俺と俺の天使と俺の上司

ビーバー父さん

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天界よいとこ一度はおいで

赤い翼

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赤い翼を隠す様に、大きい白い翼を広げた。肩甲骨から生えた一番大きい白い翼と、そのすぐ下から生えた赤い小さめな翼。
腰あたりから尾羽の様に生えた翼の6枚が、俺の翼だった。

ちゃんと神経も繋がっているらしく、全部が自在に動かせた。

「イズくん
 翼の色だけど、何にも問題なかったよ
 むしろ、神力が凄いくらいで
 胸を張っていい。
 それに、君は翼を仕舞えるようだし。」

ウリエルをラファエルは帰し、俺にだけ話した。
神力が強くでも、彼らにとって異端は異端でしかない。
綺麗な異端なら赦せたのだろうが、赤い翼は恐怖ですらあったのだろう。

「頂いてたお仕事を、そのまま継続できますね。」

にっこり、笑ったつもりだった。

本当は気味が悪いだろうに。
ラファエルはそれ以上の言葉を出さなかった。
翼が生えるまでは周りが優しくしてくれていたのに、赤い翼や6枚持ちとなったら、寄って来なくなった。
正直なこった。

綺麗や可愛いから、寄っていじってその周りにいる優越感とかなんだろう。
逆に前例のない赤い翼に6枚持ちは畏怖、もしくは嫌悪なのだろう。

記憶にある人生の中でも、覚えがなくは無い。
親からの暴力で、顔が腫れたり傷がついてたりしたのを見た連中は遠巻きにした。
ヒソヒソと喋り、汚いものでも見るように目を背けた。

「ラファエル様
 色々ありがとうございました。
 帰りますね」

翼が生えきった事で傷もいきなり修復され、痛みがなくなった。

俺に病院が必要ないように、この天界には異端な天使も必要ないんだ。

「お元気で」

そう挨拶を交わして、生まれて初めて自分の翼で飛んだ。

次元の違う天界から、人の世界に跳ぶために歪みをみつけ、まるで堕天する様に飛び出した。
まあ、パスポートのない出国みたいなもんだな。
大天使なら人間を装って地上に降りる事もできるし、目眩し的な力もある。

人間に紛れて生きよう。

ウリエルに好きと言えた事、好きと返してもらった事で、十分だと言い聞かせた。





生き方を知っている。
人間だったから、都会の深夜は隠れて生きるのに適していた。

個人経営の店なんかは結構融通がきくから、辻褄を合わせるのに、大したことは無かった。
このアッシュブルーが目立たない国を選んで、納税者になるようにそこは力で改竄やら色々させて貰った。

北欧地方にも住んだ。
色んな意味で優しい人がいたが、やはり日本が一番良かった。

外国人としてちゃんと手続きを踏んだ。

そして、バーレスクみたいなとこで、働き始めた。
外国人ダンサーとして。



それは、天界を出てわずか一年の事だった。

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