toy gun

ももんがももたろう

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氷結世界

至高の暴力

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「殺してでも奪い取る!」
「な なにをする きさまらー!」

 しかし、抵抗激しく奪い取れなかった!

 簡単に奪えたら苦労しないよね。
 
 銃を撃つ。弾がでる。謎の光の壁に阻まれる。諦めずにもう一回撃つ。効果無し。くそったれ!
 あの腰に下げられている筒からエネルギーを供給しているとしたらどうだろう?
 アレをどうにかするのが一番な気がしてきたぞ。

 相変わらず嫌がらせ行為をしているオペラも同じことを思っているはず。
 思っていてください。
 どうにかするにしても現状一人でそこそこの弾幕を張れるコイツに近づくのは至難。
 どうする?
 燃料切れを狙うか!
 
 そうと決まれば相手がとにかく燃料を消費するように攻撃し続けるしか無いね。燃料の概念があるのかどうか不明だけども!

「まずはやるっきゃないね!」

 引き金を引く! 
 森に響く銃声。
 香る硝煙。

 土煙を吸ったせいで舌がざらつく。
 
 忌々しい光の膜を私の弾丸は超えることができないが、それでも効果はあると信じたい。
 敵は防御しながらも攻撃できるのとか卑怯だよね。まったく。
 透明な膜だし視界をじゃましないし多分そこまで重くもない。
 改めて考えると卑怯だな!?
 なおさら欲しくなった。
 
「無駄だァ!」

 私の攻撃を涼しい顔で受け流し、返すようにアサルトライフルを横薙ぎにぶん回した。
 
「あっっぶな!」

 急いで地面に伏せて回避。 
 ついでにメイクツールで壁を作成。
 視界を奪えばなんとかなる気がする。気がしない……?

 重なる銃撃、あっという間に穴だらけになった土壁。

 口径もでかけりゃ発射速度も半端ない銃の目の前では急ごしらえの土壁なんか豆腐と同じだってことが今証明されたね。こりゃ勉強になった!

「ファック! あらやだ、クソでございますわ!」

 思わず口から汚い言葉が出ちゃったので言い直す。
 盾男を挟んで向かい側にいるオペラはせっせと爆弾を作ってぽいぽい投げてる。
 原料は何なんだろう……?
 まさか窒素から作ってるとかじゃないよね……?
 だとしたら次は私も爆弾メーカー選ぶぞ。

 奴は放っておこう。
 衝撃と土煙はあるだけで邪魔になる。

 だけど気をつけないといけない事があるんだよね。

 足元にほら、たま~にこうして転がってくるんだよね。
 今回は構えていたからいいけど、さ!

 強めに蹴って男の足元に転がしてみる。
 これがとどめにならないかな?
 
「な!? くそッ!!」
「ん~……この距離ならどうかな? はいじゃあ、試してみましょそうしましょ~! どっかーん!」

BoooooooooooM !!


「はっはあ! 砕け散れ! ざまあみろ!」

 テンション上がったオペラの叫びが聞こえてきた。

「いや、砕け散ったら駄目なんだけど……聞いてないか」

 とほほだよ。
 この様子じゃ銃も盾もお釈迦だね。
 
 土煙が晴れればバラバラに飛び散った死体が……あるわけないか。
 でも粉々になったアイテムは落ちてる。

「ねえねえみたみた? 私の爆弾がイケてる花火を上げたところ!」
「みたよ。ついでに私が欲しかった装備が成仏したところも見たよ」
「あ……ごめん、つい」
「いいよ、どうせいつか手に入るだろうし。気にせず前に進もう」

 私にはさっきの装備が何処由来のものなのか、見当がついてる。
 生産都市アニムとかいう場所だろう。

 コンパスを出して進むべき方角を確認。
 北はどこだ?

