俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

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第二章 冒険の始まり

ノエルの絵

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 鳥のさえずりが聞こえる。どうやら朝を迎えたようだ。

 シャッ、シャッ。

 なんだこの音は?

 ゆっくり目を開くと、そこにはノエルがいた。ノエルはしゃがみ込んで何かを描いている。

「あらお兄様。おはようございます。もう少しで完成致しますので、どうぞそのままで」

「あ、うん」

 頭を上げかけたが、ノエルに言われて再び頭を元の位置に戻した。

 どうして俺はこんな体勢で寝ているのか。そしてこの頭を置いている所はどこなのか。壁ではなさそうだけれど……。

 寝ぼけていた頭が徐々にクリアになってきた。昨日のリアムとの会話も全部思い出し、まさかと思って目線を斜め上に向けた。そこには赤い髪の毛が目に映った。

「げっ、リアム」

 しかも俺の右手の小指はしっかりとリアムの左手の小指に絡まっている。

「完成致しましたわ」

「え、うそ。見せて」

 俺は寝ているリアムからそっと離れてノエルの絵を覗いた。絵を見た瞬間俺は絶句した。

「……」

「どうです? わたくし前世では同人誌も描いていましたので絵は得意なのですわ」

 ノエルにこんな才能があったとは。そこらの絵師より上手い。背景には花が散りばめられ、白黒なのにキラキラと輝いて見える。

「上手いけど、ダメだよ! こんなの人に見られたら勘違いされるじゃん!」

 まるでリアムと俺が御伽話の王子様とお姫様のように寄り添って眠っているのだ。しかも小指を絡めて。
 
「朝起きたらお兄様が隣にいないんですもの。探しに出たらまさかこんな所で密会されていたとは。お兄様も隅に置けませんわね」

「違うから、少しここで話してただけだから。とにかく誰にも見られない内にそれ捨てて。今ならまだ間に合うから」

「嫌ですわ。これは物語の挿絵にするのですから」

「んんー、うるさいなぁ」

 リアムが伸びをしている。寝起きのリアムも格好良い。

「じゃなくて、リアムが起きちゃったじゃん。早く隠して隠して」

「仕方ありませんわね。冒険はまだまだ始まったばかりですからね。修羅場になって皆さんが帰ると言い出したら困りますものね」

「そうそう、そうだよ! 帰られたら困るだろ」

「何が困るんだ?」

 ジェラルドとエドワードまで部屋から出てきた。

「何でもないよ。みんな起きたことだし朝食とって早く次の依頼受けに行こうよ」

「やけに張り切ってるな」

「きっと夢が叶って嬉しいんだよ」


 ◇


 朝から色々あったが、ノエルの絵を誰にも見られることなく次の依頼を受けることが出来た。

 依頼は荷物の搬送の手伝い。

「地味だな」

「仕方ないよ、ジェラルド。まだ冒険始めたばっかなんだから」

「でもよ、俺達何の為に冒険してるんだ?」

「何の為……」

 そう言われれば返答に困ってしまう。俺自身はノエルの転生者ごっこに付き合っているだけ。そして仲間達は巻き込まれただけ。俺はひとつ提案してみた。

「みんなで目的を決めようよ。それが達成できたら帰った時嬉しさ倍増だよ」

「目的かぁ」

「目的ねぇ」

「うーん」

 誰も思いつかないようだ。俺自身、思いつかないが。そんな時、ノエルが嬉しそうに言った。

「やはり勇者には魔王がつきものですわ。魔王を倒しに行きましょう」

「え、本気?」

「もちろんですわ。ラスボスと言えば魔王ですもの」

 聞くんじゃなかった。魔王ってあの魔王だ。魔界の王様。とてつもなく強い奴。無理に決まってる。

「でも冒険出来るの二年しかないし」

「一年以内に頼むよ」

 そうか、エドワードは学園が始まるから一年しか旅ができないんだった。だが、更に無理を強いられている。他の勇者に任せたい。自称勇者は沢山いるはずだ。

「よし、ひとまず荷物はこれで終わりだね。魔王倒しに行くなら地道にランクを上げて経験値積まなきゃね」

 リアムが言えば、ジェラルドとエドワードも頷いた。

「そうだな。せめてランクAくらいにならないとな」

「何事も経験値って大事だよね。早く次の依頼受けに行こう」

「え、みんな受け入れ良すぎない? 魔王ってあの魔王だよ? 本当に倒しに行くの?」

「お前が言ったんだろ? 目的決めようって」

「そうだけどさぁ」

 リアムもエドワードも冒険自体は楽しいようで活き活きしている。これ以上は言っても無駄だろう。まぁ、あくまでも目的だ。達成までする必要はない。

 ——そんなこんなで、俺達は魔王を討伐する為、地道に依頼をこなして行く日々を過ごすことになった。
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