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邪竜伝説
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むかし、むかしのこと。
ある1匹のドラゴンがいた。彼の者の名は邪竜ファフニール。
彼の者の羽ばたきは草木はおろか、人が数十人でも動かせない大岩を吹き飛ばし、吐息から零れる劫火はあらゆるものを焼き付くす。瞳で見られたものは石となり、彼の咆哮は雷鳴を呼び寄せた。
歩めば大地は揺らめぎ、地上にあるあらゆるものを破壊しつくし、彼の者の鱗は魔剣ですら通さないアダマンタイトの如きの強固さだ。
天候を操り、災害を引き起こし、ファフニールの一挙手一投足の全てが災害と化した。
人々は彼を畏怖し、邪竜ファフニールと呼称し、恐れた。
ファフニールは何故、人々が自分を恐れるのかがわからなかった。
ただ、自分は起き上がっただけなのに。空を自由に飛び回っただけなのに。ただあくびをしただけなのに。その全てが矮小な人間にとっての厄災となる。
次第にファフニールを恐れる人間たちは、同盟を組み、彼を殺そうとあらゆる手を尽くす。
ただ、ファフニール自体は人間に関しては敵意を持っていなかった。自分はただ平和な日常を過ごしたいだけであって、人間に危害を加えようなどと思ったこともなかった。
しかし、殺そうとするなら、抗わないといけないわけで。ちょっとけん制するつもりが一息で1国滅ぼすほどの劫火を吐いてしまった。
そこから人間との戦争が激化し、最終的には、ファフニールはこの死海の森を見つけ、引きこもることで人間との戦争は集結した。
人々は勇者の封印魔法によって封印されたと思っているが、実際そんな者はいなければ、封印された事実はなかった。ただ、戦いに疲れたから、森に引きこもったのが真相である。
…………。
そこから約1000年の深い眠りについた。思考はまっさら、しかし視界はまっくら。たまに瞼を開けて森の風景の変わりなさ、気配の変わりようを日々感じて過ごした。
あの日、一人の人間が目の前に現れるまでは。
…………。
「私をここに住まわせて欲しいのです」
最初は不思議な気配に興味があってここに呼び寄せた。神の気配。人間には似て、異なる不思議な存在に。
実際は矮小な人間の雌の見た目をしていたのに、言うこと為すこと、突飛すぎて新鮮さを覚えた。邪竜を前にして恐れることなく、瞬き一つで過剰に反応することなく、長年の引きこもりの生活で力が弱っていたとはいえ、吐息ひとつで死なない女に。
この女なら森においても自分に怯えずに、自分を楽しませてくれるのではないかという期待を抱いた。
結果は正解だった。彼女との生活は平和で新鮮で……作るものも、全てが新しくて。1000年の退屈など忘れてしまうかのような楽しい時間だった。
彼女の魔素操作のおかげで無駄な暴走をせずに済み、人間と共同生活を送れるほどに力の制御ができた時は喜びしかなかった。これで矮小な生き物たちと同じ目線で、平和でなんでもない生活を送れると。
この生活をくれた彼女に嫌われたくない。新しいことを教えてくれた彼女の好きに生きて欲しい。だから、全てのことに口を出さなかった。最低限の助言のみ。彼女の選択で、好きに人生を歩んで欲しかった。
多分、異世界から皇国に召喚された時点で、彼女には好きに生きる人生はなかったのだから。せめてだれにも縛られないこの森では、友として、自分とは違う、自由な生活をして欲しかった。
……この結果がこれだ。
どうすれば正解だったのか。どう行動したらこの悲劇は起こらなかったのか。
まるで、この森に初めて入ってきた彼女のようだ。
住処を追われて、人も寄り付かぬ森に追いやられて。折角生活も安定してきて、心穏やかに過ごした矢先。また彼女を苦しめる羽目になってしまった。
「…………僕はどうしたらよかったんだ。どうしたら、初めてできた友を………………た、おまえを守れたのか」
