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46話 大賢者である私の出番は今回は無い。(告知)そしてダンジョン騒動2
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「これはこれは随分と遅いお出ましだな。」
リリーの方で呼びつけておいて、すっぽかしたのだ。
ブレイドが多少辛辣になるのは仕方がない事ではある。
「時間に間に合わなくて御免なさい。というかダンジョンに夢中になって、すっかり忘れていたのよ」
と、リリーは言い訳にならない言い訳をした。
「はん、リリーらしい。ま、いいさ」
この女らしい、昔から変わらない。
と、ブレイドは諦めた感じで投げやりに答えるのだった。
「それで、今からでもいいかしら」
「できればもう明日にしてほしい。今日は幸せを噛み締めていたいんでね」
ブレードにしてみれば神とも崇めるミリーに直接会話し、ミリー様と呼ぶことを許されたのだ。
神々しく、美しい、あのグレートマムにである。(あくまでブレイド視点)
今日は幸せに浸かっていたかった。
その一点で、ここに来て実に良かった。
すっぽかされた事も全く気にならない。
「ブレイドちょっといいかしら?」
クーンが会話に割って入ってきた。
「なんだ? クーン」
「いくら昔ながらの縁とはいえ、少々失礼じゃない?元、鬼の副長殿」
「ワザワザこんな都市まで呼んでおいて、すっぽかすのは無礼じゃないのか?近衛魔道士殿」
睨み合う2人。
そんな二人を見ていたカリスがミルファにこっそり質問していた。
「あいつ剣武のブレイドだよな?リリーとクーンとは、どういう縁なんだ?それに鬼の副長って?」
エルフであるカリスは元々王家に縁など無かった。
リリー、クーン、ミルファと知り合ったのも『青薔薇の戦乙女』に3人が入ってきてからの付き合いだった為、ブレイドとの関係がわからなかった。
また、リリー達もカリスに気を遣ってカリスがわからないような昔話はしなかったのだ。
「ブレイド様は元近衛騎士団の副長だったお方です。剣を極める為、辞められてしまいましたが」
「まあ、王家の武は 剣じゃなくて拳だからな。そう考えると剣を選んだリリーは珍しいのか」
ここアラバスタル王国は現国王を見てわかる通り、拳闘が王家の武術であった。
「リリーはブレイドの剣技に魅せられて剣士になったのですよ」
ブレイドが討伐専門のパーティー『剣武』を立ち上げたのも、全て剣を極める為だった。
そしてリリーはブレイドに魅せられ、フェルはリリーに魅せられて剣士を志している。
尤もブレイド自身に〝剣を極めたい〟などという夢はすでに無い。
残りの人生はG様に捧げたからだ。
剣に執着しなくなった事でブレイドの剣技は更に向上したのだが、もはやブレイドにとってどうでもいいことだった。
「なるほどな」
カリスも納得したようだ。
「クーンありがとう。でもいいのよ、今回は私に非があるわ」
そう言ってリリーはクーンを宥めた。
全くもってその通りだから、クーンもそれ以上は何も言えなかった。
「ま、すっぽかされた件は怒ってないさ。今日の俺は機嫌がいいんでね。兎も角、明日にしてくれないか?」
「ええ、分かった。一つだけ伝えておくわ。依頼したいのは『G様』に関することよ」
果たしてブレイドの目の色が変わった。
「今すぐ聞こう!なんでも言ってくれ」
「そこなくちゃ、流石ブレイドね」
リリーはこのマジカルワードを持っていたからこその余裕だった。
ブレイドの反応は予想通り。
予想通り過ぎてびっくりである。
クーンもブレイドの変り身の速さに呆れていた。
<あのブレイドがここまでミリーにぞっこんだなんて!>
「お話する前にいいでしょうか?」
「ミルファどうしたの?」
「ブレイド様のお知り合いのドワーフさんは何故泣いているのでしょう?」
「ああ、コイツはな」
