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誤算
しおりを挟むみんなの言葉が、どこか大袈裟だと思っていた。
まさか本当に殴り込みに来るとは思わなかった。
ベオクの話しを聞いた晩、僕は両親をそこに居させるのは危ないと言う、ギルバルディや第四王子の言葉に従って、こちらの屋敷に移らせて、実家には代理の人形を置いておいた。
人形の目を耳を通して状況を把握出来る様にする為に、こちらには魔法石を通して映画のように映し出せるように細工をして待ち構えた。
この人形を置いておく事を推奨したのはギルバルディで、他の二人も警護と称して屋敷に詰めてくれる事になった。
でも、三人ともどこか悪ガキみたいな表情でワクワクしてます感が。
「お父さんとお母さんは休んで。
大丈夫だよ、本気で僕らに何かしようなんて思わないよ」
「でも、シアン」
「私たちがついてますから、安心してください。
エルモアもお腹の子の為に休みなさい」
ギルバルディに促されて、僕たちは寝室へと向かった。
それは夜更けに起こった。
「何をするんだ!!」
突然聞こえてきた音声と同時に、鮮やかな映像が映し出された。
すると魔石を埋め込んだ両親人形が、ちょうど良い演技をしてくれている所だった。
三人が詰めていたリビングで、大音量で流していたから、眠れずにいた僕も両親もそこへ集まり、見入ってしまった。
「代筆屋如きが、私に逆らうか!
二度と商売も息子にも会えなくしてやろう!
ベオクだけが不幸になるなんて、おかしいだろ!」
「そうですな、ベオク殿が治癒すればうちのソリチュアが産んだ子も、認めると言っているのだから、誰も損をしないではないか。
そちらも、脱税だのと言われないですむ」
難癖をつけていると言うのか?
理論も何も無かった。
そもそも、だ。
脱税もでっち上げだし、帝都経理部には相談済みで、ベオクの負傷も自業自得で治癒しようが何をしようが、軍法会議にかけられる事が決まってるのに、不幸も無いだろう。
明らかに領主が引き連れて来た護衛という名のチンピラみたいな連中が、父親人形と母親人形を押さえつけていた。
「うちのシアンだけが損をするのはおかしくありませんか?」
果敢に父親人形がそう言うと、母親人形が誰も損をしないのでは無く、あなた方だけが都合良くなる話しでしょう、と睨んだ。
「私は領主だ。
領民は主に従うべきだろ。
お前たちなどどうにでも出来るんだぞ?
早く息子に連絡を取り給え。
そして、魔法管理部に行かせて、金色の魔法使い様に治癒をしてもらうようにしなさい。
下手な事をすれば、親の首は無い、とな」
立派な脅迫だ。
それをはっきりと拒む言葉を出した父親人形に、ベオクの父親はその押さえつけていた肩を脱臼させた。
「ぐあっ!」
人形だからとは言え痛覚は無いはずなのに、本当に演技なのか?
「シアンを危険に晒すはずないだろう!!
私たちは親だ!
子供の成長と幸せ、そして彼が間違った方向へ行かないように導く役目がある!
あなた方は、それでも人の親か!!」
あれ? 人形がここまで感情や言葉を出せる?
そういえば、視点が違う。
なんでこの映像は全体が映っているんだ?
この時違和感を覚えたのは、観ていた全員だった。
いや、両親以外だ。
視線を傍に立つ両親に向けると、表情の無い人形が二体立っていた。
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