お隣りのJKさんと料理下手くされ大学生のお裾分け晩御飯

muku

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022 JK三人組とゆく神戸まつり

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神戸まつりの日は、澄んだ空に太陽がおだやかに輝き、春らしいそよ風が吹く美しい日だった。

この日は、神戸の三宮・元町界隈でたくさんの催しが行われる。

中央通りであるフラワーロードが交通規制され、たくさんの屋台がならんだり、その通りをサンバやよさこいを多くの外国人と日本人が入り混じって踊ったり、日本のジャズ発祥の地である旧外国人居留地の近くでは本場ジャズが聴けるなど、たくさんの異国情緒あるイベントで賑わう。

「すごっ!キレッキレやな。」

「本当だ!超セクシーだ!」

「うわー!可愛いね!!」

フラワーロードのパレードに、女子高生三人娘がわきゃわきゃと騒いでいる。

「神戸まつりは市民参加型のイベントで、市民はもちろん、来場していただいた方々にも大いに楽しんでいただけるような祭りとして、これからも創っていきたいと思います。」

「翔さん、誰に説明してるんですか?」

桃花が不思議そうに翔に尋ねた。

「いや、神戸のよさをアピールしとこうと思ってね。」

「誰にやねん?」

ひょいっと、双子の元気な大阪なまりな方の沙織がのぞき込むように尋ねた。

「他県のみなさまにだよ。」

ステージの上で美女が踊るのを見ながら、翔は答えた。

「そうえば、今日はトミーさんは?」

ゆっくりと、双子の丁寧な言葉遣いをする方である栞が振り返って尋ねた

「誘ったは誘ったんだけど、今日は来なさそうだね。まぁあいつは基本人込みが苦手だからな。」

「そっかー、残念。」

そういいつつも、双子はそこまで気を落としてはいないようだ。パレードに視線を戻した双子は驚きの声をあげた。

「うわっ!?栞、ちょっとあれ見てよ!?なんで夢の国の方々が、こんな大阪に引けを取る地方都市まで!?」

沙織は、東京(正確には千葉)のテーマパークのキャラクターたちの登場に歓喜の声をあげた。

「うわっ!?本当だ…!すごいねっ!世界の人に神戸牛というネーミングでしか知られていない、こんな西洋被れした街になんで!?」

それに気づいた栞も驚きの声をあげる。

「なんだよ。おまえたち神戸のこと嫌いなのかよ?」

「いや、そんなことはないけどな。でも大阪人の私から見たら、ちょっとお高く留まってるような気はしないでもないかな。なぁ栞?」

同意を求める沙織に対して、栞は「いや…。」と否定した。

「うーん、さっきは沙織に乗っかっただけで、古き良き京都人の私からしたら、神戸はおしゃれでかっこいいっていうイメージだよ。」

双子の言葉に、翔はあからさまに首を傾げた。

二人のイントネーションが違うのは前から気づいていたが、顔の似た双子を区別しやすいために、作者が個性付けをはかったのだろうぐらいにしか思わなかった。

「なぁ…、なんで双子なのに…」

そこまで口にした瞬間、“あっ、しまった。”と翔は動揺した。双子なのに幼少期を大阪と京都という、別の地域で過ごしていたということは、何かそれ相応の理由があるはずだ。

「いや、ごめん。何でもない…。」

咄嗟に取り繕おうとしたが、双子に何を尋ねようとしたのか、本人たちには当にばれてしまっているようだった。

「全然気にしなくてもいいんですよ。ねっ沙織!」

「そやで、別に暗い話とかちゃうから。」

二人はその生い立ちを簡単に説明してくれた。

沙織と栞は双子として生まれたが、物心つく前に両親は離婚し、沙織は大阪人の父と大阪で過ごし、栞は京都人の母と京都で過ごした。

小学校に上がった時に双子で生まれたという事実を知った二人は、沙織は栞に会わせてくれと、栞は沙織に会わせてくれと、それぞれが会いたいという気持ちを激しく主張した。

それ以来、彼女たちは家族で顔を合わせる機会が増え、二人が中学生になったとき、やはりもう一度一緒に暮らさないかと、二人の父親が母親に相談した。大阪と京都の間をとり、中学校からは兵庫県の宝塚市で一緒に暮らしているということだ。

「そうなんだ…、教えてくれてありがとう。」

少し申し訳なさそうに翔が言った。

「いやぁ、双子の姉妹がいるって聞いたときは嬉しかったわ。会わせてくれってひたすら親父にだだこねてた。」

「私もお母さんに、会わせてくれないと学校行かないって、低学年の時から登校拒否をちらつかせて説得したな。」

「二人とも、本当に仲がいいんだね。」

翔が言うと、沙織は「当然やろ。」と快活に笑い、栞は「当然です。」とほほ笑んだ。

「今じゃ、桃花も姉妹みたいなもんや。なぁ栞!」

「そうだね!私たち三姉妹だね!」

沙織が栞と桃花の肩に腕を回して、弾けんばかりの笑顔で笑う。その左で栞と桃花も嬉しそうな表情を見せた。

「ふふっ、ありがとう!沙織ちゃん、栞ちゃん!」

仲良さげな三人の幸せそうな表情を見て、翔はふと、彼女たちを写真に残したいと思った。

もっとちゃんとしたカメラを持っていたら…と後悔しながら、スマホのカメラ機能をワンタッチで起動し記念写真を撮った。

「あっ、なに勝手に撮ってんねん!」

沙織は不満を口にしつつも、その表情は嬉しそうだ。

「記念写真だよ。」

翔は笑いながら、もう一枚彼女たちの幸せそうな風景を切り取る。

「綺麗にとってくださいよ。」

栞は日本舞踊を踊るような、よくわからないポーズをとった。

「なんだそのポーズは…。おっ、桃花ちゃんいい笑顔だね!フォトジェニックだよ。」

翔がそういうと、桃花は恥ずかしそうな顔をしてしまった。

写真を撮り終えた後、桃花は「あとで送ってくださいね。」と、またフォトジェニックな可愛らしい笑顔を浮かべた。
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