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一学期 三章 球技大会の幕開け
030 放課後の部活で、ちろるは頑張った雪を労う。
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「今日くらい早く帰って休みたいな」
ランニングの最中、月山は俺の横で並走しながら話しかけてきた。
球技大会の後といえど、部活はいつも通りに行われる。二年連中は、今日は一日朝からサッカー漬けということになった。俺を含め、月山も剛田も池上も若干疲れ気味だった。いつもより動きにキレがない。
「球技大会、普通に本気でプレーしちゃったからな。体が重い」
「全くだぜ、最初はやる気ねぇって言ってたのによ。まぁ、普段味方のチームメイトと、ライバル同士で本気で戦うってのも面白かったな」
「……まぁ、確かに」
そこは月山の言う通りである。今日の球技大会で、敵として、月山、剛田、池上、また他のサッカー部連中と向かい合うことで、彼らの個々の力の強さを改めて再認識できた。
彼らが同じチームの味方であると思うと、正直に心強いと思う。今年の三年主体のチームもなかなかだが、来年はそれを超えるチームになりそうだ。
「先輩たちの最後の総体、できるだけ長く、引退させないように頑張りたいな」
強豪校なら、冬の高校サッカーまで三年生は引退しないという学校もある。しかし、多くの学校は夏のインターハイを最後に、三年生は引退ということになる。仮にも進学校である我が校も、夏で三年の先輩たちは引退である。
「そうだな。球技大会の後だけど、頑張るとしますか」
疲れた身体に鞭を入れ、普段通りの練習メニューをこなしていく。
休憩時間、石段に座って休んでいると、サッカー部マネジのちろるがスポドリの入った紙コップを持ってきてくれた。
「先輩。お疲れ様でしたね」
「おう、今日はまぁ……色々とありがとうな」
「いえ……こちらこそ、私のわがまま、聞いてくれてありがとうございました///」
ちろるはそう言いながら、少し頬を染めた。
彼女の言葉のおかげで、俺は球技大会に本気で取り組もうという考えに変わった。その結果、今年の球技大会はとても充実した時間となった。優勝に繋がっただけでなく、その過程で得られたもの……それは確かに、青春という名にふさわしい物の一つであったと思う。
「何だかんだで、結構楽しかったわ」
「そうですか、それは何よりです」
ちろるんはにこっとほほ笑みながら、俺の隣に腰を下ろした。
「あの後、先輩ハットトリック決めたらしいですね」
「ん? あぁ……まぁ、相手のチームにサッカー部いなかったしな」
だが、まぁそれだけではないだろう。
「それに……、可愛い後輩と約束しちゃったからな」
「……。」
雰囲気に流されたのか、我ながらついきざっぽい言葉を言ってしまった。
「おい、そこで黙るなよ。恥ずかしいだろうが」
「……いきなりそんなこと言われたら、ずるいですよ……///」
ちろるは口角がわずかに上がり、顔がにやついてしまっていた。少し下を向いて、表情を整えてからちろるは顔を上げた。
「先輩、大活躍だったから、クラスの女の子から人気出ちゃいそうで心配です」
「はぁ? 小学生じゃねぇんだから。俺はそんなインスタントな恋なんぞ、興味ないよ」
そんな簡単な恋愛は、中学までで俺はもう卒業したのだ。
「そう……ですか」
ちろるは他の部員たちには聞こえないように、俺のそばに近づきながら小声で言った。
「でも、もちろん……。私のは……ほんもの……ですよ///」
「……。」
「……何か言ってくださいよ。超恥ずいじゃないですか」
ちろるは頬を染めながら、不満そうに口を尖らせた。
「おいおい、学校内ではそういうのしないんじゃなかったの?」
「大丈夫ですよ。誰にも聞こえてませんって」
ちろるはそう言うと、ぴょんっと石段を下りていった。
「……っぶねぇ」
俺はちろるが去ったことを確認し、一気に息を吐いた。
