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47話 大賢者である私の出番が最近少ない気がする。やっと出番がきたと思ったらダンジョンにハマる
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「それで、ミリー様に関する話って?」
ブレイドは身を乗り出してリリーの言葉を待った。
大衆酒場から高級酒場の個室に場所を移していた。
今、席についているのはリリーとブレイドだけ。
カリスは個室の入り口にクーンとミルファは個室の左右の部屋にいる。
これはもちろん盗聴対策と警備の為だ。
「ミリーは聖女なの」
リリーは端的に告げる。
が、ブレイドに驚く様子は無かった。
「それはそうだろう。ミリー様の回復の奇跡は何度も頂いている。その凄さも判っているつもりだ。神に愛されていなければ、あれだけの力はあり得ないな」
わかりきった事を言われて少し落胆したような表情を見せるブレイド。
対してリリーはそれも想定内なのだろうか余裕があった。
「ブレイドは他国の聖女様達に会ったことは?」
「無いな」
「そう、私は何人かにお会いしているわ。サンムーン聖王国の王女様にもね」
「魔王を倒した勇者パーティーのヒーラー、ミラ様の直系代々、女児は優れた癒しの力を授かり聖女となる、か。で、それが?」
「会っただけで無く、その奇跡も目の当たりにしたわ。その上で言うけどミリーの奇跡は彼女と比べても破格よ」
「…」
「診療所でミリーが使う回復の奇跡はミルファと同じくらいの回復速度に抑えているのよ。一度にかける人数と発動までの時間は異常だけどね」
「ふむ」
「でも、本気でミリーが回復の奇跡をかけると瞬時に治す。戦闘中に回復させることが出来る程なの。私は一度だけ見ているわ」
「おお! 流石はミリー様だ!」
リリーの話を聞いたブレイドは我が事の様に喜ぶ。
「私は、いえ王家ではミリーは聖女の中でも他の追随を許さない大聖女であると考えています」
リリーの口調は冒険者から王女に変わった。
その変化にブレイドもこれが王家からの依頼であると理解する。
自然に姿勢も正された。
リリー王女は頷いて話を進める。
しかし、王家に伝わる伝承については話す気は無いようだ。
「王家としては彼女を正式に聖女として認定し、いずれは大々的に公表したいと考えています」
「いずれですか」
ブレイドの言葉遣いも冒険者の相手から王女に対してに変わった。
「はい、いずれですね。今、ミリーは自由に動きたいようなので。それで依頼というのは王家としてはミリーの行動を妨げる気はありませんが、何処にいるかだけは把握しておきたいのです。彼女に何かあったら、それは人類の損失になります」
「それは そうです。ミリー様はそれだけのお方だ」
「だから、手を結びませんか?陰ながらミリーを守るために」
「具体的にはどうしようというのです?」
「先程も言いましたが王家としては居場所だけでも把握しておきたいのです。だから、お互いで位置情報の共有をしましょう。どうですか?」
そう言ってリリー王女は魔導ネット端末の宝玉を置いた。
「これは?」
「『グレートマムネット』王国内の冒険者ギルド全支所に配置するミリー情報専用の魔導ネットです。悪用されないため、ギルドと王宮関連施設のみの配置になりますが、あなた方にも利用出来るようにします。ですので、このネットを通じて情報を提供してほしいのです。貴方がたへの報酬として活動資金の定期的な援助の用意もあります」
これだけの設備を整えるのにかかる費用は、莫大なものだろうという事はブレイドも判る。
それは即ち王家がミリーに対し、国家プロジェクトで臨んでいるということ。
リリー王女は言わないが、王家としては政治的にもミリーという大聖女を他国に渡したくはないだろう。
いざとなったらミリーを消そうとするかも知れない。
その時は親衛隊が命に変えても守るつもりだが、魔導ネットで偽情報を流し撹乱する事も出来るだろう。
受ける方がメリットが大きい。
と、ブレイドは判断した。
「個人的にはその申し出をお受けしたいですが、一存では決定しかねます。正式な回答は後日とさせて下さい」
「早めの回答をお願いしたいわ」
「断ることには恐らくならないかと。私の方でも同志を説得しましょう」
