レインの店へようこそ!

泡沫 呉羽

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23話 簀巻きレインと薬

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「それよりレイン……熱出てるんじゃねぇか?」
「……………………ソンナコトナイヨ」
「嘘下手か!!!」

 サーガは忙しいようでテキパキと手を動かしている。
 時々配下と思われる悪魔を呼び出し、何かを指示しており、その度に配下は眉をひそめている。

「そうですねぇ。わたくしお手製のお薬とかどうですか?よく効きますよ?」

 ふと、レインの方を向いたと思ったら笑顔でそう言った。 

「そんな得体のしれねぇもん、与えるわけねぇだろが!」
「失礼ですねー。トリカブトが大量に入っているだけですってば。飲めばすぐ効きます」
「毒じゃねぇか!!そりゃあ効くわな!」
「あれ?人には毒でしたっけ?」
「馬鹿。トリカブトに耐性持っているのはお前だけだ。まぁ、主は普通に耐えそうな気もするが……ぐはっ!」
「君は俺をなんだと思ってるんだろうね」

 レインがふらりと立ち上がりナーガのみぞおちに肘打ちをした。
 ナーガは蹲りしばらく震えていた。
 うわぁ、痛そとフェルトラは呟きサーガの書類の要点をメモしている。

「おい、レイン動かすな!ほら、ふらついてるだろが」
「いや、今の我が悪いのか?!勝手に動いた主が悪いだろ!」
「いや、君は俺の所有物だろう?なら、機嫌を損ねた君が100割り悪いんじゃないかい?」
「ちょっ?!…十割を超過してるぞ?!」
「まぁ、どっちにしろお前が悪いだろ。薬用意してやるから横になってろ」
「最近、我の扱い雑に、なってないか……?」

 嘆く悪魔を尻目にフェルトラは薬をつくり始めていた。
フェルトラ自身戦闘狂と自覚しているので、薬一式とその場で作れるように材料はカバンに入れているのだ。
 解熱剤は持っていなかったので持ち合わせの材料から作るようだ。
 悪魔に薬とりいかせれば何してくるか分からない。
 コレがレインの命令なら聞くのだろうが。

「トリカブト……やっぱりいります?」
「「お前は一回トリカブトから離れろ」」
「そうですか。そろそろ食事に行ってきます。書類は触らないようご注意を。では」

 羽を広げ窓から飛んでどこかへ自由気ままに行ってしまったサーガを見つめつつフェルトラはため息をついた。

「あいつ、味方なのか敵なのか全く分からねぇ」

 サーガの言う食事とは人間の事なのだろう。
 未だに悪魔界に出入りしており、中立な感じを保っている。
 まるで両方の情報を取り自分ののみが生き残ろうとしているようだった。
 サーガについている首輪は多分効果がないんだろう。
 レインも悪魔自身が効果を無効にしてしまっていると薄々気づいている。
 本人が効果もないのにつけている理由はただの羞恥心を楽しむというよくわからない趣味である。

「そうだねぇ。俺にもわかんないな。でも………アレは悪魔なのに悪魔らしくない変わり者っぽいし今は放置でいいんじゃない?」
「それ、後で後悔するんじゃね?」
「主の考えなんて分からん。まぁ、悪魔らしくないというのは同感だな」
「あはっ、確かに」

 フェルトラは薬を前に大人しくできないレインを毛布で簀巻きにしてベッドに放り込んだ。

「大人しくしてろ」
「え、だって、明らかに苦そうだし、人間が飲めるような匂いじゃないんだけど?!」
「まだ、未完成なんだが?味は保証しないが効果は保証する」
「え?!効果より味っ!味の保証がいいんだけど?!?」

 簀巻きレインはぴょんぴょんと器用に跳ねて講義している。
 勿論フェルトラは抗議を無視した。
 暫くして薬が完成し、簀巻きレインは窓から逃亡をはかろうとしナーガに捕獲された。

「ちょ?!離しなさい!!」
「ゔがっ?!ちょ、回復魔法飛ばすなっ!」
「ナーガよ、君はどっちの味方なんだい?!」
「今回はフェルトラだな。どこからか取り出したあの大剣で切られたくないからな」

 簀巻きレインはちらりと向くと足を組んで座っているフェルトラが目に見えた。
 ただし、片手で自身の身長ほどある大剣を握っている。
 薬を飲まずに逃げようとしたレインに怒っているようだ。
 レインはその形相に観念し、簀巻きのまま椅子に座る。

「これ、解いて欲しいなーって……」
「…………………」

 無言なのが少し怖い。
 一応簀巻きは解いてくれるらしい。
 レインは覚悟を決め泥のような色合いの薬を一気に飲んだ。
 そして、口を抑え気絶した。

「なぁ、主死んだか?」
「味ば悪いが効果は良い…………」
「なぁ、主死んだか?」
「おいっ!2度も言うんじゃねぇよ!心配になるだろうが!」
 
 気絶し、椅子から落ちてしまったレインに近づき息をしているか確認をしてフェルトラはため息をついた。

「…生きてるぞ」
「心配ではあったか」
「悪いかよ?」

 ベッドに運び毛布をかけフェルトラは大剣をしまった。

「暫く起きないだろうなぁ」
「主が気絶とは………。そんなきついのかその薬」
「ん?別名味覚殺しとも言われる薬だな。ありえねぇほど効果が高くてありえないほどまずい。俺も飲んだけど…気絶した」
「…………人間はよくコレを使おうと思ったな……」
「それは思った」

 サーガが残している書類に手を出そうとし、フェルトラに電流が流れ思わず舌打ちをした。

「チッ。雷の魔法を書類に纏わせてやがる」
「…………感電死レベルの雷魔法だぞ?……なんで平然としてるんだ?!」
「うるせぇ!とっとと厨房連れてけ」
「くそぉぉぉお!主より悪魔使い荒い!」

 文句を言いつつも案内するナーガは実は意外と面倒見がある悪魔だとフェルトラに思われている事を知らなかった。

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