俺と俺の天使と俺の上司

ビーバー父さん

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天界よいとこ一度はおいで

人の口ならぬ、天使の口に戸は無かった

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下級天使たちも俺がカミツキガメ上司に嫌われてると言うか、変な情報で最初から評価がダダ下がりなのは仕方ないとして、遊び人とか弄んで捨てたとか、お金にだらしないとか、酷い嘘が実しやかに流されてるのはなんでだろう?

「いずみん、これ、ちゃんと報告した方が良いんじゃね?」

「言っても、無駄なんで諦めてます。
 俺だけならまだいいんだけど、もし他の誰かに影響出るなら許しませんけどね。」

そう言えば吉田くん、チャラい感じに見えるけど、必ず俺の言葉を聞いてくれるんだ。
興味本位かもしれないけど、これだけ考えられる人が、この現場ってちょっと府に落ちない。

「吉田くん、もしかして誰かに頼まれて話聞いてくれてるのかな?」

「ありゃ、いずみん、賢いじゃん
 おっかしいなー、
 話が大分違うんだよねー
 ウリ坊に限って無いな。
 でも、これだけは事実だしなー」

吉田くん、ウリ坊見たことあるんだ。

「吉田くん、ウリ坊見たんだ。
 ここでまだ見た事ないんだけどさ。
 見たらあの、面倒くさい子に教えてやってよ。
 俺飼育係になる気はないからさ、安心しろって。
 少しは嫌がらせ減って欲しいよ」


そして、昼時に来たカミツキガメ上司は、俺が家畜を虐待してると言い出した。

何をどう見たら、虐待なんだよ?

「お言葉ですが、虐待なんかしてませんよ
 何を虐待したって言うんですか?」

「鶏たちだ。
 足元にいるのを蹴ったと聞いておる」

「はあ?
 足元にキホ達が」
「何度も蹴っているのを見てる者たちがおる!!」

「誰がですか?
 誰が言ってるんですか?」

「ハルカやその時いたハルカのグループだ」

「あぁ、そうか。」

懐かれて足元に群がれば、歩く時に当たるし、蹴つまずく事もある。
しかも、こんなにいる鶏たちが集まって来れば、身動きも出来ないさ。
摺り足で動いても多少は当たる。
このカミツキガメ上司は動物の世話なんかした事もないんだな。
そりゃそうか、大天使様だもんな。
生まれた時から大天使様じゃ、物事の成り立ちなんざ関係ないのかもな。

天使が優しいなんて、どこにも書いてないし、どっちかと言えば冷酷とも思える事の方が多い。

守護天使なんて言うから、夢見ちゃうんだよな。

「分かりました。
 罰として何をすればよいでしょうか?」

「これからは、一人で鶏の世話をし、謝り続けなさい。」

「分かりました。」

キホ達になら謝り続けられる。
それに、こいつらの世話は楽しいしな。

「鶏たちを今夜の食材に持って行く
 しかしながら、今夜の夕食は君のせいで皆が悲しい気持ちで摂ることになるな」

「何故ですか?」

「きちんと世話をする事でこの鶏達も、家畜は美味しくなる。
 それなのに君が虐待したせいで、硬く臭い物に変わってしまった。
 この天界全てに謝罪しなさい」

「な!
 分かりました。」

理不尽だ。
ここも会社みたいに理不尽な上司に、理不尽な事を押し付けられるんだ。

そしてまた、昼を食いっぱぐれたのは言うまでもない。
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