妹が可愛すぎるので絶対聖女にならせて見せます。

丁太郎。

文字の大きさ
3 / 50

3話 私とアイリの朝

しおりを挟む
 私の可愛い妹のアイリスこと、アイリは今日もとても可愛い。
 アイリも3歳になり、私と会話もできるようになった。
 それがまた可愛い。

 私は起床するとすぐに着替えて、身だしなみを整える。
 メイド達に手伝って貰うことはない。
 理由は簡単。
 手伝って貰うと時間がかかるから。
 アイリに会いに行くのが遅くなってしまう。
 アイリが起きた時、私が側にいないと、アイリは泣いてしまう。
 私の可愛いアイリにそんな思いをさせるなんて、神が許しても私が許さない。
 私にとっても朝食前のアイリとのひと時は、至福の時間でもあるのだ。

 アイリの部屋の入り口にはメイドのヘレンが既に待機している。

「ヘレンお早よう」

 私も既に7歳。
 舌足らずなんてことは既に無い。
 私は小声でヘレン挨拶をした。
 挨拶は人間関係を良好にする基本。

 小声で挨拶したのは、アイリを起こしてしまったら可哀想だから。
 アイリには充分な睡眠が取れるよう自然に目覚めて欲しい。

「お早う御座います。リリー様」

 やはり小声で返すヘレン。

「今日もありがとうね。アイリをお願いね」

 私はヘレンを労う。

「リリー様!」

 声のトーンが上がるヘレンに、シーのジェスチャーをして小声にさせる。
 ヘレンは口を手で塞ぎ小声でに戻した。

「勿体ないお言葉です。誠心誠意努めさせて頂きます」

 ヘレンはアイリ付きメイドになった。
 だから私はヘレンを大事にする。
 残念ながら、私は一日中ずっとアイリと一緒にいることが出来ない。
 アイリが日々、最高の生活を送る為には、彼女の協力が必要不可欠なのだ。
 ちなみに今は私付きのメイドはいない。
 5歳の時、私が強く断ったからである。
 私にもある思惑があるのだけど、それは後日語ることとする。

「アイリが起きたら呼ぶわ」

 とヘレンに伝え部屋に入る。
 アイリはまだ眠っている様だ。
 アイリのベッドの横の椅子を動かし。
 腰を掛ける。
 アイリの寝顔は今日も可愛い。
 抱きしめたくなるのを我慢。
 しばらくアイリの寝顔を楽しんでいたが、そろそろヤツが来る頃だな、と思い出す。

 案の定、音も無く扉が開き、兄様が入ってきた。
 兄様もわかっていて、私と目で挨拶を交わす。無言だ。
 ベッドの元までくると寝顔をうっとりと優しい目で眺め出した。キモい。
 やがて満足した兄様は部屋を出て行く。

 私は兄様を見送るために後に続く、部屋で出て、扉が閉まるなり兄様は私を抱きしめた。

「見送りありがとう。嬉しいな」

 小声で囁かれたが、正直げんなりだ。
 私は好きでこんなことを許している訳ではない。
 全ては、アイリにこのシスコンの害が及ばない様にする為。
 私はアイリが生まれたあの日、守ると誓った。
 だから私が防波堤になるのだ。

「リリーは今日も可愛いな。ずっとこうしていたいよ」

 私を抱きしめている兄様は私の表情は見えていないだろう。
 ヘレンにも見えていないと思う。

「兄様。苦しいわ」

「済まない。でも来年から騎士養成学校に強制入校させられてしまうからね。今のうちに妹分を一杯補給しておきたいんだ」

 そう言って惜しむ様に私を解放する。
 妹分・・・・いつもの事だが、このシスコンからアイリの妹分は吸収させまいと改めて誓うのだった。
 アイリの妹分は私のものだから。

 私は兄様が騎士学校に早く行ってくれないかと思っている。
 そうしたら我が家にも平和がくるだろう。

「兄様なら立派な騎士になれます」

 適当な返事をし、兄を送り出す。

「ふう、冷たい瞳のリリーもイイ!」

 と小声で呟いて兄様は歩きだす。

 マゾか!

