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その3(ウラ)

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眠っているリズを腕の中に閉じ込めて、ぎゅっとその存在を確かめるように強く抱きしめる。
リズの髪の毛に鼻先を埋めると、リズの匂いに満たされた。

あれから何時間、何日、何週間が経ったろう。

最初は戸惑っていたリズも、だいぶ落ち着いてくれた。
僕が手づから与える食事も、夜リズを抱きしめながら眠ることも、四六時中ここにいることにも、その全てを受け入れてくれた。

抱きしめるとき、ご飯を食べるとき、寝返りをうつとき、髪をとかすとき、着替えをするとき、溢れるリズへの想いを口にする。

可愛い、綺麗だ、愛しい、愛してる、大好きだよ。

その度にリズは頬を染めて、時には潤んだ目でこちらを見上げてくる。

その全てが愛おしくて、可愛くて、離してあげることができない。


もうリズがいない世界なんて考えられないし
何者かにリズが傷つけられるのも見たくない。

「ん...アッシュ....」


その口から漏れ出る名前は僕だけでいいし
この先リズの瞳に映るのも僕だけでいい。

「起こしちゃった?可愛いね、もう少し寝ていてもいいよ」

ちゅ、と額にキスを落とすと、まだ微睡の中にいるリズはふにゃりと笑った

「ふふ、だいすき...」

キュ、とリズがこちらを抱きしめて僕の胸に顔を埋める。
それだけで痛いくらいに心臓が脈を打つのに当の本人はその言葉を残したまま再度眠ってしまったようだ。
規則的な寝息が聞こえてくる

「リズ、ズルい子だね。」

顔を見えるように両頬に手を添えてこちらを向かせる。
愛おしすぎてどうにかなりそうだった。
自分を抑えるためにも、リズの顔中にキスを散りばめる。

寝ている中でもくすぐったそうに時たま身じろぎをするのが可愛い。

早く目を覚ましてその瞳に僕を映して。
いや、覚さないで、僕を見ないで。


ずっと、ずっと僕のそばにいて。
醜い僕の近くにはいないで。


リズ。

リズ。

リズ、リズ、リズ、リズ。



「あいしてるよ、リズ」


暗闇に僕の声が溶ける。
魔法でできた架空の窓から月明かりが差し込んで優しくリズを形作る。


「あいしてるんだ、リズ」

今日もリズの寝顔をみながら、意識のないリズに愛を囁き続ける。

そうすれば自分の身勝手な行いも少しは正当化されるような気がして
不安で、罪悪感で押しつぶされそうな自身の心が守られる気がして。


またそっと、リズにキスを落とした。










暗転















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書ききれなかった補足


・ヒロインも転生者
・魔力暴走を起こして膨大な魔力を手に入れたアシュフォードは最早魔王並みの力を有する
・アシュフォードの耳飾りは昔リズが別れの際に手渡した護りの魔石
・アシュフォードは伯爵家の姓は捨てているものの次期魔塔主という地位のため割と地位は高め
・アシュフォードは巻き戻ってすぐに魔塔主になったため、塔を自由に使うことができる
・リズを二度も失ったトラウマから定期的に発作を起こしていることに本人は気づいていない。(リズがその度にめちゃくちゃ頑張る)

いつかリズが外に出られますように...
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