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僕は魔法使い
しおりを挟む「あの令嬢、鍛えられていた。
間違いなく、公国の駒だろう」
「どうして?」
「侍従を連れているのに、庇う事もしなかった。
主従関係が悪いとしても、人前で庇いもしなければ、後で言及され処罰があるかも知れないのに、何もしなかった」
確かに全く動きもせず、声すらかけていない。
「それに加減はしたが、微妙に力を逃して当たりを逸らされた。
分からない僅かなタイミングで先に叩かれる方向から首を回していた」
コントでやるみたいな?
「令嬢には無理だね」
「怪しまれない様に、最後は当たっていたが、訓練された者の動きだ」
彼女が夜来るのだろうか。
「来るのかな」
「来るだろうな」
「うひゃ」
陛下に最後ご挨拶をして、皇宮から帰るのを見送ると言われて断る理由もないので、一応対外的には帰宅するので、馬車を用意して乗り込もうとしていた。
「では、近いうちに遊びに行くので、リュリュたん、待っててね!」
チュッチュしようとして、皇帝陛下はグランから頭を押さえつけられていた。
「リュシアンが病気になるからやめて下さい」
「お前っ!
私は皇帝だぞ!」
「ええ、その前に私の父ですが?」
仲良い親子で羨ましいなぁ。
僕の今の親も優しくて厳しいけど、とても可愛がって貰ってる、自慢の両親だけどグランも仲の良い家族だと思うと、それが嬉しかった。
「先に僕の両親が帰ってますから、そろそろこれで。
ありがとうございました。
是非、遊びに」
「来なくて良いです。
父上も母上も暇はないでしょう」
リュシアンをガードしながら、攻防を繰り広げてるし。
「あ、それとな、つい先程バルトが帰還すると連絡があった。
近いうちに場を設けよう」
「三の兄上が戻られるんですね、良かった」
第一王子の部屋で出した魔法鳥が届いたと言う証拠だった。
確実に追い込む準備が整って来ているのが分かり、グランは目の奥を光らせた笑いを見せていた。
「これで、失礼します」
「では、リュシアンもバイバイしようね」
中身二十代の子にさせるのはちょっと可哀想だけど、協力してもらった。
「うひゃ」
「バイバーイ」
リュシアンの手を持って、バイバーイって振ると両陛下は嬉しさ半分、寂しさ半分で涙を浮かべていた。
世の中のおじいちゃん、おばあちゃんもこんな? なのかな。
「リュリュたん、すぐまた会えるからね」
「ばあばだけは直ぐにでも会いに行くからね」
「あははは~……」
グランが言った通りになりそう。
「あれは明日の朝にいるな、絶対」
「かも」
実はうちの屋敷の扉がゲートになってる事は陛下たちに教えていない。
しかも行き先自由な扉。
僕の魔法の力を皇室は何も言わないし、本当に金色の魔法使いとしては何も求めていないみたいだった。
だから忘れがちだけど、金色の重みを思い出す。
第一王子の首を絞める犯人を絶対に捕まえてみせる。
「犯人、捕まえるからね」
「危なくなる前に私が捕まえるよ」
馬車は皇宮の門を超えるとゲートに入り、屋敷の馬車寄せに到着した。
「ご苦労様でした。
皇宮まで気をつけて戻って下さい」
御者は無言で頭を下げて戻っていった。
部屋へ帰ると、両親が待っていて、僕らが帰ったのを確認すると、中の扉を通って帰って行った。
「お義母様にも、お義父様にも心配をかけてしまったな」
「ううん、大丈夫だよ。
お義父上やお義母上には、テオドア兄様が回復した事、報告がされてるんだよね?」
「いや、してないよ」
「え?! どうして!」
「リュシアンにベタベタするから」
いやいやいやいや、そこは寛大になろうよ。
あんなに可愛がってくれてるんだし。
「グランて、僕とリュシアンの事になると、どうにもならないねー」
「私の大事な家族だからね」
僕が抱いていたリュシアンをベビーベッドに下ろすと、グレンは抱きしめてキスをしてくれた。
「今夜、期待してたんだけど
早く片付けてシアンを抱きたい」
キスをしながら、良い声で囁かれて尾骶骨辺りがモジモジしちゃいました。
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