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子供魔法
しおりを挟む俺の魔力が銀色だと判明してから、魔法管理部のギルバルディさんが、あ、ギルバルディ様が、俺に制御方法とか子供でも大丈夫なら魔法を教えてくれる事になったのは、二歳になる頃だった。
「母様、母様!
俺ね」
「こーら、リュシアン、言葉遣い!」
う、この世界の俺は一応皇族に連なる血筋って事で、礼儀作法を何かにつけて教えられていた。
「うー、だって!」
「リュシアンは出来るよね?」
中身が二十代とバレてたら、子供だからで済まされないのが辛いところだ。
「はい、母様。
僕、今日ね、ギルバルディ様に教えてもらった魔法がありましゅ」
噛んだ。
「リュシアンの体はまだ二歳だもんね。
もうちょっとしたらちゃんと喋れるから、拗ねない」
母様は僕を大人として扱ってくれる時と、子供として甘やかしてくれる時が絶妙で、この人が母で良かったと毎回思うんだ。
「魔法ね、母様のお手伝いが出来る魔法なの」
「え、どんな? 見せて見せて」
にこにこと笑って食いついてくれると、なんだか凄く嬉しくて張り切って見せたくなった。
「えっと、これでしゅ」
あ、また噛んだ。
ギルバルディ様はイメージ力って言ってたから、いつも普通に自分で洗濯とかする母様の為に、洗濯機をイメージして洗うだけじゃなくドラム式洗濯乾燥機を作り上げた。
ギルバルディ様からは洗う水の魔法を習ったけど、イメージだけで良いなら全自動洗濯機だって同じだろ、と思ってやったら作れちゃった。
「リュシアン! 体は大丈夫!?」
「何とも、ない」
「あのね、リュシアンの体はまだ子供だから、魔力をたくさん使う様な魔法はダメだって言われたよね?」
「でも、大丈夫だもん。
母様を楽させてあげたかったの」
「ギルバルディ様は、して良いって言った?」
「……、言ってない」
「リュシアンの魔力も魔力量も桁外れだから、子供の体では耐えられないって言ったよね?」
「でも、使えたもん」
「使えるのと、使って良いのではちがうでしょ?」
本当は少し、反動が来てた。
急な発熱に一気に体温が上がって行く怠さと痛みに体が悲鳴を上げ始めた。
「リュシアン!!」
震えて倒れそうになった時、父様がどこからか走って来て、抱き止めてくれた。
「魔力循環をする!」
父様は僕の手を掴むと、慣れた様子で僕の魔力と繋がった。
「リュシアン、母様は怒ってるよ、分かるよね?」
今までこんな風に怒られた事無かった。
「リュシアン、魔力をこんな風に使ったらダメだよ。
母様だって心配するし、魔力が循環出来ずに熱を出すだけならまだしも、そのまま、一生、魔法を使えなくなるかもしれないんだ」
そんなの聞いてなかった。
聞いてないから悪くないじゃない事も僕は理解できた。
それなのに、子供みたいにやってしまったんだ。
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