10 / 15
10 魔導具店の店主2
しおりを挟む
「あれ、起きちゃったの。困ったなあ、怖い魔術は使わないでね。ご覧の通り僕は無力な平民風情なんだからさ」
胸の頂点を指で撫でられ鳥肌が立ち、息が止まった。身体が思うように動かない。しまった。これがよく言う飲みすぎた、というやつか。
「ま、まじゅつは、つかいませ……、から……、どいてくらさ……っ」
「いやだよ。そんなもったいない。君が現れたときから、ずーっとこのときを楽しみにしてたんだから」
何が彼の琴線に触れたのだろう。私はリストとは違う。あいつのようにいつも笑顔で明るく、あっという間に人の懐に入れるような人間じゃない。愛想が悪いし、喋りは下手だ。リストに繋いでもらわねば、未だ他に話す者もいなかったであろう、どうしようもない奴なのだ。自分で言ってて情けないが。
「本当に綺麗だ。この髪。僕は色が淡すぎるけど、君の色はちょうどいい。理想的だ。月明かりに照らされて鈍色に輝いているよ。美しいシルバーグレイだ。手入れをすればもっと綺麗な虹色に輝くだろうね」
「うわ……! やめ、やめろ、さわんな…!!」
「…ねえ、知ってるでしょ。僕に魔術を使って怪我をさせてしまえばさあ、きっと凄く面倒なことになるってこと。このことを証明出来ればいいんだろうけど、あいつはそういう奴じゃないって証明してくれる人は君にいるかな?」
私は一瞬深く考え込んでしまった。リストならきっと庇ってくれる。でも他の者はどうだろうか。交流が持てていたというのは幻想で、本当はどうでもいい存在なんじゃなかろうか。その辺は何もかも自信がない。
「そうそう。いい子にできるじゃないか。乗船券欲しいんでしょう? 金庫に入れてあるからさ、奪うのは魔術師でも難しいよ」
「らんでこんな…いつから、こんなころかんがえれた、あんら、いったい、ろうゆうつもりれ…」
「え? いつからって、最初っからだよ。でもまさか、君がリストくんを追ってくるとは思わなかったな。でもそれで会えたんだから僕にとっては都合が良かった。彼は随分誉めてたよ、君のこと。僕は君の髪はどんな風なんだろうって、そればっかり考えてたけど。ああ、本当に美しいね…!」
店主はさも楽しそうに、私の髪に何度も指を突っ込んで、手櫛をかけて感触を楽しんでいた。私は指先の感触が地肌から伝わるたびに、なんとも言えないゾワゾワとした不快感が走り抜け、歯を食いしばり必死でそれに耐えていた。
きっちり灰色で統一された店内とこの自室。拘りをもって整えられた。完璧に。執拗に。まるで他の色を際立たせるように見せかけて実のところ、彼の執着はその色だけにあったらしい。神経質を通り越した執着心に他ならない。
「あんら、おかし……、くるってる」
「そう言われてもね。困ったなあ、なんて言えばいいだろう。…まあ一言で言うと、これがとても好みなんだよ」
彼の手が私の下半身を、妖しい手つきで探り始めた。既に殆ど脱がされている。酒で熱をもった状態では、そのことに気づくのが随分と遅れてしまった。
酔った頭で、必死になって使えそうな呪文を思い出した。幾度となく試したが、酒で麻痺した口はなかなか回ってくれない。行き場を失った魔力と、魔力残滓があざ笑うように宙を舞う。
有資格者であろうが、制御が上手かろうが、頭を溶かされてしまえば凡人以下だ。魔術師は魔術を封じられれば、肉体的には弱者が多い。魔術を使って戦えるような、二物を与えられた者は稀だ。
焦る気持ちが最高潮を迎えたとき、がぶりと唇を食われた。口の中を舌で蹂躙され、息が詰まる、苦しい、と思った瞬間、急激に魔力を大量消費したときと似たような、気持ちの悪い感覚に襲われた。
「うっ…!! ぐっ、はあっ、ちょ、ちょっと何これ、うえ、なんか気持ち悪っ…………!!」
「こっちらって、きもちわる…なんら、これ…………」