「握手はまだ早いでしょうか?」
「それは正式な契約の時にでも」
こうして2人の間で同盟の密約が成り、リリーのミリー監視網が構築されつつあった。
ーーーーーーーーーーーーーーー
朝、タルビアはギルド前に来ていた。
もちろんミリーの許しを乞う為である。
昨日の威勢は無く、げっそりとしている。
ドワーフにとって酒を飲めなくなるというのはそれ程に辛い事だった。
ミリーとタルビアの喧嘩はどっちもどっちであり、喧嘩両成敗になるのが正しい決着というものだろう。
しかしタルビアは反省していた。
ミリーの嫌う言葉を、1度目は兎も角2度目は敢えて言った。
だから、自分が最も嫌がる事をされたのだと。
また、小娘と思って舐めてかかった相手がそれを簡単に出来る能力があり、到底太刀打ち出来ない武力も持ち合わせる格上の相手だったのだ。
己の見る目のなさを恥じていた。
ミリーの怒りを解かなければ、お酒を一生飲めないのだ。
プライドもへったくれもない。
ひたすら土下座して謝るつもりだったが、この日ミリーはギルドに現れなかった。
依頼に関係なくダンジョンに向かったからだった。
タルビアの禁酒はまだ続くようだ。
===============
「おお! ダンジョンだ」
ムッツが興奮して言った。
リッキー、レトリーも目を輝かせている。
そうかー リッキー達はダンジョンは初めてかー。
私は前世でさんざん行ったよ。
ダンジョン攻略は何度もやった。
ダンジョンは不思議がいっぱい。
私がいくら魔力感知でトラップを探そうとも長時間探り続けるのは難しい。
また、物理トラップの方が圧倒的に多いのだ。
私よりムッツの頑張り次第になるね。
頑張るんだぞ。ムッツリ。
するとムッツが私を睨んできた。
あれ、コイツ セバっちゃんの如く思考を読んだ?
「才能はあるようですな。後は努力しだいでしょうか。しかしながらミリー様の思考は読みやすく初心者向けです。と、申し上げておきましょう」
とはセバっちゃんの言。
だからアナタは思考読むのは止めなさい。
乙女の内部の覗くなんで悪趣味だよ?
あと、初心者向けとは何だ!失礼な!
「いえいえ、実に微笑ましいだけですよ」
まったく改心する気が無いようだ。
セバめ今に天罰を食らわしちゃる。
「さあ!入ろう」
リッキーの合図と共にダンジョンに入る私達。
実はジっちゃんの準備がはかどらず、数日かかるようだったので依頼はないけどダンジョンに行くことになったのだった。
ダンジョンに入ってまず私達の目に飛び込んできたのはラビリンス風石組みの通路だった。
何故かぼんやりと明るく、明かりは必要ないようだった。
「これがダンジョンですか。不思議なものですね」
レトリーはダンジョン自体に興味津々の様。
「ほんと不思議だねー」
私も相槌を打つ。
ダンジョンは人の手で作られたものではないとされている。(誰も知らないから。)
私に作れと言われても作ることは出来ない。
不定期に通路が変わり、モンスターや宝が湧いてくる。
誰も仕掛けてないのに罠が張り巡らせてあり、侵入者の行く手を阻む。
侵入者を排除しにかかるくせに呼び込む様な仕様になっているこの謎さ。
ほんと、ダンジョンは不思議がいっぱいなのだ。
ムッツを先頭に進む私達。
今の所徐々に下って行く一本道だ。
後ろを振り返るが外の光はもう見えない。
「お?扉があるぞ?」
一本道の通路の側面にいきなり扉が1つあった。
入らずとも先に進むことは出来る。
しかしどちらがいいのかはわからない。
私達は今のダンジョンの情報を敢えて買わなかったのだ。
(というかパーティーのお金が無かった)
いきなり開けようとするムッツを私は慌てて止める。
「待って!いきなり扉って怪しいよ。罠かもよ」
その言葉にムッツが慌てて扉から離れた。
もう!不用心すぎるぞ。
「『真実の目』を使うからちょっと待って」
「おお!神の奇跡ですね」
「ま、(設定では)ヒーラーだからね」
私は魔力感知を魔道士的に行う。
(本当は魔道士だから)
特に異常は無いようだ。
「よし 入ってみよう」
ムッツがおっかなびっくり扉に手を賭ける。
何も起こらない。
鍵もかかっていないようでユックリと扉を開けていく。
扉の向こうは小部屋で宝箱が一つ置いてある。
宝箱や部屋自体にトラップらしきものは無い、かな?
ダンジョン自体からぼんやりと魔力を感知するため、弱い魔力は感知しにくいのだ。
とりあえず部屋に入ってみる私達。
全員が入ってみたが特に何も起こらない。
宝箱が置いてる。正直怪しさ大爆発だ。
感知はできないが、罠の確立が高い。
流石に全員そう思ったのか手を出そうとはしない。
「えっと、どうしようか?」
リッキーも戸惑っている。
ダンジョン入ってすぐの所にある宝物で誰も開けていない。
うーん。
「折角来たんだ 開けてみようぜ」
ムッツが宝箱に向かう。
「そういえばムッツってレンジャーなんじゃ?鍵あけ出来るの?」
「ああ、サポート的にスキルを持ってるぜ」
「へぇ。やるね」
ムッツが恐る恐る宝箱に触る。
その瞬間、部屋全体が光った。
眩しくて目を開けていられない。
<あ、やべ!これ転移トラップだわ!>
一気に高まる魔力と魔法の発動を感じた。
が時既に遅し、瞬時に発動されたトラップによって私たちは転移済みのようだ。
宝箱がトラップ発動のキーだった模様。
<こんな高度なトラップがいきなりかー!ま、私もトラップの専門家じゃないからなー>
光が収まり、目が慣れてきた。
「みんな大丈夫?」
それぞれ返事をくれた。
全員いるようだ。
改めて場所を確認する。
小部屋のようだ。
先程との違いは宝箱がないことと、部屋の隅で怯える男の子と女の子がいることだった。
ブレイドは身を乗り出してリリーの言葉を待った。
大衆酒場から高級酒場の個室に場所を移していた。
今、席についているのはリリーとブレイドだけ。
カリスは個室の入り口にクーンとミルファは個室の左右の部屋にいる。
これはもちろん盗聴対策と警備の為だ。
「ミリーは聖女なの」
リリーは端的に告げる。
が、ブレイドに驚く様子は無かった。
「それはそうだろう。ミリー様の回復の奇跡は何度も頂いている。その凄さも判っているつもりだ。神に愛されていなければ、あれだけの力はあり得ないな」
わかりきった事を言われて少し落胆したような表情を見せるブレイド。
対してリリーはそれも想定内なのだろうか余裕があった。
「ブレイドは他国の聖女様達に会ったことは?」
「無いな」
「そう、私は何人かにお会いしているわ。サンムーン聖王国の王女様にもね」
「魔王を倒した勇者パーティーのヒーラー、ミラ様の直系代々、女児は優れた癒しの力を授かり聖女となる、か。で、それが?」
「会っただけで無く、その奇跡も目の当たりにしたわ。その上で言うけどミリーの奇跡は彼女と比べても破格よ」
「…」
「診療所でミリーが使う回復の奇跡はミルファと同じくらいの回復速度に抑えているのよ。一度にかける人数と発動までの時間は異常だけどね」
「ふむ」
「でも、本気でミリーが回復の奇跡をかけると瞬時に治す。戦闘中に回復させることが出来る程なの。私は一度だけ見ているわ」
「おお! 流石はミリー様だ!」
リリーの話を聞いたブレイドは我が事の様に喜ぶ。
「私は、いえ王家ではミリーは聖女の中でも他の追随を許さない大聖女であると考えています」
リリーの口調は冒険者から王女に変わった。
その変化にブレイドもこれが王家からの依頼であると理解する。
自然に姿勢も正された。
リリー王女は頷いて話を進める。
しかし、王家に伝わる伝承については話す気は無いようだ。
「王家としては彼女を正式に聖女として認定し、いずれは大々的に公表したいと考えています」
「いずれですか」
ブレイドの言葉遣いも冒険者の相手から王女に対してに変わった。
