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結婚式直前のバトル
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セルジュ様との結婚式には身内とセルジュ様のご家族、そして国王陛下の名の元に行われることとなった。
セルジュ様に罪を被らせた癖に、なんとも神経が図太い連中なのだろうか。
しかし、いくら罪人のレッテルが貼られようとも、国王陛下はセルジュ様のご友人だ。
無下に扱うわけにもいかない。私は人生初のウエディングドレスに着替え、控室で新郎を待つ。すると、新郎ではなく、護衛を伴って国王夫妻が挨拶に訪れた。
ニコライ王とビスチェ王妃。国王の方は軽薄そうな印象を持つが、それがアクセントになってとても甘い顔立ちをするイケメン、そして、ビスチェ様は名門の貴族の御令嬢だったこともあり、気が強く贅を凝らした印象を感じさせる。
まぁ、私からすれば、どちらともうさん臭さを感じる。ニコラエヴナにこのような構成員が居たら一から性根を叩きなおしたい程に。
しかし、表情を顔に出すわけにもいかないので、最大限の礼を取って挨拶を交わす。
「王国の太陽、国王陛下、そして王妃殿下にご挨拶申し上げます。この度、セルジュ様の元へ嫁ぐことになりました、イリーナ・エヴナと申します」
「そなたの結婚式だからそこまで畏まらなくてよい。ここへは友人の結婚式を執り行うために来たのだから」
「そうですわ。セルジュ様の妻となられる方なら、私の友人も当然。身分が低くても気に病むことはありませんわ。仲良くしましょうね。イリーナ」
人を平気で裏切り、平然と姿を現せるやつと誰が仲良くするものか。
「両陛下にご温情のお言葉を賜りまして恐悦至極に存じます」
「式はもうすぐだったな。それまで、少し聞きたいことがある」
「なんでございましょう」
国王は周りをきょろきょろと見回し、人がいないことを確認すると、すっと雰囲気が変わった。さきほどの柔らかい態度はどこへやら、敵意を向けるような鋭い眼差しで私を品定めする。
「そなたは何故セルジュと結婚しようとする?たしかに、エヴナ家は金だけは持っているようだが、それだけだ。家の格式、歴史、品位、それらを比べるとセルジュとつり合いが取れておらん」
「陛下、言い過ぎです。たしかに、イリーナがセルジュと結婚した経緯は不明ですが、それでも、両家にメリットがあるからこそ、この時期に結婚したのでしょう。そこになにか思惑があるとしても、今口にすべきことではないですわ」
セルジュを心配する素振りなんかしちゃって。自分が裏切って、罪を擦り付けたことは棚に上げるの?それに、自分たちが裏切っておいてセルジュ様の結婚式にぬけぬけと参加するのはどういう魂胆なの?
犯罪者のレッテルが貼られた幼馴染でも、心配して慈悲を賭ける自分たちを演出したいから?
友情や人情に厚い為政者ってキャラ付けは政治や外交でも役に立つものね。
どれだけセルジュ様を使い潰せば気が済むのかしら。
しかし、裏組織のボスたるもの、たかが国王の嫌味ひとつ程度で泣くわけにもいかない。
「――セルジュ様はなんとも幸せなお方なのでしょう。世間から悪辣な毒殺犯と罵られてもなお両陛下から熱い友情を向けられているのですから」
「茶化すな」
「特別なことはなにもございません。セルジュ様が先の件で爵位こそは守られましたが、領地や財産のほとんどを没収されたのは御存じですよね?そのせいで生活がままならなくなり、生活の維持が出来なくなりました。私を花嫁として迎えたのは、一重に財力があるから。その一点ですわ」
「それは……」
「それに、私は今年で19歳になります。令嬢と名乗るにはそろそろ限界が近づく年でしたので、手頃な殿方として、セルジュ様を選んだに過ぎません。両殿下が気になさることはなにもございませんわ。まぁ、少し、公爵夫人という立場にあこがれていた、というものもありますから。だって、私、心は以外にも夢見る少女なのですから」
この原因を作った2人がセルジュ様を心配するだなんて笑わせる話だわ。
国王と王妃は顔を合わせる。嘘半分、本当の事も半分混ぜて言っているのだから、ここで真偽を確かめる他ない。
「イリーナ様、そろそろ式の時間です。準備をお願いします」
「わかりました。では、国王陛下、王妃殿下、また後程お会いしましょう」
本当は顔すら合わせたくないけれど、逆に今、彼らと話せてよかったわ。毒を入手した件、セルジュ様を不幸にさせた罪、ついでに嫌味で私を不快にさせた罪。全て利子をつけて返してあげるから、待っていなさい。
…………。
結婚式は滞りなく終わった。宰相毒殺未遂事件は気の毒だが、それ以上に私とセルジュ様の結婚話は大体的に報道され、話題になっていた。
毒殺未遂事件を引き起こしたセルジュ様が妻を迎えられたというのはいいゴシップネタになる。
――が、場末の小さい新聞社は取り上げない。
何故かというと、私がニコラエヴナというのを知っている連中も多いからである。
私たちは貧困街で商いをしていたり、水商売などが多い通りでみかじめ料を徴収し、その代わり悪質な客や組織から守ってあげる後ろ盾としても活動しているから。
貧困街出身の彼らはニコラエヴナを敵に回すのがどういうことになるかを身をもって知っているので、貧困街出身が多い新聞社は下手に報道することはない。
それに、私たち、敵対組織には厳しいけど、弱い立場の人間には優しいからは意外と支持を得ているので、平民が読む新聞の中には好意的に書いてくれるところも多い。
地域の繋がりというのも大切な活動のひとつだ。
まぁ、それでも裏社会は荒くれものが多いので、大部分は暴力で支配するけれどね。
契約結婚でヴェルレー公爵夫人になっても私の役目は変わらない。
公爵夫人の皮を被り、その水面下できちんとニコラエヴナのボスとしての役目も果たす。
そのために、私はエヴナ家とニコラエヴナの本拠点から使用人兼構成員を30名集めてきたのだから。
――。
かくして多額の持参金を持ってきたことによって、ヴェルレー家の当面の生活に問題は無くなった。
後は傷つけられた名誉をどう回復していくかだ。
毒殺未遂事件といっても、通常の毒殺未遂事件と比べると、思ったより大きな騒ぎにならなかったのが幸いかもしれない。
証拠不十分っていうのもあるけれど、貴族の毒殺を図るのは極刑に値する行為なのに、領地と財産の没収だけで済まされたのは破格の待遇だ。
強大な権力が後ろ盾で守っていること、裏がある証拠で、ゴシップネタが好きな貴族ならいの一番にセルジュ様を攻撃するのに。
でも、セルジュ様だからこそそうならなかったのだと思う。
セルジュ様は演劇の演目で上がるほどの完璧で清廉な性格で女性人気が高い。
そして、今回の国王の差配がなにか大きな陰謀が関わっているのではないかという疑念を民心が抱いたからかもしれない。
思った以上に結婚の話題が大きくなってしまったのと、死人が出なかった――様々な要因がある。
それでも誹謗中傷がゼロになるわけではなく、仲には「貴族を殺そうとしたのに、この程度の罰則で済ませるのか」と抗議するものだっている。
やることは山積みだ。
だから、これからセルジュ様には辛いことが続くかもしれない。それでも。
――私は絶対にあきらめない。推しが笑顔で生きられる世界になるまでは。
セルジュ様に罪を被らせた癖に、なんとも神経が図太い連中なのだろうか。
しかし、いくら罪人のレッテルが貼られようとも、国王陛下はセルジュ様のご友人だ。
無下に扱うわけにもいかない。私は人生初のウエディングドレスに着替え、控室で新郎を待つ。すると、新郎ではなく、護衛を伴って国王夫妻が挨拶に訪れた。
ニコライ王とビスチェ王妃。国王の方は軽薄そうな印象を持つが、それがアクセントになってとても甘い顔立ちをするイケメン、そして、ビスチェ様は名門の貴族の御令嬢だったこともあり、気が強く贅を凝らした印象を感じさせる。
まぁ、私からすれば、どちらともうさん臭さを感じる。ニコラエヴナにこのような構成員が居たら一から性根を叩きなおしたい程に。
しかし、表情を顔に出すわけにもいかないので、最大限の礼を取って挨拶を交わす。
「王国の太陽、国王陛下、そして王妃殿下にご挨拶申し上げます。この度、セルジュ様の元へ嫁ぐことになりました、イリーナ・エヴナと申します」
「そなたの結婚式だからそこまで畏まらなくてよい。ここへは友人の結婚式を執り行うために来たのだから」
「そうですわ。セルジュ様の妻となられる方なら、私の友人も当然。身分が低くても気に病むことはありませんわ。仲良くしましょうね。イリーナ」
人を平気で裏切り、平然と姿を現せるやつと誰が仲良くするものか。
「両陛下にご温情のお言葉を賜りまして恐悦至極に存じます」
「式はもうすぐだったな。それまで、少し聞きたいことがある」
「なんでございましょう」
国王は周りをきょろきょろと見回し、人がいないことを確認すると、すっと雰囲気が変わった。さきほどの柔らかい態度はどこへやら、敵意を向けるような鋭い眼差しで私を品定めする。
「そなたは何故セルジュと結婚しようとする?たしかに、エヴナ家は金だけは持っているようだが、それだけだ。家の格式、歴史、品位、それらを比べるとセルジュとつり合いが取れておらん」
「陛下、言い過ぎです。たしかに、イリーナがセルジュと結婚した経緯は不明ですが、それでも、両家にメリットがあるからこそ、この時期に結婚したのでしょう。そこになにか思惑があるとしても、今口にすべきことではないですわ」
セルジュを心配する素振りなんかしちゃって。自分が裏切って、罪を擦り付けたことは棚に上げるの?それに、自分たちが裏切っておいてセルジュ様の結婚式にぬけぬけと参加するのはどういう魂胆なの?
犯罪者のレッテルが貼られた幼馴染でも、心配して慈悲を賭ける自分たちを演出したいから?
友情や人情に厚い為政者ってキャラ付けは政治や外交でも役に立つものね。
どれだけセルジュ様を使い潰せば気が済むのかしら。
しかし、裏組織のボスたるもの、たかが国王の嫌味ひとつ程度で泣くわけにもいかない。
「――セルジュ様はなんとも幸せなお方なのでしょう。世間から悪辣な毒殺犯と罵られてもなお両陛下から熱い友情を向けられているのですから」
「茶化すな」
「特別なことはなにもございません。セルジュ様が先の件で爵位こそは守られましたが、領地や財産のほとんどを没収されたのは御存じですよね?そのせいで生活がままならなくなり、生活の維持が出来なくなりました。私を花嫁として迎えたのは、一重に財力があるから。その一点ですわ」
「それは……」
「それに、私は今年で19歳になります。令嬢と名乗るにはそろそろ限界が近づく年でしたので、手頃な殿方として、セルジュ様を選んだに過ぎません。両殿下が気になさることはなにもございませんわ。まぁ、少し、公爵夫人という立場にあこがれていた、というものもありますから。だって、私、心は以外にも夢見る少女なのですから」
この原因を作った2人がセルジュ様を心配するだなんて笑わせる話だわ。
国王と王妃は顔を合わせる。嘘半分、本当の事も半分混ぜて言っているのだから、ここで真偽を確かめる他ない。
「イリーナ様、そろそろ式の時間です。準備をお願いします」
「わかりました。では、国王陛下、王妃殿下、また後程お会いしましょう」
本当は顔すら合わせたくないけれど、逆に今、彼らと話せてよかったわ。毒を入手した件、セルジュ様を不幸にさせた罪、ついでに嫌味で私を不快にさせた罪。全て利子をつけて返してあげるから、待っていなさい。
…………。
結婚式は滞りなく終わった。宰相毒殺未遂事件は気の毒だが、それ以上に私とセルジュ様の結婚話は大体的に報道され、話題になっていた。
毒殺未遂事件を引き起こしたセルジュ様が妻を迎えられたというのはいいゴシップネタになる。
――が、場末の小さい新聞社は取り上げない。
何故かというと、私がニコラエヴナというのを知っている連中も多いからである。
私たちは貧困街で商いをしていたり、水商売などが多い通りでみかじめ料を徴収し、その代わり悪質な客や組織から守ってあげる後ろ盾としても活動しているから。
貧困街出身の彼らはニコラエヴナを敵に回すのがどういうことになるかを身をもって知っているので、貧困街出身が多い新聞社は下手に報道することはない。
それに、私たち、敵対組織には厳しいけど、弱い立場の人間には優しいからは意外と支持を得ているので、平民が読む新聞の中には好意的に書いてくれるところも多い。
地域の繋がりというのも大切な活動のひとつだ。
まぁ、それでも裏社会は荒くれものが多いので、大部分は暴力で支配するけれどね。
契約結婚でヴェルレー公爵夫人になっても私の役目は変わらない。
公爵夫人の皮を被り、その水面下できちんとニコラエヴナのボスとしての役目も果たす。
そのために、私はエヴナ家とニコラエヴナの本拠点から使用人兼構成員を30名集めてきたのだから。
――。
かくして多額の持参金を持ってきたことによって、ヴェルレー家の当面の生活に問題は無くなった。
後は傷つけられた名誉をどう回復していくかだ。
毒殺未遂事件といっても、通常の毒殺未遂事件と比べると、思ったより大きな騒ぎにならなかったのが幸いかもしれない。
証拠不十分っていうのもあるけれど、貴族の毒殺を図るのは極刑に値する行為なのに、領地と財産の没収だけで済まされたのは破格の待遇だ。
強大な権力が後ろ盾で守っていること、裏がある証拠で、ゴシップネタが好きな貴族ならいの一番にセルジュ様を攻撃するのに。
でも、セルジュ様だからこそそうならなかったのだと思う。
セルジュ様は演劇の演目で上がるほどの完璧で清廉な性格で女性人気が高い。
そして、今回の国王の差配がなにか大きな陰謀が関わっているのではないかという疑念を民心が抱いたからかもしれない。
思った以上に結婚の話題が大きくなってしまったのと、死人が出なかった――様々な要因がある。
それでも誹謗中傷がゼロになるわけではなく、仲には「貴族を殺そうとしたのに、この程度の罰則で済ませるのか」と抗議するものだっている。
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