乳首を吸い、尻を揉み、ペニスを扱き、アナルを犯し続ける。
「ずっとヴルァム様と一緒にいられて光栄です……♡ですから、僭越ながら……」
「……?」
魔術の気配にヴルァムは内心で身構えた。思考改造による忠誠心の植え付けだけではなく、ヴルァムは触手織によってディアラの肉体を直接制御できる。しかし配下にしたばかりの老練の騎士の腕前を侮るほど愚かではない。窮鼠が猫を食い殺すがゆえに、自分は人間に死の寸前まで追い詰められたのだから。
ディアラが展開したのは防御魔法であった。
捕縛・封印術として用いていた、魔力ベクトルが乱反射することで外部からの干渉を阻む防御を緻密に触手織に展開し、寄生が解けないように。
極めて薄い多層構造の防壁を体内に展開し、脳に寄生した触手を保護対象として指定し、身体の一部として固定。
植え付けられた忠誠心と元々備わっていた防御魔法のセンスが融合し、ディアラは自らの魂を自分の手で堕としたのだった。
「はあっ……♡ヴルァム様……♡これで俺は永遠にヴルァム様のものです……♡心ゆくまでお使いください……」
「おいおいおいおい……とんでもない苗床だな……最高だよ、お前」
こいつを敵に回さずに済んでよかった、と声に出さず呟き、ヴルァムはディアラの頬に触手を這わせた。ディアラは恋する乙女のようなうっとりとした表情を浮かべ、主人の肉体に頬擦りをした。
数日後、黒いローブを纏ったディアラが「迷いの森」をひとり歩いていた。
ダンジョンの特性上、誰かと遭遇することは滅多にないが、それでも周囲を警戒し、他人の観測に特化した防壁、端的に言えば認識阻害の魔術を展開しながら迷いのない足取りで道なき道を早足で歩き、頭の中に直接届くヴルァムの言葉を復唱する。言葉の正体は「迷いの森」の中にある最深部……ヴルァムの玉座があった場所へ移転するための呪文であった。
呪文が完成すると同時にディアラの周囲の空間が歪み、気づけばディアラは開けた場所に立っていた。
どこにこんな場所があったのか。騎士として現役だった頃から「迷いの森」に足を踏み入れていたディアラでも見たことがなく、また「迷いの森」とは思えないほど濃密な魔力に満ちた場所だった。
地面に散らばる砕けたガラス片と、かろうじて元の形がわかる金属の枠組みから、玉座があったのは温室を模した建物だったとディアラは推測した。建物の周辺は荒れ果てた庭園と言った趣で、ヴルァムが自らを封印してから数百年の間に自生した野草の他、元から植っていただろう薔薇や躑躅や蘭が季節を無視して咲き誇っている。
「行け」
ヴルァムの声に促され、ディアラは温室だった場所に踏み入れる。空間に満ちている魔力のお陰だろう、本来ならば南国にしか存在し得ない珍しい草花や樹木が、剪定されていないため好き勝手に生えている。
その中央部には巨大な貯水池が存在しており、高濃度の魔力が溶け込んだ水で満たされている。これが「迷いの森」を活かすエネルギー源であり、アルラウネであるヴルァムの玉座であった。
「……」
ディアラはローブを脱ぎ捨て、ブーツと触手織のみの姿となる。
「はあぁ……♡」
貯水池の縁に足を広げて腰掛けたディアラは尻たぶに手をかける。それが合図だったように触手織が動き、ペニスとアナルが外気に晒される。
「んっ……♡ヴルァム様……失礼します♡」
ディアラの肉体に変化が起こる。ぼこ、ぼこ……と鈍い音がディアラの腹の中から響き、ゆっくりとディアラの腹部が膨らんでいく。
家を出る前に腸内に植え付けられたヴルァムの種が、ディアラの魔力によって急速に成長しているのだった。
「はぁっ♡あんっ♡ヴルァム様ぁ♡ヴルァム様の赤ちゃん、お腹の中で大きくなってます♡」
触手に腹の中を圧迫される快感に、ディアラは歓喜の声を漏らす。魔力を注ぎ始めてから数分もしないうちに彼の腹は臨月の妊婦よりも大きく膨らんでいた。急激な膨腹に身体が耐えきれているのは、ひとえにディアラが防御魔法を体内に展開することで膨張による自壊から自分の身を、そしてヴルァムの種子を守っているからだった。
「いいね、順調に育ってるのがこっちにも伝わってくる。お前は最高の苗床だよ」
「あっ……♡」
ディアラの身体が一瞬硬直した。ヴルァムに褒められた喜びによる快楽に、防御魔法が一時的に耐えきれなくなったからだった。しかしディアラは半ば反射で即座に防壁を強化し、思考を、触手の育成を再開させた。
「あっ♡あ♡はあっ♡お腹♡すごっ♡ヴルァム様♡許可を♡ヴルァム様の赤ちゃんを産ませていただく許可をくださいぃっ♡」
「いいよ、イけ」
「~~~~っっっっっ♡」
拡張された尿道とアナルから、魔力を帯びた粘液に包まれた触手が何体も吐き出され、貯水槽へと落ちていく。水面が脈動のように波打ち、空間に満ちる魔力が僅かながら濃くなった。ディアラが触手を産み終えるとペニスとアナルは再び触手が織に包まれ、腸内と尿道は絶え間なく犯され、陰茎は根本を締め付けられながら全体を扱かれる。
「はあっ……♡んっ♡空っぽになったお腹と尿道……♡ヴルァム様に満たされてる♡」
ディアラは舌を垂らしながら膨らんだ胸を揉み、親指で乳首を刺激する。その姿には嘗ての気品も怜悧さも存在せず、ただ快楽を貪る人型の苗床でしかなかった。
「少し楽しんだら戻ってこい。俺のかわいいディアラに初産のお祝いをあげないとな」
「っ……♡はい♡ありがとうございます♡はあっ……♡ヴルァム様の赤ちゃんたちに俺のイき顔見ていただいたらすぐ戻ります♡あっ♡ケツっ♡ケツの中ずぼずぼされてる♡おっ♡ちんぽっ♡ちんぽ穴犯されるのも好きなのぉっ♡見てぇ♡ヴルァム様専用苗床ディアラがイくとこ見てぇっ♡」
乳首を潰さんばかりにこね回し、腰を大きくくねらせながらディアラは絶頂した。本来の肉体であれば射精に当たる生理現象は、改造された睾丸と尿道によって体内の魔力を放出する行為となり、そして魔精と呼ぶべき体液は触手織に吸収され、それらが動くエネルギー源となる。
「はあっ……はあっ……魔力びゅーびゅーするのもぉ……♡触手に吸っていただくのも好きぃ……♡はあっ……♡早く戻らないと……早く種付けしていただいて……また産まないと……♡」
この玉座に再び魔力が満ち、美しい庭園の姿を取り戻す日を夢想し、ディアラはうっとりと微笑む。
「ヴルァム様……♡ヴルァム様も、ヴルァム様の赤ちゃんも……ヴルァム様にいただいたこの姿も……全て俺が護ります……♡」
歪み、壊され、穢されてもなお彼の中に存在する騎士の忠誠心と矜持が、必ず主人の望みを叶えると決意させていた。
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