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第七章 人間界侵略回避
知らない人に物は貰わない
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襲撃の時間まで残りわずか。
王城の外で待機しようと広いロビーを歩いていたら、やけに王城内が騒がしい事に気が付いた。
「どうしたのかな?」
「さぁな。大方ビビッた国民が逃げ出そうとしてるんだろ」
「それなら良いけど……いや、それはそれで一大事だ」
一人アワアワしていると、ジェラルドが肩を組んできた。
「落ち着けよ。結界だって中の奴らが出られない設定にしてるだろ」
エドワードとキースも俺を安心させるように補足して言った。
「武器になるような物も全部結界の外に移動させてるしね」
「素手でやり合ってもたかが知れてるさ。それより、今回は何が出るんだろうな」
「やっぱ、雪だから雪女……痛ッ、いてててて」
肩に組まれたジェラルドの手に思いっきり力が入り、肩に指がめり込んだような気がした。
怖い系の話になるとジェラルドの握力がアップすることが分かった瞬間だった。
「お前、物騒な事言うなよ。本当になったらどうすんだよ」
「ごめんって」
◇
王城の外は静寂に包まれていた。
「あれ?」
真っ暗な夜空からシンシンと振り続ける雪。そして積もった雪の上には、縁が白色の真っ赤な服と帽子を被り、白い髭を生やしたお爺さんが立っていた。
「ジェラルド、逃げそびれたお爺さんを早く中へ入れてあげなきゃ」
「あれ、人間か?」
「どう見ても人間じゃん。俺、行ってくるよ」
俺はお爺さんに駆け寄った。すると、ソリの上にある大きな白い袋から綺麗にラッピングされた箱(以下プレゼントという)を取り出し、無言で手渡してきた。
「くれるんですか?」
お爺さんは頷いた。
「ありがとうございます」
怪しむ事なく俺はそれを受け取った。
「お爺さん、危ないのでこちらへ。ん? みんなの分もあるの?」
結界内に誘導しようとすれば、お爺さんは追加で三つ、プレゼントを手渡してきた。
「ありがとうございます。早く城の中へ」
声をかけるがお爺さんは動かない。俺はひとまず皆の元にプレゼントを持って戻った。
「はい、コレくれるんだって」
俺は三人にそれぞれプレゼントを手渡した。
「お前、知らねー奴から物もらうなよ」
「そうだよ、少しは警戒しなきゃ」
「この中、爆弾だったりしてな」
「はは、キース冗談言わないでよ……そんな訳」
ドガーンッ!
爆弾だった。プレゼントかと思って貰った箱が四つ盛大に爆発したのだ。俺達四人は四方に吹き飛んだ——。
「痛……くはないな。雪があって良かった」
爆弾の威力は然程強くはなかったのか、目立った外傷は火傷程度のようだ。地面に叩きつけられる衝撃も、雪がクッションになって幾らか吸収してくれた。
俺は自身の火傷した皮膚を治癒しながら、ススだらけの体を起こした。
「まさか本当に爆弾なんて……みんな、大丈夫?」
暗がりの中、光魔法で辺りを照らし、仲間の安否を確認した。
「良かった……」
皆、俺と同様に皮膚に火傷を負っているが命は無事なようだ。それぞれゆっくりと雪の中から出てきた。
「クソッ、お前変なもん貰ってくんなよ」
「僕、無詠唱とか出来ないんだから。モロに食らったじゃん」
「受け取ったオレ達も悪いよな」
「ごめん……」
謝罪しながら一人ひとり治癒魔法をかけて回った。
服はススだらけだが、俺達は仕切り直して一箇所に集まった。
「これでも死なねー俺達凄いよな」
「確かに……」
死にはしなくとも、一般人なら意識不明の重体などになっていそうなものだ。
「それより、やっぱ今回の敵ってあのお爺さんかな?」
俺が聞くと三人も臨戦態勢を取って言った。
「だろうな」
「まぁ、味方では無いのは確かだよね」
お爺さんの出方を見ていると、トナカイがお爺さんを乗せたソリを引き始めた。
「トナカイって空飛べるんだ……」
唖然とその様子を眺めていたら、お爺さんはプレゼントを上空から放り投げた。しかも一つではない。
「あれさっきの」
「って、あんなん落ちたら街が火の海になるぞ」
ジェラルドが氷の弾丸をプレゼントに打ち込めば、それは上空で爆発した。
「わ、綺麗」
まるで花のように上空で散った爆弾は綺麗だった。
爆発音を聞いたのか王城のバルコニーからノエルやアーサー、そしてこの国の民が数名出てきた。
結界を張っているから大丈夫だとは思うが、姿が見えると心配になってしまう。
「花火、綺麗ですわね!」
「はなび?」
「それに、わたくしサンタさん初めて見ましたわ!」
「なぁに?」
バルコニーが騒がしくてノエルの声が聞き取れない。そう思っていたらアーサーが交信してきた。
『あいつ、サンタだろ?』
「サンタって?」
『サンタクロース、クリスマスの夜に子供にプレゼントと夢を配って回る架空の生き物。この世界じゃ実在するんだな』
「プレゼントって……あれ、爆弾だよ」
『マジか。それで花火が……』
「はなびって?」
『あの上空でキラキラ輝いてる火花の事だよ。とにかく、頑張れよ』
