5 / 6
その2(ウラ)
彼女がこの世界にいなくなってから、いったいどれくらいの月日が過ぎただろうか。
何度も何度も繰り返す蘇りの魔法と
その度に出来上がる彼女ではない何か
疲弊する心
気がつけばもう、彼女の声さえ思い出せなくなっていた
「エリザベス.....」
ポツリと呟いた名前に返事をする人間はいない。
なんて虚しいのだろう
なんて苦しいのだろう
「...寒いよ、リズ」
あの冬の日
彼女が僕を見つけてくれた日
寒かったのに暖かくて
嬉しくて
満たされていた。
あの日に戻りたい
戻りたい。
リズに会いたい
もう一度、あの頃にーーーーー
意識が遠のいていく
自分の魔力が急激に抜けていく感覚に、
これはもう死ぬのかもしれないとぼんやりと思う
この苦しみから解放されるのかと思うと、少しだけ嬉しかった。
---------
結論から言うと僕は死ねなかった。
あの日、無意識下のうちに巻き戻りの魔法を展開していたらしい。
願ったあの日ではなく、学園の入学式前日だったけど。
それでもリズがこの世に生きている。
入学式で凛とした彼女を見た瞬間、もう何にも心を動かされることはないと思っていた自分の目から涙が出た。
側に寄って抱きしめたかった。
愛していると囁いて、力一杯抱きしめて、彼女がこの世にいることを実感したかった。
けれども自分にはそんな資格は無かった。
彼女を死へと追いやった原因は僕にもある。
あのピンクブロンドに近づかなければ、彼女はあれへの過剰ないじめはやめるだろう。
そう、思っていたのに。
「エリザベス・フォン・ホリス!お前を死刑とする!」
あの悪夢が繰り返された。
あのピンクブロンドが笑う。
今度は王太子を侍らせて。
死刑執行前
死を悟った彼女の顔を見た瞬間
今度こそ、自分の何かが壊れたんだと思った。
---------
殺しては、癒して、潰して、殺して、癒して
何度も何度も繰り返して
殺しても殺しても殺したりないその男と女。
怯えて命乞いして、その恐怖に怯えた顔を見ても何とも思わない。
リズは2度も死の恐怖を味わったんだ。
「はは、そろそろいいかな」
強烈な催眠魔法をかけ、最後はピンクブロンドに王太子を殺させる。
それを見届ける前に、魔塔へ転移をした。
明日、エリザベスを迎えにいくために準備をしないと。
もう絶対に危険な場所には置いておけない。
この世の何ものにも彼女を傷つけさせないし
この世の何ものをも彼女に近づけさせない
魔塔に用意した彼女の部屋に何重にも結界魔法を重ねがけして
最後に部屋自体に認識阻害魔法を施す
部屋には窓がないため、擬似的に魔法によって偽りの外を映し出すようにしたし
リズが好きそうな部屋の内装にしてある
ドレスだって、宝石だって。
リズの好きなものは何だって用意しよう。
だからどうか、外の世界へは出ようとはしないで。
ここが君の全てになるよう、できることはなんでもするから。
色んなものを一夜にして準備し終えたら
いつの間にか朝になっていたらしい。
擬似的に作り出した窓から朝日が昇る。
「待っててね、リズ」
部屋から出ると窓も光もない魔塔の廊下は
晴れているであろう日が昇る時間にもかかわらず
今の自分の内情を表すかのように底なしに暗かった。
何度も何度も繰り返す蘇りの魔法と
その度に出来上がる彼女ではない何か
疲弊する心
気がつけばもう、彼女の声さえ思い出せなくなっていた
「エリザベス.....」
ポツリと呟いた名前に返事をする人間はいない。
なんて虚しいのだろう
なんて苦しいのだろう
「...寒いよ、リズ」
あの冬の日
彼女が僕を見つけてくれた日
寒かったのに暖かくて
嬉しくて
満たされていた。
あの日に戻りたい
戻りたい。
リズに会いたい
もう一度、あの頃にーーーーー
意識が遠のいていく
自分の魔力が急激に抜けていく感覚に、
これはもう死ぬのかもしれないとぼんやりと思う
この苦しみから解放されるのかと思うと、少しだけ嬉しかった。
---------
結論から言うと僕は死ねなかった。
あの日、無意識下のうちに巻き戻りの魔法を展開していたらしい。
願ったあの日ではなく、学園の入学式前日だったけど。
それでもリズがこの世に生きている。
入学式で凛とした彼女を見た瞬間、もう何にも心を動かされることはないと思っていた自分の目から涙が出た。
側に寄って抱きしめたかった。
愛していると囁いて、力一杯抱きしめて、彼女がこの世にいることを実感したかった。
けれども自分にはそんな資格は無かった。
彼女を死へと追いやった原因は僕にもある。