私は何が起こったのか訳がわからず、その場にばったり伏してしまった彼を眺めることしかできなかった。息を切らしてしばらくの間そんな時を過ごしていたが、疲れと酔いと、きわめつけに魔力の切れかけの症状に襲われて、気絶するように眠ってしまった。
──────
「…………うっ!! いっ……いった、頭いた、痛い……!!」
「あ──……、おはよ……。昨日はごめんね……」
明るい、と思って目を覚ましたら今度は酷い頭痛に襲われた。これが俗に言う二日酔い。しまった、昨日何杯飲んだのか記憶がない。しかし勝手に私を抱きしめながら隣に寝ているこの強姦未遂野郎のことはよく覚えている。この野郎、どうしてやろうか。と思っても今は何もできない。頭が痛い。
この変態野郎が突然変調したのは、おそらく魔力の質が劇的に合わなかったのが原因だろう。治療院でもごくごく稀に起こるという現象だ。すぐに治してほしくても、施術者と患者の魔力が合わなさすぎて、他の治療魔術師への紹介状を渡されるあのパターン。
「おい、離れろ。気持ち悪い」
「えー、ひどーい。リストくんは君のこと、大人しくって、上品で、優しくて、すっごい魔術が上手なかっこいい子だって言ってたのに。そんなこと言うのお」
彼はだるそうに起き上がり、嘘か本当かわからない台詞を部屋の壁に響かせながら退出し、甘い果実水を持ってきた。グッとあおるとリモラの爽やかな香りが鼻を抜けた。酒で散々脱水した、渇いた身体に染みてゆく。
「今日一日、それを飲んで寝てれば治るよ。僕はもう大丈夫だからお店をそろそろ開けるけど、もう襲わないから安心してゆっくりしてきな。食事は出してあげるから、何か食べられそうだったら食べてね」
突然興味を失ったようにそう言って、彼は階下に向かって行った。…いや、今確かに髪の方に目線が向いていた。どれだけこの色に執着心があるんだあいつは。おかしな奴だ。そしてリストの好みがいよいよもってわからない。そういうことが出来るなら、どんな奴でもいいのかあいつは。
残り少ない魔術薬を一気に飲んで、用意された果実水を更に飲み、横になっていたらだんだんと回復してきた。身支度をして階下に降りると、ちょうど店じまいをしていた店主と鉢合った。
「随分顔色が良くなったね。じゃ、ご飯食べに行こっか。お酒ナシで」
「…………いい。宿を取るから。世話になった」
「いっぱいだってば。そんなに疑うなら聞きに行く?」
……本当に満室だった。遠い目をしている私をクスクスと笑いながら見てくる店主とそのまま食事に出かけた。まあ仕方ない。それにちょうど良かった。出立前にひとつ、彼に聞きたいことができたのだ。
「灰色に拘る理由? うーん、深く考えたことがなかったなあ。多分、色がきついものをずっと見てると目がチカチカするからかも。あの色が僕にとっては一番安心……そうだね、これだ。安心感。死んじゃった両親の髪の色でもあるしさ」
ポロッと何でもないような言い方で話された内容に少々動揺した。そうか、こいつはこの若さで天涯孤独になったのか。
もう孤児院に入る年ではない。かといって、落ち着くにはまだ早い。ひとりで店を切り盛りし、潰さないように維持し続ける。そんな彼の心の安寧を引き受けていたのが、あの色への拘りだったのかもしれない。人生経験がまだ深いとは到底言えない私には、特殊すぎてまるで気がつかなかったが。
「いつからかなあ。覚えてないや。小さい頃から色がごちゃごちゃしてるのは苦手だったけど、今のようではなかったよ。やっぱり親がいなくなってからかもなあ。街中で君みたいな髪の人がいるとどうしても目で追っちゃうんだ。家に持って帰りたくなる。……ねえ、ずっとここに居て、って言ったらやっぱり怒る?」
「……怒りはしないが、お断りだ」
「じゃあ、こんな哀れな男にひとつだけ情けを頂戴、魔術師さま。帰ったら髪に触らせて。それだけでいい。絶対に変なことはしない。ほんとそれだけ。どうかお願い」
「…………わかった」
『君は聞いたとおりに優しいんだね』と言って彼は微笑んだ。ほんの少し泣いているような顔をして。
