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異世界家族
43シムラクルム編
しおりを挟む「待って、お願い待っ!!」
踵を返し店から出ていくシムラクルムをラエヴが追いかけようとして、アウィスが先に走り出した。
「何?
私にもう用はないけど」
足を止めただけで、振り向きもせず答えた。
「兄さんを責めないで!
ボクが、間違ってたんだ。
答えは出ていたのに、しつこく縋ったから…
だから!」
「で、だから?
もう、私は醒めたと言った。」
「嘘だ!
兄さんのの為にそう言ってるって分かるから!」
アウィスがシムラクルムの袖を掴んで引き止めた。
「ごめんなさい!
ごめん!
兄さん、ごめん!
決して兄さんが画策したことじゃないんだ!
ボクが、しでかしたことに、兄さんが怒らなかっただけなんだよ!
善神だったのは兄さんで、邪神だったのはボク、だ」
シムラクルムも知らない事実だった。
邪神だと告げたのはラエヴ自身で、アウィスが善神だと告げたのもラエヴだった。
「どう、いうこと?」
「善神なのはラエヴ兄さんで、邪神なのはボク。
世界を作って、人が持つ心の闇から生まれたのはボクなんだ」
シムラクルムは今までエセっぽい態度のラエヴにイライラすることもあったが、大抵は喧嘩友達でいられた。
邪神だと思うからこそ言えることもあった。
笑い飛ばして小さいことだと言われると、自分もそうだと納得したりもした。
邪神だからわざと悪く言ってシムラクルムの心を軽くさせるように、お前は悪くないと言われてるような気さえした。
甘やかされていた、と初めて気づいた。
「ラエヴ?
お前が善神だったのか」
「そうだ、でも大した問題じゃない」
「兄さん!
そんな風に言ったらだめだ
シムラクルム!
兄さんはそんな人じゃないんだ!」
アウィスが否定する。
「私は、ただ、シムラクルムが欲しい
それだけだ。
騙したと言われればそれまでだが、
欲しいものは何一つ変わってない。
だから、私を欲しがって欲しかった。」
ラエヴの答えが普通なら引いてしまう様な言葉を吐いても、シムラクルムにはあまり届いていなかった。
「シムラクルムは兄さんが好きでしょ?!
ボクは憎まれても、嫌われてもいいから、ちゃんと兄さんと向き合ってあげて!
反対して嫌がらせしたボクの言葉なんか嫌だと思うけど!
おねが、い
兄さんは、シムラクルムが、
だい、すき、なんだ、よ」
ごめん、泣き落としなんかじゃないからとアウィスが付け加えた。
「ラエヴが善神で、アウィスが邪神?
私はラエヴが、好き、なのか?」
自問自答を壊れた何かの様に繰り返すシムラクルムをラエヴはキツく抱きしめて、愛している、だだそれだけだと言い聞かせた。
「私は」
「愛してくれるだろ?」
涙が一筋流れ落ちた。
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