「頑張れって言われても……いや、頑張るけどさ」
プレゼントを次々と投下するサンタ。街に落とさないようにするので精一杯だ。
王城の外で待機しようと広いロビーを歩いていたら、やけに王城内が騒がしい事に気が付いた。
「どうしたのかな?」
「さぁな。大方ビビッた国民が逃げ出そうとしてるんだろ」
「それなら良いけど……いや、それはそれで一大事だ」
一人アワアワしていると、ジェラルドが肩を組んできた。
「落ち着けよ。結界だって中の奴らが出られない設定にしてるだろ」
エドワードとキースも俺を安心させるように補足して言った。
「武器になるような物も全部結界の外に移動させてるしね」
「素手でやり合ってもたかが知れてるさ。それより、今回は何が出るんだろうな」
「やっぱ、雪だから雪女……痛ッ、いてててて」
肩に組まれたジェラルドの手に思いっきり力が入り、肩に指がめり込んだような気がした。
怖い系の話になるとジェラルドの握力がアップすることが分かった瞬間だった。
「お前、物騒な事言うなよ。本当になったらどうすんだよ」
「ごめんって」
◇
王城の外は静寂に包まれていた。
「あれ?」
真っ暗な夜空からシンシンと振り続ける雪。そして積もった雪の上には、縁が白色の真っ赤な服と帽子を被り、白い髭を生やしたお爺さんが立っていた。
「ジェラルド、逃げそびれたお爺さんを早く中へ入れてあげなきゃ」
「あれ、人間か?」
「どう見ても人間じゃん。俺、行ってくるよ」
俺はお爺さんに駆け寄った。すると、ソリの上にある大きな白い袋から綺麗にラッピングされた箱(以下プレゼントという)を取り出し、無言で手渡してきた。
「くれるんですか?」
お爺さんは頷いた。
「ありがとうございます」
怪しむ事なく俺はそれを受け取った。
「お爺さん、危ないのでこちらへ。ん? みんなの分もあるの?」
結界内に誘導しようとすれば、お爺さんは追加で三つ、プレゼントを手渡してきた。
「ありがとうございます。早く城の中へ」
声をかけるがお爺さんは動かない。俺はひとまず皆の元にプレゼントを持って戻った。
「はい、コレくれるんだって」
俺は三人にそれぞれプレゼントを手渡した。
「お前、知らねー奴から物もらうなよ」
「そうだよ、少しは警戒しなきゃ」
「この中、爆弾だったりしてな」
「はは、キース冗談言わないでよ……そんな訳」
ドガーンッ!
爆弾だった。プレゼントかと思って貰った箱が四つ盛大に爆発したのだ。俺達四人は四方に吹き飛んだ——。
「痛……くはないな。雪があって良かった」
爆弾の威力は然程強くはなかったのか、目立った外傷は火傷程度のようだ。地面に叩きつけられる衝撃も、雪がクッションになって幾らか吸収してくれた。
俺は自身の火傷した皮膚を治癒しながら、ススだらけの体を起こした。
「まさか本当に爆弾なんて……みんな、大丈夫?」
暗がりの中、光魔法で辺りを照らし、仲間の安否を確認した。
「良かった……」
皆、俺と同様に皮膚に火傷を負っているが命は無事なようだ。それぞれゆっくりと雪の中から出てきた。
「クソッ、お前変なもん貰ってくんなよ」
「僕、無詠唱とか出来ないんだから。モロに食らったじゃん」
「受け取ったオレ達も悪いよな」
「ごめん……」
謝罪しながら一人ひとり治癒魔法をかけて回った。
服はススだらけだが、俺達は仕切り直して一箇所に集まった。
「これでも死なねー俺達凄いよな」
「確かに……」
死にはしなくとも、一般人なら意識不明の重体などになっていそうなものだ。
「それより、やっぱ今回の敵ってあのお爺さんかな?」
俺が聞くと三人も臨戦態勢を取って言った。
「だろうな」
「まぁ、味方では無いのは確かだよね」
お爺さんの出方を見ていると、トナカイがお爺さんを乗せたソリを引き始めた。
「トナカイって空飛べるんだ……」
唖然とその様子を眺めていたら、お爺さんはプレゼントを上空から放り投げた。しかも一つではない。
「あれさっきの」
「って、あんなん落ちたら街が火の海になるぞ」
ジェラルドが氷の弾丸をプレゼントに打ち込めば、それは上空で爆発した。
「わ、綺麗」
まるで花のように上空で散った爆弾は綺麗だった。
爆発音を聞いたのか王城のバルコニーからノエルやアーサー、そしてこの国の民が数名出てきた。
結界を張っているから大丈夫だとは思うが、姿が見えると心配になってしまう。
「花火、綺麗ですわね!」
「はなび?」
「それに、わたくしサンタさん初めて見ましたわ!」
「なぁに?」
バルコニーが騒がしくてノエルの声が聞き取れない。そう思っていたらアーサーが交信してきた。
『あいつ、サンタだろ?』
「サンタって?」
『サンタクロース、クリスマスの夜に子供にプレゼントと夢を配って回る架空の生き物。この世界じゃ実在するんだな』
「プレゼントって……あれ、爆弾だよ」
『マジか。それで花火が……』
「はなびって?」
『あの上空でキラキラ輝いてる火花の事だよ。とにかく、頑張れよ』
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