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第六章 二人目の転生者
アーサーの部屋
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「普通に扉から入ってこいよ。びっくりするだろ……って、人増えてるし」
キースが呆れたように言えば、リアムもやや嫌そうな顔で言った。
「もしかして、また仲間にしようとかじゃないよね? あんまり多くなりすぎるのは、返って良くないよ」
「違うよ。何か追われてたみたいで」
アーサーを見れば、バツが悪そうに謝罪してきた。
「悪かったな」
「助けて頂き、ありがとうございます」
お父さんも礼儀正しく礼を述べた。
「二人はどこの宿に泊まってるの? ついでに送って行くよ」
「ギルドの裏手にある一階が酒場で二階が宿になってる所だ。宜しく頼む」
「それって……」
「ここだな」
「ここだね」
口々にそう言えば、アーサーが扉を開けた。
「本当だ。おれ、向かいの部屋」
「では、わたくしの隣にいらしたのですね。壁を隔てて隣で寝ていたと思うと何だか照れますわね」
恥じらうところが何処にあるのか分からないが、ノエルが頬をピンクに染めた。すると、それを見たエドワードがムッとした。
「ノエル、今日から部屋を変えよう。嫁入り前の娘がこんな下品な男どもと寝ちゃダメだよ」
「下品ってなんだよ!」
下品はともかく、アーサーが怒るのも無理はない。
「エドワード、それは理不尽じゃないかな」
「オリヴァーは良いの? 可愛い妹が何処の馬の骨とも分からない男と一緒に寝ても」
「それは嫌だけど、アーサー達は別の部屋だし」
「関係ないよ。壁なんてこんな薄いんだから」
一度こうなってしまったエドワードは誰も止められない。ノエルを大切に思ってくれているのは嬉しいが少々面倒臭い。
「俺がノエルと壁の間で寝るよ。それなら文句ないだろ」
「それなら……」
エドワードも渋々了承し、俺がノエルと寝ることでその場が落ち着いた。
◇
時は経過し、夜更けに俺は目を覚ました。
「ちょっと、トイレ」
寝ぼけ眼を擦りながら、俺は部屋を出た。
用を済ませた俺は、元の部屋に戻るべく廊下を歩いた。いつものように部屋に入ろうとすれば違和感を覚えた。
「あ、そうだった。今日はノエルの部屋だ」
後ろを振り返り、向かいの部屋のドアノブに手をかけた。
「あれ?」
扉に鍵がかかっている。部屋から出た数分の間にノエルが鍵をかけてしまったようだ。ノックしようとしたが、既に寝ていたら悪いと思って、俺は転移で部屋に入った。そして、また違和感を覚えた。
ベッド、こっち側だったっけ?
ベッドには髪の長い女の子が眠っている。宿の店主も、この宿に女性はノエルだけだと言っていたので間違いない。俺はベッドに潜り込んだ。
再び睡魔に襲われていると、腕にギュッとノエルが絡みついてきた。ウトウトしていたところに規則的な寝息を近くで感じ、俺は眠りについた。
◇
太陽の光が部屋にさし込み、鳥の囀りが聞こえる。
腕には、まだギュッとノエルが絡みついている。ずっとこうして眠っていたのかと思うと嬉しいような……うん、嬉しいしか思いつかない。
上機嫌に目を開けて横を見れば、薄手のシャツの間から谷間が見えた。
「ん?」
谷間? ノエルはこんなに胸が大きかっただろうか。それに、こんな薄手のシャツ一枚で寝ていなかったような……。
俺はそのまま、視線を上に向けた。
「わ、誰ッ!? って、みーちゃん、ごめん! 浮気じゃないから! 多分、俺が悪い。俺が悪いから攻撃しないで!」
今まで妹だと思い込んでいたので、みーちゃんは出て来なかったのだろう。しかし、ノエルでないと分かった瞬間みーちゃんが出てきた。
必死に謝罪をしたら、みーちゃんは俺と隣にいる誰かを警戒するように部屋の真ん中に佇んだ。
そして、その誰かが俺が騒いだことで目を覚ました。ムクっと起き上がり、俺を虚ろな瞳で見つめてきた。
明るい所で見ると、ノエルのピンクの髪とは違い、栗色の髪をしていた。そして、クリッとした瞳に見覚えがあるような……ないような。
「えっと……」
「オリヴァー?」
「ごめんなさい。間違えました!」
俺は急いでベッドからおりた。そのままの勢いで部屋から出ようと思ったのに、狭い部屋にデカいみーちゃんが佇んでいる。
「みーちゃんどいて! あー、そっちじゃない。みーちゃん、戻って」
みーちゃんとまごまごしていると、少女もベッドからおりてきた。
「オリヴァー、今見たこと……」
「見てません。何も見てません、谷間なんて見てません!」
「は? 谷間って」
少女は胸を手で隠しながら顔を真っ赤にさせた。
「さ、最低!」
「ごめんなさい!」
みーちゃんは刻印に戻り、俺は急いで部屋を出た——。
