レインの店へようこそ!

泡沫 呉羽

文字の大きさ
9 / 26

8話 悪魔な従業員

しおりを挟む
 次の日もいつも通りフェルトラはレインの店へ行こうとした。

「俺も連れてけー」
「あ?書類仕事溜まってんだろが?それが終わったら連れてってやるよ」

 現在国王は3日ほどサボっていたことが発覚し書類仕事に追われていた。

「ブーブー!薄情息子め!」
「知るか!3日もサボったあげくやらかして母ちゃんに怒られてんだろが!連れてったら俺まで制裁対象になっちまうだろ!」

 フェルトラは問答無用で置いていったのだが、廊下で女王エルシャと出会い顔を顰めた。

「あら?王太子とあろうものがまた1人遊びですか?友達の1人や2人作りなさいな。貴族じゃなくても市民でも強盗犯でも魔王でもいいのですよ?」
「最後の2つは洒落にならんじゃねぇか!?王族がそれでもいいのか!?」
「いいですよ。害を加えないのであれば問題はありません。だってわたくしが教育いたしますから」
「怖………」

 エルシャは少しぶっ飛んだ考え方の持ち主で国王はそんなエルシャに惚れたらしい。

「わりぃーけどレインとこ行くから退いてもらえね?母ちゃん」
「あらあらなんとまぁ!!お友達ですか!?フェルトラに!?ぜひとも連れてってくれまし。お母様は一生の友達になる可能性のある方に挨拶しておきたいわ!」
「その服じゃ目立つだろうが」
「それもそうね。すぐ着替えるわ」

 フェルトラはドレスなのに護衛騎士を置いていかれる速度で走れるのはなんでだろうと突っ込みたくなった。
 今のうちに門から出たのだがそこには人間の姿に化けているあの悪魔がいた。

「「あっ」」

 レインの店のエプロンをし、買い物袋を持っているところを見るにいいように使われているようである。
 多分たまたま門の近くにいたのだろう。

「ドンマイ」
「くそがぁぁぁぁあ!」

 フェルトラは悪魔の肩に手を置き一言言って、悪魔は絶叫したのだった。

「おまたせー。あら、あなたなんだか悪魔っぽい感じね」

 エルシャが想定より早く出てきたのだ。
 しかも間髪入れずに悪魔っぽいと言い放ったのでフェルトラも悪魔も驚いた。

「なんでそう思うんだ?母ちゃん」

「感ね。わたくしの感よ」

 フェルトラと悪魔は野生動物並みだとこの時同時におもった。

「うーん、あなたがレインじゃなさそうね。フェルトラ早く連れてってくださいまし」

 店につくまで2人は絶句のあまりに無言で歩いたのだった。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

神は激怒した

まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。 めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。 ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m 世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

クラス転移したら種族が変化してたけどとりあえず生きる

あっとさん
ファンタジー
16歳になったばかりの高校2年の主人公。 でも、主人公は昔から体が弱くなかなか学校に通えなかった。 でも学校には、行っても俺に声をかけてくれる親友はいた。 その日も体の調子が良くなり、親友と久しぶりの学校に行きHRが終わり先生が出ていったとき、クラスが眩しい光に包まれた。 そして僕は一人、違う場所に飛ばされいた。

転生したら名家の次男になりましたが、俺は汚点らしいです

NEXTブレイブ
ファンタジー
ただの人間、野上良は名家であるグリモワール家の次男に転生したが、その次男には名家の人間でありながら、汚点であるが、兄、姉、母からは愛されていたが、父親からは嫌われていた

備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ

ちかず
ファンタジー
久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。 見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は? 異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。 鈍感な主人公が降り注ぐ困難もナンノソノとクリアしながら仲間を増やして居場所を作るまで。

没落ルートの悪役貴族に転生した俺が【鑑定】と【人心掌握】のWスキルで順風満帆な勝ち組ハーレムルートを歩むまで

六志麻あさ
ファンタジー
才能Sランクの逸材たちよ、俺のもとに集え――。 乙女ゲーム『花乙女の誓約』の悪役令息ディオンに転生した俺。 ゲーム内では必ず没落する運命のディオンだが、俺はゲーム知識に加え二つのスキル【鑑定】と【人心掌握】を駆使して領地改革に乗り出す。 有能な人材を発掘・登用し、ヒロインたちとの絆を深めてハーレムを築きつつ領主としても有能ムーブを連発して、領地をみるみる発展させていく。 前世ではロクな思い出がない俺だけど、これからは全てが報われる勝ち組人生が待っている――。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

みこみこP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

処理中です...