極上の罠はどこまでも甘く~悪戯な堕天使に翻弄されて~

雛瀬智美

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18、恐怖のお化け屋敷と生まれの真実

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 11月某日、テーマパークに訪れることになった。
 午前中は乗り物系アトラクションをめぐることにして、
 お化け屋敷以外の場所を探索した。
 お昼ご飯は、ハンバーガーショップに立ち寄り、
 私はコロッケ、蒼宙くんはチキンのバーガーを頼んだ。
 飲み物は二人とも同じコーラを頼んだがファーストフードとコーラの組み合わせは
 最高に合うのだとこの年で知った。
「愛璃ちゃん、ファーストフードが初体験だった?」
「コーラと一緒に頂いたことがなかったの」
「こういう所ではジャンクなのを食べるのが最高なんだよ」
「経験者は語る?」
 蒼宙くんは、にこにこっと微笑んだ。
「お昼はお化け屋敷からかな。
 その後でクレープ食べよう」
 キャラクターのいるテーマパークよりお値段は優しめだという印象だ。
「お化け屋敷の後は甘いもので癒されるのね」
「……愛璃ちゃんはリアリストだから怖くはないかな?」
「ど、どうかな。行ってみないと分からないわ」
 最近、蒼宙くんは愛用の帽子をかぶることが少なくなった。
 甘い眼差しで見つめられると胸がいっぱいになる。
 短時間でも週に二度会って毎日電話をする。
 彼は頭の回転が速く会話運びもスムーズ。
 時々、沈黙があっても苦にならない。
「……子供扱いはやめて」
 口元についたソースをティッシュで拭きとられ、赤面した。
「愛璃ちゃんは大人でしょ?」
 存外に含ませる意図を悟り蒼宙くんをにらみつける。
 この人は特に、そんなことばかり考える人でもないことをこの二か月で理解した。
 強引に触れようとしたことは一度もない。
 言葉でもてあそぶのは彼特有の誘惑。
 私を心の底から大事にしてくれている。
「蒼宙くんこそ大人だもの。
 私は早く追いつきたいのよ」
「……本当に大人なら、結婚するまで君に触れることはなかったよ」
 風のようなささやきなので、私にしか聞こえなかったはずだ。
 こんなところで言うのも許されるくらい。
 コーラを飲み干して席を立つ。
「お化けが怖かったら、私に抱きついてね」
「へえ。強気じゃん」
 くっ、と唇の端をあげる。
 握られた手がとても熱く感じられた。
 自分で一番と思う強気な微笑みを蒼宙くんに向ける。
「会うたびに違う顔を見せてくれるね。
 どれだけ好きにさせるの?」
 彼の目が見られない。
 うつむいた私はそっと手に力を込めた。
 お化け屋敷までやってきた私は
 蒼宙くんを見上げ頭をふるう。
「怖くなっちゃった?」
「楽しそう。早く入りましょ」
 ぐい、と手を引っ張る。
「ここって四歳以下の子は中学生以上の付き添いが必要なんだって」
「……そうね。小さい子にはきびしいかも」
「無理しないで僕につかまってね」
「平気よ。効果音がリアルで
 わくわくしてきたわ」
 内心では悲鳴を上げていた。
「……本当に大丈夫?」
 どこからか聞こえてくる声に怖気づきそうになる。
 本気で心配しているだろう蒼宙くんは腰を抱いてくれた。
「づか……篠塚家とは関係ない?」
「づかがかぶってるね」
 くだらないことを言ってしまった。
「愛璃ちゃん、無理しなくてよかったんだよ。
 怖いからって何か思うことはないから」
「大丈夫よ。お祈りして出るだけでしょ」
 よく作られたアトラクションだ。
 怖がるのは悔しいと思っていたけど、
 むしろ怖がった方が、スタッフの人達も嬉しいのかな。
「何でこうも可愛いのかな……」
 蒼宙くんは頭を撫でてくれる。
「ちっとも怖くないの?」
「楽しいよ。演技が上手くて感心してた。
 ここでバイトしてみたいかも」
 蒼宙くんは、思いっきり楽しんでいた。
(抱きついていいからねとかよく言えたわ……)
「陰キャとは真逆の人ね」
「それは、翠お姉さんたちもじゃない?
 陽さんにもまた会いたいな」
「……あの腹黒伊達眼鏡ね」
「初恋の人をそんな風に言うの?」
「小学生の頃の話だもん。
 恋でもなかったし」
「何となくだけど。あの方なら
 わざと怖がって抱きついたりするんじゃないかな」
 想像がついて恐ろしくなった。
「……もう大丈夫かな?
 早く祈りをささげてクレープ食べよう」
「ええ」
 蒼宙くんのおかげで恐怖が薄れ、
 どうにかお化け屋敷を脱出した。
「……カロリーを使ったからお腹すいたよね」
「意地悪っ」
「おじ様が絆が深まるって
 言ってらした意味を理解したな」
 こちらから抱きつけばよかったかな。
 離れかけた手を繋ぎなおしてくれたから、
 勇気は出たのだけれど。
 クレープショップが楽園のように見えたのは、
