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コーラス遺跡都市防略
第42話コーラル防略22/回す/不意打ち/行こう/灰病
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コーラル遺跡都市遺産省尋問室。依然、ハセガワは縛り付けられたままだった。
「強化人間…?」
ハセガワの質問に、アルドラは戸惑いそう呟く。ハセガワは、推定25~30歳の成人男性とは思えない輝きをその瞳に宿し、こちらを見つめていた。アルドラはその瞳を見ると苦笑いしながらハセガワに、
「ごめんなさい。私、それについて何も知りません。」
そうきっぱりと答える。
ハセガワは意気消沈、しょんぼりとした顔で俯いた。アルドラはそんな様子のハセガワ憐れむような目で見ながらハセガワが縛り付けらた椅子の横にある木箱の鈍器の中から、乾いた赤黒い血のついた少し小さな六角レンチを取り出した。そして、アルドラは口を開く。
「これは、一般的な肘当てのヒンジをプレートと繋げる時などに使われるレンチ。少し、おしゃべりが過ぎましたね。」
「…え?」
アルドラはそう言いハセガワの左顔部に六角レンチを捩じ込んだ。
「アアアアアアアアァァァァァァ!」
一本の蝋燭のみが光源の薄暗い部屋にハセガワの叫び声がこだました。
~~~
辺りには灰まみれになった帝国兵と
四方八方からロビンへ迫る複数の灰のロングソード。
「くそッ」
ロビンはそう悪態をつきながら素早く頭を石突で打たれ気絶し横たわるマイクのうなじを左手で掴み正面から迫る1本の灰のロングソードへ盾のように掲げた灰のロングソードはマイクに直撃すると同時に剣先から粉々に散っていった。
(コイツには刺さらないのか…?)
続いて右後ろから1本のロングソードがマイクのうなじを狙い加速する。
マイクはそれに気づくと、素早く振り返り喉元寸前の所でロングソードを右手に握る刀身が大きく欠けたグレイヴで右下から薙ぎ上げ破壊し灰のロングソードは粉々になり空中を漂い去る。続いてロビンの左顔部を狙ったロングソードが1本反対の右顔部を狙ったロングソードが1本の計2本がロビンへ迫った。
左から迫るロングソードへマイクを掲げそれがロビンの顔へ達するのを防ぎ、グレイヴで右から迫るもう1本を払い除ける。
「…計4本、終わりかな。」
ロビンはそう呟き、辺りを見回した。
視界を遮る灰が漂うだけ。
それを認識すると、ロビンは一息「ほっ」
とつく。
___瞬間、灰のロングソードが鎖骨の上の肉に深く突き刺さる。
~~~
コーラル遺跡都市南門内側にて。
「___どうやって開けるんですか?」
その声にアメリナ団長は振り返る。声をかけたのは、ヨーストだった。まぁ、当然と言えば当然の疑問。高さ推定46m、幅23mほどあるこの大扉のような門をどうやって開けるのか、そしてどうやって開けていたのか、確かに疑問に思える。
団長は口を開いた。
「この門の上の左右の斜塔の中にある門の開閉用のハンドルがある。本来はそれを回すんだが壁の上に行くにはまぁまぁな時間がかかる。」
アメリナ団長はそういうと刃こぼれの酷いクレイモアを真後ろの地面に置き門に近づき左右の門の扉に腕を広げるように両手の平を添える。
「そして、外部では友軍が戦闘中。この門を開けいち早く駆けつけなければならない。だがこの門は大きく重く、開けるのは困難だろう。要するに___」
そしてその広げられた腕にぐっと力が入った。
門は外へ、「ゴゴゴ」と音を立てながら開いていく。
その場にいる弓兵隊員と兵団員の面々は「おぉ~」と声を上げながらその光景を目の当たりにしていた。
「___力自慢がしたいだけなんだ。」
そう言うアメリナ団長。
だが理にかなっていると言えば言える行為でもある。わざわざ時間をかけて上に登り門を開けたり、わざわざ十数人でこの重たい門をあけるよりも、1人で負担や時間を掛けず開ける方が合理的でもあった。
何せ、一人で住む話なのだから。
