96 / 121
二学期 三章 青春大運動会
016 自分の道は自分で切り開くのだよっ!
しおりを挟む
その後はというと、三年生の特別種目、『戦 ikusa』というチャンバラの種目が行われたり、最後は全校生徒でマイムマイムを踊ったり、体育祭は賑やかな祭りとして和やかに終了した。
結果は僅差で月山やちろるが属する白組が優勝した。といっても、さすがに高校生にもなると勝ち負けにこだわる者もほとんどみられなかった。
「惜しくも白組に負けちゃったねぇー。」
神崎さんは赤色の鉢巻を解きながら、俺に話しかけてきた。
「そうだね、でも楽しかった。神崎さんは?」
「うん、たのしかったよー!」
ころころと笑う神崎さんは、やっぱり可愛い。汗で髪の毛が少しぺたんとなっているのも可愛い。
「最近も、神崎さんはフルート頑張ってるの?」
「もちろんだよ! 吹奏楽部のみんなにもね、音大受けたいって思ってること言ってみたよ。みんなびっくりしてたみたいだったけどね。」
「そうなんだ。もしかして、今日もレッスン?」
「うん……体育祭疲れたけど、毎日楽器には触らないとね。」
「そっか、偉いね。」
神崎さんは自分の道をはっきり見据え、今もコツコツと努力を続けている。
それに引き換え俺はというと――。
自省的な考えを浮かべていると、神崎さんから思わぬ言葉をかけられた。
「雪くんも、今日たくさん頑張ってたね。」
「えっ? 俺は……何もしてないよ。障害物競争も最下位だったし。」
「そうじゃなくて、これだよこれ~!」
そう言って神崎さんは、今日一日ずっと俺の腕についていた黄色の腕章を指さした。
「記録係お疲れ様! いい写真いっぱい撮れた?」
あぁ、そのことか。
今日一日、姉貴から本来は生徒会の仕事である、記録写真の撮影を頼まれていたのだ。この黄色い腕章は、「変態盗撮魔と間違われないようにつけときなさい」と黄色の腕章を渡されたものである。
「うーん……、どうだろう。でも、みんないい表情だったからね。多分いい写真になってるとは思うよ。」
俺はそう言いながら、首に掛けていたカメラをそっと撫でるように触った。
「そっか、それはよかったよ。このカメラは雪くんの?」
「うん、夏休みの終わりに買ったんだ。」
「そうなんだ~。いいね! 雪くんは将来、写真家になるのかな?」
「えっ? 写真家?」
将来……? 写真家……?
思いがけない言葉に、俺は目を丸くした。そしてしどろもどろに言葉を紡いだ。
「いや、そんな事は……考えたことも……なかったのだけれど……。」
「そうなの? 私はいいと思うけどなぁ。」
そう言って神崎さんは、夕日を背にくるりと回ってほほ笑んだ。
「でも、雪くんの将来だからね。たくさん考えて、自分の道は自分で切り開くのだよっ!」
夕日に向かって手を伸ばす神崎さんを、俺は目を細めながら見つめた。
自分の道――それを決めるのは自分しかいない。
大樹のように枝分かれしている自分の道の中で、どの道を選択するか、その先に何が待っているのか。
たくさん考えて――自分で切り開いていく。
「……うん、その通りだね。大丈夫、よく考えるのは得意だ。」
「えへへ。っじゃあ、私はレッスンがあるから帰るね~。打ち上げ、私の分も楽しんできてね!」
そう言って神崎さんは、早々に荷物をまとめ帰り支度をはじめた。
「うん、頑張ってね。……は? 打ち上げ?」
すっかり忘れていたが、この後はクラスの打ち上げがあるとかなんとか言っていた。
神崎さんもいない打ち上げなんて……。
正直このまま家に帰りたかったが、クラス委員長を筆頭に、球技大会以来よく絡んでくるクラスの男子連中にもやや強引に誘われ、俺も打ち上げに参加することになった。
結果は僅差で月山やちろるが属する白組が優勝した。といっても、さすがに高校生にもなると勝ち負けにこだわる者もほとんどみられなかった。
「惜しくも白組に負けちゃったねぇー。」
神崎さんは赤色の鉢巻を解きながら、俺に話しかけてきた。
「そうだね、でも楽しかった。神崎さんは?」
「うん、たのしかったよー!」
ころころと笑う神崎さんは、やっぱり可愛い。汗で髪の毛が少しぺたんとなっているのも可愛い。
「最近も、神崎さんはフルート頑張ってるの?」
「もちろんだよ! 吹奏楽部のみんなにもね、音大受けたいって思ってること言ってみたよ。みんなびっくりしてたみたいだったけどね。」
「そうなんだ。もしかして、今日もレッスン?」
「うん……体育祭疲れたけど、毎日楽器には触らないとね。」
「そっか、偉いね。」
神崎さんは自分の道をはっきり見据え、今もコツコツと努力を続けている。
それに引き換え俺はというと――。
自省的な考えを浮かべていると、神崎さんから思わぬ言葉をかけられた。
「雪くんも、今日たくさん頑張ってたね。」
「えっ? 俺は……何もしてないよ。障害物競争も最下位だったし。」
「そうじゃなくて、これだよこれ~!」
そう言って神崎さんは、今日一日ずっと俺の腕についていた黄色の腕章を指さした。
「記録係お疲れ様! いい写真いっぱい撮れた?」
あぁ、そのことか。
今日一日、姉貴から本来は生徒会の仕事である、記録写真の撮影を頼まれていたのだ。この黄色い腕章は、「変態盗撮魔と間違われないようにつけときなさい」と黄色の腕章を渡されたものである。
「うーん……、どうだろう。でも、みんないい表情だったからね。多分いい写真になってるとは思うよ。」
俺はそう言いながら、首に掛けていたカメラをそっと撫でるように触った。
「そっか、それはよかったよ。このカメラは雪くんの?」
「うん、夏休みの終わりに買ったんだ。」
「そうなんだ~。いいね! 雪くんは将来、写真家になるのかな?」
「えっ? 写真家?」
将来……? 写真家……?
