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崖少女
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「紀糸、ほらよ」
「ん? なんだ?」
神社に帰ってきてから少し待たされた紀糸は稲荷から何かを入れられ分厚くなった封筒を渡された。
「約束の札だ、今回は手間かけたし多めに用意しといた」
「お、サンキューな」
紀糸は糊付けされてない封をめくり中を覗いた。中には「雑に書かれたお札」が十数枚入っている。
「それの調子はどうだ?」
「んー。自分じゃあんまり分かんないな。でもちゃんと効いてるんじゃないか?」
「ったりめーだろ。この俺が作ったんだ」
「これに関しては感謝してるよ」
紀糸はそう言って受け取った封筒を丁寧にしまった。
このお札のおかげで紀糸は今のような平穏な生活が送れている。
世間で、ある程度の需要をもっているオカルトもこのように幼いころからどっぷり浸かった状態となると流石に飽き飽きするものだ。
紀糸は、昨日入部した(させられた)オカルト研究会のことを思い返す。
今頃彼らはどうしているのだろうか、早々こんなリアルなオカルトに遭遇するとは思えないが少し心配ではある。
入部してしまったからには当面の目標として彼らをなるべくリアルなオカルトから遠ざけることが自分の目標となりそうだ。今回みたいな出来事に巻き込まれるのはあたしだけで充分なのだから。
「ところで、稲荷。ああいうのってざらにいるのか?」
「稲荷様だろ? まぁ、霊ならそこら中いるっちゃいるが人に害をなす奴は数えるほどだな。噂とか怪談とかを目安にすると分かりやすい。危ないやつとかは波長が合って目撃されやすいから噂になりやすいからな」
「うっ、心当たりがあって心配になってきた……」
「まっ、この町は俺が監視してるからな、普通に生活してる分にはそう危険はないから安心しろ」
稲荷は後ろ足で耳を掻きながら説得力がなさげに言う。
「はぁ」
紀糸は、今回のこともありあんまり期待をせず気のない返事をもらすと疲れたように肩を落とした。
「とりあえず親に心配されるからあたしは帰るわ」
「きぃちゃん、帰るの?」
家の奥から七緒の声が聞こえる。
「うん、また明日な」
「ご飯食べて行けばいいのに、残念」
「悪いからいいよ、じゃ」
「おう、親父さんによろしくな」
「わかったよ、伝えとく」
紀糸は見送る稲荷にひらひらと手を振ると玄関を出ようとした。
「そうだ紀糸」
「あんだよ?」
唐突に稲荷に呼び止められた紀糸は若干不機嫌そうに振り向いた。そこにはまっすぐこっちを見る狐の顔がある。
「この町になんだかやばいものが紛れ込んでるかもしれねぇ。うっすらだがどす黒い怨念を持ったやつの匂いがそこらに残ってやがる」
「は?」
「こんだけ匂いが残るやつだ、地縛霊とかそんなもんじゃなく物の怪のたぐいだ」
「幽霊とは違うのか?」
「言うなれば俺みたいなやつが息を潜めているようなもんだ。兎に角、用心しておけ」
「……。わかった」
紀糸はまじめモードの稲荷に対しゆっくり頷いた。
「ん? なんだ?」
神社に帰ってきてから少し待たされた紀糸は稲荷から何かを入れられ分厚くなった封筒を渡された。
「約束の札だ、今回は手間かけたし多めに用意しといた」
「お、サンキューな」
紀糸は糊付けされてない封をめくり中を覗いた。中には「雑に書かれたお札」が十数枚入っている。
「それの調子はどうだ?」
「んー。自分じゃあんまり分かんないな。でもちゃんと効いてるんじゃないか?」
「ったりめーだろ。この俺が作ったんだ」
「これに関しては感謝してるよ」
紀糸はそう言って受け取った封筒を丁寧にしまった。
このお札のおかげで紀糸は今のような平穏な生活が送れている。
世間で、ある程度の需要をもっているオカルトもこのように幼いころからどっぷり浸かった状態となると流石に飽き飽きするものだ。
紀糸は、昨日入部した(させられた)オカルト研究会のことを思い返す。
今頃彼らはどうしているのだろうか、早々こんなリアルなオカルトに遭遇するとは思えないが少し心配ではある。
入部してしまったからには当面の目標として彼らをなるべくリアルなオカルトから遠ざけることが自分の目標となりそうだ。今回みたいな出来事に巻き込まれるのはあたしだけで充分なのだから。
「ところで、稲荷。ああいうのってざらにいるのか?」
「稲荷様だろ? まぁ、霊ならそこら中いるっちゃいるが人に害をなす奴は数えるほどだな。噂とか怪談とかを目安にすると分かりやすい。危ないやつとかは波長が合って目撃されやすいから噂になりやすいからな」
「うっ、心当たりがあって心配になってきた……」
「まっ、この町は俺が監視してるからな、普通に生活してる分にはそう危険はないから安心しろ」
稲荷は後ろ足で耳を掻きながら説得力がなさげに言う。
「はぁ」
紀糸は、今回のこともありあんまり期待をせず気のない返事をもらすと疲れたように肩を落とした。
「とりあえず親に心配されるからあたしは帰るわ」
「きぃちゃん、帰るの?」
家の奥から七緒の声が聞こえる。
「うん、また明日な」
「ご飯食べて行けばいいのに、残念」
「悪いからいいよ、じゃ」
「おう、親父さんによろしくな」
「わかったよ、伝えとく」
紀糸は見送る稲荷にひらひらと手を振ると玄関を出ようとした。
「そうだ紀糸」
「あんだよ?」
唐突に稲荷に呼び止められた紀糸は若干不機嫌そうに振り向いた。そこにはまっすぐこっちを見る狐の顔がある。
「この町になんだかやばいものが紛れ込んでるかもしれねぇ。うっすらだがどす黒い怨念を持ったやつの匂いがそこらに残ってやがる」
「は?」
「こんだけ匂いが残るやつだ、地縛霊とかそんなもんじゃなく物の怪のたぐいだ」
「幽霊とは違うのか?」
「言うなれば俺みたいなやつが息を潜めているようなもんだ。兎に角、用心しておけ」
「……。わかった」
紀糸はまじめモードの稲荷に対しゆっくり頷いた。
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