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崖少女
エピローグ
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「なんで、ガーシゃがお風呂になんかはいってるんだよ? 妖怪だから体汚れないって言ってたじゃん」
僕は殴打され青あざがついた頬を撫でながら文句を言った。
「風呂は心の洗濯じゃ」
「なにもっともらしいこと言って」
「優希! ガーシャちゃんは女の子なんだからお風呂だって入るのよ」
「母さん、それ人間じゃないよ」
「女の子にはかわりないのですよ。はい、今日はハンバーグです」
母さんはそう言って盛りつけた夕食を机の上に置いた。しっかり三人分用意してある。
「おお、なんとも旨そうな薫りじゃ。妾は腹ペコで動けんぞ」
「妖怪はお腹すかないだろ」
「気分じゃ。優希よ、あまり無粋なことをいういうでない」
ガーシャは そう言って箸で分けたハンバーグを口に運ぶ。
「んー♪ 程よい温度となった汁が味をしっかり伝え、汁のおかげで隙間ができた肉は下でつぶすだけでほどける。貞子! なかなかに良い味じゃ」
いつもの適当な評論とともにガーシャは喜々と箸を進める。ちなみに『貞子』は僕の母さんの名前である。
「あらあら、お気に召したようで嬉しいわ」
母さんは本当に嬉しそうにガーシャの声のする方を向いて微笑む。たしかに、僕はあまり食事の感想とかは母さんに言わなかった気がする。やはり、褒められるということは嬉しいのだろう。あの目で料理するのも大変だろうし、そう思うと僕は申し訳なく思えてきた。
「うん、おいしいよ」
なんだか気恥ずかしくうまく伝えられなかった。
「あら、優希まで。腕によりをかけて作った甲斐があったわ」
見た目はお世辞にも綺麗といえない料理であったが、味は申し分ない。
「……」
「あら、ガーシャちゃんどうしたの? ピーマン嫌いだったかしら?」
「どれ、それはこれのことか? む、ちと苦いが上に詰めてある肉の濃い味付けのおかげで旨く食える」
ガーシャは僕らを見て止まっていた箸をごまかすように肉詰めピーマンの口に放り込んだ。
食事を終え、僕たちは自分の部屋に戻る。階段を上がる途中にガーシャが呟いた。
「良いものじゃな」
「何が?」
「親いうものは、妾にもあったのだろうか」
「ガーシャって死霊なんでしょ? だったらいるんじゃない?」
僕は部屋のドアを開け、ガーシャを部屋に入れる。
「妾はな、記憶が無いのじゃ。優希と出会ったときからの記憶しかな」
「えっ? だって、いつも色々なこと知ってて教えてくれるじゃん」
「妾は色んなことを知っておる。だが、何も分からないのじゃ。知っていることと分ることは違うのじゃよ……。さて、妾はもう休む」
ガーシャはそう言って押し入れに潜り込んで襖を閉めた。その後は、少し空いた隙間からただ暗闇が静かに漏れているだけであった。
僕は殴打され青あざがついた頬を撫でながら文句を言った。
「風呂は心の洗濯じゃ」
「なにもっともらしいこと言って」
「優希! ガーシャちゃんは女の子なんだからお風呂だって入るのよ」
「母さん、それ人間じゃないよ」
「女の子にはかわりないのですよ。はい、今日はハンバーグです」
母さんはそう言って盛りつけた夕食を机の上に置いた。しっかり三人分用意してある。
「おお、なんとも旨そうな薫りじゃ。妾は腹ペコで動けんぞ」
「妖怪はお腹すかないだろ」
「気分じゃ。優希よ、あまり無粋なことをいういうでない」
ガーシャは そう言って箸で分けたハンバーグを口に運ぶ。
「んー♪ 程よい温度となった汁が味をしっかり伝え、汁のおかげで隙間ができた肉は下でつぶすだけでほどける。貞子! なかなかに良い味じゃ」
いつもの適当な評論とともにガーシャは喜々と箸を進める。ちなみに『貞子』は僕の母さんの名前である。
「あらあら、お気に召したようで嬉しいわ」
母さんは本当に嬉しそうにガーシャの声のする方を向いて微笑む。たしかに、僕はあまり食事の感想とかは母さんに言わなかった気がする。やはり、褒められるということは嬉しいのだろう。あの目で料理するのも大変だろうし、そう思うと僕は申し訳なく思えてきた。
「うん、おいしいよ」
なんだか気恥ずかしくうまく伝えられなかった。
「あら、優希まで。腕によりをかけて作った甲斐があったわ」
見た目はお世辞にも綺麗といえない料理であったが、味は申し分ない。
「……」
「あら、ガーシャちゃんどうしたの? ピーマン嫌いだったかしら?」
「どれ、それはこれのことか? む、ちと苦いが上に詰めてある肉の濃い味付けのおかげで旨く食える」
ガーシャは僕らを見て止まっていた箸をごまかすように肉詰めピーマンの口に放り込んだ。
食事を終え、僕たちは自分の部屋に戻る。階段を上がる途中にガーシャが呟いた。
「良いものじゃな」
「何が?」
「親いうものは、妾にもあったのだろうか」
「ガーシャって死霊なんでしょ? だったらいるんじゃない?」
僕は部屋のドアを開け、ガーシャを部屋に入れる。
「妾はな、記憶が無いのじゃ。優希と出会ったときからの記憶しかな」
「えっ? だって、いつも色々なこと知ってて教えてくれるじゃん」
「妾は色んなことを知っておる。だが、何も分からないのじゃ。知っていることと分ることは違うのじゃよ……。さて、妾はもう休む」
ガーシャはそう言って押し入れに潜り込んで襖を閉めた。その後は、少し空いた隙間からただ暗闇が静かに漏れているだけであった。
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