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お誘い
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【なにやら騒がしいな】
「レタ、起きたの?おそよう。もう昼過ぎだけど」
【おまえと契約してからというものやることがなくて暇でな。眠たくもなるわ……で、今日は一段と慌ただしい理由は?】
「明後日シレーヌとノエルの交流パーティーが開かれるのよ。会場は王城だけど、その会場に着ていくためのドレスやスーツの最終調整とか、持っていくお土産の準備をしなくちゃいけないの」
先日は孤児院で思ったより時間を過ごしてしまったし、パーティーもギリギリの開催だから。というと、「人間は色々と大変だな」と他人事のように大きなあくびを漏らす。
「レタはどうする?一応ペットとかも同伴できるみたいだから連れていってもいいけど」
【ペットじゃないと何度も言っているだろう!我は一応おまえの契約関係を結んでいるからな、一応護衛としてついて行かなければいけないだろう】
「そう、じゃあ、その旨をお父様に伝えておくわね。パーティーには美味しいものも沢山あるわよ」
【はぁ……食べ物で釣らなくても行くから安心しろ。それにどの料理よりもおまえの料理の方がうまいからさほど王城の料理は興味がない】
ぷいっとそっぽを向く。王城の料理より美味しいだなんて買い被りすぎではないだろうか。そりゃあ、私にとってはあれが美味しい味付けだけど、プロの料理人と比べると技術も味のつけ方もまだまだだし。
でも、そう行ってもらえると嬉しい自分もいる。
レタってばいつのまに女の扱いができるようになったのか。今度美味しい魚料理でも作ってあげるか。
★
「ミリアーナ、先程当日のエスコートにアシュリー様をと、王城から使いが来てな。答えは決まっているだろうが、一応どうする?」
「お父様方は私に……」
「ミリアーナ。家のことを考えるのもいいけれど、あなたの意思を聞きたくて質問しているのよ」
王国の紋章の入った封筒を片手に伺うお父様。婚約者が大々的なパーティーでエスコート役をかってでるのは当然の話だが、当の私たちがこんな感じなので様子伺いのためにも書簡が届いたようだ。
お父様もこういっているし、私はもちろんNOという返事を返す。
「わかった、ジョンに言って使いを出そう」
「では当日のエスコート役の男性を探さなければいけませんね。1人で行くのもいいですが、公爵家という立場上、エスコート役を伴わない入場は格好がつきませんから」
お母様はすでに用意してある候補の家門の情報を机の上に並べる。アーテル家とつり合いが取れて婚約者がいない令息たちの情報がのった書類たち。
その中にはヨシュア様の文字もあった。
「あの、もしよろしければ、ヨシュア様は?お友達ですし、もしパートナーがいないのであば……こちらとしても気を使わずに済みますわ」
「そうね、お友達の方がいいわね。じゃあ、そのように……」
「会話の途中ですまないが、少し待って欲しい!そのエスコート役、俺では駄目だろうか?」
話に割って入ってきたのはクリフォード様。急いでお風呂から上がってきたのか、髪の毛は濡れている。
走ってきたのか息が途切れ途切れで、沈黙の間に息を整えて、再度口を開いた。
「アシュリーがエスコートをしないのなら、俺がミリアーナのエスコートじゃ駄目だろうか?隣国の皇子という身分ではあるし、つり合いは取れると思うのだが」
「僕は構わないけど……両国の友好を深めるために開かれるわけだし、アシュリー様もマリアという女と連れ立ってやってくることは明白だから。でも、いいのかい?」
「良くなければ提案なんてしない。俺はミリアーナとパーティーに行きたいんだ」
がしり、と私の手を掴むクリフォード様。クリフォード様もこの国には友達も少ないし、異国で開かれるパーティーに行くのであれば、知らない人より知っている人の方がいいだろう。
私には断る理由はないので、「迷惑にならないのであればお願いしたいですわ」というと、顔色が明るくなった。最近のクリフォード様、百面相で可愛いかも。
「――ありがとう」
「ええ、お友達の頼みですもの。私もお友達にエスコートをしてもらった方が気が楽ですわ」
「……お、とも……だち」
「……はぁ、ミリアーナ……貴女って子は……」
「――ぷ~くすくすくす!」
どうしたのだろう?急に歯切れが悪くなって。
お父様は口を3の字にして笑っているし、お母様はセンスで額を叩いているし。
私、なんか悪いこといった?
足元にいたレタも……。
【おまえ……存外酷いやつだな】
「えっ……!私、マジで……ごほん、本当になにか粗相いたしまして!?」
「ああ、いや、俺のアピールの足らなさに問題があるから、心配しなくていい。おまえはまだその純真無垢さを貫いていてくれ……」
肩に手を置き、重たいため息をついたクリフォード様の態度。めちゃくちゃ気になるんですけど。
問いただしたい気もするが、準備まで時間がないので、エスコートの話題はここまでにして、次の話題へと移った。
「レタ、起きたの?おそよう。もう昼過ぎだけど」
【おまえと契約してからというものやることがなくて暇でな。眠たくもなるわ……で、今日は一段と慌ただしい理由は?】
「明後日シレーヌとノエルの交流パーティーが開かれるのよ。会場は王城だけど、その会場に着ていくためのドレスやスーツの最終調整とか、持っていくお土産の準備をしなくちゃいけないの」
先日は孤児院で思ったより時間を過ごしてしまったし、パーティーもギリギリの開催だから。というと、「人間は色々と大変だな」と他人事のように大きなあくびを漏らす。
「レタはどうする?一応ペットとかも同伴できるみたいだから連れていってもいいけど」
【ペットじゃないと何度も言っているだろう!我は一応おまえの契約関係を結んでいるからな、一応護衛としてついて行かなければいけないだろう】
「そう、じゃあ、その旨をお父様に伝えておくわね。パーティーには美味しいものも沢山あるわよ」
【はぁ……食べ物で釣らなくても行くから安心しろ。それにどの料理よりもおまえの料理の方がうまいからさほど王城の料理は興味がない】
ぷいっとそっぽを向く。王城の料理より美味しいだなんて買い被りすぎではないだろうか。そりゃあ、私にとってはあれが美味しい味付けだけど、プロの料理人と比べると技術も味のつけ方もまだまだだし。
でも、そう行ってもらえると嬉しい自分もいる。
レタってばいつのまに女の扱いができるようになったのか。今度美味しい魚料理でも作ってあげるか。
★
「ミリアーナ、先程当日のエスコートにアシュリー様をと、王城から使いが来てな。答えは決まっているだろうが、一応どうする?」
「お父様方は私に……」
「ミリアーナ。家のことを考えるのもいいけれど、あなたの意思を聞きたくて質問しているのよ」
王国の紋章の入った封筒を片手に伺うお父様。婚約者が大々的なパーティーでエスコート役をかってでるのは当然の話だが、当の私たちがこんな感じなので様子伺いのためにも書簡が届いたようだ。
お父様もこういっているし、私はもちろんNOという返事を返す。
「わかった、ジョンに言って使いを出そう」
「では当日のエスコート役の男性を探さなければいけませんね。1人で行くのもいいですが、公爵家という立場上、エスコート役を伴わない入場は格好がつきませんから」
お母様はすでに用意してある候補の家門の情報を机の上に並べる。アーテル家とつり合いが取れて婚約者がいない令息たちの情報がのった書類たち。
その中にはヨシュア様の文字もあった。
「あの、もしよろしければ、ヨシュア様は?お友達ですし、もしパートナーがいないのであば……こちらとしても気を使わずに済みますわ」
「そうね、お友達の方がいいわね。じゃあ、そのように……」
「会話の途中ですまないが、少し待って欲しい!そのエスコート役、俺では駄目だろうか?」
話に割って入ってきたのはクリフォード様。急いでお風呂から上がってきたのか、髪の毛は濡れている。
走ってきたのか息が途切れ途切れで、沈黙の間に息を整えて、再度口を開いた。
「アシュリーがエスコートをしないのなら、俺がミリアーナのエスコートじゃ駄目だろうか?隣国の皇子という身分ではあるし、つり合いは取れると思うのだが」
「僕は構わないけど……両国の友好を深めるために開かれるわけだし、アシュリー様もマリアという女と連れ立ってやってくることは明白だから。でも、いいのかい?」
「良くなければ提案なんてしない。俺はミリアーナとパーティーに行きたいんだ」
がしり、と私の手を掴むクリフォード様。クリフォード様もこの国には友達も少ないし、異国で開かれるパーティーに行くのであれば、知らない人より知っている人の方がいいだろう。
私には断る理由はないので、「迷惑にならないのであればお願いしたいですわ」というと、顔色が明るくなった。最近のクリフォード様、百面相で可愛いかも。
「――ありがとう」
「ええ、お友達の頼みですもの。私もお友達にエスコートをしてもらった方が気が楽ですわ」
「……お、とも……だち」
「……はぁ、ミリアーナ……貴女って子は……」
「――ぷ~くすくすくす!」
どうしたのだろう?急に歯切れが悪くなって。
お父様は口を3の字にして笑っているし、お母様はセンスで額を叩いているし。
私、なんか悪いこといった?
足元にいたレタも……。
【おまえ……存外酷いやつだな】
「えっ……!私、マジで……ごほん、本当になにか粗相いたしまして!?」
「ああ、いや、俺のアピールの足らなさに問題があるから、心配しなくていい。おまえはまだその純真無垢さを貫いていてくれ……」
肩に手を置き、重たいため息をついたクリフォード様の態度。めちゃくちゃ気になるんですけど。
問いただしたい気もするが、準備まで時間がないので、エスコートの話題はここまでにして、次の話題へと移った。
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