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10話 新しい従業員

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「それは…楽しそうだな」

 フェルトラも至極真面目な顔で言った。

「まぁまぁ!この化粧水肌に馴染んで凄くいいわ!なんだかモチモチしてる気がしますし、素晴らしい商品ね!これを2個お願いします!」
「お買い上げありがとう」

 エルシャは嬉しそうにウキウキと商品を買った。

「フェルトラを店員として雇ってもいいかな?」
「あら、愚問ね。勿論こき使っていいわ。この子器用だから何でもできるでしょうし、初めて友達がいるのを見れたのだし逃したくないわ。それに化粧水が凄く気に入ったもの」

 エルシャは即許可を出し、先に買えるわと言って店を出ていってしまった。

「お前の母親、凄く自由なババァだな」
「俺の意見無視というか聞かなかったんだが、母ちゃんらしい自由感だな」

 2人の意見にただレインは微笑んだ。

「フェルトラ、これからも友達兼雇い主としてよろしくね」
「ぁ゙?どうした、気持ち悪いな。当たり前だろ」

 レインは微笑み、フェルトラはプイッと顔を背けて握手をした。

「さて、フェルトラは王太子だから、住み込みは難しいよね。時々王都外に出るときもあるからどうしよっか。あ、あれを使おうか」

 レインは一つの鍵を取り出し、フェルトラに渡した。

「これね、この店に繋げられる特殊な鍵なんだ。使い方は王宮内の部屋でこの鍵を使って回し開けるだけ。どう?簡単でしょ。フェルトラの魔力を登録したら俺とフェルトラ以外使えなくなるから防犯もバッチリさ」

 また、国宝にでも出来そうな品物だなとフェルトラは思いながら受け取った。

「基本は毎日開いてるけど来るのは空いた時間でいいからね」

 レインは笑い、悪魔はどうせ毎日来そうだよなと思いながら溜息をつき、フェルトラはハッと笑った。
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