 さっきまでお化け屋敷で試されていたからだろう。
(肝試し……)
「クレープ、どれにしようかな。
 愛璃ちゃんは?」
「ストロベリー!」
「僕はバナナチョコにしよ」
 蒼宙くんはスマートに注文してくれた。
 出来上がったクレープを渡してくれると笑みが浮かぶ。
「ありがとう」
 当然のようにおごってくれた。
「愛璃ちゃん、よく頑張ったね」
「……気を遣わせちゃった。
 プライドが高くて嫌になったでしょ」
「いじらしいなって」
 食べ歩きも中々楽しい。
「また続けて回る?」
「もういいかな……。
 人が多くて疲れたわ」
「そうだね。お土産買ってガシャポンしようか」
「お菓子が無難よね。ラングドシャかゴーフル」
「僕はアクリルキーホルダー買って車のカギにつけようかな。
 愛璃ちゃん、パンダって好き?」
「上野の動物園に会いに行ったことならあるわ」
「次は動物園かな……。覚えとく」
 キャラクターのいるテーマパーク三回、
 お化け屋敷のあるテーマパーク。
 割とアクティブなデートが多い。
 今度、デートについて大学の友達に聞いてみよう。
 園内で一つしかないお土産屋さんに向かうと、
 癒されるお顔のパンダグッズがたくさんあった。
「食べ物がいいね。
 おじ様にラングドシャを買ってと。
 操子さんにもってことでお渡ししよう」
「これ、プチシューのお菓子なんだって!」
「かわいいね。買って帰ろう。これ日持ちしないから愛璃ちゃんと僕用に一つずつ。
 後はアクキーかな。車につけるやつ」
「キャラクターグッズはいいわ」
「了解!」
 車の中でお菓子のお金を払おうとしたが
 受け取ってもらえなかった。
「楽しかったね!」
「これからおじ様にお土産を渡しに行くの?
 いらっしゃるかな……」
 蒼宙くんはスマホで電話をかけ始める。
 助手席の私に笑顔を向けた。
「よかった! 午後からおうちにいらしたみたい」
「蒼宙くん、今日は運転ありがとう。
 明日、お休みだっけ?」
「うん。日曜日は朝から家庭教師のバイトがあるね。
 午後からは院に顔を出す」
 家に帰ったら勉強もするのだろう。
「家庭教師のバイトって、いつからしてた!?」
「先週からかな。院から探せたしよかった。
 将来のためだし頑張り時なんだよ」
「蒼宙くん……」
「大丈夫。そんな顔しないで。
 腑抜けて闇落ちしかけた僕を救ってくれたのは、
 君なんだから」
 ギアに置いた手に手を重ねた。
 車はゆっくりと駐車場を出ていく。
 大通りに出て赤信号で車が停まる。
「月曜日の夕方からなら時間あるよ」
「……蒼宙くんは休まなきゃ駄目よ」
「愛璃ちゃんと過ごせたら癒されるんだ」
 そんなこと言われたら一緒にいたくなる。
 藤城邸に着くと伯父さまは、予想通り玄関扉の前で待ち受けていた。
「申し訳ないし、お部屋で待ってくださって大丈夫ですからね?」
「二人を出迎えたかったんだよ」
 蒼宙くんは自分からハグをしていた。
「ありがとうございます。
 今気づいたけど昔と違って、抱きしめやすくなりました」
「蒼宙くん、背が伸びたもんね。どうやったのか聞きたいよ」
「成長期が遅かったんですよ」
 蒼宙くんは伯父さまを抱擁しくすっと笑う。
「おじ様、お土産です。
 テーマパークのマスコットキャラが描かれたラングドシャなんですよ」
「わあ。ありがとう。箱からもうかわいいね」
「でしょう。操子さんとご一緒に召しあがってください」
「明日、来たら一緒にお茶飲むよ」
「テーマパーク、楽しかったです。
 お化け屋敷で絆深まっちゃいました」
「よかった! そんなに会えなくても
 遊んだらコミュニケーションを図れちゃうんだよね」
「おじ様、今日は会って下さりありがとうございました。
 季節の変わり目ですのでお体に気をつけて過ごしてくださいね」
「浅草までいってきたし大変だったね。
 またゆっくりおいでよ」
 ここまでは電車だと一時間の距離だ。
「はい。おじ様と会えるのうれしいんですよね。
 縁を繋いでくれたのはおじ様や翠さんですし、
 本当にありがたく思ってます」
「蒼宙くん……なんてかわいい」
 蒼宙くんは照れている。
「ま、まだずっと先ですが、私の子供は
 藤城総合病院で産みたいなって。
 その前にブライダルチェックしたり……
 あ、ワクチンも打った方がいいかな」
「親戚が病院を経営してるからって、気を遣わなくてもいいよ。
 愛璃ちゃんを取り上げたの私だし、君の子供も取り上げたいけど」
 蒼宙くんは私と手を繋いでくれている。
 微笑み合うと、伯父さまも笑ってくれた。
「会うたびに絆が強くなってるね。
 二人を見てると仕事へのエネルギーがわいてくるよ」
「ありがとうございます!
 たまに喧嘩もしながら更に仲良くなりたいと思います。
 僕は案外尽くす方なのでご心配なさらず」
(からかわれても嫌じゃないんだもの……)
「……尻に敷いたりはしないから!」
 伯父さまは至極楽しそうに笑い、手を振ってくれた。