彼は約束をきっちり守った。風呂上がりの私の髪を魔道具で乾かしながら、何度も梳いて眺めていた。時々少し伸びた髪を掬い、三つ編みを作って遊びながら。
随分と長い時間そうしていたので、彼は先にうつらと船を漕ぎ始めた。もういいから寝ろ、と言ったが言うことを聞こうとしない様子がなんだか無性に可哀想になり、少し考えたあと一緒に横になってやることにした。
彼は軽く私の髪を握りながら、あっという間に眠ってしまった。後ろから気持ちよさそうな寝息が聞こえる。そっと振り返って見てみると、もう一方の手を口に当てて幼子のような寝顔をしていた。
本当に約束を守り、安心したように眠る彼を見ていると、期待に応えてやれない罪悪感と庇護欲のようなものが芽生えかけた。でも、できない。私は彼に何もしてやれない。ここにはずっと居られない。
意に添わないことをされるかも、と緊張していた気持ちが緩み、近くで聞こえる彼の寝息を聞いているうちに、私もそのまま寝入ってしまった。
妙なこともあったもんだ。人生は上手くいかない、と今まで何度も思ってきたが、上には上が必ずいる。でも皆、表向きは何でもないように振る舞うものだ。本当のところは聞いてみないとわからない。
リストも彼の生い立ちを聞いただろうか。あいつは優しい。きっと彼に同情する。絡みつく魔力跡を見るたびに大小苛立ちを覚えていたが、ここに来て初めてリストの気持ちや行動原理がわかった気がした。
胸の頂点を指で撫でられ鳥肌が立ち、息が止まった。身体が思うように動かない。しまった。これがよく言う飲みすぎた、というやつか。
「ま、まじゅつは、つかいませ……、から……、どいてくらさ……っ」
「いやだよ。そんなもったいない。君が現れたときから、ずーっとこのときを楽しみにしてたんだから」
何が彼の琴線に触れたのだろう。私はリストとは違う。あいつのようにいつも笑顔で明るく、あっという間に人の懐に入れるような人間じゃない。愛想が悪いし、喋りは下手だ。リストに繋いでもらわねば、未だ他に話す者もいなかったであろう、どうしようもない奴なのだ。自分で言ってて情けないが。
「本当に綺麗だ。この髪。僕は色が淡すぎるけど、君の色はちょうどいい。理想的だ。月明かりに照らされて鈍色に輝いているよ。美しいシルバーグレイだ。手入れをすればもっと綺麗な虹色に輝くだろうね」
「うわ……! やめ、やめろ、さわんな…!!」
「…ねえ、知ってるでしょ。僕に魔術を使って怪我をさせてしまえばさあ、きっと凄く面倒なことになるってこと。このことを証明出来ればいいんだろうけど、あいつはそういう奴じゃないって証明してくれる人は君にいるかな?」
私は一瞬深く考え込んでしまった。リストならきっと庇ってくれる。でも他の者はどうだろうか。交流が持てていたというのは幻想で、本当はどうでもいい存在なんじゃなかろうか。その辺は何もかも自信がない。
「そうそう。いい子にできるじゃないか。乗船券欲しいんでしょう? 金庫に入れてあるからさ、奪うのは魔術師でも難しいよ」
「らんでこんな…いつから、こんなころかんがえれた、あんら、いったい、ろうゆうつもりれ…」
「え? いつからって、最初っからだよ。でもまさか、君がリストくんを追ってくるとは思わなかったな。でもそれで会えたんだから僕にとっては都合が良かった。彼は随分誉めてたよ、君のこと。僕は君の髪はどんな風なんだろうって、そればっかり考えてたけど。ああ、本当に美しいね…!」
店主はさも楽しそうに、私の髪に何度も指を突っ込んで、手櫛をかけて感触を楽しんでいた。私は指先の感触が地肌から伝わるたびに、なんとも言えないゾワゾワとした不快感が走り抜け、歯を食いしばり必死でそれに耐えていた。
きっちり灰色で統一された店内とこの自室。拘りをもって整えられた。完璧に。執拗に。まるで他の色を際立たせるように見せかけて実のところ、彼の執着はその色だけにあったらしい。神経質を通り越した執着心に他ならない。
