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悪役王子だるまにされて世界に復讐するターンが回ってくる? 1
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「……テンタクー、おまえおれが死んだらどうなるの? もとの世界に帰るのか?」
答えはない。触手は話さないし、エロのことしか考えてなさそうな生き物だ。おれに魔力があれば自由自在に動かせて便利だったかもしれないが、ないものはない。
シャイオのマントの上に横たえられて、触手におれを殺すことができるのか考えていた。できれば苦しみたくない。継承権は高度な魔法契約だから、高位貴族住人以上の合意がないと剥奪することができない。本当なら四肢切除の上生涯幽閉が決定した時点でやっておかなくてはならない手続きだった。
あの時にやらなかったせいで、おれが死ぬまで継承権が生きてしまう。
優秀な兄が死んだことで、おれを傀儡に仕立てたい奴らが動き出しただろう。おれは馬鹿で今はだるまだ。誰かが世話をしてくれなければ生きていられない。ちょろいと思われているだろう……。
実際、人間扱いしてもらえるなら……王太子として祭り上げられてもいいと思ってします。
だけどおれに厳しいのこの世界がそんな生ぬるい状況を与えてくれるとは思えない。
「逃げずに殺されていたら楽だったかもしれないなぁ……」
シャイオもおれが死んでしまえばさすがに諦めるだろう。初めてゲットしたオナホがなくなるのは悲しいだろうが、すぐに忘れる。あいつはおれ自身に興味があるわけじゃなくて、自分好みの穴を気に入っているだけだ。拒まない穴……正確には手足がないから拒めないだけなんだけど。そういう機微に絶望的に疎いあいつには理解できないだろう。
「殿下……?」
入口に人影があり、聞きなれない声が聞こえた。シャイオじゃない。
今の今まで死んだほうが楽だと思っていたけれど、実際に人間が来ると恐ろしい。声も出ないでじっと固まっていると、魔法で家の中を照らされた。抜けた床をよけた地面に転がるおれを見つけられてしまう。
近衛ではない騎士の姿をした若い男だった。紋章はヨゥクォーリ公爵家のものだ。
「ああ、ドゥルマ殿下、お助けに上がりました。シャイオは捕らえてあります。もう大丈夫です」
「え……シャイオを? 彼は悪くない。おれのところに暗殺者が来たから連れて逃げてくれたんだ」
「そう言われていたのですね。それはシャイオの方便です。ドゥルマ殿下を自分のものにするために逃げたのですよ」
うーん、それはありそうだ。でもおれ、王太子になんてなりたくないし、おれのせいでシャイオが死ぬのもちょっと嫌だ。嫌だったけど、この一年ほどシャイオだけが俺の面倒を見てくれていたわけだし……。
「四肢を切断されたおれを癒したのはシャイオだ。それから今まで世話をしていたのも。その働きには報いたい」
「かしこまりました。殿下の恩情で無罪とまではいきませんが、魔法の力を封じて放免といたしましょう」
久しぶりに人間扱いされたようで感激してしまった。ここでチョロそうな様子を見せたら、負けな気がして頑張ってきりっとして見せた。
「では殿下、失礼いたします」
慇懃な態度だったが、おれを担ぎあげる態度はまるで穀物袋を担ぐような雑な感じだった。触手は完全に引っ込んでいるからばれていないはずだが、恭しさはない。
連れていかれた先は王宮ではなくヨウクォーリ公爵邸だった。予想通りだが、流れに身を任せるしかない。文字通りおれには手も足も出ないからだ。触手は最終兵器にしておく。シャイオがいない今、触手を出したら精液供給が足りなくなる。
答えはない。触手は話さないし、エロのことしか考えてなさそうな生き物だ。おれに魔力があれば自由自在に動かせて便利だったかもしれないが、ないものはない。
シャイオのマントの上に横たえられて、触手におれを殺すことができるのか考えていた。できれば苦しみたくない。継承権は高度な魔法契約だから、高位貴族住人以上の合意がないと剥奪することができない。本当なら四肢切除の上生涯幽閉が決定した時点でやっておかなくてはならない手続きだった。
あの時にやらなかったせいで、おれが死ぬまで継承権が生きてしまう。
優秀な兄が死んだことで、おれを傀儡に仕立てたい奴らが動き出しただろう。おれは馬鹿で今はだるまだ。誰かが世話をしてくれなければ生きていられない。ちょろいと思われているだろう……。
実際、人間扱いしてもらえるなら……王太子として祭り上げられてもいいと思ってします。
だけどおれに厳しいのこの世界がそんな生ぬるい状況を与えてくれるとは思えない。
「逃げずに殺されていたら楽だったかもしれないなぁ……」
シャイオもおれが死んでしまえばさすがに諦めるだろう。初めてゲットしたオナホがなくなるのは悲しいだろうが、すぐに忘れる。あいつはおれ自身に興味があるわけじゃなくて、自分好みの穴を気に入っているだけだ。拒まない穴……正確には手足がないから拒めないだけなんだけど。そういう機微に絶望的に疎いあいつには理解できないだろう。
「殿下……?」
入口に人影があり、聞きなれない声が聞こえた。シャイオじゃない。
今の今まで死んだほうが楽だと思っていたけれど、実際に人間が来ると恐ろしい。声も出ないでじっと固まっていると、魔法で家の中を照らされた。抜けた床をよけた地面に転がるおれを見つけられてしまう。
近衛ではない騎士の姿をした若い男だった。紋章はヨゥクォーリ公爵家のものだ。
「ああ、ドゥルマ殿下、お助けに上がりました。シャイオは捕らえてあります。もう大丈夫です」
「え……シャイオを? 彼は悪くない。おれのところに暗殺者が来たから連れて逃げてくれたんだ」
「そう言われていたのですね。それはシャイオの方便です。ドゥルマ殿下を自分のものにするために逃げたのですよ」
うーん、それはありそうだ。でもおれ、王太子になんてなりたくないし、おれのせいでシャイオが死ぬのもちょっと嫌だ。嫌だったけど、この一年ほどシャイオだけが俺の面倒を見てくれていたわけだし……。
「四肢を切断されたおれを癒したのはシャイオだ。それから今まで世話をしていたのも。その働きには報いたい」
「かしこまりました。殿下の恩情で無罪とまではいきませんが、魔法の力を封じて放免といたしましょう」
久しぶりに人間扱いされたようで感激してしまった。ここでチョロそうな様子を見せたら、負けな気がして頑張ってきりっとして見せた。
「では殿下、失礼いたします」
慇懃な態度だったが、おれを担ぎあげる態度はまるで穀物袋を担ぐような雑な感じだった。触手は完全に引っ込んでいるからばれていないはずだが、恭しさはない。
連れていかれた先は王宮ではなくヨウクォーリ公爵邸だった。予想通りだが、流れに身を任せるしかない。文字通りおれには手も足も出ないからだ。触手は最終兵器にしておく。シャイオがいない今、触手を出したら精液供給が足りなくなる。
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