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新たな始まり
閑話
しおりを挟む「おあー、今度のイベントの調整が終わんないんすけど!」
「口を動かしてる暇があるなら手を動かせ」
「動かしてますけど、終わりが見えないんすもん。イベントは用意してあったやつそのままぶち込むんじゃなかったんすか?」
「今回のイベントは特別性だからな。以降のアップデートはほぼ手を加えずに使用するから、我慢しろ」
「それにしたって、この仕事量はえぐいっす。マジ無理っす」
「いいから黙って手を動かせ。喋る分の処理能力を作業に回せ。出来ないんならコンピュータに繋いで能力アップしてやろうか? おお?」
「頑張ります。うっす」
「よろしい」
「けど先輩」
「お前もめげない奴だな。なんだ?」
「今回のイベントって、被験者大量に死にません?」
「死ぬな」
「めちゃめちゃ冷静っすね。いいんすか?」
「構わないさ。日常生活時のデータはもう充分取れている。今我々が欲しているのは、危機的状況、絶望的状況に陥った時の思考、そして感情だ」
「なるほど、実験ももう佳境なんすね」
「その通りだ。なんなら、このイベントで全滅してくれたって構わない」
「うわぁ、相変わらず鬼畜っすね」
「なんとでも言え。それに、ずっと楽しみにしてたゲームを使った実験に嬉々として協力しているお前の方だって、同類だろう」
「えへへへ、そんな、照れるっす」
「別に褒めてはいない。それより、そろそろ手を動かせ。分かっているとは思うが、これが終わるまでは泊まり込みだぞ」
「うへぇ、頑張ります」
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