The war of searching

黒縁めがね

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ベルム闘争戦

第15話本部突撃、④上/青年の幼い嫉妬/イカれポンチ

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星空が天を埋める。
鎧を身につける薄緑の髪をした、右手に石突のあたりに縄を巻きつけ結んだジャベリンを手に持つ青年___王国兵のジョシュアードとその仲間の4人は焚き火を取り囲み話に興じていた。
「ジョシュアードは2人も殺ったのか、初陣なのにすげぇな!」
「いえいえ、そんな!」
焚き火を囲むジョシュアード達の中でも一際ガタイの大きい兵士___小隊長のラルグは言うがジョシュアードは「恐れ多い」と言わんばかりに謙遜する。
それを他の仲間達は「そんな事はないよ」
と言わんばかり背を持った。

所で、一般の農民が兵士として4ヶ月訓練を受け、初陣に出たとしよう。果たして初陣で人を何人殺せるだろうか?答えは誰も殺せない。
いや、殺さないのだ。例外こそあるが、誰も殺せない。
本能に抗う事で理性が生まれたように、"昔はやっていた事"に抗い、人間は優しさが生まれ怖気ずき、人を殺さなくなった。
農民上がりの兵士達はその手に持つ凶器を子供のチャンバラのように扱い、ただ"戦うフリ"
をする。そしてたまたまそのフリが致命的な攻撃に伝わり、人が死ぬ。
その中でたまたまではあるが2人も殺したジョシュアードは兵士として、上司であるラルグや周りの仲間達は尊敬していた、認められていた。
ジョシュアードは仲間達の背を持つ様子に人を殺した罪悪感こそあれどかなりの高揚感と
愉悦感を覚えていた。
それからは沢山殺し、仲間達に認められていく、気づけば6人目であった。
帝国兵を殺す度に仲間達からの賞賛や讃えの言葉が降りかかる。もう抜け出せなかった、人を殺して見せびらかすことを。


例外に、出会う事なく___



___だが、本当に出会ってしまった、その例外に。
血が舞う、首が舞う、腕が舞う___
焚き火を囲んだ仲間の1人のレディグルもその中に含まれていた。
気づけば4人もの死体が地面を鮮血で染め上げている。
本来ならこちらが圧倒的優勢のはず、なのに誰もそいつを殺していなかった。
そして殺すたびに誰かを、何者かを、何かを、
探すように周りを見渡していた。
まるで殺すのはその何かを探す過程みたいに。
そして何よりも自分よりも幼かった。
17、18歳くらいであろうか、そんな子供がこんな地獄絵図を招いている。その事実に驚いていると同時に、レイクは嫉妬していた。
自分よりも幼いくせに、たかがロングソード1本で熟練されているわけでもない動きや体で
多く、多く殺して、きっとさぞ自分よりも褒められたのであろう。それが妬ましいように感じている。
ジョシュアードは、慄く味方達から飛び出した。


~~~

「___みたいに殺せる?」
デイビッドは睨み合う。
その問いに答える事なく構えると、薄緑の髪の王国兵の手に持つそのジャベリンについて頭を回していた。
相手の王国兵の紐付きジャベリンはその巻きつけた紐によって投擲しても再び手に戻ってくる。連発のできる投げ槍はデイビッドのロングソード一本だけでは圧倒的に不利だった。
近づいても周囲の兵士に斬られて終わりだろう、相手が孤立していればきっと勝機も伺えていただろう。
そこでデイビッドは剣を鞘に収める。
「…お前、なんで剣を収めた。」
その王国兵はこちらの行動に疑問をぶつける。
デイビッドはその薄緑の髪の王国兵と反対の方向に振り返ると全力でダッシュした。


~~~

肉を切り裂く鈍い音が響く。
ハイミルナンに突き立てられたダガーはハイミルナンの左目の目眉間側からこめかみ前側に向けて貫通していた。
「ギャァァァァァァァぁぁぁぁぁあ!」
痛みのあまりに悲鳴をあげたる。だが、ダガーのその攻撃は致命傷ではなかった。脳に届いていないのだ。
ダガー突き立てた股関節の王国兵にハイミルナンはアッパーをかますと、王国兵は悶えながら
横に転がった。
すると覆い被さった王国兵はハイミルナンの目に刺さったダガーを掴み取ろうとハイミルナンがパルチザンで斬られまいとつかで受けていた両手に持つ剣から右手を離し、ダガーを掴み取ろうとする。
ハイミルナンはその右手を先程アッパーをかました左手でつかみ、阻止した。
尚も王国兵は掴み取ろうと手を伸ばしてくる。
「しねぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
王国兵はそう叫ぶ。
すると足音が聞こえた。新しい足音、おそらく帝国兵のものでは無いだろう。
「しまった」とハイミルナンは思った。
足音が間近で止まった。まずい、殺される。

血飛沫が飛んだ。
その血はハイミルナンの物ではなかった。
王国兵は口から血を吐くと、ゆっくりと右へ倒れた。
目の前の空に見慣れた顔が映る。
蒼の双眸、ヨーストだった。
「はぁ、はぁ、はぁ、大丈夫か、ハイミルナン。」
息をあげながらもこちらに手を差し伸べた。
ハイミルナンはその手を掴み、立ち上がる。
ヨーストは全身ボロボロで、血を流し、斧に至っては刃こぼれが激しかった。
ハイミルナンは起き上がると、ダガーを引き抜く。
「うっ…ぐぅ…」
恐ろしいほどの痛みで思わずうなる。
抜いたダガーには自身の血がべっとりとついていた。アッパーをかました兵士の顔に投げる。
見事に眉間に突き刺さると血を吹き出しながら地面に伏した。
「…ありがとう、でもお互い、他人の心配ができるほど余裕があると思う?」
ハイミルナンはヨーストにどやすように言った。ヨーストはその言葉に頷きながら「そりゃ
そうか」と言った。
「それはともかく、今はもっと他の仲間を探さないと…」
ハイミルナンは呟く。
侵入の際、団長は散るように指示を出した。
恐らく、本部にいるであろう敵将の守りを薄くするために固まるのではなく兵量を分散させるために出した指示だろう。この人数で囲まれ、即全滅するよりかはマシな指示だった。
そもそも、こんな人数で突撃するのが間違いだ、とハイミルナンは思った。
「ハイミルナン、増援が来ちまった…」
ヨーストがそう言い、左を向いていた。
ハイミルナンは同じ方向を向くと、重装備の槍を持った王国兵がぞろぞろとやって来た。
ハイミルナンとヨーストは武器を構え、ハイミルナンが言った。
「デイビッド、生きてるといいわね。」
その言葉を聞いたヨーストは鼻で笑って言った。
「生きてると思うぜ、あのイカれポンチならよ!」
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