……ドキドキした~っ! 何だよ、 学校内では反則だろ? 完全に無防備だったわ。必死に平静を装って、ギリ耐えきったけど、可愛らしく頬染めちゃうところだったわ。俺の台詞にも///ってスラッシュ三本付いちゃうところだったわ。
ランニングの最中、月山は俺の横で並走しながら話しかけてきた。
球技大会の後といえど、部活はいつも通りに行われる。二年連中は、今日は一日朝からサッカー漬けということになった。俺を含め、月山も剛田も池上も若干疲れ気味だった。いつもより動きにキレがない。
「球技大会、普通に本気でプレーしちゃったからな。体が重い」
「全くだぜ、最初はやる気ねぇって言ってたのによ。まぁ、普段味方のチームメイトと、ライバル同士で本気で戦うってのも面白かったな」
「……まぁ、確かに」
そこは月山の言う通りである。今日の球技大会で、敵として、月山、剛田、池上、また他のサッカー部連中と向かい合うことで、彼らの個々の力の強さを改めて再認識できた。
彼らが同じチームの味方であると思うと、正直に心強いと思う。今年の三年主体のチームもなかなかだが、来年はそれを超えるチームになりそうだ。
「先輩たちの最後の総体、できるだけ長く、引退させないように頑張りたいな」
強豪校なら、冬の高校サッカーまで三年生は引退しないという学校もある。しかし、多くの学校は夏のインターハイを最後に、三年生は引退ということになる。仮にも進学校である我が校も、夏で三年の先輩たちは引退である。
「そうだな。球技大会の後だけど、頑張るとしますか」
疲れた身体に鞭を入れ、普段通りの練習メニューをこなしていく。
休憩時間、石段に座って休んでいると、サッカー部マネジのちろるがスポドリの入った紙コップを持ってきてくれた。
「先輩。お疲れ様でしたね」
「おう、今日はまぁ……色々とありがとうな」
「いえ……こちらこそ、私のわがまま、聞いてくれてありがとうございました///」
ちろるはそう言いながら、少し頬を染めた。
彼女の言葉のおかげで、俺は球技大会に本気で取り組もうという考えに変わった。その結果、今年の球技大会はとても充実した時間となった。優勝に繋がっただけでなく、その過程で得られたもの……それは確かに、青春という名にふさわしい物の一つであったと思う。
「何だかんだで、結構楽しかったわ」
「そうですか、それは何よりです」
ちろるんはにこっとほほ笑みながら、俺の隣に腰を下ろした。
「あの後、先輩ハットトリック決めたらしいですね」
「ん? あぁ……まぁ、相手のチームにサッカー部いなかったしな」
だが、まぁそれだけではないだろう。
「それに……、可愛い後輩と約束しちゃったからな」
「……。」
雰囲気に流されたのか、我ながらついきざっぽい言葉を言ってしまった。
「おい、そこで黙るなよ。恥ずかしいだろうが」
「……いきなりそんなこと言われたら、ずるいですよ……///」
ちろるは口角がわずかに上がり、顔がにやついてしまっていた。少し下を向いて、表情を整えてからちろるは顔を上げた。
「先輩、大活躍だったから、クラスの女の子から人気出ちゃいそうで心配です」
「はぁ? 小学生じゃねぇんだから。俺はそんなインスタントな恋なんぞ、興味ないよ」
そんな簡単な恋愛は、中学までで俺はもう卒業したのだ。
「そう……ですか」
ちろるは他の部員たちには聞こえないように、俺のそばに近づきながら小声で言った。
「でも、もちろん……。私のは……ほんもの……ですよ///」
「……。」
「……何か言ってくださいよ。超恥ずいじゃないですか」
ちろるは頬を染めながら、不満そうに口を尖らせた。
「おいおい、学校内ではそういうのしないんじゃなかったの?」
「大丈夫ですよ。誰にも聞こえてませんって」
ちろるはそう言うと、ぴょんっと石段を下りていった。
「……っぶねぇ」
俺はちろるが去ったことを確認し、一気に息を吐いた。
……ドキドキした~っ! 何だよ、 学校内では反則だろ? 完全に無防備だったわ。必死に平静を装って、ギリ耐えきったけど、可愛らしく頬染めちゃうところだったわ。俺の台詞にも///ってスラッシュ三本付いちゃうところだったわ。
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