 そこか。よし。

「そういえば何処に向かっているの? コンパスを確認していたようだけどさぁ~?」

 オペラが陽気に絡んできた。
 どうせこの情報を知るのも遅いか早いか、いや、もしかしたらもう知っていてカマをかけてきているのかも知れない。
 正直に答えるか。
 
「生産都市とか呼ばれている都市だよ。だいたいこの方角に行けばあるって聞いてねー」
「あ! それ私も聞いた! さっきそれを盗み聞きしてたから殺されそうになったんだよねぇ~」

 アハハと笑いながらオペラは爆弾でお手玉をした。
 たのむからその危険物で手遊びするのは止してくれ。

 ヒョイヒョイと軽く空中を跳ね回したあと、おもむろに振り向き投げた。
 藪の中に投げ込まれ、数秒後爆発。
 オペラは残念そうな表情で一言。

「ハズレかあ。じゃあこっちかな?」

 余った二個の爆弾の内一個を更に別の場所に投げ込んだ。
 なるほど。残党狩りかな?

「戦闘はまだ終わってないよ!」
「まぁ、まだ終わってないかも知れないけどもう終わるよね」
「そうだね」

 森の奥、木々の間から光の線が宙を走って私の頬をかすめて行った。
 通り過ぎて、一秒。
 感じたのは熱。
 そして熱さは頬を伝って顎を濡らした。

「あ?」

 今、私を撃ったやつがいたな?
 方向はもう判ってる。

「そこの藪だな?」

 引き金を引く。引く。引く。引く。引く。引く。
 引きすぎた。弾倉空っぽになっちゃったじゃん。

「いっけな~い! 頭に血が登ちゃった~!」
「ミトっちゃん、目が全然笑ってないよぉ」

 私の渾身の誤魔化しにオペラだけは答えてくれた。
 答えられるような奴は全員死んだな? よし。

「後ろをこそこそ付いてこられるのは勘弁してほしいからね。ちゃちゃっと処理したよ」
「できれば私にも言ってほしかった」

 テヘペロ! と悪びれるオペラにため息が出る。
 コイツ全然悪いと思ってないよね。
 そういうとこやぞ。
 
「まぁいいや。じゃあ行こっか」
「オーキードーキー!!」
「調子はいいんだから」


 森の中を歩いて抜けていく。方角は北。
 オペラとの情報をすり合わせて整合性がとれた情報だから間違いない。はず。

 隣をみると油断なさげに周囲を確認しつつ足をすすめるオペラの姿。
 たまに自分の位置を確かめるようにコンパスを見ている。

 私といえばたまに遭遇する野生動物の頭蓋に弾丸を打ち込む以外は同じようなことをしていた。
 森っていうのはあるきにくくて嫌だね。
 地を這う根っことか不規則に並ぶ樹木とか、目印のない代わり映えのない風景が方向感覚を狂わせる。
 全部粉々にして真っ直ぐな道を引きたいね。

 まあこの世界に道路を敷いたところで行き来しやすくなるかっていうと多分それは無い。
 わけわからん生物が闊歩しているんだから間違いない。
 引くとしたら地下だね。

 たとえば、地下鉄、とかね。

 考えれば考えるほど有り得そうだな。
 
「オペラ~」
「なになに~?」
「この世界の道はどうなってると思う?」
「地下でしょ~、それか、有料道路みたいにでかい橋の上に敷くだろうね。アレみたいにってあー!!」
「うるさ……何? ってうわ、まじ?」

 驚き、思わず叫び声をあげたオペラの指の先にあったもの、それは間違いなく高架橋だった。
 そしてその橋の行く先の一方は北へとつづいているようだ。これは楽になる。間違いない。

 そうと決まればやることは一つ。
 高架橋の上に登る。
 そのためにどうするかだ。
 
「まあ、そのためのメイクツールなんだけどね」

 周囲の土、石、木、適当に取り込んで粘土のように階段を構築。
 ぱぱぱっと作って、はい、完成!

「よし。いくよ」
「いやー! あると便利だねメイクツール!」

 そうさ、便利なのさ。
 コイツは壁も作れりゃ今みたいに足場も作れる。
 意外と優秀なやつなのさ。

 階段を上り、道路の上に立つ。
 視線の先に、都市はあった。
 
「なあんだ。もう目の前じゃん」
「みたいだねえ」

 オペラの疲れているような返事。
 しかし語尾に力が籠もっていた。
 終わりが見えると人間やる気が出るよね。


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