「はい、いずれですね。今、ミリーは自由に動きたいようなので。それで依頼というのは王家としてはミリーの行動を妨げる気はありませんが、何処にいるかだけは把握しておきたいのです。彼女に何かあったら、それは人類の損失になります」
「それは そうです。ミリー様はそれだけのお方だ」
「だから、手を結びませんか?陰ながらミリーを守るために」
「具体的にはどうしようというのです?」
「先程も言いましたが王家としては居場所だけでも把握しておきたいのです。だから、お互いで位置情報の共有をしましょう。どうですか?」
そう言ってリリー王女は魔導ネット端末の宝玉を置いた。
「これは?」
「『グレートマムネット』王国内の冒険者ギルド全支所に配置するミリー情報専用の魔導ネットです。悪用されないため、ギルドと王宮関連施設のみの配置になりますが、あなた方にも利用出来るようにします。ですので、このネットを通じて情報を提供してほしいのです。貴方がたへの報酬として活動資金の定期的な援助の用意もあります」
これだけの設備を整えるのにかかる費用は、莫大なものだろうという事はブレイドも判る。
それは即ち王家がミリーに対し、国家プロジェクトで臨んでいるということ。
リリー王女は言わないが、王家としては政治的にもミリーという大聖女を他国に渡したくはないだろう。
いざとなったらミリーを消そうとするかも知れない。
その時は親衛隊が命に変えても守るつもりだが、魔導ネットで偽情報を流し撹乱する事も出来るだろう。
受ける方がメリットが大きい。
と、ブレイドは判断した。
「個人的にはその申し出をお受けしたいですが、一存では決定しかねます。正式な回答は後日とさせて下さい」
「早めの回答をお願いしたいわ」
「断ることには恐らくならないかと。私の方でも同志を説得しましょう」
「握手はまだ早いでしょうか?」
「それは正式な契約の時にでも」
こうして2人の間で同盟の密約が成り、リリーのミリー監視網が構築されつつあった。
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朝、タルビアはギルド前に来ていた。
もちろんミリーの許しを乞う為である。
昨日の威勢は無く、げっそりとしている。
ドワーフにとって酒を飲めなくなるというのはそれ程に辛い事だった。
ミリーとタルビアの喧嘩はどっちもどっちであり、喧嘩両成敗になるのが正しい決着というものだろう。
しかしタルビアは反省していた。
ミリーの嫌う言葉を、1度目は兎も角2度目は敢えて言った。
だから、自分が最も嫌がる事をされたのだと。
また、小娘と思って舐めてかかった相手がそれを簡単に出来る能力があり、到底太刀打ち出来ない武力も持ち合わせる格上の相手だったのだ。
己の見る目のなさを恥じていた。
ミリーの怒りを解かなければ、お酒を一生飲めないのだ。
プライドもへったくれもない。
ひたすら土下座して謝るつもりだったが、この日ミリーはギルドに現れなかった。
依頼に関係なくダンジョンに向かったからだった。
タルビアの禁酒はまだ続くようだ。
===============
「おお! ダンジョンだ」
ムッツが興奮して言った。
リッキー、レトリーも目を輝かせている。
そうかー リッキー達はダンジョンは初めてかー。
私は前世でさんざん行ったよ。
ダンジョン攻略は何度もやった。
ダンジョンは不思議がいっぱい。
私がいくら魔力感知でトラップを探そうとも長時間探り続けるのは難しい。
また、物理トラップの方が圧倒的に多いのだ。
私よりムッツの頑張り次第になるね。
頑張るんだぞ。ムッツリ。
するとムッツが私を睨んできた。
あれ、コイツ セバっちゃんの如く思考を読んだ?
「才能はあるようですな。後は努力しだいでしょうか。しかしながらミリー様の思考は読みやすく初心者向けです。と、申し上げておきましょう」
とはセバっちゃんの言。
だからアナタは思考読むのは止めなさい。
乙女の内部の覗くなんで悪趣味だよ?
あと、初心者向けとは何だ!失礼な!
「いえいえ、実に微笑ましいだけですよ」
まったく改心する気が無いようだ。
セバめ今に天罰を食らわしちゃる。
「さあ!入ろう」
リッキーの合図と共にダンジョンに入る私達。
実はジっちゃんの準備がはかどらず、数日かかるようだったので依頼はないけどダンジョンに行くことになったのだった。
ダンジョンに入ってまず私達の目に飛び込んできたのはラビリンス風石組みの通路だった。
何故かぼんやりと明るく、明かりは必要ないようだった。
「これがダンジョンですか。不思議なものですね」
レトリーはダンジョン自体に興味津々の様。
「ほんと不思議だねー」
私も相槌を打つ。
ダンジョンは人の手で作られたものではないとされている。(誰も知らないから。)
私に作れと言われても作ることは出来ない。
不定期に通路が変わり、モンスターや宝が湧いてくる。
誰も仕掛けてないのに罠が張り巡らせてあり、侵入者の行く手を阻む。
侵入者を排除しにかかるくせに呼び込む様な仕様になっているこの謎さ。
ほんと、ダンジョンは不思議がいっぱいなのだ。
ムッツを先頭に進む私達。
今の所徐々に下って行く一本道だ。
後ろを振り返るが外の光はもう見えない。
「お?扉があるぞ?」
一本道の通路の側面にいきなり扉が1つあった。
入らずとも先に進むことは出来る。
しかしどちらがいいのかはわからない。
私達は今のダンジョンの情報を敢えて買わなかったのだ。
(というかパーティーのお金が無かった)
いきなり開けようとするムッツを私は慌てて止める。
「待って!いきなり扉って怪しいよ。罠かもよ」
その言葉にムッツが慌てて扉から離れた。
もう!不用心すぎるぞ。
「『真実の目』を使うからちょっと待って」
「おお!神の奇跡ですね」
「ま、(設定では)ヒーラーだからね」
私は魔力感知を魔道士的に行う。
(本当は魔道士だから)
特に異常は無いようだ。
「よし 入ってみよう」
ムッツがおっかなびっくり扉に手を賭ける。
何も起こらない。
鍵もかかっていないようでユックリと扉を開けていく。
扉の向こうは小部屋で宝箱が一つ置いてある。
宝箱や部屋自体にトラップらしきものは無い、かな?
ダンジョン自体からぼんやりと魔力を感知するため、弱い魔力は感知しにくいのだ。
とりあえず部屋に入ってみる私達。
全員が入ってみたが特に何も起こらない。
宝箱が置いてる。正直怪しさ大爆発だ。
感知はできないが、罠の確立が高い。
流石に全員そう思ったのか手を出そうとはしない。
「えっと、どうしようか?」
リッキーも戸惑っている。
ダンジョン入ってすぐの所にある宝物で誰も開けていない。
うーん。
「折角来たんだ 開けてみようぜ」
ムッツが宝箱に向かう。
「そういえばムッツってレンジャーなんじゃ?鍵あけ出来るの?」
「ああ、サポート的にスキルを持ってるぜ」
「へぇ。やるね」
ムッツが恐る恐る宝箱に触る。
その瞬間、部屋全体が光った。
眩しくて目を開けていられない。
<あ、やべ!これ転移トラップだわ!>
一気に高まる魔力と魔法の発動を感じた。
が時既に遅し、瞬時に発動されたトラップによって私たちは転移済みのようだ。
宝箱がトラップ発動のキーだった模様。
<こんな高度なトラップがいきなりかー!ま、私もトラップの専門家じゃないからなー>
光が収まり、目が慣れてきた。
「みんな大丈夫?」
それぞれ返事をくれた。
全員いるようだ。
改めて場所を確認する。
小部屋のようだ。
先程との違いは宝箱がないことと、部屋の隅で怯える男の子と女の子がいることだった。
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