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034 JD(女子大生)とJK(女子高生)
しおりを挟む「午後の4限目の授業ってすごく卑屈に感じるよ。」
「まぁあと一コマだろ、頑張って受けて来いよ。」
肩を落としながら講義へ向かうトミーを見送って、翔は食堂へと向かった。食堂内はかなり落ち着いており、厨房内のおじさん、おばさん達も奥の方で談笑している。
セルフサービスのお茶を汲もうと、厨房の近くを通ると、ケバケバした化粧の派手な恰好をした女子大学生が、カウンター越しに桃花と話しているのが見えた。染めてから時が経ったらしい茶色く濁った金髪は、根元から黒い地毛が伸びてきている。
その女子大学生は見知った顔だった。
学部は違うものの、同じ教育系の免許を取得することでしばしば同じ講義をとっている。カスミという名前の女性で、何度か同じグループで課題の発表をしたり、授業研究をしたりしたことがある。
しかし、どうして彼女が桃花と話しているのだろう。カスミは少し機嫌が悪そうな表情で話し、それにどこか桃花の表情は沈んでいる。
「おっ、カスミじゃん。何してんの?」
翔が後ろから声をかけると、あまり趣味がいいとは言えない長い金髪を揺らして、カスミは驚くように振り返った。
「えっ、翔!?びっくりしたっ!」
「なんかあったの?」
カスミは定食のプレートを、ほとんど箸をつけずに持ったまま、桃花に何かを訴えていたようだった。
「いや、ちょっと…。定食の中に髪の毛が入ってたから。新しいのに取り換えてもらおうかなって…。」
カスミは少し気前が悪そうに、しどろもどろに答えた。
「ふーん。それでこんな可愛らしい女の子を苛めてたんだ。」
翔がからかうようにいうと、「そんなことないわよっ!」とカスミは頬を染めて抗議した。
「おじさーんっ!ちょっとこっち来てよー。」
翔が談笑に夢中になっている厨房のおじさんを呼んで事情を説明すると、気前よく新しい定職に取り換えてくれた。その後、翔はカスミに対して、桃花は調理科に通うまだ高校一年生の実習生であることを説明した。
「ありがとう。ごめんね、今少し気がたってて…。ちょっと言葉きつくなっちゃったかも。実習生の子だったんだね。ほんとごめん!」
定食を取り換えてもらったあと、カスミは桃花に対して頭を下げて謝っていた。
「いえ、こちらの不手際ですし…。こちらこそすみません。」
それに対して桃花も頭を下げていた。
「まぁまぁ、カスミも機嫌悪いなんてどうしたの?彼氏にでも振られたとか?」
“ビシッ”と割りばしが折れる音が聞こえ、カスミは無言で取り換えてもらった定食を持って食堂の奥の方へと消えていった。
「あちゃ、図星だったのかな…。」
翔は頭を掻きながら、スタスタと歩き去るカスミの後ろ姿を眺めていた。
「翔さん、すみません。助けていただいちゃって。」
桃花は深々と翔に頭を下げた。
「いやいや、何もしてないさ。それより、また“すみません”って言ってるよ。」
「あっ、ごめんなさい。」
あたふたしている桃花を見て、翔はふっと笑みがこぼれた。それを見て桃花の表情も笑顔にかわった。
「トミーも4限が終わったら来ると思うよ。よかったら三人で一緒に帰ろうか。」
「はいっ、ありがとうございます。」
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