わからない。そう真上に上る月を物寂しく見上げた。
ある1匹のドラゴンがいた。彼の者の名は邪竜ファフニール。
彼の者の羽ばたきは草木はおろか、人が数十人でも動かせない大岩を吹き飛ばし、吐息から零れる劫火はあらゆるものを焼き付くす。瞳で見られたものは石となり、彼の咆哮は雷鳴を呼び寄せた。
歩めば大地は揺らめぎ、地上にあるあらゆるものを破壊しつくし、彼の者の鱗は魔剣ですら通さないアダマンタイトの如きの強固さだ。
天候を操り、災害を引き起こし、ファフニールの一挙手一投足の全てが災害と化した。
人々は彼を畏怖し、邪竜ファフニールと呼称し、恐れた。
ファフニールは何故、人々が自分を恐れるのかがわからなかった。
ただ、自分は起き上がっただけなのに。空を自由に飛び回っただけなのに。ただあくびをしただけなのに。その全てが矮小な人間にとっての厄災となる。
次第にファフニールを恐れる人間たちは、同盟を組み、彼を殺そうとあらゆる手を尽くす。
ただ、ファフニール自体は人間に関しては敵意を持っていなかった。自分はただ平和な日常を過ごしたいだけであって、人間に危害を加えようなどと思ったこともなかった。
しかし、殺そうとするなら、抗わないといけないわけで。ちょっとけん制するつもりが一息で1国滅ぼすほどの劫火を吐いてしまった。
そこから人間との戦争が激化し、最終的には、ファフニールはこの死海の森を見つけ、引きこもることで人間との戦争は集結した。
人々は勇者の封印魔法によって封印されたと思っているが、実際そんな者はいなければ、封印された事実はなかった。ただ、戦いに疲れたから、森に引きこもったのが真相である。
…………。
そこから約1000年の深い眠りについた。思考はまっさら、しかし視界はまっくら。たまに瞼を開けて森の風景の変わりなさ、気配の変わりようを日々感じて過ごした。
あの日、一人の人間が目の前に現れるまでは。
…………。
「私をここに住まわせて欲しいのです」
最初は不思議な気配に興味があってここに呼び寄せた。神の気配。人間には似て、異なる不思議な存在に。
実際は矮小な人間の雌の見た目をしていたのに、言うこと為すこと、突飛すぎて新鮮さを覚えた。邪竜を前にして恐れることなく、瞬き一つで過剰に反応することなく、長年の引きこもりの生活で力が弱っていたとはいえ、吐息ひとつで死なない女に。
この女なら森においても自分に怯えずに、自分を楽しませてくれるのではないかという期待を抱いた。
結果は正解だった。彼女との生活は平和で新鮮で……作るものも、全てが新しくて。1000年の退屈など忘れてしまうかのような楽しい時間だった。
彼女の魔素操作のおかげで無駄な暴走をせずに済み、人間と共同生活を送れるほどに力の制御ができた時は喜びしかなかった。これで矮小な生き物たちと同じ目線で、平和でなんでもない生活を送れると。
この生活をくれた彼女に嫌われたくない。新しいことを教えてくれた彼女の好きに生きて欲しい。だから、全てのことに口を出さなかった。最低限の助言のみ。彼女の選択で、好きに人生を歩んで欲しかった。
多分、異世界から皇国に召喚された時点で、彼女には好きに生きる人生はなかったのだから。せめてだれにも縛られないこの森では、友として、自分とは違う、自由な生活をして欲しかった。
……この結果がこれだ。
どうすれば正解だったのか。どう行動したらこの悲劇は起こらなかったのか。
まるで、この森に初めて入ってきた彼女のようだ。
住処を追われて、人も寄り付かぬ森に追いやられて。折角生活も安定してきて、心穏やかに過ごした矢先。また彼女を苦しめる羽目になってしまった。
「…………僕はどうしたらよかったんだ。どうしたら、初めてできた友を………………た、おまえを守れたのか」
わからない。そう真上に上る月を物寂しく見上げた。
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