扉の前で俺は部屋を確認した。
「ノエルの部屋、隣じゃん」
てことは、俺がいた部屋って……。
「アーサーの部屋?」
キースが呆れたように言えば、リアムもやや嫌そうな顔で言った。
「もしかして、また仲間にしようとかじゃないよね? あんまり多くなりすぎるのは、返って良くないよ」
「違うよ。何か追われてたみたいで」
アーサーを見れば、バツが悪そうに謝罪してきた。
「悪かったな」
「助けて頂き、ありがとうございます」
お父さんも礼儀正しく礼を述べた。
「二人はどこの宿に泊まってるの? ついでに送って行くよ」
「ギルドの裏手にある一階が酒場で二階が宿になってる所だ。宜しく頼む」
「それって……」
「ここだな」
「ここだね」
口々にそう言えば、アーサーが扉を開けた。
「本当だ。おれ、向かいの部屋」
「では、わたくしの隣にいらしたのですね。壁を隔てて隣で寝ていたと思うと何だか照れますわね」
恥じらうところが何処にあるのか分からないが、ノエルが頬をピンクに染めた。すると、それを見たエドワードがムッとした。
「ノエル、今日から部屋を変えよう。嫁入り前の娘がこんな下品な男どもと寝ちゃダメだよ」
「下品ってなんだよ!」
下品はともかく、アーサーが怒るのも無理はない。
「エドワード、それは理不尽じゃないかな」
「オリヴァーは良いの? 可愛い妹が何処の馬の骨とも分からない男と一緒に寝ても」
「それは嫌だけど、アーサー達は別の部屋だし」
「関係ないよ。壁なんてこんな薄いんだから」
一度こうなってしまったエドワードは誰も止められない。ノエルを大切に思ってくれているのは嬉しいが少々面倒臭い。
「俺がノエルと壁の間で寝るよ。それなら文句ないだろ」
「それなら……」
エドワードも渋々了承し、俺がノエルと寝ることでその場が落ち着いた。
◇
時は経過し、夜更けに俺は目を覚ました。
「ちょっと、トイレ」
寝ぼけ眼を擦りながら、俺は部屋を出た。
用を済ませた俺は、元の部屋に戻るべく廊下を歩いた。いつものように部屋に入ろうとすれば違和感を覚えた。
「あ、そうだった。今日はノエルの部屋だ」
後ろを振り返り、向かいの部屋のドアノブに手をかけた。
「あれ?」
扉に鍵がかかっている。部屋から出た数分の間にノエルが鍵をかけてしまったようだ。ノックしようとしたが、既に寝ていたら悪いと思って、俺は転移で部屋に入った。そして、また違和感を覚えた。
ベッド、こっち側だったっけ?
ベッドには髪の長い女の子が眠っている。宿の店主も、この宿に女性はノエルだけだと言っていたので間違いない。俺はベッドに潜り込んだ。
再び睡魔に襲われていると、腕にギュッとノエルが絡みついてきた。ウトウトしていたところに規則的な寝息を近くで感じ、俺は眠りについた。
◇
太陽の光が部屋にさし込み、鳥の囀りが聞こえる。
腕には、まだギュッとノエルが絡みついている。ずっとこうして眠っていたのかと思うと嬉しいような……うん、嬉しいしか思いつかない。
上機嫌に目を開けて横を見れば、薄手のシャツの間から谷間が見えた。
「ん?」
谷間? ノエルはこんなに胸が大きかっただろうか。それに、こんな薄手のシャツ一枚で寝ていなかったような……。
俺はそのまま、視線を上に向けた。
「わ、誰ッ!? って、みーちゃん、ごめん! 浮気じゃないから! 多分、俺が悪い。俺が悪いから攻撃しないで!」
今まで妹だと思い込んでいたので、みーちゃんは出て来なかったのだろう。しかし、ノエルでないと分かった瞬間みーちゃんが出てきた。
必死に謝罪をしたら、みーちゃんは俺と隣にいる誰かを警戒するように部屋の真ん中に佇んだ。
そして、その誰かが俺が騒いだことで目を覚ました。ムクっと起き上がり、俺を虚ろな瞳で見つめてきた。
明るい所で見ると、ノエルのピンクの髪とは違い、栗色の髪をしていた。そして、クリッとした瞳に見覚えがあるような……ないような。
「えっと……」
「オリヴァー?」
「ごめんなさい。間違えました!」
俺は急いでベッドからおりた。そのままの勢いで部屋から出ようと思ったのに、狭い部屋にデカいみーちゃんが佇んでいる。
「みーちゃんどいて! あー、そっちじゃない。みーちゃん、戻って」
みーちゃんとまごまごしていると、少女もベッドからおりてきた。
「オリヴァー、今見たこと……」
「見てません。何も見てません、谷間なんて見てません!」
「は? 谷間って」
少女は胸を手で隠しながら顔を真っ赤にさせた。
「さ、最低!」
「ごめんなさい!」
みーちゃんは刻印に戻り、俺は急いで部屋を出た——。
扉の前で俺は部屋を確認した。
「ノエルの部屋、隣じゃん」
てことは、俺がいた部屋って……。
「アーサーの部屋?」
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