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その2(ウラ)
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彼女がこの世界にいなくなってから、いったいどれくらいの月日が過ぎただろうか。
何度も何度も繰り返す蘇りの魔法と
その度に出来上がる彼女ではない何か
疲弊する心
気がつけばもう、彼女の声さえ思い出せなくなっていた
「エリザベス.....」
ポツリと呟いた名前に返事をする人間はいない。
なんて虚しいのだろう
なんて苦しいのだろう
「...寒いよ、リズ」
あの冬の日
彼女が僕を見つけてくれた日
寒かったのに暖かくて
嬉しくて
満たされていた。
あの日に戻りたい
戻りたい。
リズに会いたい
もう一度、あの頃にーーーーー
意識が遠のいていく
自分の魔力が急激に抜けていく感覚に、
これはもう死ぬのかもしれないとぼんやりと思う
この苦しみから解放されるのかと思うと、少しだけ嬉しかった。
---------
結論から言うと僕は死ねなかった。
あの日、無意識下のうちに巻き戻りの魔法を展開していたらしい。
願ったあの日ではなく、学園の入学式前日だったけど。
それでもリズがこの世に生きている。
入学式で凛とした彼女を見た瞬間、もう何にも心を動かされることはないと思っていた自分の目から涙が出た。
側に寄って抱きしめたかった。
愛していると囁いて、力一杯抱きしめて、彼女がこの世にいることを実感したかった。
けれども自分にはそんな資格は無かった。
彼女を死へと追いやった原因は僕にもある。
あのピンクブロンドに近づかなければ、彼女はあれへの過剰ないじめはやめるだろう。
そう、思っていたのに。
「エリザベス・フォン・ホリス!お前を死刑とする!」
あの悪夢が繰り返された。
あのピンクブロンドが笑う。
今度は王太子を侍らせて。
死刑執行前
死を悟った彼女の顔を見た瞬間
今度こそ、自分の何かが壊れたんだと思った。
---------
殺しては、癒して、潰して、殺して、癒して
何度も何度も繰り返して
殺しても殺しても殺したりないその男と女。
怯えて命乞いして、その恐怖に怯えた顔を見ても何とも思わない。
リズは2度も死の恐怖を味わったんだ。
「はは、そろそろいいかな」
強烈な催眠魔法をかけ、最後はピンクブロンドに王太子を殺させる。
それを見届ける前に、魔塔へ転移をした。
明日、エリザベスを迎えにいくために準備をしないと。
もう絶対に危険な場所には置いておけない。
この世の何ものにも彼女を傷つけさせないし
この世の何ものをも彼女に近づけさせない
魔塔に用意した彼女の部屋に何重にも結界魔法を重ねがけして
最後に部屋自体に認識阻害魔法を施す
部屋には窓がないため、擬似的に魔法によって偽りの外を映し出すようにしたし
リズが好きそうな部屋の内装にしてある
ドレスだって、宝石だって。
リズの好きなものは何だって用意しよう。
だからどうか、外の世界へは出ようとはしないで。
ここが君の全てになるよう、できることはなんでもするから。
色んなものを一夜にして準備し終えたら
いつの間にか朝になっていたらしい。
擬似的に作り出した窓から朝日が昇る。
「待っててね、リズ」
部屋から出ると窓も光もない魔塔の廊下は
晴れているであろう日が昇る時間にもかかわらず
今の自分の内情を表すかのように底なしに暗かった。
何度も何度も繰り返す蘇りの魔法と
その度に出来上がる彼女ではない何か
疲弊する心
気がつけばもう、彼女の声さえ思い出せなくなっていた
「エリザベス.....」
ポツリと呟いた名前に返事をする人間はいない。
なんて虚しいのだろう
なんて苦しいのだろう
「...寒いよ、リズ」
あの冬の日
彼女が僕を見つけてくれた日
寒かったのに暖かくて
嬉しくて
満たされていた。
あの日に戻りたい
戻りたい。
リズに会いたい
もう一度、あの頃にーーーーー
意識が遠のいていく
自分の魔力が急激に抜けていく感覚に、
これはもう死ぬのかもしれないとぼんやりと思う
この苦しみから解放されるのかと思うと、少しだけ嬉しかった。
---------
結論から言うと僕は死ねなかった。
あの日、無意識下のうちに巻き戻りの魔法を展開していたらしい。
願ったあの日ではなく、学園の入学式前日だったけど。
それでもリズがこの世に生きている。
入学式で凛とした彼女を見た瞬間、もう何にも心を動かされることはないと思っていた自分の目から涙が出た。
側に寄って抱きしめたかった。
愛していると囁いて、力一杯抱きしめて、彼女がこの世にいることを実感したかった。
けれども自分にはそんな資格は無かった。
彼女を死へと追いやった原因は僕にもある。
あのピンクブロンドに近づかなければ、彼女はあれへの過剰ないじめはやめるだろう。
そう、思っていたのに。
「エリザベス・フォン・ホリス!お前を死刑とする!」
あの悪夢が繰り返された。
あのピンクブロンドが笑う。
今度は王太子を侍らせて。
死刑執行前
死を悟った彼女の顔を見た瞬間
今度こそ、自分の何かが壊れたんだと思った。
---------
殺しては、癒して、潰して、殺して、癒して
何度も何度も繰り返して
殺しても殺しても殺したりないその男と女。
怯えて命乞いして、その恐怖に怯えた顔を見ても何とも思わない。
リズは2度も死の恐怖を味わったんだ。
「はは、そろそろいいかな」
強烈な催眠魔法をかけ、最後はピンクブロンドに王太子を殺させる。
それを見届ける前に、魔塔へ転移をした。
明日、エリザベスを迎えにいくために準備をしないと。
もう絶対に危険な場所には置いておけない。
この世の何ものにも彼女を傷つけさせないし
この世の何ものをも彼女に近づけさせない
魔塔に用意した彼女の部屋に何重にも結界魔法を重ねがけして
最後に部屋自体に認識阻害魔法を施す
部屋には窓がないため、擬似的に魔法によって偽りの外を映し出すようにしたし
リズが好きそうな部屋の内装にしてある
ドレスだって、宝石だって。
リズの好きなものは何だって用意しよう。
だからどうか、外の世界へは出ようとはしないで。
ここが君の全てになるよう、できることはなんでもするから。
色んなものを一夜にして準備し終えたら
いつの間にか朝になっていたらしい。
擬似的に作り出した窓から朝日が昇る。
「待っててね、リズ」
部屋から出ると窓も光もない魔塔の廊下は
晴れているであろう日が昇る時間にもかかわらず
今の自分の内情を表すかのように底なしに暗かった。
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