俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵

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第六章 二人目の転生者

リアム成り上がり計画

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 人間界に戻って数日経ったある日の昼下がり。俺とリアムは王城に来ている。

 人間界が侵略されようとしていることを国王に伝える為に。ただ、細かい経緯は伏せ、ひょんなことから魔王と出会い、侵略を宣言されたことにしている。

 王座の間で足を組み、肩肘をついた国王はリアムに対して冷ややかな目を向けている。その横には王妃と第一、第二王子もいる。

「これが事実なら大変な事だな」

「ですので、報告に来た次第です」

「これが事実ならな。そこまでして私の気を引きたいのか?」

「いえ、これは事実です。ですから騎士団の派遣や民への警告を」

「必要ない」

 国王は魔王からの手紙を投げ捨てた。

「魔王直々に侵略を伝えただと? しかもこんな詳細をわざわざ敵にするわけなかろう。もっとまともな嘘は吐けんのか」

 威圧的な態度の国王に、リアムは淡々と言った。

「これは我が国だけでなく周辺国にも関わる事象。国王陛下に報告する義務がありましたので。ちなみに、他国にも既に説明済みですので止めるならどうぞお好きになさって下さい」

「チッ、生意気な。もう良い。下がれ」

「分かりました。オリヴァー、転移して良いよ」

 俺はリアムと共にナナリ村の宿に転移した——。


 ◇


「あー、緊張した! リアム、見て。何も話してないのに手汗が凄いよ」

「はは、僕もだよ」

 リアムも俺に手の平を見せてきた。

「あの圧は凄まじいね。魔王の方が優しく思えるよ」

 俺とリアムが緊張から解放され、テンション高めで話していると、ノエルがやってきた。

「お二人とも仲良しですわね。作戦は成功ですの?」

「うん。一応ね」

 魔王が記した侵略地域は、周辺国も含めた人間界全域。国王に報告義務は勿論ある。ただ、今回は国王にこれが嘘だと思わせることにある。

 何故なら『リアム成り上がり計画』の下準備の為。

 国王はリアムの言うことを大半信じない。それはそれで複雑な気持ちになるが、今回はそれで良いのだとか。

 今頃国王は息子が周辺国に嘘の情報を広めたと、使者を使わせ訂正していることだろう。せっかく警戒を強めていたのに、嘘だと分かれば警戒を緩める。そこへ、本当に魔界からの襲撃が来ればどうだろう。我が国の信用はガタ落ちだ。国交断絶の可能性も出てくる。

 しかしそこへリアム率いる冒険者が現れ、その地を守る。何とか国交は継続してもらえ、国王はリアムに頭が上がらなくなる。

 そして何より、王というのは他国よりも自国での信頼度が一番大切だ。

 襲撃に遭った自国の民は、不安と恐怖に震え上がる。しかも、この襲撃は事前に知らされており、国王の耳にも入っていたという情報を流してみる。

 事前に対策出来たにも関わらず、何の対策も講じない国王に対し、民の不信感は募るばかり。国王の支持率は一気に下がる。反対に俺達が民を救って英雄になれば、無名だったリアムの支持率は爆上がりだ。
 
 更には、第一、第二王子も同席していたことは願ってもないチャンス。王家は皆、この襲撃の事実を知った上で何もしないのだから。動きを取ったリアムだけが功績を残せるというわけだ。

 ちなみに、魔王が人間界の侵略を開始する前に魔王を倒しに行くという選択肢もあるのだが、魔界に行って分かったことが一つある。

『魔界に行くまでの道のりが危険すぎる』

 かといって、魔界まで転移をすれば、魔力消費が多すぎる。向こうから来てもらえるなら是非出迎えようという決断に至ったのだ——。

「でもさ、リアム。転移で帰って良かったの? 無礼じゃない?」

「良いんだよ。オリヴァーが転移が出来る事実を認知させときたかったから」

「何で?」

 俺が首を傾げてキョトンとしていると、リアムは笑って頭を撫でてきた。

「魔王が指定した日時と場所全てに君達が現れることなんて、いくら寝ずに馬を走らせても不可能なんだ」

「確かに」

 同時刻に複数の襲撃の予定はないが、自国で襲撃した翌日には他国で襲撃だったりと、場所が遠いのだ。

「全ての地で君達の功績が上がったら当然疑う者も出てくる。父上は特にね。でも、オリヴァーが転移出来る事実を知っていたら嫌でも信じるしかなくなるから」

「なるほど」

「後はお兄様がSSランクになるだけですわね」

「SSは言い過ぎだけどさ、みんな狡いよね」

 実は、俺がうっかり魔界に行っている間に他の仲間は鑑定士にランク付けしてもらっていたのだ——。

『オリヴァー、良い物見せてやろうか』

『何?』

 ジェラルドとエドワードは顔を見合わせてニヤリと笑い、冒険者カードを見せてきた。

『え……どういうこと?』

 二人ともランクがDからAに変わっている。

『キースとリアムは?』

 キースとリアムも冒険者カードを取り出した。

『え、S!? 何で?』

『僕のは攻撃力とか強さじゃなくて軍師としてだけどね。自分の登録した職業に対しての評価らしいから』

『いやいやいや、俺が聞いてるのはそこじゃなくて、何でみんなランク上がってんの?』

 まさか、俺も自動的に上がっているのかと思って冒険者カードを取り出した。

 Dのままだった……。

 ショーンが慰めるように、俺の肩に乗って頭を肉球で撫で撫でしてきた。

『まだ間に合うかも。ギルド行ってみる?』

『え、まさか、鑑定士に会ったの?』

『オリヴァーがいなくなった後、暇だからってギルドに行ったんだよ。そしたら偶然鑑定士がいてさ、ナナン村って情報が間違ってたみたいで、実際いたのはこのナナリ村だったよ』

『間違った情報に左右されず、鑑定士のいる村まで転移するなんて、流石お兄様ですわ』

『俺も行ってくる!』

 俺もランクが上がる。そしたら勇者としての自信にも繋がる。そんな事を考えながらギルドへ急いだ。


 ◇


『鑑定士なら、今朝方この村を去りましたよ』

 遅かった……。

 再度リアムとショーンが情報収集をしてくれることにはなったが、自分だけランクが低いと思うと、やるせない気持ちになる。

 人間界が襲撃に遭う最初の日は、丁度本日から一ヶ月後。それまでに自分のモチベーションの為にもランクを上げたいところだ。
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