ブレイドの言葉を遮ってタルビアが吠える。
「呪いじゃ!恐ろしい呪いを掛けられたんじゃ!お嬢さんヒーラーじゃろ!呪いを解いてくれ!後生じゃ!!」
「まぁ、なんて事でしょう」
その強い言葉にミルファ達は驚くが、ブレイドは哀れむようにタルビアを見ていた。
「ミルファ。お前さんが解呪の奇跡をつかっても無駄だよ」
「何故です?」
「コイツに掛けられたのは、呪いじゃなくて天罰だからな」
「天罰…ですか…」
「コイツは今日の昼間、ミリー様に喧嘩を売ってな。俺がコイツを細切れにしても良かったんだがミリー様は慈悲を下さりコイツに禁酒の奇跡をお授けになったのさ」
「禁酒の奇跡?」
初めて聞く奇跡に驚く一堂だが、ミリーが関わっているならあり得る話ではある。
「ああ、飲もうとしてもお酒が無くなるだけで、コイツにはお酒が入って行かないのさ。ミリー様はもう一生お酒は飲めなくなると言ってたな」
ミルファはタルビアを見つめる。
『真実の目』の奇跡を使った。
この奇跡を使うと、偽りや魔法などを見抜くことが出来る。
以前 オーディションでミリーの変装を見破ったのは、この奇跡を使ったからである。
フェルにかけられた呪いや、ダンジョンにて下層への通路の隠蔽を見抜けなかったのは、ミルファのレベルが低く、レジストされているからである。
もっとも今回のミリーの魔法を見抜くのはレジストされなくても困難だろう。
巧妙に隠蔽されてるからだ。
今、この世界ではタルビアに掛けられた禁酒魔法を解けるのはミリーただ一人だった。
「特に呪いや怪しい所は無いようです。神の戒めであるなら、甘んじてお受けになるしかないでしょう」
「そ、そんな!」
落胆するタルビア。
しかし…
「こ、こうなればヤケじゃ!G様じゃろうがグレートマムじゃろうがあのお子様をぶちのめして解かせてやるわ!」
「あんた。死にたくなかったら止めときな」
カリスがタルビアに釘を差した。
「ふん、エルフには酒を飲めない苦しみが分からんのか!こんな目に合わせてくれた小娘には怒りの鉄拳を叩き込んでくれる!」
「ドワーフさん。貴方が無様にのされるだけだから本当に止めた方がいいわ」
「そうね。勘違いしている様だから言っておくけど、あの子、鉄拳神官コンゴーの直弟子で相当の使い手だから」
「龍殺のルキメデを重装ごと一撃で吹き飛ばしてたね」
「偉大なるグレートマムであらせられるミリー様はSランク相当の戦闘力をお持ちだぞ?それでもやるなら、死んでこい!とだけ言っておく」
クーン、リリー、カリス、ブレイドの順に説明を受け、タルビアはどんどん顔が青くなっていく。
「そんな相手に儂は喧嘩を…儂はどうすればいいんじゃ…」
「一生禁酒だな」
ブレイドがバッサリ切り捨てた。
「そ、そんな…」
項垂れるタルビア。
そんなタルビアとリリー達、あとブレイドの様子を見ている者たちが居た。
タルビアのパーティーメンバー達だ。
「やっと見つけたと思ったらタルちゃんって、『剣武』のブレイドや『青薔薇の戦乙女』の王女様達と知り合いなの?」
「ああ、そうみたいだな。正直俺も混ざりたい」
「気安く話かけれる様な雰囲気でもないですね」
有名人達とお話出来るチャンスだったが3人はその勇気が無かったのだった。
タルビアは無言で項垂れたままだ。
このまま、もう一生お酒を飲めないのなら生きる意味など…
「ミリー様に素直に謝ればいいのですよ。ミリー様は慈愛に満ちた方。きっとお許しになってくれます。このままお酒を飲めないのは嫌でしょう?」
ニッコリと聖女の如き笑顔で諭すミルファにタルビアは女神を見たのだった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
「よし、さて行くか」
これからダンジョン探索である。
モンスターがほとんどいないのなら、お宝をゲットできるチャンスだ。
「私を置いて行くなんてヒドイよ」
背後から投げかけられた突然の非難に驚く!
「ミウリ!」
「ワトルーの考える事なんてすぐ分かるんだから」
「な、なんのこと? ただの散歩だぞ?」
「相変わらず嘘が下手ね。ダンジョンに行くんなら私の勘が役立つわ。さぁ、行きましょ。行かないなら置いてくよ?」
「ちょ、待てよ!ミウリ、さっきダンジョンはダメって言ってただろ?」
「止めても行くんでしょ?なら私が一緒に行かないとじゃない」
すっかり尻に敷かれてしまっているワトルー。
照れ隠しのつもりなのか、
ブツブツいいながらも嬉しそうだった。
ミウリが一緒ならダンジョンもへっちゃらだ。
なんてたってミウリの勘は外れないのだ。
実はすこし心細かったワトルーは
ミウリの参戦を内心喜んだのだった。
二人は都市の外への抜け道を知っていた。
子供ならではのルートだ。
満月の光に照らされ、夜道も明るい。
やがてダンジョンの入り口にたどり着く。
「今なら引き返せるんだぞ?」
「あらワトルー怖いの?」
「馬鹿言うな。ま、ミウリは俺が守ってやるからおとなしく付いてこいよ」
「うん。わかった。ワトルーお願いね」
二人はダンジョンに入っていった。
そして朝になっても戻って来なかった。
リリーの方で呼びつけておいて、すっぽかしたのだ。
ブレイドが多少辛辣になるのは仕方がない事ではある。
「時間に間に合わなくて御免なさい。というかダンジョンに夢中になって、すっかり忘れていたのよ」
と、リリーは言い訳にならない言い訳をした。
「はん、リリーらしい。ま、いいさ」
この女らしい、昔から変わらない。
と、ブレイドは諦めた感じで投げやりに答えるのだった。
「それで、今からでもいいかしら」
「できればもう明日にしてほしい。今日は幸せを噛み締めていたいんでね」
ブレードにしてみれば神とも崇めるミリーに直接会話し、ミリー様と呼ぶことを許されたのだ。
神々しく、美しい、あのグレートマムにである。(あくまでブレイド視点)
今日は幸せに浸かっていたかった。
その一点で、ここに来て実に良かった。
すっぽかされた事も全く気にならない。
「ブレイドちょっといいかしら?」
クーンが会話に割って入ってきた。
「なんだ? クーン」
「いくら昔ながらの縁とはいえ、少々失礼じゃない?元、鬼の副長殿」
「ワザワザこんな都市まで呼んでおいて、すっぽかすのは無礼じゃないのか?近衛魔道士殿」
睨み合う2人。
そんな二人を見ていたカリスがミルファにこっそり質問していた。
「あいつ剣武のブレイドだよな?リリーとクーンとは、どういう縁なんだ?それに鬼の副長って?」
エルフであるカリスは元々王家に縁など無かった。
リリー、クーン、ミルファと知り合ったのも『青薔薇の戦乙女』に3人が入ってきてからの付き合いだった為、ブレイドとの関係がわからなかった。
また、リリー達もカリスに気を遣ってカリスがわからないような昔話はしなかったのだ。
「ブレイド様は元近衛騎士団の副長だったお方です。剣を極める為、辞められてしまいましたが」
「まあ、王家の武は 剣じゃなくて拳だからな。そう考えると剣を選んだリリーは珍しいのか」
ここアラバスタル王国は現国王を見てわかる通り、拳闘が王家の武術であった。
「リリーはブレイドの剣技に魅せられて剣士になったのですよ」
ブレイドが討伐専門のパーティー『剣武』を立ち上げたのも、全て剣を極める為だった。
そしてリリーはブレイドに魅せられ、フェルはリリーに魅せられて剣士を志している。
尤もブレイド自身に〝剣を極めたい〟などという夢はすでに無い。
残りの人生はG様に捧げたからだ。
剣に執着しなくなった事でブレイドの剣技は更に向上したのだが、もはやブレイドにとってどうでもいいことだった。
「なるほどな」
カリスも納得したようだ。
「クーンありがとう。でもいいのよ、今回は私に非があるわ」
そう言ってリリーはクーンを宥めた。
全くもってその通りだから、クーンもそれ以上は何も言えなかった。
「ま、すっぽかされた件は怒ってないさ。今日の俺は機嫌がいいんでね。兎も角、明日にしてくれないか?」
「ええ、分かった。一つだけ伝えておくわ。依頼したいのは『G様』に関することよ」
果たしてブレイドの目の色が変わった。
「今すぐ聞こう!なんでも言ってくれ」
「そこなくちゃ、流石ブレイドね」
リリーはこのマジカルワードを持っていたからこその余裕だった。
ブレイドの反応は予想通り。
予想通り過ぎてびっくりである。
クーンもブレイドの変り身の速さに呆れていた。
<あのブレイドがここまでミリーにぞっこんだなんて!>
「お話する前にいいでしょうか?」
「ミルファどうしたの?」
「ブレイド様のお知り合いのドワーフさんは何故泣いているのでしょう?」
「ああ、コイツはな」
ブレイドの言葉を遮ってタルビアが吠える。
「呪いじゃ!恐ろしい呪いを掛けられたんじゃ!お嬢さんヒーラーじゃろ!呪いを解いてくれ!後生じゃ!!」
「まぁ、なんて事でしょう」
その強い言葉にミルファ達は驚くが、ブレイドは哀れむようにタルビアを見ていた。