「あんら、おかし……、くるってる」
「そう言われてもね。困ったなあ、なんて言えばいいだろう。…まあ一言で言うと、これがとても好みなんだよ」
彼の手が私の下半身を、妖しい手つきで探り始めた。既に殆ど脱がされている。酒で熱をもった状態では、そのことに気づくのが随分と遅れてしまった。
酔った頭で、必死になって使えそうな呪文を思い出した。幾度となく試したが、酒で麻痺した口はなかなか回ってくれない。行き場を失った魔力と、魔力残滓があざ笑うように宙を舞う。
有資格者であろうが、制御が上手かろうが、頭を溶かされてしまえば凡人以下だ。魔術師は魔術を封じられれば、肉体的には弱者が多い。魔術を使って戦えるような、二物を与えられた者は稀だ。
焦る気持ちが最高潮を迎えたとき、がぶりと唇を食われた。口の中を舌で蹂躙され、息が詰まる、苦しい、と思った瞬間、急激に魔力を大量消費したときと似たような、気持ちの悪い感覚に襲われた。
「うっ…!! ぐっ、はあっ、ちょ、ちょっと何これ、うえ、なんか気持ち悪っ…………!!」
「こっちらって、きもちわる…なんら、これ…………」
私は何が起こったのか訳がわからず、その場にばったり伏してしまった彼を眺めることしかできなかった。息を切らしてしばらくの間そんな時を過ごしていたが、疲れと酔いと、きわめつけに魔力の切れかけの症状に襲われて、気絶するように眠ってしまった。
──────
「…………うっ!! いっ……いった、頭いた、痛い……!!」
「あ──……、おはよ……。昨日はごめんね……」
明るい、と思って目を覚ましたら今度は酷い頭痛に襲われた。これが俗に言う二日酔い。しまった、昨日何杯飲んだのか記憶がない。しかし勝手に私を抱きしめながら隣に寝ているこの強姦未遂野郎のことはよく覚えている。この野郎、どうしてやろうか。と思っても今は何もできない。頭が痛い。
この変態野郎が突然変調したのは、おそらく魔力の質が劇的に合わなかったのが原因だろう。治療院でもごくごく稀に起こるという現象だ。すぐに治してほしくても、施術者と患者の魔力が合わなさすぎて、他の治療魔術師への紹介状を渡されるあのパターン。
「おい、離れろ。気持ち悪い」
「えー、ひどーい。リストくんは君のこと、大人しくって、上品で、優しくて、すっごい魔術が上手なかっこいい子だって言ってたのに。そんなこと言うのお」
彼はだるそうに起き上がり、嘘か本当かわからない台詞を部屋の壁に響かせながら退出し、甘い果実水を持ってきた。グッとあおるとリモラの爽やかな香りが鼻を抜けた。酒で散々脱水した、渇いた身体に染みてゆく。
「今日一日、それを飲んで寝てれば治るよ。僕はもう大丈夫だからお店をそろそろ開けるけど、もう襲わないから安心してゆっくりしてきな。食事は出してあげるから、何か食べられそうだったら食べてね」
突然興味を失ったようにそう言って、彼は階下に向かって行った。…いや、今確かに髪の方に目線が向いていた。どれだけこの色に執着心があるんだあいつは。おかしな奴だ。そしてリストの好みがいよいよもってわからない。そういうことが出来るなら、どんな奴でもいいのかあいつは。
残り少ない魔術薬を一気に飲んで、用意された果実水を更に飲み、横になっていたらだんだんと回復してきた。身支度をして階下に降りると、ちょうど店じまいをしていた店主と鉢合った。
「随分顔色が良くなったね。じゃ、ご飯食べに行こっか。お酒ナシで」
「…………いい。宿を取るから。世話になった」
「いっぱいだってば。そんなに疑うなら聞きに行く?」
……本当に満室だった。遠い目をしている私をクスクスと笑いながら見てくる店主とそのまま食事に出かけた。まあ仕方ない。それにちょうど良かった。出立前にひとつ、彼に聞きたいことができたのだ。
「灰色に拘る理由? うーん、深く考えたことがなかったなあ。多分、色がきついものをずっと見てると目がチカチカするからかも。あの色が僕にとっては一番安心……そうだね、これだ。安心感。死んじゃった両親の髪の色でもあるしさ」
