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17 案内
案内された部屋は、リゼバールの自室が霞むほどゴテゴテと装飾過多な調度品で溢れていた。一つ二つくすねて換金してみたくなるが、やったらおしまいだろう。
明日の夜にパーティが開かれるから、それまでは自由にしていいらしい。部屋でゴロゴロしていたい気もするが、逃げ道がわからないのも落ち着かない。
ふとポケットに手を入れると、カフスボタンが入っていた。ちゃんと二つある。片方だと明らかに盗品とわかるから、一度指摘されてからは両方取るようにしていたのだが、誰のだろう。王太子のだったら見つかるとやばそうだ。
せっかくの成果物だったが、俺はどこかに捨てに行くことに決めた。面倒ごとはごめんだ。
俺は、用があったら鳴らせと言われていたベルを手に取った。
「王宮を見たい」
「かしこまりました。案内係を用意いたします」
「うん」
案内係が来るまでお茶を出すというから任せた。
足音のしない侍従。身のこなしから、ただの侍従ではないのがわかる。視線を外すとジロジロと見られて気分が悪い。観察しているのだろう。
こういうのも我慢しなきゃならないのか? いや、嫌だな。
「見るな」
「っ、失礼いたしました」
俺が気付いていないと思っていたらしい。王族は金髪、俺は黒。目に見えてわかる違いと、俺が結婚したとしても、その子どもは王族としては認められないこと。
平民以下から成り上がったにしては上等だけど、本物の王族に仕える者からしたら紛い物でしかないだろう。それでも、認めさせなければならない。
アルファだらけの王宮で、どのアルファよりも上に。リヤードができるんだから、俺にできないはずがない。
ここにはサナンより強い奴はいない。
何もないところから与えられたものだ。命すら失いかけたところを拾われた。たとえ失くしたとしても元に戻るだけだから、前を向いていくだけだ。
しばらくしてやってきたのは、二十代ぐらいの男だった。あまり強そうではないが、見かけで判断できないタイプの可能性が高い。
「侍従のノリスフリスと申します。ご案内いたします」
「よろしく、ノリスフリス」
なんの特徴もないけど、ノリスフリスは獣人のような気がした。純粋ではない、サナンよりも遠い感じの。
ひと気がないところで、気になって聞いてみた。
「ノリスフリスの親はなんの獣人だ?」
「なんの、お話でしょう」
「混ざっているだろう。獣人も採用されるようになってすぐに王宮勤めに?」
ぶん、と腕が襟でも掴もうというように振り上げられたから、さっと距離を取った。
「物騒だな」
「私は獣人ではありません」
「そうか」
その身体でその身体能力は、獣人でしかありえないが、違うと言うなら隠しているということだ。俺は失敗したらしい。
「ただの興味だ」
「……左様でございますか」
獣人混じりなら当たり前の間合いでは危険だ。俺は三歩下がって、案内の続きをするように促した。
「こちらは在りし日の回廊です。歴代の王族の肖像画が飾られています。飾られるのは、逝去後となりますので、現国王陛下の肖像画はありません」
「ふーん」
死んでからしか飾られないのか……と何代か前の場所に小さめの額に横顔を飾られている人物が気になった。雰囲気はシェンと似ているが、なんとなくリヤードだ、と感じた。親戚だからそう思うのだろうか。
「この方はどなたですか」
「レアルトード公です。当時の国王の長子でしたが、ベータだったため市井に下りることを希望され、没年は不明となっています」
「十年不明の場合は死亡とみなす、か」
「その通りです」
俺はこの人をどこかで見た気がする。同じように絵を、どこかで。
いくつも連れて行かれた展覧会だろうか。しかし王族の肖像画なら覚えている気がする。まじまじと見たわけじゃなくて、通りすがりかもしれない。どこかの店の中だろうか。
「ネイジェ様も、王族と認められましたので、いずれはこちらに飾られるでしょう」
「ははっ、王室御用達の画家に俺の肖像画なんか描きたがる奴がいるのか……っと失礼」
あえて笑ってみせたが、ノリスフリスは黙っている。気持ちを立て直したようだ。もうちょっと遊べたら良かったのに。
回廊を抜けて、王宮前の広場が見えるバルコニーに出た。王が国民に顔を見せるのはここからだという。
張り出したバルコニーは空の中にいるような明るくて、隠れる場所のないところだった。遠くから狙われたら逃げようがない。この場所は苦手だ。
「美しい街ですね」
見える王都の街並みは計算され尽くしたように色も形も整然としている。あの街にも、その日食べるものに困る子どもがいるのだろうか。大人に殴られないよう、小さくなって。
「リヤード様が獣人に門戸を開いたため、数は少ないですが、城下では獣人の兵士も採用されつつあります。採用前から差別を禁止された影響で、街には獣人も増えました」
ノリスフリスの自分語りだろうか。数が増えれば混血も増える……と言いたいところだが、実際は難しい。混血はアルファとオメガの組み合わせでしか生まれないからだ。人にしか見えないほど血の薄まった混血など、非常に珍しい。
「表立っての発言は許されませんが、まだ獣人は差別対象です」
「誰にも言わない」
「ありがとうございます。私は祖父が混血でした。父は人に混ざって生活するために尻尾を切り落としました」
「見た目が人間で獣人の能力も持てるなら得だな」
「……はい」
何も知らない頃はロゴンを嫌いながら、あいつの言葉を信じて獣人を嫌悪していた。でも、サナンに負けて、保護されて、領主の城にも多くの獣人が働いていた。短い期間で考えを変えるには十分だった。
今は素直に身体能力が高いことが羨ましい。獣人としての本能も薄れて人間と変わらない精神性が持てているなら、何の問題もないと思っている。
サナンは本能に振り回されて困る時があるとぼやいていたから。
いつか、この明るい世界こそが俺の居場所だと確信できる日が来るだろうか。
「ネイジェ、ここにいたのか」
リヤードが来て、ひらひらと振られた手でノリスフリスが下げられた。バルコニーの上から二人で王都を眺める。
「王にでもなりたいか?」
「冗談でもやめてください、父上。俺はリゼバールの生活に慣れるのに精一杯です」
「欲がない」
「明日の心配をしないで生きられることを感謝しています」
これは事実だ。何もしなくてもメシが食える、それだけでずいぶん自分は穏やかになったと感じている。
「そうか。のんびりしていられるのも今日までだ」
「え?」
「兄上はわかりやすいが、他の貴族どもは違うということだ。おまえの前にはオメガの列ができるだろう」
楽しそうに胸につけたブローチを弄っている。あれがシェンに映像を届ける魔道具だが……俺があたふたするところを見せたいということか。
シェンとサナンは一緒に見ているのだろうか。サナンが見守ってくれているという想像に、張っていた気持ちが少し緩む。
「サナンの反応が楽しみだ!」
そう言ったリヤードは、悪戯を仕掛けた子どもそのものの表情だった。
明日の夜にパーティが開かれるから、それまでは自由にしていいらしい。部屋でゴロゴロしていたい気もするが、逃げ道がわからないのも落ち着かない。
ふとポケットに手を入れると、カフスボタンが入っていた。ちゃんと二つある。片方だと明らかに盗品とわかるから、一度指摘されてからは両方取るようにしていたのだが、誰のだろう。王太子のだったら見つかるとやばそうだ。
せっかくの成果物だったが、俺はどこかに捨てに行くことに決めた。面倒ごとはごめんだ。
俺は、用があったら鳴らせと言われていたベルを手に取った。
「王宮を見たい」
「かしこまりました。案内係を用意いたします」
「うん」
案内係が来るまでお茶を出すというから任せた。
足音のしない侍従。身のこなしから、ただの侍従ではないのがわかる。視線を外すとジロジロと見られて気分が悪い。観察しているのだろう。
こういうのも我慢しなきゃならないのか? いや、嫌だな。
「見るな」
「っ、失礼いたしました」
俺が気付いていないと思っていたらしい。王族は金髪、俺は黒。目に見えてわかる違いと、俺が結婚したとしても、その子どもは王族としては認められないこと。
平民以下から成り上がったにしては上等だけど、本物の王族に仕える者からしたら紛い物でしかないだろう。それでも、認めさせなければならない。
アルファだらけの王宮で、どのアルファよりも上に。リヤードができるんだから、俺にできないはずがない。
ここにはサナンより強い奴はいない。
何もないところから与えられたものだ。命すら失いかけたところを拾われた。たとえ失くしたとしても元に戻るだけだから、前を向いていくだけだ。
しばらくしてやってきたのは、二十代ぐらいの男だった。あまり強そうではないが、見かけで判断できないタイプの可能性が高い。
「侍従のノリスフリスと申します。ご案内いたします」
「よろしく、ノリスフリス」
なんの特徴もないけど、ノリスフリスは獣人のような気がした。純粋ではない、サナンよりも遠い感じの。
ひと気がないところで、気になって聞いてみた。
「ノリスフリスの親はなんの獣人だ?」
「なんの、お話でしょう」
「混ざっているだろう。獣人も採用されるようになってすぐに王宮勤めに?」
ぶん、と腕が襟でも掴もうというように振り上げられたから、さっと距離を取った。
「物騒だな」
「私は獣人ではありません」
「そうか」
その身体でその身体能力は、獣人でしかありえないが、違うと言うなら隠しているということだ。俺は失敗したらしい。
「ただの興味だ」
「……左様でございますか」
獣人混じりなら当たり前の間合いでは危険だ。俺は三歩下がって、案内の続きをするように促した。
「こちらは在りし日の回廊です。歴代の王族の肖像画が飾られています。飾られるのは、逝去後となりますので、現国王陛下の肖像画はありません」
「ふーん」
死んでからしか飾られないのか……と何代か前の場所に小さめの額に横顔を飾られている人物が気になった。雰囲気はシェンと似ているが、なんとなくリヤードだ、と感じた。親戚だからそう思うのだろうか。
「この方はどなたですか」
「レアルトード公です。当時の国王の長子でしたが、ベータだったため市井に下りることを希望され、没年は不明となっています」
「十年不明の場合は死亡とみなす、か」
「その通りです」
俺はこの人をどこかで見た気がする。同じように絵を、どこかで。
いくつも連れて行かれた展覧会だろうか。しかし王族の肖像画なら覚えている気がする。まじまじと見たわけじゃなくて、通りすがりかもしれない。どこかの店の中だろうか。
「ネイジェ様も、王族と認められましたので、いずれはこちらに飾られるでしょう」
「ははっ、王室御用達の画家に俺の肖像画なんか描きたがる奴がいるのか……っと失礼」
あえて笑ってみせたが、ノリスフリスは黙っている。気持ちを立て直したようだ。もうちょっと遊べたら良かったのに。
回廊を抜けて、王宮前の広場が見えるバルコニーに出た。王が国民に顔を見せるのはここからだという。
張り出したバルコニーは空の中にいるような明るくて、隠れる場所のないところだった。遠くから狙われたら逃げようがない。この場所は苦手だ。
「美しい街ですね」
見える王都の街並みは計算され尽くしたように色も形も整然としている。あの街にも、その日食べるものに困る子どもがいるのだろうか。大人に殴られないよう、小さくなって。
「リヤード様が獣人に門戸を開いたため、数は少ないですが、城下では獣人の兵士も採用されつつあります。採用前から差別を禁止された影響で、街には獣人も増えました」
ノリスフリスの自分語りだろうか。数が増えれば混血も増える……と言いたいところだが、実際は難しい。混血はアルファとオメガの組み合わせでしか生まれないからだ。人にしか見えないほど血の薄まった混血など、非常に珍しい。
「表立っての発言は許されませんが、まだ獣人は差別対象です」
「誰にも言わない」
「ありがとうございます。私は祖父が混血でした。父は人に混ざって生活するために尻尾を切り落としました」
「見た目が人間で獣人の能力も持てるなら得だな」
「……はい」
何も知らない頃はロゴンを嫌いながら、あいつの言葉を信じて獣人を嫌悪していた。でも、サナンに負けて、保護されて、領主の城にも多くの獣人が働いていた。短い期間で考えを変えるには十分だった。
今は素直に身体能力が高いことが羨ましい。獣人としての本能も薄れて人間と変わらない精神性が持てているなら、何の問題もないと思っている。
サナンは本能に振り回されて困る時があるとぼやいていたから。
いつか、この明るい世界こそが俺の居場所だと確信できる日が来るだろうか。
「ネイジェ、ここにいたのか」
リヤードが来て、ひらひらと振られた手でノリスフリスが下げられた。バルコニーの上から二人で王都を眺める。
「王にでもなりたいか?」
「冗談でもやめてください、父上。俺はリゼバールの生活に慣れるのに精一杯です」
「欲がない」
「明日の心配をしないで生きられることを感謝しています」
これは事実だ。何もしなくてもメシが食える、それだけでずいぶん自分は穏やかになったと感じている。
「そうか。のんびりしていられるのも今日までだ」
「え?」
「兄上はわかりやすいが、他の貴族どもは違うということだ。おまえの前にはオメガの列ができるだろう」
楽しそうに胸につけたブローチを弄っている。あれがシェンに映像を届ける魔道具だが……俺があたふたするところを見せたいということか。
シェンとサナンは一緒に見ているのだろうか。サナンが見守ってくれているという想像に、張っていた気持ちが少し緩む。
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