そして門がアメリナ団長の剛力によってそのまま完全に開門する。
平原の上に豪風を起こしながら吹き荒れる灰の嵐。その嵐の前の王国兵の部隊へ走り退いて行く南門前の王国兵達。そして勝鬨らしき雄叫びを上げる帝国大隊兵達の姿。意味不明な光景「兵団員、弓兵隊員達は驚愕する。
「何々だ…こんな光景、初めてだ…」
思わずそう呟いたアメリナ団長。
そして、大隊へ向かって歩み始めると一人の女兵士が腰のあたりからだらだらと血を流す大隊長に肩を貸しながら歩いてきた。
アメリナ団長はそれに気がつくとそこへ駆け、ぐったりとした大隊長に声を掛ける。
「だ、大隊長殿?!」
すると、横の女兵士が言葉を返した。
「血を流しすぎて気絶してしまったようです。
貴方は?」
アメリナ団長はその問いに答えた。
「ミレス帝国所属ドラゴ兵団団長アメリナ・ドラゴン・サリー、増援として参った次第です。」
「これは失礼。増援、感謝致します。
ミレス帝国軍大隊副長サルス・ベリ・ウィリアムと申します。医療所はどちらに?」
大隊長は開いた門から見える遺産省本庁を指差しながら口を開く。
「遺産省本庁2階に、お気をつけて。」
サルスはアメリナ団長のその言葉を聞くと頷き開いた門の中へ走って行く間際、団長に言った。
「臨時ですが、残りの兵士の指揮は任せます!」
兵団、弓兵隊一同はそれを見送るとアメリナ団長がその門を閉め、振り返る。
団長は振り向き、口を開く。
「行こうか。」
眉間には皺ができていた。
~~~
吹き荒れる灰の嵐。もうどれくらいの時がたったのだろうか。ジンは自身のギフトにより引き起こした吹き荒れるその嵐をぼうっと眺めている。
嵐の風に紛れ聞こえる悲鳴と断末魔、時折り感じる血の臭い。
ジンは左拳を握りしめた。
(奪われずに済む国の民たちの命が、これで多くなると良いのだが___ぐうっ!)
突然、ジンの右頬へ激痛が走る。
焼け爛れた皮膚に塩を塗りたくり、さらに水を掛けたような悲惨な激痛。ジンの右頬は灰のような色に変色していた。
ジンは思わず狼狽え、その頬を右手抑えながら後ろに後退りする。
「うぅ………くそッ」
そう呟きマントに隠れていたベルトの腰側に取り付けられたポーチから一つ、試験管に似た細長い筒状の瓶を一本取り出す。
そして左手でそれの栓をぬき、中の血のような赤黒い色をしたやや粘り気のある液体を口に流し込んだ。
徐々に右頬の変色は引いて行く。
ジンは落ちつき一言、
「鬼狼さんにまた一つ作って頂かないとな。」
と呟いた。
「強化人間…?」
ハセガワの質問に、アルドラは戸惑いそう呟く。ハセガワは、推定25~30歳の成人男性とは思えない輝きをその瞳に宿し、こちらを見つめていた。アルドラはその瞳を見ると苦笑いしながらハセガワに、
「ごめんなさい。私、それについて何も知りません。」
そうきっぱりと答える。
ハセガワは意気消沈、しょんぼりとした顔で俯いた。アルドラはそんな様子のハセガワ憐れむような目で見ながらハセガワが縛り付けらた椅子の横にある木箱の鈍器の中から、乾いた赤黒い血のついた少し小さな六角レンチを取り出した。そして、アルドラは口を開く。
「これは、一般的な肘当てのヒンジをプレートと繋げる時などに使われるレンチ。少し、おしゃべりが過ぎましたね。」
「…え?」
アルドラはそう言いハセガワの左顔部に六角レンチを捩じ込んだ。
「アアアアアアアアァァァァァァ!」
一本の蝋燭のみが光源の薄暗い部屋にハセガワの叫び声がこだました。
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辺りには灰まみれになった帝国兵と
四方八方からロビンへ迫る複数の灰のロングソード。
「くそッ」
ロビンはそう悪態をつきながら素早く頭を石突で打たれ気絶し横たわるマイクのうなじを左手で掴み正面から迫る1本の灰のロングソードへ盾のように掲げた灰のロングソードはマイクに直撃すると同時に剣先から粉々に散っていった。
(コイツには刺さらないのか…?)