 背後ではヘレンが感動している様だ。

「美しい兄妹愛です」

 この子もなんかズレているなと思う。

 実は、私は力を使って兄様のシスコンが無くならないか試したことがある。
 結果は先ほどの通り、全く効果を発揮していない。
 私は力を使って神に問うた。
 夢の中で神は答えてくれた。
 神の答えはこうだ。

『リリエナスタよ、汝の問いに答えよう。ダンベルパワーっぷ!、いや ダンベルハワーのシスコンを消すことはできない。彼のシスコンを消すことは、彼の魂を否定することである。故にその行為に力を貸すことは出来ない。リリエナスタよ受け入れなさい。汝への試練でもある』

 あのシスコンは魂レベルか!
 兄様=シスコン、シスコン=兄様だったのだ。
 兄様はシスコンを体現するために生をうけたのだ。
 全くもって迷惑この上ない。
 つまり、兄様は私の邪魔をする存在。
 ライバルなのだ。

 アイリの部屋に戻るとアイリは頻繁に寝返りしたり、手足を動かしているもののまだ眠っている。
 じきに起きるだろう。
 間に合って良かった。
 私は急ぎ靴を脱いでベッドに上がり、アイリの側に座る。
 しばし眺める。幸せだ。

 やがて、アイリは目を覚ました。
 半身を起こし、背伸びをしながら欠伸をする。
 目を擦りながら周囲を確認。
 私と目が合う。

「おねーちゃま!」

 おねーちゃま。おねーちゃま。おねーちゃま。
 頭の中でリフレインする。
 舌足らずのアイリが可愛すぎて思わず抱きしめてしまう。
 人生最高の瞬間だ。(本日の中で)
 私も妹分を補充しよう。

 抱きしめながら、挨拶をする。

「お早う、アイリ。いい夢は見れた?」

「おはよ。うん。あのね、おにーちゃまとおねーちゃまといっしょだった」

「よかったわね」

 私は満面の笑みを浮かべてアイリの頭を撫でながらも、
<ちっ! 兄様シスコンめ夢の中でも邪魔を>
 と心の中で毒づく。

 私は惜しみながらアイリを離すとアイリを褒める。

「アイリは今日も可愛いわ」

「おねーちゃまもかわいーよ」

 と褒め合う。なんて素晴らしい妹なの?
 全世界の妹を集めて、妹コンテストを開いたら、きっとアイリはクイーンになれるだろう。
 だろうでは無い、なるという確信がある。
 いや、アイリをクイーンに私がしてみせる。

 アイリ=世界一の妹、だ。(うっとり)

 また欠伸をするアイリ。

「まだ眠いのね。まだ寝ていてもいいのよ?」

「んーん。おきる。おきがえ てちゅだって」

「ええ、もちろんよ。お姉ちゃんアイリのお着替え手伝うの大好きよ。一緒に可愛いお洋服選びましょう?」

「うん!」

 私たちは手を繋いで、隣の部屋に向かう。
 寝室から直接出入りできる隣の部屋は、1部屋まるまるウォークインクローゼット。
 私も、アイリも両親から沢山の衣服やアクセサリを贈られている。

 私たち姉妹は今日も仲良くアイリの衣装選びをするのだった。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる

夕立悠理
恋愛
 ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。  しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。  しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。 ※小説家になろう様にも投稿しています ※感想をいただけると、とても嬉しいです ※著作権は放棄してません

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

神託を聞けた姉が聖女に選ばれました。私、女神様自体を見ることが出来るんですけど… (21話完結 作成済み)

京月
恋愛
両親がいない私達姉妹。 生きていくために身を粉にして働く妹マリン。 家事を全て妹の私に押し付けて、村の男の子たちと遊ぶ姉シーナ。 ある日、ゼラス教の大司祭様が我が家を訪ねてきて神託が聞けるかと質問してきた。 姉「あ、私聞けた!これから雨が降るって!!」  司祭「雨が降ってきた……!間違いない!彼女こそが聖女だ!!」 妹「…(このふわふわ浮いている女性誰だろう?)」 ※本日を持ちまして完結とさせていただきます。  更新が出来ない日があったり、時間が不定期など様々なご迷惑をおかけいたしましたが、この作品を読んでくださった皆様には感謝しかございません。  ありがとうございました。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります

cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。 聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。 そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。 村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。 かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。 そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。 やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき—— リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。 理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、 「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、 自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。

処理中です...