「ミルファ。お前さんが解呪の奇跡をつかっても無駄だよ」
「何故です?」
「コイツに掛けられたのは、呪いじゃなくて天罰だからな」
「天罰…ですか…」
「コイツは今日の昼間、ミリー様に喧嘩を売ってな。俺がコイツを細切れにしても良かったんだがミリー様は慈悲を下さりコイツに禁酒の奇跡をお授けになったのさ」
「禁酒の奇跡?」
初めて聞く奇跡に驚く一堂だが、ミリーが関わっているならあり得る話ではある。
「ああ、飲もうとしてもお酒が無くなるだけで、コイツにはお酒が入って行かないのさ。ミリー様はもう一生お酒は飲めなくなると言ってたな」
ミルファはタルビアを見つめる。
『真実の目』の奇跡を使った。
この奇跡を使うと、偽りや魔法などを見抜くことが出来る。
以前 オーディションでミリーの変装を見破ったのは、この奇跡を使ったからである。
フェルにかけられた呪いや、ダンジョンにて下層への通路の隠蔽を見抜けなかったのは、ミルファのレベルが低く、レジストされているからである。
もっとも今回のミリーの魔法を見抜くのはレジストされなくても困難だろう。
巧妙に隠蔽されてるからだ。
今、この世界ではタルビアに掛けられた禁酒魔法を解けるのはミリーただ一人だった。
「特に呪いや怪しい所は無いようです。神の戒めであるなら、甘んじてお受けになるしかないでしょう」
「そ、そんな!」
落胆するタルビア。
しかし…
「こ、こうなればヤケじゃ!G様じゃろうがグレートマムじゃろうがあのお子様をぶちのめして解かせてやるわ!」
「あんた。死にたくなかったら止めときな」
カリスがタルビアに釘を差した。
「ふん、エルフには酒を飲めない苦しみが分からんのか!こんな目に合わせてくれた小娘には怒りの鉄拳を叩き込んでくれる!」
「ドワーフさん。貴方が無様にのされるだけだから本当に止めた方がいいわ」
「そうね。勘違いしている様だから言っておくけど、あの子、鉄拳神官コンゴーの直弟子で相当の使い手だから」
「龍殺のルキメデを重装ごと一撃で吹き飛ばしてたね」
「偉大なるグレートマムであらせられるミリー様はSランク相当の戦闘力をお持ちだぞ?それでもやるなら、死んでこい!とだけ言っておく」
クーン、リリー、カリス、ブレイドの順に説明を受け、タルビアはどんどん顔が青くなっていく。
「そんな相手に儂は喧嘩を…儂はどうすればいいんじゃ…」
「一生禁酒だな」
ブレイドがバッサリ切り捨てた。
「そ、そんな…」
項垂れるタルビア。
そんなタルビアとリリー達、あとブレイドの様子を見ている者たちが居た。
タルビアのパーティーメンバー達だ。
「やっと見つけたと思ったらタルちゃんって、『剣武』のブレイドや『青薔薇の戦乙女』の王女様達と知り合いなの?」
「ああ、そうみたいだな。正直俺も混ざりたい」
「気安く話かけれる様な雰囲気でもないですね」
有名人達とお話出来るチャンスだったが3人はその勇気が無かったのだった。
タルビアは無言で項垂れたままだ。
このまま、もう一生お酒を飲めないのなら生きる意味など…
「ミリー様に素直に謝ればいいのですよ。ミリー様は慈愛に満ちた方。きっとお許しになってくれます。このままお酒を飲めないのは嫌でしょう?」
ニッコリと聖女の如き笑顔で諭すミルファにタルビアは女神を見たのだった。
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「よし、さて行くか」
これからダンジョン探索である。
モンスターがほとんどいないのなら、お宝をゲットできるチャンスだ。
「私を置いて行くなんてヒドイよ」
背後から投げかけられた突然の非難に驚く!
「ミウリ!」
「ワトルーの考える事なんてすぐ分かるんだから」
「な、なんのこと? ただの散歩だぞ?」
「相変わらず嘘が下手ね。ダンジョンに行くんなら私の勘が役立つわ。さぁ、行きましょ。行かないなら置いてくよ?」
「ちょ、待てよ!ミウリ、さっきダンジョンはダメって言ってただろ?」
「止めても行くんでしょ?なら私が一緒に行かないとじゃない」
すっかり尻に敷かれてしまっているワトルー。
照れ隠しのつもりなのか、
ブツブツいいながらも嬉しそうだった。
ミウリが一緒ならダンジョンもへっちゃらだ。
なんてたってミウリの勘は外れないのだ。
実はすこし心細かったワトルーは
ミウリの参戦を内心喜んだのだった。
二人は都市の外への抜け道を知っていた。
子供ならではのルートだ。
満月の光に照らされ、夜道も明るい。
やがてダンジョンの入り口にたどり着く。
「今なら引き返せるんだぞ?」
「あらワトルー怖いの?」
「馬鹿言うな。ま、ミウリは俺が守ってやるからおとなしく付いてこいよ」
「うん。わかった。ワトルーお願いね」
二人はダンジョンに入っていった。
そして朝になっても戻って来なかった。
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