思いがけない言葉に、俺は目を丸くした。そしてしどろもどろに言葉を紡いだ。
「いや、そんな事は……考えたことも……なかったのだけれど……。」
「そうなの? 私はいいと思うけどなぁ。」
そう言って神崎さんは、夕日を背にくるりと回ってほほ笑んだ。
「でも、雪くんの将来だからね。たくさん考えて、自分の道は自分で切り開くのだよっ!」
夕日に向かって手を伸ばす神崎さんを、俺は目を細めながら見つめた。
自分の道――それを決めるのは自分しかいない。
大樹のように枝分かれしている自分の道の中で、どの道を選択するか、その先に何が待っているのか。
たくさん考えて――自分で切り開いていく。
「……うん、その通りだね。大丈夫、よく考えるのは得意だ。」
「えへへ。っじゃあ、私はレッスンがあるから帰るね~。打ち上げ、私の分も楽しんできてね!」
そう言って神崎さんは、早々に荷物をまとめ帰り支度をはじめた。
「うん、頑張ってね。……は? 打ち上げ?」
すっかり忘れていたが、この後はクラスの打ち上げがあるとかなんとか言っていた。
神崎さんもいない打ち上げなんて……。
正直このまま家に帰りたかったが、クラス委員長を筆頭に、球技大会以来よく絡んでくるクラスの男子連中にもやや強引に誘われ、俺も打ち上げに参加することになった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...
MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。
ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。
さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか?
女子ばっかりの中で孤軍奮闘のユウトくん
菊宮える
恋愛
高校生ユウトが始めたバイト、そこは女子ばかりの一見ハーレム?な店だったが、その中身は男子の思い描くモノとはぜ~んぜん違っていた?? その違いは読んで頂ければ、だんだん判ってきちゃうかもですよ~(*^-^*)
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
貞操逆転世界で出会い系アプリをしたら
普通
恋愛
男性は弱く、女性は強い。この世界ではそれが当たり前。性被害を受けるのは男。そんな世界に生を受けた葉山優は普通に生きてきたが、ある日前世の記憶取り戻す。そこで前世ではこんな風に男女比の偏りもなく、普通に男女が一緒に生活できたことを思い出し、もう一度女性と関わってみようと決意する。
そこで会うのにまだ抵抗がある、優は出会い系アプリを見つける。まずはここでメッセージのやり取りだけでも女性としてから会うことしようと試みるのだった。
この男子校の生徒が自分以外全員男装女子だということを俺だけが知っている
夏見ナイ
恋愛
平凡な俺、相葉祐樹が手にしたのは、ありえないはずの超名門男子校『獅子王院学園』からの合格通知。期待を胸に入学した先は、王子様みたいなイケメンだらけの夢の空間だった!
……はずが、ある夜、同室のクールな完璧王子・橘玲が女の子であるという、学園最大の秘密を知ってしまう。
なんとこの学園、俺以外、全員が“訳アリ”の男装女子だったのだ!
秘密の「共犯者」となった俺は、慣れない男装に悩む彼女たちの唯一の相談相手に。
「祐樹の前でだけは、女の子でいられる……」
クールなイケメンたちの、俺だけに見せる甘々な素顔と猛アプローチにドキドキが止まらない!
秘密だらけで糖度120%の学園ラブコメ、開幕!
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる