引きこもり王子の優雅な生活と

爺誤

文字の大きさ
10 / 12
引きこもり王子とおれ

2-6 *

しおりを挟む
 ルーマ様に処理方法を教えた日から、おれはしょっちゅう風呂場に連れ込まれて処理をさせられるようになった。風呂場なのは、彼が処理はそこでするものと認識したためだ。欲を言えば寝台でしたいところだけど、何故かと聞かれたら答えにくいから提案しないでいる。

「すまない、ティート。自分でしてみたけれど、ティートがしてくれる方が気持ち良くて……」

 好きな人に、切なそうに股間を手のひらに押し付けられて断れるはずがない。むしろ何も知らない彼につけこんでやりたい放題なんじゃないかという罪悪感さえ抱いている。こうなったらと、彼が良いように手技を磨いていった。

「はぁ、はぁ、どうして擦ると気持ちが良いのだろう」
「ほんとうはこれを出し入れするんですよ」
「出し入れ?」

 澄んだ瞳がまぶしい。俺が舐めるのが嬉しいみたいで、彼のもので濡れた手を口元に運ばれる。最初は好意だけで味はいまいちだったこれも、慣れたら舐めるのが普通になるから不思議だ。

「えっと、女性はこれがない代わりに穴があるんです。子供を産むための場所です」
「へえ。どのあたりに?」

 説明が難しくて、おれは下穿きを脱いで足を開いた。性器を避けて、そのあたりだろうという部分を指で示した。女性になりたい訳じゃないが、ここに穴があったらとっとと誘惑して入れて貰えていたのだろうか。
 騙して入れて貰うのは簡単そうなんだけど、ルーマ様が好きだから真実を知った時に軽蔑されたくない。あと実はちょっと怖い。

「えっと、多分、このあたりです、っん」

 ルーマ様の指がそこを確かめるように撫でていく。不用意に晒してしまったことを後悔するぐらいに感じてしまった。

「ティートのここは柔らかくて触り心地がいいな。気持ちいいのか?」
「ぁっ……ぁの、そんな、触らなくても」
「今日は俺がティートを気持ちよくしたい」

 最近、ルーマ様は自分がすっきりした後におれのにも気を遣ってくれる。最初に触られてしまったし、拒否するのもどうかと思うのだが断り続けている。だって絶対それだけじゃ我慢できなくなるから。

「ここに触れるのが気持ちいいなら、こうして」
「ぁああっ!」

 ルーマ様の回復力は早い。もう硬度を取り戻した先端で触れていたところを撫で上げてきた。あまりの刺激にびくんと反り返った背は、たくましい腕で支えられている。そのまま抱きしめるような体勢でぬる、ぬる、と擦りつけられると声が抑えられなくなった。

「っん、んっ、ぁっ……ぁんっ」
「ティート、ティート」

 足を上げているのが辛くなって抱え上げていた腕が外れてしまった。おれのほうが背が低いから、ルーマ様のそれに引っかかっているようだ。おれはつま先立ちで、ルーマ様はすこし屈んで腰を動かしている。おれのものは二人の腹の間で押しつぶされて、それもまた気持ちが良い。
 身体がずり落ちそうなのを支えるためにルーマ様の首に両手を回すと、視線を合わせた彼が微笑んだ。
 これは挿入をしていないが、間違いなく性行為だ。

 初めは外見が好みだった。一人きりで生きて死ぬと諦めていたところに理想の男が現れて舞い上がった。勢いで王都まで行って、彼のことをずっと考えていた。都合のいい夢の王子様だと想いを深めて、彼はおれの期待を裏切らなかった。
 卵から孵った雛が初めて見たものを親と慕うように、純粋な心をおれに向けてくれている。完成された外見とアンバランスな心が好きだ。

「んっ、く、んんっ」
「ティート、口を開けて、声を聞かせて」

 変な声だと思われたくなくて、必死で声を殺していたのを咎められた。首を振って我慢していたら、べろりと喉から顎を舐めあげられて口が開いた。

「ふぁ!! っふ、んーっ」

 一瞬声が出たが、ルーマ様の唇で口を塞がれた。彼はキスが好きらしい。舌で口内を探ってくるのが気持ち良くて腰が震えてしまう。
 陰嚢の付け根から後孔までの間を、彼のものが擦っていく。濡れた先端が後孔を刺激して、この勢いで挿いってしまわないか。期待と恐怖で悶える声は、舌を吸われて意味をなさない。
 二人同時に昇りつめて、ずるずると床にへたり込んだ。

「ぁ……はぁ、はぁ……」

 擦られていたところがヒリヒリするが、気持ちよかった……。余韻に浸っていると、膝を掴まれてグッと開かされた。

「ルーマさま?」
「夢中で擦ってしまったから、痛くなかったか? 赤くなってる」
「大丈夫です。すごく、良かったです」

 だからそんな見ないでください。女性がいない環境がいけないのだろうか、おれが悪いのかもしれない。ルーマ様の性に対してタブーが感じられない気がする。

「それならいいんだ。またしてもいいだろうか」
「え?」
「おさまらない」

 答えを待たずにぬちゅっと音を立てて擦りつけられた。この体勢で足を開いていたら、彼は気持ちよくないかもしれない。慌てて足を閉じると、ふぅと良さそうな吐息を漏らしたから間違っていないようだ。
 さっきと反対に陰嚢の裏を突かれて、前はフラフラと揺れているだけだ。気持ちいいけど、そっちも触りたい。床に擦れている背中と腰が痛いけど、支えるのをやめて手を伸ばした。

「んっく、はぁ、んっ、んんっ」

 かなり苦しい姿勢だったけれど、ルーマ様と同じタイミングで達することができて幸せだった。
 流石に三回目は疲れたようで、ルーマ様が抱きしめるような姿勢のまま乗っかって脱力している。苦しいけど、この密着具合がたまらない。
 いつまでこんな幸せでいられるだろう。

「……ティート! ティート!!」
「んあ?」

 寝てしまっていたようだった。目を覚ますとルーマ様が血相を変えている。背中と腰と股間が地味に痛い。

「すいません、眠ってしまったようです」
「寝ていてくれ。初めからこちらでしていたら良かった。気が効かなくてすまない」

 こちらってどこだ? 
 改めて周囲を見回すと、憧れていたルーマ様の寝台だ。慌てて飛び起きた。こんなところでヤったら、絶対我慢できない。裂けようが流血しようがあそこに入れてほしい。

「大丈夫です! 頑丈なのが取り柄ですから」

 ルーマ様は言葉がうまくないようで、言い合いになりそうだと困って黙る。心配してくれているのは嬉しいが、ここは黙っていてもらおう。

「……ティート、ずっと考えていたんだが、ここに一緒に住んでもらえないだろうか」
「そうしたいのはやまやまですが、畑を放棄するわけにはいかないんです」

 おれがルーマ様を独占するために畑は必要だ。
 ボンクラ王子達が帰っていって二十日ほど経つけれど、王宮からは何の沙汰もない。まあ金があっても畑をやらねば食い物に困るのは変わらないんだけど。

「ルーマ様、おれの家にいらっしゃいますか?」
「それはできない」
「そうですか……」

 即答は悲しい。
 扉は直したが、ルーマ様は基本的に扉を閉めて城の中に引きこもっている。何もしていない訳ではなく、中で炊事洗濯筋トレをしているようだ。長年外に出なかったせいで、出ないのが当たり前で苦にならないらしい。
 おれとしては彼が外に出ないでくれたら、それだけ二人の時間になるから嬉しい。でも、それで良いのかな……。

 箱の中に伸びてきた細く小さな手が寂しくて、見返りがなくても食料を届け続けていた。あの手は大きく立派になっていたけれど、未だに変わらず箱の中にあるのかもしれない。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

生まれ変わったら知ってるモブだった

マロン
BL
僕はとある田舎に小さな領地を持つ貧乏男爵の3男として生まれた。 貧乏だけど一応貴族で本来なら王都の学園へ進学するんだけど、とある理由で進学していない。 毎日領民のお仕事のお手伝いをして平民の困り事を聞いて回るのが僕のしごとだ。 この日も牧場のお手伝いに向かっていたんだ。 その時そばに立っていた大きな樹に雷が落ちた。ビックリして転んで頭を打った。 その瞬間に思い出したんだ。 僕の前世のことを・・・この世界は僕の奥さんが描いてたBL漫画の世界でモーブル・テスカはその中に出てきたモブだったということを。

侯爵様の愛人ですが、その息子にも愛されてます

muku
BL
魔術師フィアリスは、地底の迷宮から湧き続ける魔物を倒す使命を担っているリトスロード侯爵家に雇われている。 仕事は魔物の駆除と、侯爵家三男エヴァンの家庭教師。 成人したエヴァンから突然恋心を告げられたフィアリスは、大いに戸惑うことになる。 何故ならフィアリスは、エヴァンの父とただならぬ関係にあったのだった。 汚れた自分には愛される価値がないと思いこむ美しい魔術師の青年と、そんな師を一心に愛し続ける弟子の物語。

変人な同僚と一夜を過ごしてしまった魔術師さん

さか【傘路さか】
BL
天才型変人な魔術師×巻き込まれ気質な魔術師。 王宮付の魔術師であるディノが目を覚ますと、職場の同僚であるアルヴァが隣で寝ていた。 記憶はないが、実験好きの彼が作った飴状の魔術薬を口にしてしまったようで、相手が言うには身体の関係を持ったと言う。 魔力相性の良さという即物的な理由でもって求婚してくる変人に「言い方ってもんがあるだろ」と諭すと、アルヴァはディノを口説き落とそうと努力し始めた。 全8話。 ※小説の文章をコピーして無断で使用したり、登場人物名を版権キャラクターに置き換えた二次創作小説への転用は一部分であってもお断りします。 無断使用を発見した場合には、警告をおこなった上で、悪質な場合は法的措置をとる場合があります。 自サイト: https://sakkkkkkkkk.lsv.jp/ 誤字脱字報告フォーム: https://form1ssl.fc2.com/form/?id=fcdb8998a698847f

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした

リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。  仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!  原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!  だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。 「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」  死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?  原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に! 見どころ ・転生 ・主従  ・推しである原作悪役に溺愛される ・前世の経験と知識を活かす ・政治的な駆け引きとバトル要素(少し) ・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程) ・黒猫もふもふ 番外編では。 ・もふもふ獣人化 ・切ない裏側 ・少年時代 などなど 最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。

ざまぁされたチョロ可愛い王子様は、俺が貰ってあげますね

ヒラヲ
BL
「オーレリア・キャクストン侯爵令嬢! この時をもって、そなたとの婚約を破棄する!」 オーレリアに嫌がらせを受けたというエイミーの言葉を真に受けた僕は、王立学園の卒業パーティーで婚約破棄を突き付ける。 しかし、突如現れた隣国の第一王子がオーレリアに婚約を申し込み、嫌がらせはエイミーの自作自演であることが発覚する。 その結果、僕は冤罪による断罪劇の責任を取らされることになってしまった。 「どうして僕がこんな目に遭わなければならないんだ!?」 卒業パーティーから一ヶ月後、王位継承権を剥奪された僕は王都を追放され、オールディス辺境伯領へと送られる。 見習い騎士として一からやり直すことになった僕に、指導係の辺境伯子息アイザックがやたら絡んでくるようになって……? 追放先の辺境伯子息×ざまぁされたナルシスト王子様 悪役令嬢を断罪しようとしてざまぁされた王子の、その後を書いたBL作品です。

惚れ薬をもらったけど使う相手がいない

おもちDX
BL
シュエは仕事帰り、自称魔女から惚れ薬を貰う。しかしシュエには恋人も、惚れさせたい相手もいなかった。魔女に脅されたので仕方なく惚れ薬を一夜の相手に使おうとしたが、誤って天敵のグラースに魔法がかかってしまった! グラースはいつもシュエの行動に文句をつけてくる嫌味な男だ。そんな男に家まで連れて帰られ、シュエは枷で手足を拘束された。想像の斜め上の行くグラースの行動は、誰を想ったものなのか?なんとか魔法が解ける前に逃げようとするシュエだが…… いけすかない騎士 × 口の悪い遊び人の薬師 魔法のない世界で唯一の魔法(惚れ薬)を手に入れ、振り回された二人がすったもんだするお話。短編です。 拙作『惚れ薬の魔法が狼騎士にかかってしまったら』と同じ世界観ですが、読んでいなくても全く問題ありません。独立したお話です。

処理中です...