 家に送ってくれた時、運転席の窓を開けて蒼宙くんは告げた。
「愛璃ちゃん、お化け屋敷とか怖い所はもうやめとこう」 
「……うん。大丈夫だと思ってたんだけど、
 無理しないことにする。ごめんなさい」
「謝る必要ないよ。こちらこそだから」
 蒼宙くんは車のカギにつけたアクリルキーホルダーを揺らした。
「能天気な感じだよね」
「少しあざとい」
 ふふっと笑う。
 降りる前にもらったキスの余韻が残っていた。
「ただいま」
「愛璃、お帰り。蒼宙さん、お帰りになったのね」
「月曜日の夕方は会えるらしくて……。
 ママもお休みよね?」
「そうね。私も会いたいわ」
「……夕食の後でお話があるんだけど聞いてもらえる?
 パパも一緒に」
「もちろんよ」
 母は快く応じてくれた。
 夕食後、父と三人でリビングに集まった。
 お茶を淹れてくれた父は、大事な話だと分かっているかのようだった。
「……私、生い立ちについて気になってることがあって」
躊躇いがちに口を開く。
「ずっと誤解をしていただろう。
 愛璃が思い詰めていたのを
 知っていて、何も言わずにいて申し訳ない」
 母が立ち上がりアルバムを持ってきた。
「……あなたは私達の娘ではなくて正確には姪なのよ。
 彼女があなたの本当の母親」 
 開いてくれたアルバムは、若いころの母と、
 よく似た女性、もう一人の女性が映っていた。
 三人はとても仲がよさそうだ。
この壮絶に綺麗な人は記憶にないが、藤城紫(とうじょうゆかり)伯母さまだ。伯父さまの亡くなった奥さま。
 別の写真では、伯父さま……藤城隆、父も一緒に映っていた。
 私が生まれていない頃の写真だと思われる。
「……この人、ママにそっくり。
 みんな若いわ」
「うん。25年前かな。こっちは20年前」
 母、母とよく似た女性が一緒に映っている。
 お腹が大きいのは母に似た女性の方。
「彼女は、私の妹よ。純佳(すみか)って名前なの。三つ歳が離れてるから、
 生きてたら48歳になるわね。あなたの本当のお母さま」
 説明されると納得がいった。
 母と似た雰囲気の女性。
 そして、藤城の伯父さま。
 二人は姉妹でお兄さんである伯父さまに似ているのは当然だ。伯父さまは、13歳と、10歳下に妹がいた。
 私が、翠ちゃんに似ていると言われるのは、
 本当に血縁関係があったからだった。
「翠ちゃんに似てるって言われるのは、
 雰囲気が似ているってことじゃなかったのね」
「だって本当の従姉妹だもの。私と純佳は、
 兄さんに似ていたし、翠ちゃんに似ているのも道理でしょう?」
 少し苦みを帯びた表情で母は言った。
「あなたのお母さま……純佳(すみか)は、
 愛璃を産んでしばらくして亡くなったの。
 その一年後に紫ちゃんも亡くなった……。
 兄さんは妹と奥さんを相次いで亡くしてしまったのよね」
 藤城家の話を聞いてびくっとした。
 10年少し前、翠ちゃんも流産を経験している。
「その色々があって、兄さんは病院運営に
 余計力を入れたのかな。お婿さんである陽くんも
 立派なお医者さんになったし、青くんも……」
 従兄も産婦人科医になることをより強く決意した。
「ママとパパは私と養子縁組を結んでくれたのね」
「そう。ママとパパは中々子供に恵まれなくてね。
 義兄さんとも相談の上で愛璃をうちに迎えたんだよ」
「……お父さまはどこかにいらっしゃるのね」 
「今はどうしていらっしゃるのかわからないんだ」
 ああそうか……とさめた気持ちになる。
 実母のことではなく、実父のことで話せなかったのだ。
 これ以上は聞かなくていい。
「関係ない。私の両親はここにいる二人で、
 本当のお母さまがお墓に眠っているのがわかっただけよ」
「愛璃が私達の大切な娘だというのは変わりないわ」
「写真を見てもいいかな?」
「見なさい」
 許可を得てアルバムを捲り続ける。
 愛璃と筆で書かれた紙、私を大事そうに抱っこしている母。
 アルバムのどこにも本当の父の姿はない。
 小さい頃の私と青兄の写真も一枚だけ見つけた。
 ちっとも笑っていない子供の姿に緊張感がゆるむ。
 青い瞳に薄茶色の髪……、明るい容姿なのに影を纏った子供。
「……ふふ」
「青くん、信じられないくらいかわいいわよね。最近はまたこの姿なのかしら」
「……青い目じゃないわ。目立つから髪と同じ色のコンタクトにしてるみたい」
 小学生までの私は両親と楽しそうに微笑んでいるが、
 中学生の頃の私は、笑顔を浮かべていない。
「自分でも思うけどちっともかわいげがない。
 怒ってるわけじゃなかったのに」
「……愛璃はかわいいよ。
 蒼宙くんもいつも言ってくれるだろう?」
「うん……。息を吸うように甘いことを言うわ」
 甘い言動も取る。
「パパとママに嫌な思いをさせたくなくて、
 何も言えなかった。そんな私のお尻を叩いてくれたのが蒼宙くんなのよ。
 僕がいるからって」
「……そうか」
「私、蒼宙くんと一緒に純佳お母さまのお墓参りに行くわ。
 改めて伯父さまにもお礼を言いたいな」
「……愛璃、ありがとう。あなたの言葉がうれしかった。
 ずっと言わなくてごめんなさい。
 私の部屋に遺影の写真があるから見てね。
 お墓参りで伯母さまとお母さまに手を合わせてあげて。
 藤城家にも位牌あるから兄さんに気持ちを伝えると喜ぶと思うわ」
「……蒼宙くんには明日会った時に全部伝える」
 血縁的には叔母と義叔父にあたる二人は、
 いとおしそうに私を見つめていた。

 今日は夕方から愛璃ちゃんのおうちにお邪魔する予定だ。
「……篠塚くん、最近楽しそうだよね」
「そう?」
 人間関係はあたり障りなくがモットー。
 十代の頃から徹していたことだった。
 結局、独りだった期間は二ヵ月くらいで
 新たな運命を見つけてしまった。
 忙しなく日常を過ごしていると、こぼれ落ちていく。
「そうだね。この上なく楽しいかもね。
 パートナーがいると日々の潤いが違うんだ」
「……篠塚くんと付き合えるって相当な人でしょう」
「僕と付き合ってくれる人は相当素晴らしい人だよ。
 結婚したいって感じたから、
 そのつもりで動くことにしたんだ」
「結婚!?」
「……結婚したいと思えるほどの人に出逢えたんだよ」
 博士号を取るため五年。あと三年だ。
 彼女と過ごす日々を守るためにも……。
「……そうか。
 研究とは別で、自身の人生の謎は解けそうかい?」
「さあね。恋愛的な側面で言えば、
 好きになった人が好きってことかな」
「確かにね」
 なぜと思って突き詰めたら結局そこに行き着いた。
 失くすための出逢いと、ずっとに繋がる出逢い。
 院にいる時は、プライベートの自分とは違う顔をしている。
 多分、塾講師のバイトの時も似たような感じだろう。
「……ところでその飲み物、美味しいの?」
「君も飲んでみたら。イチゴジャムを紅茶に混ぜたら
 作れるんだ。ロシアンティー」
「いらないや」
 同期が青ざめた顔をしたのでくすくすと笑った。




































 









































































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