あのピンクブロンドに近づかなければ、彼女はあれへの過剰ないじめはやめるだろう。
そう、思っていたのに。
「エリザベス・フォン・ホリス!お前を死刑とする!」
あの悪夢が繰り返された。
あのピンクブロンドが笑う。
今度は王太子を侍らせて。
死刑執行前
死を悟った彼女の顔を見た瞬間
今度こそ、自分の何かが壊れたんだと思った。
---------
殺しては、癒して、潰して、殺して、癒して
何度も何度も繰り返して
殺しても殺しても殺したりないその男と女。
怯えて命乞いして、その恐怖に怯えた顔を見ても何とも思わない。
リズは2度も死の恐怖を味わったんだ。
「はは、そろそろいいかな」
強烈な催眠魔法をかけ、最後はピンクブロンドに王太子を殺させる。
それを見届ける前に、魔塔へ転移をした。
明日、エリザベスを迎えにいくために準備をしないと。
もう絶対に危険な場所には置いておけない。
この世の何ものにも彼女を傷つけさせないし
この世の何ものをも彼女に近づけさせない
魔塔に用意した彼女の部屋に何重にも結界魔法を重ねがけして
最後に部屋自体に認識阻害魔法を施す
部屋には窓がないため、擬似的に魔法によって偽りの外を映し出すようにしたし
リズが好きそうな部屋の内装にしてある
ドレスだって、宝石だって。
リズの好きなものは何だって用意しよう。
だからどうか、外の世界へは出ようとはしないで。
ここが君の全てになるよう、できることはなんでもするから。
色んなものを一夜にして準備し終えたら
いつの間にか朝になっていたらしい。
擬似的に作り出した窓から朝日が昇る。
「待っててね、リズ」
部屋から出ると窓も光もない魔塔の廊下は
晴れているであろう日が昇る時間にもかかわらず
今の自分の内情を表すかのように底なしに暗かった。
あなたにおすすめの小説
ヒロイン不在だから悪役令嬢からお飾りの王妃になるのを決めたのに、誓いの場で登場とか聞いてないのですが!?
あさぎかな@コミカライズ決定
恋愛
ヒロインがいない。
もう一度言おう。ヒロインがいない!!
乙女ゲーム《夢見と夜明け前の乙女》のヒロインのキャロル・ガードナーがいないのだ。その結果、王太子ブルーノ・フロレンス・フォード・ゴルウィンとの婚約は継続され、今日私は彼の婚約者から妻になるはずが……。まさかの式の最中に突撃。
※ざまぁ展開あり
知らぬが花
鳥柄ささみ
恋愛
「ライラ・アーデ嬢。申し訳ないが、キミとの婚約は破棄させてもらう」
もう何度目かわからないやりとりにライラはショックを受けるも、その場では大人しく受け入れる。
これでもう婚約破棄と婚約解消あわせて十回目。
ライラは自分に非があるのではと自分を責めるも、「お義姉様は何も悪くありません。相手の見る目がないのです」と義弟であるディークハルトにいつも慰められ、支えられていた。
いつもライラに親身になって肯定し、そばにいてくれるディークハルト。
けれど、ある日突然ディークハルトの訃報が入ってくる。
大切な義弟を失い、泣き崩れて塞ぎ込むライラ。
そんなライラがやっと立ち直ってきて一年後、とある人物から縁談の話がやってくるのだった。
幼馴染み同士で婚約した私達は、何があっても結婚すると思っていた。
喜楽直人
恋愛
領地が隣の田舎貴族同士で爵位も釣り合うからと親が決めた婚約者レオン。
学園を卒業したら幼馴染みでもある彼と結婚するのだとローラは素直に受け入れていた。
しかし、ふたりで王都の学園に通うようになったある日、『王都に居られるのは学生の間だけだ。その間だけでも、お互い自由に、世界を広げておくべきだと思う』と距離を置かれてしまう。
挙句、学園内のパーティの席で、彼の隣にはローラではない令嬢が立ち、エスコートをする始末。
パーティの度に次々とエスコートする令嬢を替え、浮名を流すようになっていく婚約者に、ローラはひとり胸を痛める。
そうしてついに恐れていた事態が起きた。
レオンは、いつも同じ令嬢を連れて歩くようになったのだ。
姉の引き立て役の私は
ぴぴみ
恋愛
アリアには完璧な姉がいる。姉は美人で頭も良くてみんなに好かれてる。
「どうしたら、お姉様のようになれるの?」
「ならなくていいのよ。あなたは、そのままでいいの」
姉は優しい。でもあるとき気づいて─
恋の終わりに
オオトリ
恋愛
「我々の婚約は、破棄された」
私達が生まれる前から決まっていた婚約者である、王太子殿下から告げられた言葉。
その時、私は
私に、できたことはーーー
※小説家になろうさんでも投稿。
※一時間ごとに公開し、全3話で完結です。
タイトル及び、タグにご注意!不安のある方はお気をつけてください。