続いて右後ろから1本のロングソードがマイクのうなじを狙い加速する。
マイクはそれに気づくと、素早く振り返り喉元寸前の所でロングソードを右手に握る刀身が大きく欠けたグレイヴで右下から薙ぎ上げ破壊し灰のロングソードは粉々になり空中を漂い去る。続いてロビンの左顔部を狙ったロングソードが1本反対の右顔部を狙ったロングソードが1本の計2本がロビンへ迫った。
左から迫るロングソードへマイクを掲げそれがロビンの顔へ達するのを防ぎ、グレイヴで右から迫るもう1本を払い除ける。
「…計4本、終わりかな。」
ロビンはそう呟き、辺りを見回した。
視界を遮る灰が漂うだけ。
それを認識すると、ロビンは一息「ほっ」
とつく。
___瞬間、灰のロングソードが鎖骨の上の肉に深く突き刺さる。
~~~
コーラル遺跡都市南門内側にて。
「___どうやって開けるんですか?」
その声にアメリナ団長は振り返る。声をかけたのは、ヨーストだった。まぁ、当然と言えば当然の疑問。高さ推定46m、幅23mほどあるこの大扉のような門をどうやって開けるのか、そしてどうやって開けていたのか、確かに疑問に思える。
団長は口を開いた。
「この門の上の左右の斜塔の中にある門の開閉用のハンドルがある。本来はそれを回すんだが壁の上に行くにはまぁまぁな時間がかかる。」
アメリナ団長はそういうと刃こぼれの酷いクレイモアを真後ろの地面に置き門に近づき左右の門の扉に腕を広げるように両手の平を添える。
「そして、外部では友軍が戦闘中。この門を開けいち早く駆けつけなければならない。だがこの門は大きく重く、開けるのは困難だろう。要するに___」
そしてその広げられた腕にぐっと力が入った。
門は外へ、「ゴゴゴ」と音を立てながら開いていく。
その場にいる弓兵隊員と兵団員の面々は「おぉ~」と声を上げながらその光景を目の当たりにしていた。
「___力自慢がしたいだけなんだ。」
そう言うアメリナ団長。
だが理にかなっていると言えば言える行為でもある。わざわざ時間をかけて上に登り門を開けたり、わざわざ十数人でこの重たい門をあけるよりも、1人で負担や時間を掛けず開ける方が合理的でもあった。
何せ、一人で住む話なのだから。
そして門がアメリナ団長の剛力によってそのまま完全に開門する。
平原の上に豪風を起こしながら吹き荒れる灰の嵐。その嵐の前の王国兵の部隊へ走り退いて行く南門前の王国兵達。そして勝鬨らしき雄叫びを上げる帝国大隊兵達の姿。意味不明な光景「兵団員、弓兵隊員達は驚愕する。
「何々だ…こんな光景、初めてだ…」
思わずそう呟いたアメリナ団長。
そして、大隊へ向かって歩み始めると一人の女兵士が腰のあたりからだらだらと血を流す大隊長に肩を貸しながら歩いてきた。
アメリナ団長はそれに気がつくとそこへ駆け、ぐったりとした大隊長に声を掛ける。
「だ、大隊長殿?!」
すると、横の女兵士が言葉を返した。
「血を流しすぎて気絶してしまったようです。
貴方は?」
アメリナ団長はその問いに答えた。
「ミレス帝国所属ドラゴ兵団団長アメリナ・ドラゴン・サリー、増援として参った次第です。」
「これは失礼。増援、感謝致します。
ミレス帝国軍大隊副長サルス・ベリ・ウィリアムと申します。医療所はどちらに?」
大隊長は開いた門から見える遺産省本庁を指差しながら口を開く。
「遺産省本庁2階に、お気をつけて。」
サルスはアメリナ団長のその言葉を聞くと頷き開いた門の中へ走って行く間際、団長に言った。
「臨時ですが、残りの兵士の指揮は任せます!」
兵団、弓兵隊一同はそれを見送るとアメリナ団長がその門を閉め、振り返る。
団長は振り向き、口を開く。
「行こうか。」
眉間には皺ができていた。
~~~
吹き荒れる灰の嵐。もうどれくらいの時がたったのだろうか。ジンは自身のギフトにより引き起こした吹き荒れるその嵐をぼうっと眺めている。
嵐の風に紛れ聞こえる悲鳴と断末魔、時折り感じる血の臭い。
ジンは左拳を握りしめた。
(奪われずに済む国の民たちの命が、これで多くなると良いのだが___ぐうっ!)
突然、ジンの右頬へ激痛が走る。
焼け爛れた皮膚に塩を塗りたくり、さらに水を掛けたような悲惨な激痛。ジンの右頬は灰のような色に変色していた。
ジンは思わず狼狽え、その頬を右手抑えながら後ろに後退りする。
「うぅ………くそッ」
そう呟きマントに隠れていたベルトの腰側に取り付けられたポーチから一つ、試験管に似た細長い筒状の瓶を一本取り出す。
そして左手でそれの栓をぬき、中の血のような赤黒い色をしたやや粘り気のある液体を口に流し込んだ。
徐々に右頬の変色は引いて行く。
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