ポロッと何でもないような言い方で話された内容に少々動揺した。そうか、こいつはこの若さで天涯孤独になったのか。
もう孤児院に入る年ではない。かといって、落ち着くにはまだ早い。ひとりで店を切り盛りし、潰さないように維持し続ける。そんな彼の心の安寧を引き受けていたのが、あの色への拘りだったのかもしれない。人生経験がまだ深いとは到底言えない私には、特殊すぎてまるで気がつかなかったが。
「いつからかなあ。覚えてないや。小さい頃から色がごちゃごちゃしてるのは苦手だったけど、今のようではなかったよ。やっぱり親がいなくなってからかもなあ。街中で君みたいな髪の人がいるとどうしても目で追っちゃうんだ。家に持って帰りたくなる。……ねえ、ずっとここに居て、って言ったらやっぱり怒る?」
「……怒りはしないが、お断りだ」
「じゃあ、こんな哀れな男にひとつだけ情けを頂戴、魔術師さま。帰ったら髪に触らせて。それだけでいい。絶対に変なことはしない。ほんとそれだけ。どうかお願い」
「…………わかった」
『君は聞いたとおりに優しいんだね』と言って彼は微笑んだ。ほんの少し泣いているような顔をして。
彼は約束をきっちり守った。風呂上がりの私の髪を魔道具で乾かしながら、何度も梳いて眺めていた。時々少し伸びた髪を掬い、三つ編みを作って遊びながら。
随分と長い時間そうしていたので、彼は先にうつらと船を漕ぎ始めた。もういいから寝ろ、と言ったが言うことを聞こうとしない様子がなんだか無性に可哀想になり、少し考えたあと一緒に横になってやることにした。
彼は軽く私の髪を握りながら、あっという間に眠ってしまった。後ろから気持ちよさそうな寝息が聞こえる。そっと振り返って見てみると、もう一方の手を口に当てて幼子のような寝顔をしていた。
本当に約束を守り、安心したように眠る彼を見ていると、期待に応えてやれない罪悪感と庇護欲のようなものが芽生えかけた。でも、できない。私は彼に何もしてやれない。ここにはずっと居られない。
意に添わないことをされるかも、と緊張していた気持ちが緩み、近くで聞こえる彼の寝息を聞いているうちに、私もそのまま寝入ってしまった。
妙なこともあったもんだ。人生は上手くいかない、と今まで何度も思ってきたが、上には上が必ずいる。でも皆、表向きは何でもないように振る舞うものだ。本当のところは聞いてみないとわからない。
リストも彼の生い立ちを聞いただろうか。あいつは優しい。きっと彼に同情する。絡みつく魔力跡を見るたびに大小苛立ちを覚えていたが、ここに来て初めてリストの気持ちや行動原理がわかった気がした。
1
あなたにおすすめの小説
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
身代わりにされた少年は、冷徹騎士に溺愛される
秋津むぎ
BL
魔力がなく、義母達に疎まれながらも必死に生きる少年アシェ。
ある日、義兄が騎士団長ヴァルドの徽章を盗んだ罪をアシェに押し付け、身代わりにされてしまう。
死を覚悟した彼の姿を見て、冷徹な騎士ヴァルドは――?
傷ついた少年と騎士の、温かい溺愛物語。
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
鎖に繋がれた騎士は、敵国で皇帝の愛に囚われる
結衣可
BL
戦場で捕らえられた若き騎士エリアスは、牢に繋がれながらも誇りを折らず、帝国の皇帝オルフェンの瞳を惹きつける。
冷酷と畏怖で人を遠ざけてきた皇帝は、彼を望み、夜ごと逢瀬を重ねていく。
憎しみと抗いのはずが、いつしか芽生える心の揺らぎ。
誇り高き騎士が囚われたのは、冷徹な皇帝の愛。
鎖に繋がれた誇りと、独占欲に満ちた溺愛の行方は――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる