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027 深夜のJKの部屋を襲う黒い影
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全員の視線が玄関へと向けられる。
「ちょっと、こんな時間に誰やねん!?」
狼狽した様子の沙織が嘆くように言う。桃花も真っ青な顔になって、「まっ、まさか…ゾンビ女!?」と声をあげた。
「流石にそれはないだろうけど…。みんな下がってて。」
こんな時間に尋ねてくるなんて、不審者の可能性も十分に在り得る。翔がそう告げると、“ガチャッ”と玄関の扉が開く音がした。
「えっ、誰か入ってきてない?」
涙を目にいっぱい貯めながら、沙織は呟いた。
「あっ、私…最後扉しめたとき、鍵かけるの忘れてた。」
栞は“しまった…”という表情でつぶやいた。
“何か武器になるものはないだろうか…。”
翔は目についた木製の椅子を両手で持ち、いつでも応戦できるように構えた。
「僕がこれで相手を抑えている間に…、君たちは逃げるんだよ。」
「そんな、それじゃ翔さんが…。」
そう言った桃花の目からは大粒な涙がこぼれていた。
“ギシっ”と音をたてながら、翔たちがいるリビングへと繋がる扉が、ゆっくりと開いた。
そこに立っていたのは翔よりも、一回りがたいのでかい大男が立っていた。しかし、大斧はもちろん持っておらず、男性にしては少し高めの、能天気なアルトボイスが部屋に響き渡った。
「やっほー!いつも元気なトミーさんだよ!!お泊り会楽しんでいるかい!?」
汗ばみながら椅子を強く握っていた手から、一気に力が抜けるのを翔は感じた。
「おや?みんなしてすごい形相で、一体全体何がどうしてこうなってるんだい?」
「いやいやいやっ!こんな時間に、女子高生の一人暮らしの部屋を訪ねてくるやつがあるかっ!?」
そう全力で非難する翔に対し、トミーはきょとんと首をかしげた。
「栞ちゃんから聞いてなかったのかい?僕がくるっていうことを。」
トミーのその言葉に、全員の視線は栞にそそがれた。
「いやぁ、せっかくならサプライズに黙っておこうと思いまして。こんなホラーな感じになるとは…思ってなかったんですけどね。てへっ///」
「てへじゃねーよ!!!」
翔と沙織が全力で突っ込んだ。桃花は腰が向けてしまっているように、その場でへたりと座り込んでいる。
「ごめん、ごめんってば。いやいや、神戸まつりは来れなかったから、せめて晩は来てもらえたらなって思って連絡したんですよ。」
弁明するように栞は言った。
「ちょっと、日中はやること多くてね。でも、栞ちゃんからぜひ来てくれってメールが来たから、せめて夜だけでも顔をだそうと思ってね。翔君家まで近いし、来ちゃいました。」
トミーは「まぁその辺にしておいてあげて」と、栞をかばった。
「今日はバイトでもいれてたのか?」
翔が尋ねると「いや、部屋にいたんだけど、ちょっとやることがあってさ。」とトミーは答えた。今日の日中は、ずっと自室で小説を書いていたのだろうか。
「それはそうと、トミーさん!例のあれは持ってきていただけましたか!?」
栞の問いかけに、「もちろんだとも!」と応じたトミーがカバンから取り出したものは、彼の所蔵する中でも選りすぐったホラーDVDだった。
「もうホラーは十分だよ!!」
栞とトミー以外は全員そう思っていたが、結局大学生二人はトミーの持ってきたビールを飲みながら、高校生三人娘は同じく彼の持ってきたつまみを食べながら鑑賞した。
トミーが来てから二本のホラーを鑑賞し、大学生二人は翔の部屋に帰り、翔は自分のベッド、トミーはこたつで就寝した。
翌日、目が覚めるとトミーの姿はなかった。彼は翔が起きる前に既に帰っていったようだ。
こたつの上にはカリカリに焼かれたベーコンと目玉焼きの入った皿が置かれている。
“朝ごはん作ったよ♡ 愛し愛される男 トミーより”との書置きまで添えられていた。
昨日はほとんど徹夜だったため、昼まで気絶したように爆睡し、気だるい身体のままなんとか目覚め、午後から飲食店のバイトに出向いた。
日曜はやはり客の数が多く、バイトから帰るとそのままベッドに倒れ込んだ。
“急な生活リズムの崩れはやはりよくないな。普通の大学生は平気で徹夜するっていうけど、僕にはあまり向いてないや。”
晩御飯をろくに作る気にもなれず、カップ麺で済まそうかと手を伸ばしたとき、翔のスマホが鳴った。
「ちょっと、こんな時間に誰やねん!?」
狼狽した様子の沙織が嘆くように言う。桃花も真っ青な顔になって、「まっ、まさか…ゾンビ女!?」と声をあげた。
「流石にそれはないだろうけど…。みんな下がってて。」
こんな時間に尋ねてくるなんて、不審者の可能性も十分に在り得る。翔がそう告げると、“ガチャッ”と玄関の扉が開く音がした。
「えっ、誰か入ってきてない?」
涙を目にいっぱい貯めながら、沙織は呟いた。
「あっ、私…最後扉しめたとき、鍵かけるの忘れてた。」
栞は“しまった…”という表情でつぶやいた。
“何か武器になるものはないだろうか…。”
翔は目についた木製の椅子を両手で持ち、いつでも応戦できるように構えた。
「僕がこれで相手を抑えている間に…、君たちは逃げるんだよ。」
「そんな、それじゃ翔さんが…。」
そう言った桃花の目からは大粒な涙がこぼれていた。
“ギシっ”と音をたてながら、翔たちがいるリビングへと繋がる扉が、ゆっくりと開いた。
そこに立っていたのは翔よりも、一回りがたいのでかい大男が立っていた。しかし、大斧はもちろん持っておらず、男性にしては少し高めの、能天気なアルトボイスが部屋に響き渡った。
「やっほー!いつも元気なトミーさんだよ!!お泊り会楽しんでいるかい!?」
汗ばみながら椅子を強く握っていた手から、一気に力が抜けるのを翔は感じた。
「おや?みんなしてすごい形相で、一体全体何がどうしてこうなってるんだい?」
「いやいやいやっ!こんな時間に、女子高生の一人暮らしの部屋を訪ねてくるやつがあるかっ!?」
そう全力で非難する翔に対し、トミーはきょとんと首をかしげた。
「栞ちゃんから聞いてなかったのかい?僕がくるっていうことを。」
トミーのその言葉に、全員の視線は栞にそそがれた。
「いやぁ、せっかくならサプライズに黙っておこうと思いまして。こんなホラーな感じになるとは…思ってなかったんですけどね。てへっ///」
「てへじゃねーよ!!!」
翔と沙織が全力で突っ込んだ。桃花は腰が向けてしまっているように、その場でへたりと座り込んでいる。
「ごめん、ごめんってば。いやいや、神戸まつりは来れなかったから、せめて晩は来てもらえたらなって思って連絡したんですよ。」
弁明するように栞は言った。
「ちょっと、日中はやること多くてね。でも、栞ちゃんからぜひ来てくれってメールが来たから、せめて夜だけでも顔をだそうと思ってね。翔君家まで近いし、来ちゃいました。」
トミーは「まぁその辺にしておいてあげて」と、栞をかばった。
「今日はバイトでもいれてたのか?」
翔が尋ねると「いや、部屋にいたんだけど、ちょっとやることがあってさ。」とトミーは答えた。今日の日中は、ずっと自室で小説を書いていたのだろうか。
「それはそうと、トミーさん!例のあれは持ってきていただけましたか!?」
栞の問いかけに、「もちろんだとも!」と応じたトミーがカバンから取り出したものは、彼の所蔵する中でも選りすぐったホラーDVDだった。
「もうホラーは十分だよ!!」
栞とトミー以外は全員そう思っていたが、結局大学生二人はトミーの持ってきたビールを飲みながら、高校生三人娘は同じく彼の持ってきたつまみを食べながら鑑賞した。
トミーが来てから二本のホラーを鑑賞し、大学生二人は翔の部屋に帰り、翔は自分のベッド、トミーはこたつで就寝した。
翌日、目が覚めるとトミーの姿はなかった。彼は翔が起きる前に既に帰っていったようだ。
こたつの上にはカリカリに焼かれたベーコンと目玉焼きの入った皿が置かれている。
“朝ごはん作ったよ♡ 愛し愛される男 トミーより”との書置きまで添えられていた。
昨日はほとんど徹夜だったため、昼まで気絶したように爆睡し、気だるい身体のままなんとか目覚め、午後から飲食店のバイトに出向いた。
日曜はやはり客の数が多く、バイトから帰るとそのままベッドに倒れ込んだ。
“急な生活リズムの崩れはやはりよくないな。普通の大学生は平気で徹夜するっていうけど、僕にはあまり向いてないや。”
晩御飯をろくに作る気にもなれず、カップ麺で済まそうかと手を伸ばしたとき、翔のスマホが鳴った。
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